2018年2月 3日 (土)

『笹川平和財団主催セミナー・独裁主義体制の挑戦:中国、ロシアとリベラルな国際秩序への脅威』におけるアーロン・フリードバーグ氏(プリンストン大学ウッドロー・ウィルソン・スクール教授)の講演内容

昨年十一月一日に開催された『笹川平和財団主催セミナー・独裁主義体制の挑戦:中国、ロシアとリベラルな国際秩序への脅威』におけるアーロン・フリードバーグ氏(プリンストン大学ウッドロー・ウィルソン・スクール教授)の講演内容は次の通り。

 

「リベラルな国際秩序は、とりわけ個人の自由が大事。個人の権利は神聖である。アメリカの『独立宣言』はこれを端的に表現している。理想的な国際秩序はリベラルな民主国家から形成される。二十世紀になってアメリカのビジョンが台頭。リベラルな国際秩序作りをした。概ね西側と言われる自由な国家、軍事、経済の枠組みが出来た。ロシア・中国は条件を満たしていなかった。自由民主主義体制ではなかった。これによって今の危機に至っている。

 

ロシア・中国の国内は自由化していない。中国は自由化など全く考えていない。政治的コントロールの縛りを強くした。ロシアは改革の第一歩から駄目であった。中国とロシアは重要な部分が似ている。独裁体制であり、自由な選挙もない。市民の自由を保護することはない。両国とも勢力圏を確立しようと思っている。ロシア・中国共にグローバルな野心がある。アメリカと同等であると主張し始めている。ロシアは西側同盟を分断しようとしている。

 

『中国は経済発展すれば自由化する』と思われていたが、そうはならなかった。中国は豊かになったが、以前よりも抑圧的になっている。中國ロシア共に今の道を続けることが出来ると思っている。それが我々にとって大変な挑戦になっている。新しい技術ができることが政治の自由化につながらないということである。希望的観測を持ってはいけない。中国が主導してグローバルな秩序が作られるという事は少なくとも近い将来にはない。

 

中国の経済成長がこのまま続くと考えるのは間違い。先進国の経済力を合算した国力は中国の国力に勝っている。地域で中国がどういう行動をとるかを注視すべし。アメリカの役割は非常に大事。ユーラシア大陸に『一帯一路』という大規模投資をしている。これがうまくいくが疑問があるが、深い野望がある。日米がその中に入ってコントロールできると考えるのは誤り。日米は代りのプロジェクトを推進し、透明性を確保し、効率を高めるべし。我々のプロジェクトを進めるべし。

 

優れたバランスオブパワーを維持するために日米同盟は重要。日本が防衛力を高めているのは前進。他の民主国家・インド・オーストラリアを含めて多国間の防衛協力を強化すべし。アメリカがイラクと戦争したのはワーストであった。戦争しない方が良かった。アメリカのビジョンを弱めた」。

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2018年1月27日 (土)

デニス・C・ブレア氏(元米国太平洋軍司令官 米国第3代国家情報長官)による講演内容

昨年十月三十日に開催された笹川平和財団主催「第3回サイバーセキュリティ月例セミナー」におけるデニス・C・ブレア氏(元米国太平洋軍司令官 米国第3代国家情報長官)による講演内容は次の通り。

 

「日本のセキュリティは脅威に見合う軍事的対応の立法化が進んでいない。情報共有についての連携が義務化されていない。多くの官庁企業の協力が必要。インフラ防護の調整と協力は企業の利害が一致していればうまくいく。官僚間のライバル意識が阻んでいる。

 

犯罪グループや北朝鮮が攻撃を仕掛けてくる。日本はサイバーセキュリティの専門家が不足している。アメリカよりも深刻。経産省・総務省・防衛省は訓練プログラムを持っている。担当職員を増している。世界第三位の経済大国日本においてはサイバーセキュリティ企業と利用者企業の適正な比率はない。強い部署を自社の中で持っているべし。

 

官民協力・法律と規制を作ることで國民をサイバー犯罪から守る。官は民の声を聞くべきだが、民間に決めさせてはならない。ⅠOT(注・Internet of Thingsの略で、『モノのインターネット』と訳される。パソコンやスマホなどの情報通信機器に限らず、すべての『モノ』がインターネットにつながることで、生活やビジネスが根底から変わるという)が最近の事例。インターネットに多くの製品をつないでいる。ハッカーによる攻撃の面積が拡大している。日本とドイツはIOTスタンダードを設定しようとしている。

 

日本における官民協力は発展途上。秘密主義的文化が日本は強いので官民協力が阻害されている。スキルを持った人材が不足。サイバー犯罪抑止の結果が出ていない。サイバー攻撃の数は増えている。検挙数は横ばい。日本においてはサイバー犯罪がしやすくなっている。ハッカーは脅威を感じていない。警察庁の持つ権限、セキュリティ組織の持つ権限が限られている。FBIは裁判所の許可があればコントローラーをハッキングすることが出来る。日本は権限を法執行機関に与えるべし。国民のプライバシーの権利を保護するためにもそれは必要。IGCT(国際刑事機構のサイバー捜査部門)の初代局長に日本の警察庁の官僚がなった。

 

サイバー保険は日本では大きなトピックにはなっていない。日本はこの数年サイバーセキュリティの能力は高まっている。技術者と経営幹部のコミュニケーションが大切。サイバー技術専門家と経営者の共通言語を作らねばならない。

 

日本のレガシーは質の高いモノづくりの長けた品物を売ること。知的財産の保護・インターネットのコントロールは、通常の外交とは異なる。どこの国の外交官も迷っている。アメリカの優位性はFBIや州警察で体験した人が企業の専門家になること。日本は才能の民間と官の回転ドアが無いので信頼関係が無い。態勢が整っていない。中小企業をサイバーセキュリティにどう巻き込むことが出来るかが問題。ハッカー侵入を防ぐシステムが大切。いずれにしても人材が不足している。何万人という専門家を集めねばならない。脅威の情報を収集すべし。

 

ハッキングは少人数で出来る。それほど経験も要らない。だから北朝鮮を過小評価してはいけない。北朝鮮・中国・ロシア在住の人に攻撃的存在がある。もっとも良いサイバー防衛は、ハッカーの立場に立って考えること。そして自分の防衛に組み込むこと。それが実効性が高い」。

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2018年1月18日 (木)

加藤達也産経新聞編集委員(前ソウル支局長)による「日韓関係の現状と将来」と題する講演内容

昨年十月二十一日午後二時よりTAP高田馬場にて開催された『共済セミナー』における加藤達也産経新聞編集委員(前ソウル支局長)による「日韓関係の現状と将来」と題する講演内容は次の通り。

 

「何が朴槿恵の逆鱗に触れたのか分からなかったが、後で明らかになった。社長・社員・読者・読者以外の方も心を痛めて下さり感謝の気持ちで一杯です。取材・人間関係を通じて朴槿恵政権との無益の五百日戦争に突入。この体験で韓国を見る目が養われた。二〇一四年四月セオウル号沈没事故の時、六時間朴大統領が何をしているか分からない時間があったことが問題になり、国会・メディアで取り上げられた。権力は市民社会をあらゆるやり方で監視する。『記事を取り下げて謝れば日本に帰す』と言われた。私は納得できなかった。隣国韓国が自由民主の価値を共有しているかを新聞記者として確認したかった。二〇一四年八月五日に大統領府から電話がかかった。

 

私は『朝鮮日報』の記事を引用し、私の取材、国会審議状況を記事にした。その私の記事が左派系メディアに取り上げられた。それが国内で大きく広がった。大統領府がこれに反応し、『民事刑事で追及する』と言われた。『産経』が大統領を攻撃したというすり替えが行われた。『産経』をとっちめようという意識が働いた。事実や法よりも国民の情緒によって決まる。『論より証拠』よりも『証拠より論』。国民情緒→法→証拠事実という関係性。ガラの良くない保守派団体にデモをやらせる。二〇一四年八月十三日に検察に呼ばれた。『見てくれの社会だから見てくれを良くすれば良い』と女子社員に言われた。新しいスーツ・ネクタイ・ワイシャツを着て行った。検察官とはまず最初に服の値段の攻防があった。

 

韓国は忖度の社会。新聞社は五人の『加藤救援チーム』・サポート体制を作ってくれた。社からは『撤収しても良い』と言われたが、最後まで戦うと言った。理不尽な譲歩はしないことにした。六人の弁護士のチームが作られた。法廷で傍聴人がプラカードを持って騒いでも裁判長は制止しない。韓国人の忠誠心はあまり質の高いものではない。裁判で分かったことは告発の根拠が無かったこと。加藤の記事は気分が悪かったから告発したということ。裁判所の前で自動車の通行を妨害するパフォーマンスをやる。ガス抜き。朴槿恵裁判も同じ。拘留期限を延長し、手錠腰縄姿を何回も写させ報道させる。人民裁判。新しい大統領が『私が王様だ』と宣言。報復・見せしめをする。クリーニング屋などの市民から激励された。『朴槿恵に負けるな』と言われた。駐車場から法廷まで案内をしてくれた裁判所の職員が『無罪祈願をしていた』と私に言った。素朴な正義感。

 

押し付けられた反日に懐疑的な人もいる。しかし多くの人々には日本統治時代の悪い神話が染みついている。これに触れなければ友好的に付き合える。何でも取引材料にする。人質を取る。文在寅政権で不毛の歴史戰爭に日本は巻き込まれる。親日派を清算する。文在寅は徴用工問題という反日スローガンで当選。竹島に専属軍を置く。軍事拠点にした。韓国内は反日政策に誰も異を唱えない。大統領秘書室長は大変な金日成シンパ。日本は、北方領土(ロシア)・尖閣(中国)・拉致(北朝鮮)・竹島(韓国)という四つの國に包囲されている。十九世紀の世界観を持っている四つの國に取り巻かれている。『ニューヨークタイムズ』は憎むべき相手ではないので『ニューヨークタイムズ』の記者が私と同じことをしても裁判にかけられない」。

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2018年1月15日 (月)

慶野義雄平成國際大学教授による「憲法改正への現実的対応ーもう一つの道」と題する報告内容

昨年十月十四日に開催された『憲法懇話会』における慶野義雄平成國際大学教授による「憲法改正への現実的対応ーもう一つの道」と題する報告内容は次の通り。

 

「『加憲論』より九条二項を削除する『減憲論』の方が良い。私は、第九条全面削除論。『芦田修正』は将来軍備を持つためだったというのはとんでもない間違い。『交戦権』を持たない自衛隊に『戦力』は無い。だから『二項削除』は当たり前。安倍氏は二項をそのままにして三項を加えるとした。戦力の不保持と交戦権の否認を定める第二項と自衛隊の保有を明記する新條項は水と油。自民党は平成二十四年の党議決定で一項を残して二項を削除するとした。

 

憲法第九条二項の『交戦権』とは何か。戦争する権利。国際法上は戦時国際法の権利。欠落しているのは国の最高法規を論ずるのに必要な主権論、国家哲学、国防論。政治腐敗の前に理念の腐敗が起こる。最初に腐敗したのは憲法理念の腐敗。そして見えやすい腐敗が起こる。安倍氏は戦後レジームからの脱却と言ったが、『慰安婦問題』の決着・『村山談話』の継承の二つは戦後レジームの固定化。北方領土も固定化、憲法も固定化。

 

何故憲法学者が自衛隊を憲法違反と考えるのか。どの条項に違反すると考えるのか。言うまでもなく九条一項二項である。九条を廃棄することが唯一の解決。『帝国憲法』には軍保有は明記していない。間接的規定があるだけ。自衛隊を憲法に規定しなくても主権国家であることさえ確認すれば何ら問題ない。九条さえ廃棄すれば、自衛隊保持を明記しなくても、自衛隊の現状維持には何の問題もない。『加憲』ではなく『減憲』」。

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2018年1月13日 (土)

田中達浩氏(富士通システム統合研究所 安全保障研究所 主任研究員 元通信学校長兼久里浜駐屯地司令、元陸将補)に「サイバー抑止について」と題する講演内容

昨年十月十三日に開催された笹川平和財団主催『第二回サイバーセキュリティ月例セミナー』における田中達浩氏(富士通システム統合研究所 安全保障研究所 主任研究員 元通信学校長兼久里浜駐屯地司令、元陸将補)に「サイバー抑止について」と題する講演内容は次の通り。

 

「サイバー攻撃は圧倒的に有利。抑止は不可能と言われている。証拠は残らない。金もかからない。オバマは二〇一六年五月に広島で『科学の革命には倫理的革命も必要』と言った。サイバーセキュリティは悪意ある攻撃を排除するだけでなく、国家安全保障の観点から抑止しなければならない。サイバー兵器は核兵器のようにはカウントできない。物理的にシステムそのものを攻撃してくる。心理的インパクトも狙ってくる。重要インフラの破壊は心理的にも物理的にも一番インパクトが強い。国防省のシステム妨害もインパクトが強い。大規模金融のシステム妨害もある。攻撃者が圧倒的に有利なので抑止効果が低い。報復抑止=攻撃者に攻撃の成果に見合わないコストを負わせる。心理的インパクトと物理的インパクトの相乗効果。報復する能力、意志、世論の支援、同盟国友好国の支援、この四つの要素を使って相手に不安を与え、攻撃を躊躇もしくは停止させる。

 

ハイブリット戰爭は、国際法事態なのか国内法事態なのかあいまい。全てをインターネット、サイバー空間に依存している。情報戦、心理戦、サイバー戦、EW戦(電子戦)がわが国周辺でも行われている。国際法で自衛権を行使するのか、国内法で取り締まるのか判断できない。中国ロシアのような総合力を持っている國が攻撃して来る場合、通常兵器では勝てない。非国家主体のテロリストは同時多発テロの指令にサイバー空間を使う。資金調達にサイバー空間を使う。

 

『国連憲章』二条四項で武力による威嚇・武力行使は禁止されている。『国連憲章』五十一条によってサイバー攻撃は自衛権行使としてあり得る。『重大被害を及ぼすサイバー攻撃を受けた場合物理的報復をする』とアメリカは宣言した。原発の破壊、大規模ダムの破壊、航空機へのサイバー攻撃に対して物理的報復をすると宣言。

 

サイバー攻撃のグレーゾーン。国家がやっているサイバー攻撃なのだが、武力攻撃相当と認定できない場合はどうするか。国際法で対処するのか、国内法で対処するのか。拒否力型抑止と報復型抑止とがある。反撃能力を確実に作る。サイバー攻撃発信点をエネルギー兵器による攻撃。通信衛星システムへの攻撃。情勢緊迫の過程で直接武力衝突をさせないためのサイバーの示威行動が必要になってくる。サイバー軍を軍の中に定義として確認する。

 

ロシアは色々な所を攻撃しているのに国家がやっていることではないと強弁。レリジエント(注・回復力のある)国家全体としてサイバーフィジカル(注・物理的)システムの安全確保。グレーゾーンにおける対抗措置の準備と合法化。自衛権の行使にどんな手段を使うのか。国内法による司法行政の対応。情報力の強化。予知・予見能力の強化。

 

小さな情報を集めてまとめてみると大きな目的が見える。日本はソフトな国際的枠組みは得意。国家の総合力で抑止する総合安全保障戦略の主たる部分を占めて良い。日本の原発は基本的には安全だが、その安全性を脅かすことを考えている人がいる。アナログからデジタルへの変換の時に何かをやられると問題。規制しすぎるとインターネットの利便性が失われる。その逆もまた真なり。日本は、技術力は高いが攻撃力は弱い。基本的にやらねばならないことをきっちりやるべし。セキュリティの強度を標準化する。人権と安全性の強制力の問題。基本的なことをしっかり決めて行く」。

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2017年12月19日 (火)

山本秀也氏(フジサンケイビジネスアイ編集長兼産経新聞論説委員)による「頼行政院長の誕生と日中台関係」と題する講演内容

十月七日に開催された『アジア問題懇話会』における山本秀也氏(フジサンケイビジネスアイ編集長兼産経新聞論説委員)による「頼行政院長の誕生と日中台関係」と題する講演内容は次の通り。

 

「『産経』は毎年双十節特集を行う。この特集をしていると、台湾はどのような台湾像を発信したいかが分かる。戒厳令解除前は、『中華民国』という名稱と『青天白日旗』を入れてくれと言って来たが、今は台湾の現状を伝える紙面になっている。

 

蔡英文総統は聡明で頭が良い。政治の二つの柱は台湾ナショナリズムの追求とリベラル政治。日米重視。両岸関係の現状維持。反原発・社会福祉重視・同性婚の法制化推進。ベクトル(注・方向性、矛先)は二つある。国内的には脱国民党の推進。二・ニ八事件の責任追及。中正記念堂の運営の見直し・中立化。対外的には新南向政策。貿易投資の相手先を中国から東南アジアに振り向ける。台湾自立の経済基盤を作る。対日政策の重視。儒教社会では同棲婚はタブー視されているがそこから脱却したい。

 

中国発の外交が露骨。国際機関からの台湾締め出しを露骨にやっている。中国は度量が狭くなっている。軍事圧力も露骨になっている。

 

八月の大規模停電で台湾の全世帯の約半数にあたる七百万戸近くに影響が出た。冷房が使えなくなった。原発政策が悪いと財界が批判。支持率に影響が出た。支持率は大体右肩下がり。停電の後、三割を切った。

 

内閣をチェンジし効果があった。民進党のホープ・頼清徳氏を行政院長に起用。支持率がV字回復。頼清徳氏は情熱的政治家。リハビリの専門医。ハーバード大学留学。台南市長。天狗熱で手腕を発揮。台湾独立をハッキリ言う人。『親中愛台』を言う。バランス感覚がある。台湾は主権国家であり両岸は相互隷属関係せずと言う。

 

習近平は二〇一二年に総書記に就任以来、『中国の夢』という言葉をよく使う。『中華民族の偉大な復興』を強調。すでに主権下にある地域では統制を強化。香港では二〇一四年『雨傘運動』が起り若年層の中央離れが鮮明化。二〇一七年、行政長官選挙で普通選挙導入見送り。銅鑼湾書店関係者五人を本土に拉致。『一国二制度』の形骸化。内地の法律をいきなり香港に適用。特務政治。若い人ほど中国から離れようとしている。

 

台湾にも強圧姿勢で臨む。対話の停止。訪台観光客の規制。外交圧迫・軍事武力威嚇。

 

習近平は鄧小平のやってきたことを度外視。習近平の理想としているのは鄧小平にあらず毛沢東。『大一統』とは、紀元前に成立した儒教の経典『春秋公羊伝』の言葉であり『一統を大(たっと)ぶあるいは大にす』という意味。天子を頂点とする儒教ヒエラルキー(注・階層制や階級制)社会の構築、周囲の辺疆への支配。近隣国との朝貢関係の構築、現代における華夷秩序の構築が行われるのではないかと危惧する。自己中心的な天下觀が『法の支配』『普遍的価値』と矛盾する危険あり。南シナ海への支配拡大と国際法との摩擦。強権政策の実現。国際秩序への挑戦。アセアンは中国に文句を言えなくなっている。東南アジア諸国に『中国に文句を言ってくれ』と要求するのは無理。

 

二〇二一年の中共結党百年の動向に注意すべし。中国は今やアメリカを怖れていない。空軍・海軍が台湾に上陸することは可能。米軍の動きを止める能力もある。台湾ナショナリズムがもっと出て来るのではないか。台湾内部で脱中国化が加速する。他方で中国指導部の認識が硬直化。

 

日本と台湾の合同軍事演習ができない。先島諸島防衛を固めるのが第一歩。日台間の紛争を防ぐという名目で日本の海上保安庁と台湾の海上警察の協力ができないか。日本の海上保安庁はベトナム・フィリッピンと協力している。

 

中国は西太平洋においてアメリカが身動きできないようにしている。中国の戦力強化は物凄い。台湾単独では守れない。近隣諸国が知恵を絞る必要あり。経済と安保の重要性。台湾経済の中国依存度をどう引き下げるか。総合的安保政策。日本は台湾の経済政策を後押しすべし。また台湾の国際社会での孤立回避に協力すべし。日本は中国に対して台湾海峡の緊張回避を求め『法の支配』に逆行する覇権追求は高い代償を払わねばならないと主張すべし」。

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2017年12月16日 (土)

藤井厳喜氏による「安倍政権とトランプ政権はどうなるのか」と題する講演内容

九月七日永田町の憲政記念館にて開催された『呉竹会アジアフォーラム』における藤井厳喜氏による「安倍政権とトランプ政権はどうなるのか」と題する講演内容は次の通り。

 

「九月三日、北朝鮮が核実験を行った。北朝鮮とアメリカとの交渉の扉は完全に閉まったかと言うとそうではない。北朝鮮の金正恩のチームは非常に頭が良い。非常に合理的。金王朝のサバイバルのためなら何でもやる。核兵器を持てばアメリカにもチャイナにもつぶされないと思っている。小さな国でもあらゆる犠牲を覚悟すれば核武装できる。ウクライナのマフィアは武器市場では有名。北朝鮮は合理的行動をとる。最終的には日米と国交を樹立し、金王朝をサバイバルする。私はそうなると思っている。

 

去年、反露親中のヒラリー・クリントンが勝っていたら、ロシアと戦争になっていた。トランプの目標はアメリカ経済の再建。アメリカ国民とくに中西部はワシントンに不信感が強い。グローバリズムがアメリカを壊してきたと思う人が多い。これ以上自由貿易をすべきではないという方向転換をした。もの作りがどんどん駄目になって行くのを何とかしなくてはならないということ。アメリカはグローバリズムとナショナリズムの内戦状態と言っていい。

 

マスコミが叩きに叩いているのに、トランプは三五%の支持率。凄い。鉄壁の三五%。CNNが一番悪い。あらゆる嘘をついてもトランプ政権を打倒しようとする。朝日新聞もどんなエ嘘をついても安倍政権を打倒しようとしている。BBCも反国家的傾向が強い。

 

北朝鮮の核兵器はアメリカにとって全然脅威ではない。日本にとっても怖くない。中国の核兵器は怖い。習近平がボタンを押せば日本は焦土となる。アメリカにとって核兵器が広がるのが怖い。クリントンの間違った判断が今日を招いている。

 

日本に独自の核抑止力無し。とりあえずアメリカからトマホークを千発買う。北朝鮮から核攻撃があっても日本は何もできない。私核武装論者。とりあえず抑止力を持つこと。報復力を持つこと。専守防衛とは野球で言えば守備はしても攻撃はしないということ。やられたらやり返す攻撃力を持つべし。とりあえずアメリカの核を導入する」。

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2017年12月15日 (金)

有村治子参議院議員による「御退位特例法に寄せる 真の日本人の心」と題する講演内容

九月七日永田町の憲政記念館にて開催された『呉竹会アジアフォーラム』における有村治子参議院議員による「御退位特例法に寄せる 真の日本人の心」と題する講演内容は次の通り。

 

「父親が日教組と戦っていたので、私も学校の先生からいじめられた。いじめられた涙の分だけ人格形成に昇華させた。今を生きる私たちは、私たちの生き方如何で、先人の生きてきた歴史に光を当てることも出来れば、影を与えることもできる。

 

『日本死ね』という言葉を安倍総理にぶつけて全国的に有名になった女性議員は、国家観も無かったが、倫理観も無かった。保育園を落ちたから『日本死ね』と言って、流行語大賞にこやかに貰った。どこの国の政治家か。彼女はミセス国賊だ。日本が死んだらその子は保育園に入れるのだろうか。『中国死ね』『北朝鮮死ね』という言葉を吐いたらヘイトスピーチになるのに、『日本死ね』と言ったら流行語大賞というのはおかしい。

 

國の安定があってこそ家々の安定がある。この当たり前のことを確認したい。個の幸せを願えばこそ、國の安定を図るべし。国柄・人柄・家柄・土地柄がある。国家とは遠くにあるのではなく、私たち一人一人が形成してゐる。国汚い言葉で罵ったら要望が実現するとなると、日本の國柄・公序良俗が滅びてしまう。社会の秩序・人々の良識はサイレントマジョリティによって支えられている。国民の価値、日本の底力を維持するためにも、口汚い言葉を使えば要望が実現するということは止めたい。

 

明治維新によって藩ではなく国家意識が目覚めた。近代化を果たさなければ国家が成り立たなかった。明治時代は教育・工業・農業を興し、生存の基盤となる国家を作った時代。

 

『この国』という言葉を連発したのは鳩山と蓮舫。国家と国民を切り離そうとしている人たち。指示代名詞として言ってゐる。『わが國』と言うべし。私たちの日本であるべし。言霊は大切。自分と距離を置きたい人が『この国』『この店』と言う。そういう人たちに政権を任せるわけにはいかない。

 

六月に、今上陛下御譲位の『特例法』が全会一致で可決。『政府は、安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等について、皇族方のご年齢からしても先延ばしすることはできない重要な課題であることに鑑み、本法施行後速やかに、皇族方のご事情等を踏まえ、全体として整合性が取れるよう検討を行い、その結果を、速やかに国会に報告すること』という付帯決議がついた。私一人賛成しなかった。

 

皇位は男系継承・父系継承が原則。父親をたどれば神武天皇につながる。女性天皇も父方をたどれば神武天皇につながる。これを萬世一系と言う。女性宮家には正確な定義なし。七割の世論が女性宮家を作るべしという意見。一四%が反対。男性が結婚によって皇族になるという初めてのことを日本が経験することになる。その間に生まれられた方が皇位につかれと、男系ではない天皇になる。開闢以来のこと。男系継承が崩れる。二千六百年の歴史が塗り替えられる。今を生きる私たちが今の価値観だけで男系継承の皇統を断絶させていいのか。萬世一系は国民との信頼関係で成り立ってきた。国民の中に皇統に対する疑義が生まれる。皇室の尊厳性は守られるのか。

 

GHQによって十一宮家が廃止された。旧皇族を皇族にお戻しするということがあれば私は付帯決議に賛成した。私は党議拘束に反したので、制裁を受けたのは当然。今、私は党内で謹慎蟄居の身。しかしどちらが歴史の評価に耐えられるかと言うと私は決して負けてはいない」。

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2017年12月 8日 (金)

村井友秀東京国際大学国際戦略研究所教授による「中国の覇権野望に直面して―国際紛争の理論と現実」と題する講演内容

九月二日に開催された『アジア問題懇話会』における村井友秀東京国際大学国際戦略研究所教授による「中国の覇権野望に直面して国際紛争の理論と現実」と題する講演内容は次の通り。

 

「国際政治・国際関係論は戦争を起こさないようにするのが目的の学問。そのために戰爭のメカニズムを理解するのが一番大事。

 

来週沖縄で講演する。『戦争』という言葉を使うと、『沖縄タイムス』が批判する。安全保障は人間にとって空気のようなもの。自分が空気があって生活できるのが分かるのは、空気が無くなった時。平和だから日常生活ができる。

 

戦争をする國はどういう国か。①軍事政権②独裁政権③民族主義④構造的暴力⑤戰爭のコストが小さい國。①は軍人が政策を決める。②は何処の国も、政治は国民の同意によって支えられると同時に、国民を強制する。独裁国家は強制のみによって支えられている。強制力(軍と警察)は独裁政権が国民を叩く鞭。国民にとっては迷惑。政権を強化すると国民の同意が減ることを解決する方法は外敵を作ること。外から国を守らねばならない・外敵から攻撃ということを口実に、強制力を強化する。北朝鮮はその典型。

 

イスラム教は喜んで自爆する。だから戰爭をする下地ができる。百五十万人が死んだ北朝鮮の飢餓は、人命に対する意識を希薄化させた。戦争をしたくない最大の理由は人が沢山死ぬから。しかし、色々な理由で人が沢山死ぬ國は反戦意識は高くない。

 

戦争のコストが高い所は戦争ができない。都市化・対外依存度・少子化が三つのコスト。農村は物流が止っても自給自足で生きていける。都市はそれが出来ない。ベトナム空爆の責任者カーチス・ルメイは東京大空襲の指揮者。戦争に勝つとは損害許容限度を超える前に戦争目的を達成すること。ベトナム戦争では三四〇万人のベトナム人が死んだ。日本は三百万人が死んだ。三百万人は限度を超えた。日本は損害に耐えられるまで戦った。だから強かった。

 

北朝鮮の少子化は進んでいる。北朝鮮はチキンゲームをやっている。madmanは合理的判断はしない。トランプは何をやるかわからないと金正恩は知っている。

 

鄧小平は中央軍事委員長。胡耀邦よりも偉かった。党のトップよりも軍のトップの方が偉い。中国は兵営国家。軍と政治家が一体化している。中国はシーレーンを守れない。戦争になったら中国はGDPの三割を失う。ロシアは中国を助けない。ロシアは中国に攻め込む。中国も少子化が進んでいる。少子化は中共の政策であった。今の中国に人海戦術は無理。

 

中国は国連が一致して北朝鮮に制裁を加えることに反対。中国が北朝鮮を支援しているから国連の経済制裁は効かない。中国は北朝鮮を丸抱えしている。自分の領土と思っている。中国は朝鮮が統一して反中国国家になるのが怖い。中国の庇護の中に北朝鮮はある。北朝鮮は中国の利益の範囲内でやっている。

 

戦争にならないのはアメリカにとって大した問題ではないから。イラクに対してやったように北朝鮮に攻め込むことはない。だから数百人の部隊で実行できる斬首作戦を考えている。

 

何かあったら一番先に北朝鮮に入るのは中国軍。金正恩を排除し親中国政権を作る。傀儡政権の頭を変え、核開発を止めさせる。

 

日本が軍拡すると中国も軍拡する。軍拡競争をしている間は戦争にならない。中国は同盟を信じない。中国は尖閣を攻めてもアメリカは出て来ないと思っている。日米同盟だけでなく、日本の軍事力を強化すべし。

 

『日本には漢奸が多い』と中国の工作員は言った。そういう漢奸とされる人たちは『自分は日本のためにやっている』と信じて中国のためにやっている。

 

中国は自分の不利益にならないことはやらない。ロシアは中国に対してかなり危機感を持っている。ロシアの経済状態は悪いし、軍事力も中国の増強度に比べると弱い。ロシアの軍事力は世界第二位だがGDPは韓国並み。中国は党も軍もほとんど皆賄賂をもらっている。汚職で誰でも逮捕できる。スターリンは将軍を粛清した時、佐官級を昇進させたので、軍は反発しなかった」。

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2017年12月 2日 (土)

『笹川平和財団主催・イランイスラム共和国外務省事務次官来日記念講演会「中東情勢とイランの新たな役割」』におけるセイエッド・アッバス・アラグチ外務省事務次官(法務・国際問題担当)による講演内容

八月八日に開催された『笹川平和財団主催・イランイスラム共和国外務省事務次官来日記念講演会「中東情勢とイランの新たな役割」』におけるセイエッド・アッバス・アラグチ外務省事務次官(法務・国際問題担当)による講演内容は次の通り。

 

「二〇一一年に日本に来て、四年間滞在した。多くの友人を得た。日本風の名前のアラグチです。中東は三つの大陸が接する所。三つの宗教が生まれた所。多くの始源が眠っている地。過去四十年間戰爭とテロが続いた。革命もあった。アラブの春は冬に変ってしまった。アラブは世界全体に影響を与えている。深刻な課題に直面。国内紛争が存在する。民主的でない政権がある一方、人々に政治的意識が高まっている。経済的課題・貧困・格差問題がある。外国の介入もある。

 

テロリズムは古くて新しい問題。パレスチナ問題も継続している。イランとトルコが勢力を増している。ハマスとヒズボラは正義のために戦っている。市民社会が新しい主体として形成されつつある。中東は深遠なる変化を経験し、進化している。正しい方向に向かっているかどうかは分からない。混乱と不確定性を伴う移行期である。

 

その中東の大国としてイランは抬頭しつつある。大統領選挙が行われ、現職のロウハーニー氏が再選された。この選挙では有権者の七三%が投票した。民主主義が力の源泉。イランの国民が力の源泉。イランは安全保障を自分で生み出している。民主主義体制を自ら作り出した。

 

イランは地域のテロと戦っている。現在のテロの形は世界の全ての人にとって脅威。何の罪もない人を殺している。グローバルにテロが行われている。我々はテロに対して戦わねばならない。

 

イラン経済は良い方向に向かっている。石油の輸出も増えた。インフレ率は一ケタに戻った。アメリカは建設的雰囲気を壊しつつある。イランの核問題に関する包括的共同作業計画(JCPOAJoint Comprehensive Plan of Action)全体としては力強い状況にある。ヨーロッパの国々はアメリカの新しい政策がどうあれイランと関係を持ち続けると言っている。イランは国際社会で大きな位置を占めている。

 

JCPOAで学んだことは、あきらめることがソリューション(解決)ではないということ。わが国のミサイルは防衛のためのみに使われる。われわれの安保はフセインのような誤算をしないためにミサイルに依存している。八年間のサダムフセインとの戦争のようなことを繰り返さないようにするために核を持っている。正当な防衛システム。地域の安定に確実に貢献している。

 

シーアとスンニの対立は危険。イランはシーア派のムスリム国として理解を求めていきたい。スンニ派の国とも連携している。宗派による対立に反対している。サウジとも対話を持っている。

 

テロリズムとは対決する以外にない。これが国際社会全体の結論。イランはパレスチナを正義のために支持している。イスラエルはパレスチナを抑圧し、領土を占領している。パレスチナ人は難民キャンプに生活している。イスラエルの国家によるテロを我々は批判する。われわれはパレスチナ人の正当な権利を支持する。軍事的抑圧に抵抗することは必要。しかし軍事的にイスラエル人を海に突き落とそうというのではない。政治的解決が必要。

 

イランと日本の関係は良好であり続けた。第三国が関わった時に問題が起こる。日本がアメリカと同盟関係にあることは理解する。安倍さんのイラン訪問を実現したい。日本の経済界はゆっくりしている。リスクのない経済関係は無い。ビジネスチャンスが無くなってしまう。ヨーロッパはアメリカと関係なくイランと関わりたい。日本も同じ結論を出してもらいたい。日本とサウジの関係に異論をはさまない。サウジの繁栄は我々の繁栄。

 

人権を守らない民主主義は民主主義ではない。報道の自由・言論の自由はイランの憲法に明確に書かれている。イスラム共和国では人権をどう見るかは他国とは違うところがある。同性愛者の権利は認めない。同性愛は人間のすることではない。宗教・文化・価値の違いは尊重し合うべきだ」。

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