2020年9月 6日 (日)

石破茂氏の大東亜戦争観について

以前書いた拙論を再掲載します。

石破茂氏(当時自民党幹事長)は『文藝春秋』平成二十五年二月号所載「新しい自民党をつくる」といふ論文で、「私にとって政治家としての信念とは、『集団的自衛権行使を可能とし、独立主権国家にふさわしい国家をつくる』ことでありこれは今も変わらない」「占領下でつくられた現行憲法を戴いている限り、日本は真の独立国家たりえない。現行憲法には、独立国家の憲法であれば、当然定められているべき、軍の規定と非常事態条項が抜けているからである。そこを見直して、独立国家にふさわしい法体系を整えることが、すなわち、『戦後レジームからの脱却』であり、そもそも自民党はそのためにつくられた政党であることは、結党時に定められた綱領を見れば明らかだ」「『常識的に考えて、北朝鮮は軍事行動はとるまい』という楽観論を、独立国家は持つべきではない」と論じてゐる。全く正しい見解である。

ところが石破茂氏はさらに次のやうに論じた。「これは私の持論だが、戦後レジームからの脱却は、先の戦争に対する検証なくしては、あり得ない。この検証プロジェクトは、安倍総理主導のもと、政府として取組むべきことだと思う。終戦後、『一億総懺悔』という言葉が一人歩きし何となく国民全員が悪かったのだということになったが、これは誤った認識だ。敗戦が明白だったにもかかわらず開戦を決断した当時の指導者たちと、国のために命をささげた兵士の責任が一緒であっていいわけがない。皮肉なことだが、人は歴史からは、絶対に学ばないというのは、ほとんど唯一の歴史の教訓である。だからといって、あの戦争の実態を検証しないまま、集団的自衛権の行使の議論を始めることは、二百数十万人の英霊の思いを無視することに他ならない」と論じてゐる。

さても大変なことを主張したものである。「歴史の検証」とは具体的に一体どういふことなのか。しかもその「歴史の検証」安倍総理のもとにプロジェクトを作り政府で行ふといふのである。

これまで、大東亜戦争の歴史の検証あるいは論議は様々な個人・報道機関・政党・研究団体などが行ってきた。しかし検証や論議の結果は様々な結論や認識がだされ、統一的見解は戦後七十三年を経過しても提出されゐない。それはある意味当然のことである。

大東亜戦争に限らず歴史問題に関して政府がプロジェクトを作って検証し、統一見解を出すなどといふことは全く不可能になことである。

だから政府機関によって「歴史の検証」が政府の機関で行はれないままに、平成二十六年年七月一日、政府は臨時閣議を開き、憲法九条の解釈を変更して集団的自衛権の行使を容認すると決めたのである。これに対して当時の石破茂自民党幹事長が激しい抗議を行ったと言ふ事は聞かなかった。

石破氏の言ふ「先の戦争」とは「大東亜戦争」の事であらうが、あの戦争の歴史の検証とは、昭和十六年の開戦から同二十年の終戦までの歴史を検証すれば良いと言ふ事ではない。「東亜百年」或はそれ以上の歴史を検証しなければ、真の検証にはならない。

石破氏の「あの戦争の実態を検証しないまま、集団的自衛権の行使の議論を始めることは、二百数十万人の英霊の思いを無視することに他ならない」といふ主張は全く理解できない。「あの戦争の実態を検証」の結果を待ってゐたら、それこそ永遠に『集団的自衛権行使の議論』は始まらなかったであらう。「検証」はさう安易にたやすくできることではない。まして、内閣・政府が行ふなどといふことは全く不可能なことである。

石破氏は「敗戦が明白だったにもかかわらず開戦を決断した当時の指導者たち」と論じてゐるが、果たして昭和十六年十二月八日開戦の大東亜戦争(米英との戦ひ)は最初から敗戦が明白であったかどうか、それこそ検証が必要である。

『大東亜戦争開戦の詔書』に「米英兩國ハ殘存政權ヲ支援シテ東亞ノ禍亂ヲ助長シ平和ノ美名ニ匿レテ東洋制覇ノ非望ヲ逞ウセムトス剩ヘ與國ヲ誘ヒ帝國ノ周邊ニ於テ武備ヲ增强シテ我ニ挑戰シ更ニ帝國ノ平和的通商ニ有ラユル妨害ヲ與ヘ遂ニ經濟斷交ヲ敢テシ帝國ノ生存ニ重大ナル脅威ヲ加フ朕ハ政府ヲシテ事態ヲ平和ノ裡ニ囘復セシメムトシ隱忍久シキニ彌リタルモ彼ハ毫モ交讓ノ精神ナク徒ニ時局ノ解決ヲ遷延セシメテ此ノ間却ツテ益〻經濟上軍事上ノ脅威ヲ增大シ以テ我ヲ屈從セシメムトス斯ノ如クニシテ推移セムカ東亞安定ニ關スル帝國積年ノ努力ハ悉ク水泡ニ歸シ帝國ノ存立亦正ニ危殆ニ瀕セリ事旣ニ此ニ至ル帝國ハ今ヤ自存自衞ノ爲蹶然起ツテ一切ノ障礙ヲ破碎スルノ外ナキナリ」と示された戦争目的の達成があの勝利である。

『詔書』に示された戦争目的の達成は不可能であったと断言することは全くできない。むしろ米英との四年間の戦ひは、英米などの欧米帝国主義国家による東亜侵略を防ぎとめ、中東を含む大アジア諸国家・諸民族を解放した偉大な戦ひであったと小生は考へる。

ともかく、石破氏の歴史に対する考へ方は承認することはできない。

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2020年3月23日 (月)

警察は何故もっと厳しくパチンコを規制しないのか。

笹川陽平氏の下記の意見には賛同します。
退職した警察官僚・警察官が大量にパチンコ業界に再就職していることも影響しているのではないでしょうか。
パチンコは完全に博打です。しかも多くの年寄りがなけなしの金を取られてゐます。警察は何故もっと厳しく規制しないのでしょうか。

          ◎

パチンコホールと警察庁の指導力」―新型コロナウイルス問題― [2020年03月23日(Mon)]

「パチンコホールと警察庁の指導力」
―新型コロナウイルス問題―


どうにも不思議でならない現象がある。新型コロナウイルスの感染拡大が大きな問題となっている中で、パチンコホールがどこも、ほぼ平常通り営業を続けていることである。

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて改正新型インフルエンザ特別措置法が成立、施行され、政府は必要であれば、緊急事態宣言を発出できるようになった。安倍晋三首相は14日に記者会見を行った際、先に政府の専門家会議が公表した「集団感染が確認された場所に共通する三つの条件の重なり」に言及し、改めて注意を喚起した。

 ①換気の悪い密閉空間
 ②多くの人が密集していた
 ③近距離での対話や発声が行われた

この三条件が重なった場所は感染リスクが高まるという。私がみるところ、パチンコホールは、今回の感染源の一つとなった屋形船やライブハウスと同様に、三条件が重なる空間になりうるように思われてならない。にもかかわらず、あまり深刻に受け止められていないのではなかろうか。

ネット・メディアによれば、大阪府堺市のパチンコホールでは、2月末に新型コロナウイルスの感染者が来店したことが保健所の調べでわかった。そこで同店は3月7日から臨時休業とし、すべての従業員を自宅待機させて健康観察を行った。そして、保健所の指導に従って店内の消毒を終えたため、13日から営業を再開したという。これも、大きなニュースにはなっていない。

パチンコ業界の指導は警察庁の管轄だと聞く。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大問題で、警察庁が先頭に立って動いた印象は私にはない。

私の見方に対し、パチンコ業界は反発するだろう。インターネット上にはパチンコホールの実情に詳しい関係者のコメントやリポートがいくつも載っている。

それらによれば、(きちんとしたパチンコ店の場合)建築基準法に則って1時間当たり6~10回も店内の空気を入れ替える換気システムが設置されており、パチンコ店は密閉されていて換気が悪いというのは先入観や偏見にすぎない――これが、①についての反証である。

②についての反証としては、多くのパチンコ店の天井高はお客に喫煙者が多いこともあって、他の商業施設に比べて高く設計されていることをあげている。コロナウイルス問題の影響もあってパチンコ店の客数はすでに大きく減っており、密集状態とはいえないという。

③についても、パチンコ店の現状には当てはまらない。なぜなら、そもそも客は遊技台に面して座る。他者と対面する状況にはならない。また、多くの店で客同士の間にタバコの煙を遮るための「分煙ボード」を設置し、これが飛沫感染を防ぐ役割を果たしているのだそうだ。こうした理由から、パチンコ店が他の商業施設と比べて感染危険度が高いと一方的に決めつけるのは的外れだという。

確かに警察庁は2月27日、全国のパチンコ店に対し、新型コロナウイルス感染対策の強化を要請した。それもあって、店の入り口前や店内の随所に消毒液を置き、マスクをつけた店員が消毒液ポンプを持って客に呼び掛けたりしている。また、パチンコ機のハンドルやパチスロ機のレバー、ボタンなど不特定多数の客が触れる部分の消毒が励行されているそうだ。

しかし、である。こんな声も聞く。
 「パチンコ店を訪れる客のマスク着用率はかなり低い」
 「マスクをしていない店員を見た」
 「消毒を促すポスターがなかった」

パチンコはギャンブルではなく、「遊戯」と定義されている。しかし、人を熱中させてしまう娯楽の一つであり、多くの人を限定された空間に留まらせる装置ともいえる。感染が起こりやすい施設であると言わざるを得ない。新型コロナウイルス感染の拡大防止に、国全体が一丸となって取り組まなければならない時、パチンコ店で繰り広げられている光景が、私には危なげに思えてならないのである。

感染は全世界に広まり、すでに日本国内でもさまざまなイベントの中止が相次いでいる。野球、ゴルフ、大相撲など多くのプロスポーツ競技で中止や延期、無観客試合の措置がとられた。中でも気の毒に思えたのは選抜高校野球大会の中止だ。出場が決まっていた球児たちの心のうちは察するに余りある。

公営競技の競馬や競輪、オートレース、そしてボートレースも各監督省庁の指導によって無観客での開催となっている。こうした非常の措置がとられたのは、ともかくも多人数が一つの場所に集まらないようにすることが、ウイルス感染を防ぐためには死活的に重要であるからだ。

ところで、IR(統合型リゾート整備推進)法案(通称カジノ法案)の成立によってギャンブル依存症についての懸念が浮上した際、公営競技施行者団体と並んでパチンコ業界も依存症対策を打ち出した。社会的責任を果たそうとする姿勢を評価したい。

パチンコの場合、感染防止対策では公営競技とは違って〝無観客営業〟はありえないし、店には営業する自由もある。しかし、今回は非常の事態なのだ。思い切った対応をお願いできないものか。

菅義偉官房長官は10日の記者会見で、感染防止対策について、「警察庁がパチンコ業界に対して、従業員に感染拡大しないような職場の整備についての特段の配慮、遊技機のハンドルなど、不特定多数の人が触れる場所を消毒するなど感染防止措置を要請している」と述べた後、こう付け加えた。

「パチンコ業界も自主的な取り組みとして、集客を目的とした広告宣伝の自粛を各パチンコ店に求めたほか、感染拡大を受けて、休業日を設けた店舗もあると聞いている。引き続き、警察庁が政府の基本方針をふまえ、パチンコ業界で適切な対応がとられるよう指導する。さらに、一定の期間は休業日を増やしたり、営業時間を短縮するなど、思い切った対応がとれないものか。業界の英断を期待する。目下のところ、存在感が薄い警察庁には、より一層の指導力発揮をお願いしたい。

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