2018年7月27日 (金)

軍司泰史氏(共同通信社編集委員・論説委員)の「欧州ポピュリズムの底流−難民、テロ、EU」と題する講演の内容

四月二十五日に開催された『新聞通信調査会定例公演会』における軍司泰史氏(共同通信社編集委員・論説委員)の「欧州ポピュリズムの底流−難民、テロ、EU」と題する講演の内容は次の通り。

 

「ヨーロッパは独特のポピュリズムが広がっている。ヨーロッパではポピュリズムは目新しい問題ではない。七十年代から欧州政治の中でポピュリズムは危険視されていた。イギリスのEU脱退をめぐる国民投票で離脱の結論が出て、ポピュリズムに注目が集まった。国政選挙があるとポピュリズム政党が注目を集める。

 

水島治郎千葉大学教授の定義ではポピュリズムとは『大衆に依拠して、特権的なエリートを批判し、大衆層の意思を直接政治に反映させようとする政治運動』。

 

大衆迎合主義とはネガティヴ。ポピュリスト政党が政治の中心舞台に躍り出てきた。ポピュリズム勢力の共通点は、『反既成政治、エリート不信、反グローバリズム、EU懐疑、反移民、反イスラム』。エリート不信に中にはメディアへの反感も含まれる。EUはグローバリズムの進んだ形なので、反EUは必ず出てくる。ポピュリズムの背景は、『既存政党や既存勢力の弱体化、中間層の転落、難民・移民の増大、EUの機能不全』。中間層の転落は、産業の移転が原因。失業・賃下げの不安が日常的。テロが頻発し、ヨーロッパ各国の首都にテロへの不安感が広がっている。

 

フランス大統領選第一回投票では、ルペンが半数以上のコミューンでトップ。村落など小規模コミューンはルペンの圧勝。マクロンは要するに人口の多い大都市つまり『点』で勝利したにすぎない。大衆層・工場労働者は社会とのつながりが切れてしまった。大衆層の四分の三は中小都市にいる。パリからは姿を消した。ルペン支持層の姿は大都市では全く見えない。イスラム教徒がコミュニティに入ると大衆層はそこを出て行く。

 

ジャンマリ・ルペンからマリーヌ・ルペンへの代替わりで政策的に大きな変更が行われた。ジャンマリ・ルペンの政策(極右ナショナリズム)は『反共、移民排斥、歴史修正主義(ナチスの擁護)、反ユダヤ、反グローバル資本、EU離脱、通貨フランの復活、死刑復活』だった。マリーヌ・ルペンの政策は、『反グローバル資本、自国産品優先、EU離脱、通貨フランの復活、非宗教性(ライシテ=フランスにおける政教分離の原則)の強調(イスラム共同体が標的)、女性の権利擁護、男女賃金格差の是正、歴史修正主義の否定、減刑の無い終身刑の導入、脱悪魔化と正常化』。マリーヌ・ルペンは年金支給開始年齢引き下げなどリベラルから左派の政策も取り入れた。『国民戦線(極右ナショナリズムだった)が脱悪魔化した』とフランスで報道された。しかし偽装されていると批判されている。今の国民戦線は必ずしもナショナリズム・国粋主義・歴史修正主義ではない。一見リベラルな政策をとっている。

 

オランダは移民受け入れに寛容で、多文化主義の一つのモデルとされてきた。オランダはEUの原加盟国。元々は親EU。ピム・フォルタイン党が躍進。ピム・フォルタインの主張は『政治を市民にともどす、妊娠中絶などの女性の権利・同性愛者の権利擁護、安楽死や麻薬の容認、イスラムは遅れた文化、オランダはもう満員だ』。リベラルなポピュリストとして登場。

 

ヘルト・ウィルダースは、イスラム批判で支持を急伸。『イスラムは民主主義と相容れない、コーランはファシストの書。ヒトラーの「わが闘争」の宗教版』と主張。個人の自由や男女平等、同性愛の擁護という西欧的価値を前面に出してイスラムを批判。『ユダヤ―キリスト教的・人文主義的伝統』を『オランダの支配的文化』と定義。『われわれはイスラム化という津波を防がなければならない』と主張。二〇一七年総選挙では第二党になった。オランダはプロテスタントが多い。ローマ法王庁は同性婚を否定。

 

ポピュリストは、ヨーロッパの伝統とイスラムとの対立に単純化する。同化しつつあるイスラム教徒の居場所がなくなりつつある。そしてイスラム過激派に吸い寄せられてしまう。新たなポピュリスト勢力は、全ヨーロッパ的な文明上のアイデンティティが、異質なイスラム文明と必然的に衝突し、脅かされていると主張する。この新しい主張は、伝統的極右の運動より繊細だが、リベラルな民主主義を深刻に脅かす。

 

ハンガリーの国境には電線(国境フェンス)が張り巡らされている。不法侵入を監視。ハンガリーのオルバン政権の政策は、『排外主義的傾向(国境フェンスの建設)、EUへの反感(難民受け入れ分担の拒否)、強権路線(メディア・NPOの統制)、中露への接近(原発・高速鉄道建設)』。

 

欧州のリスク―今後何が起こるのか。『EU理求心力低下、中露の影響力拡大、強権国家への憧憬、国内の分断』。エリートが現実を見ようとしないのが一番の問題。ポピュリズムは政治的立場を表す言葉ではない。政治的手法を表す言葉。ポピュリストの特徴は敵を設定する。『あんな人たちに負けるわけにいかない』という言葉は危険。

 

プーチンが好きな人が何故か多い。民衆に強権政治への憧れがある。欧州の価値観が揺らいでいる。トランプを押し上げたアメリカ国民はアホではない。テロはイスラムではなく社会的統合から切り離された人々が起こす」。

| | トラックバック (0)

2018年7月24日 (火)

船橋洋一アジア・パシフィック・イニシアティブ理事長による「地政学・ポピュリズム・メディア」と題する講演内容

三月三十日に開催された「新聞通信調査会七〇周年記念特別講演会」における船橋洋一アジア・パシフィック・イニシアティブ理事長による「地政学・ポピュリズム・メディア」と題する講演の内容は次の通り。

 

「地政学・ポピュリズムにメディアは連関している。石橋湛山が活躍したのは第一次大戦から第二次大戦まで。第二次大戦後は、政治家に転出した。危機の時代の二十年間に、自由主義・国際協調主義で論陣を張ったが、彼の理念はことごとく裏切られた。その時代はなんと今の時代と似ているかと感じた。

 

地政学の視点から非常に厄介だが、それを無視しては世界が見えない。日露戰爭で大陸に足掛かりを持つことによって、ユーラシア大陸に引き込まれてゆく。ユーラシアの地政学をわきまえないままに入ってしまった。兵を出してしまった。満州事変以降の朝日新聞の昭和時代の報道を検証すると、報道が大きく変わったのは満州事変から。

 

今日も、大きな國が『強引に相手に圧力をかけてはいけない』というルールを破っている。中国とロシアがそういうことをし始めている。今の秩序を一方的に変えようとする。別の秩序を作ろうとする。都合が悪くなるとシステムを捨てる。中国の楊潔篪外交部長は、アセアン地域のフォーラムの外相会議において、アセアンの外相に向かって『中国は大国、あなた方は小国。そこから全てが始まる』と言った。尖閣もその辺から変わってきた。中国の公船が一方的に入って来たのは二〇〇八年十一月から。

 

地政学と歴史が重要な概念。今世紀末に日本は五千万人国家になる。何もしなければそうなる。先々週ジャカルタに行った。インドネシアは独立百年で国家ビジョンを描いている。『インド・中国・アメリカ・日本の次がインドネシアでありたい』と言っていた。人口を国のランキングにした大国がものを言う世界になって行く。

 

アメリカ政府は去年十二月『国家戦略報告書』を出した。今までの秩序を一方的に変えようとしているのは中国とロシア。我々は中国が豊かになれば、中国は我々と似たような國になると思っていたが、そうはならなかった。中国は戦略的競争相手という概念を明確にした。アメリカは民主党の中も、共和党の中もバラバラだったが、中国への認識は超党派的合意になっている。

 

トランプはひどい。しかし、トランプの代わりに民主党政権が出て来ても、対外政策は変わらないという気がする。トランプは一時的現象。アメリカは変りつつあると見るべし。

 

金正恩が北京に行った。新華社の報道によると、習近平は金正恩に你(にー・きみ)と言った。金正恩は習近平に您(にん・あなた)と言った。中国の国際秩序觀は、国内の秩序觀の投影である。中国は自国の文化を投影して秩序を作る。中国は力が付けば周辺諸国を従えようとする。朝鮮半島に対して赤裸々な形で出てくる。韓国に対する中国の対応。サード導入の時中国政府がロッテの土地を収用。ロッテの店を全て営業停止にした。現代自動車も売り上げ半減。済州島観光も九〇%減った。産業政策から韓国の電池を使っている自動車を外してしまう。経済を地政学的目的のために使う。ドイツの自動車メーカー・ダイムラー傘下のメルセデス・ベンツが、チベット仏教最高指導者ダライ・ラマの言葉を引用してインスタグラムに掲載したことが中国共産党の反発を買い、メルセデス・ベンツは中国で公の場での謝罪文を読みあげさせられた。中国は相手を屈辱的な姿にしないと気が済まない。

 

地政学とは軍事による力の政治。ギリシア国王が言った言葉に『強国は自分が欲しいものを手に入れる。小国は自分が蒙らなければいけないものを蒙る』がある。今まさにそういう状況。今、中国がやっていることは凄まじい。ドローンにしてもどんどん先に行っている。個人の信用度を国家が管理している。十三億のデータを持っている。市場の見えざる手より、計画経済の手がある。これはうまくいかないと思う。『上に政策があればしたに対策がある』という言葉がある。皇帝は何時も正しくなければいけない。しかし国民は不満を持っている。永久に不変的な政治体制は存在しないというのが歴史の常。

 

社会主義は未来の何処かにユートピアがあとする。古典的保守は過去に理想を求める。多元的なものを持っているのがリベラリズム。トランプが二期目になるとアブノーマルがノーマルになってしまうという危険がある。

 

メディアは全体の利益を書かないといけない。国民という概念は大事。愛国心は重要。それがないと自分のアイデンティティも守れない。中国が重視しているのは孔子学院。ここに来た人をエージェントにする。中国は宣伝を一つの戦術として過大視する。プロパガンダをやっている。ソフトパワーではなくシャープパワーとなり激流になっている」。

| | トラックバック (0)

2018年7月20日 (金)

馬田啓一杏林大学名誉教授による「揺らぐアジア太平洋の経済統合の行方と日本の対応」と題する講演の内容

三月十日に開催された「アジア問題懇話会」における馬田啓一杏林大学名誉教授による「揺らぐアジア太平洋の経済統合の行方と日本の対応」と題する講演の内容は次の通り。

「これからアジア太平洋は経済秩序の大きな節目を迎える。『アメリカ第一』を掲げ、エゴ剥き出しのアメリカの保護主義的な通商政策が、各国の大きな不安と警戒を生む。トランプ政権は『力づくの通商政策』を進めるつもりだ。相手の弱みに付け込み、何でも取引材料にして、強引にアメリカの言いなりにさせる手荒な交渉術を取ろうとしている。その背景には、『アメリカの生産と雇用を守るため二國間の貿易赤字削減が必要だ』とするトランプ政権の誤った認識がある。

トランプは予想できない所がある。流れに任せていいのか。日本が先頭に立って、トランプ政権の暴走を抑えるのか。その延長線上に、対中国戦略がある。中国はアメリカに代って新しい覇権を得ようとしている。その中国に好きなようにさせていいのか。中国の動きにどうやって歯止めをかけるのか。

 

インドを上手にまき込んで『一帯一路』を牽制する動きがある。TPPに中国が入る時に中国を変わらせる。普通の資本主義国にする。今の中国は国家資本主義。中国の周辺国が全てTPPに入ると、中国にとって脅威。日本は中国を変らせるためにこうした状況を作らねばならない。TPPを墓場に埋めるわけにいかない。

 

アメリカの力づくの経済政策の対象は、日本、中国、メキシコ。トランプ政権はアメリカの孤立など平チャラ。日本がどうやってうまくアメリカを相手に言を進めて行くのかが問題。中国を変える長期戦が始まっている。

TPPはアジア太平洋におけるアメリカの影響力を強めるもっとも重要な手段の一つであるはずだ。中国がアジア太平洋の覇権を狙い、アメリカに取って代わろうと動いている時、アメリカのTPP離脱は中国の思う壷。トランプは、いまアジア太平洋で起きているアメリカにとって『不都合な現実』を直視すべきだ。

トランプ旋風は、TPPやNAFTAを悪者にして、グローバル化と自由貿易に懐疑的なプアホワイト(アメリカ南部の貧しい白人をさした言葉)の支持を集めた。アメリカの孤立を厭わず。目先の経済的利益と雇用を優先し、支持者にアピールするトランプ政権の内向き姿勢は、米議会の中間選挙を控え強まりそうだ。

トランプ政権は、TPPの代わりに、アメリカをハブ(中心)とする二国間FTA網の構築を目指す。だがそれはメガFTA時代の潮流に逆行、周回遅れの発想。アジア太平洋における目がFTAの実現を目指す日本にとっては、アメリカの二国間主義、日米FTAは有難迷惑。

アメリカのTPP復帰に向けて、裏ワザと言える妙案を打ち出せるかが成否のカギ。衣替えと厚化粧(整形手術は回避)をした新装TPPの成立に期待。アメリカと日本が喧嘩をしても、中国が喜ぶだけ。アメリカに『TPPに戻っておいでよ』と言うべし」。

| | トラックバック (0)

2018年6月30日 (土)

『笹川平和財団主催 フォーラム・中国の対外戦略―「新時代」の意味するもの』における登壇者の発言

三月六日に開催された『笹川平和財団主催 フォーラム・中国の対外戦略―「新時代」の意味するもの』における登壇者の発言は次の通り。

 

ボニー・グレイザー女史(CSIS「チャイナ・パワー・プロジェクト」ディレクター)「任期規定が無くなるのは、深遠な意味を中国にもたらす。外交にプラスとマイナスあり。悪い政策決定が多くなる可能性が高くなる。批判的なコメント情報が習近平に上がることが少なくなる。より強権的になる。南シナ海・台湾へますます強権的な主張をするようになる。主権に対する挑戦は受けつけない。明るい面は、人民解放軍への権限は堅く固めたこと。アメリカと中国の艦艇が直面するのを避ける。航空機の直面も避ける。密輸の取り締まりが強化できる。中国の権威主義は海外から支持されない。習近平に異議を申し立てる人は少なくなる。日中間の危機管理メカニズムの合意が達成できるであろう。中国の国防費は八・一%の伸び。昨年は七%の伸びだった。長年にわたって同じ比率で伸びて来ている。かなり大きな経済の中の八%の伸びということに留意すべし。習近平は人民解放軍の支持を受け続けねばならない。中国が軍事拠点を作るのは国家の安全のためだけではない。国防費の透明性は高くはない。二百万人の兵はプロフェッショナルなのか。三十万人くらいは減らす。内陸部と沿岸部の貧富の差は膨大。『毛沢東は中国が立ち上がるのを助けた。鄧小平は中国が豊かになるのを助けた。習近平は中国が強くなるのを助けた』と言われ、江沢民と胡錦濤は忘れられた。中国共産党の脆弱性に対処するために権力を集中せねばならない。不安定さの脅威が拡大しているのかもしれない。港の運営を取るのは長期戦略的野心。同じ考え方を持っている国が団結することが大切。中国は市場経済国ではない。劇的に中国が変ることはない」。

 

 

高原明生東京教授「中国がこれからどうなるかを考えるうえでも経済が危険。経済は国務院の仕事。経済が失速しないように改革をどう進めて行くのかがポイント。改革という言葉が意味している内容は我々と中国指導部とは違う。どうすれば国有企業が強くなるのかが最大の主眼。国有企業を強くするために民間資本を入れる。政府と企業との新しい関係がどういうことか明らかではない。共産党の領導とは指揮命令の事。党の領導を社会のあらゆる面で強化していく。民営企業に対して共産党が干渉する。国有企業の党組織の役割を強化する。党の領導強化と近代化は矛盾する。習近平の統治は、党がグリップ(把握する事)を固く握ること。権力集中によって決断し実行する。しかし一人の人間が沢山のことを二十四時間考えることはできない。全ての事に目を配ることはできない。習近平に迅速に正しい決定ができるのか。習金平への権力強化の背景には今の体制がひっくり返されるという強迫観念がある。近代化・欧米化が進めば自分たちの権力が崩されるのではないかと思っている。自信を強調するのは自信があまり無いことを示す。このまま流されたら党の支配が弱まる。だからグリップを強める。二〇〇八年のリーマンショックでは大規模な内需拡大で危機から脱した。しかし、今は投資主導に頼れる時代ではなくなって、多くの新幹線高速鉄道は儲かっていない。経済能力を外に向ける。それが一帯一路。TPPはアメリカ中心。中国は入りたいが入る条件をクリアすることは難しいので西に向かってインフラ建設の連鎖を作るというのが一帯一路構想。そういう戦略的プロジェクトという実態が見えてきて世界的に一帯一路への懐疑の思いが出て来た。経済的にペイしないケースも多い。中国は儲かるプロジェクト形成能力はまだこれから。歳入の伸び率が下がっている。それなのに国防費・社会保障費は増やさねばならない。中国からお金を借りた多くの途上国は利息が高いのでもう借りない。習近平は親しみをおぼえてもらうキャラクターになりたいと思っていたが、今や愛されるより恐れられたい、畏敬される存在になりたいという路線になった」。

 

松川るい参議院議員「去年の十月の党大会で、韜光養晦(とうこうようかい)を捨てた。アメリカに取って代わる中国型の発展モデルに自信を持った。共産党大会で後継者を作らなかった。憲法改正して王岐山を入れて来る。習近平体制は最低十年間続くことを明確にした。二〇三〇年にアメリカのGDPを抜くと言われ、二〇三一年に世界一流の軍隊になると言われる。警戒を強めねばならない。中国の歴史を見ても、強力なリーダーシップがないとまとまらない。集団指導体制で行くとバラバラになると感じたのではないか。韜光養晦を鄧小平時代からずっとやって来たが、習近平になって衣の下の鎧を出した。パックスアメリカーナの次の段階へ行くステップは自分が主導すると習近平は思っている」。

| | トラックバック (0)

2018年6月26日 (火)

台湾独立建国聯盟主催「台湾二・二八時局講演会」における登壇者の発言

三月四日に開催された台湾独立建国聯盟主催「台湾二・二八時局講演会」における登壇者の発言は次の通り。

 

王明理日本本部委員長「二・ニ八事件は戦争犯罪に問えるという主張がある。全容は全く明らかになっていない。一カ月に三万人が殺された。戰爭でもないのに銃殺された。想像を絶する悲惨さ。日本の教育を受けた教養と正義感のある人が三万人殺された。その人達が生きていたら台湾の歴史は変っていた。アジアの歴史も変っていた。蔡英文氏にしてみれば背中にピストルを突きつけられている状況。難しい舵取りをされている」。

 

金美齢氏「七十一年前、私は中学二年生。総統府斜め前にある台北第一高女。『二・二八処理委員会で話し合いをしましょう』と言われて騙された。日本人も台湾人も人が良い。六か国協議をしている間に北朝鮮は核兵器を作った。台湾人は自分の目で確かめているから中国人を絶対信用しない。周英明(注・金美齢氏の夫君)は、高雄駅前に見せしめのために死体が放り出されているのを目撃した。その中の一人は両手を後ろ手に縛られていた。その人の名前が書かれていた。周英明が古本屋で買った物理の参考書の最後のページにその人の名前があった。周英明が買った物理の参考書は殺された人の本だったのだ。『この先輩はどれほど勉強したかっただろう』と周英明は思った。二・二八事件でどれほど有為の台湾人が殺されただろうか。『二・ニ八事件記念日』は『台湾独立記念日』になると私は断言する」。

 

沈清楷台湾輔仁大学哲学系副教授・台湾独立建国聯盟台湾本部副主席・民視常務顧問「台湾は厳しい脅威にさらされている。危機の源は中華民国体制にある。国共内戦はまだ続いている。中華人民共和国は『一つの中国』を主張している。蔡英文総統は『現状維持』を語っている。『現状維持』には三つの捉え方がある。①最終的に中国に統一される状態にもっていく。②中国に属さない、事実上の主権独立。③『現状維持』しつつ独立に向かうように国際社会の承認を積極的に得る。『台湾は中華民国、中華民国は台湾』というのはおかしい。『中華民国憲法』及びそれに付属する法律の枠組みに縛られている。中国は新しい台湾政策を打ち出した。中国における台湾人の就労について三十一項目から成る優遇措置を決めた。台湾人の中国に対する警戒感を解くために懐柔策を打ち出している。台湾の中小企業、所得の低い層を取り込もうとしている。ベンチャー企業立ち上げの拠点を二十一も作った。中国企業と同等の待遇を与える。台湾の幅広い青年を狙っている。青年達を大陸に呼び、儲けさせ、投機心を煽る。美味しい餌を与える。台湾人の個人情報が中国に把握される。国家の安全に関わる問題。中国は軍事力を示して台湾人に中国と戦っても負けると思わせる。中国の攻勢にどう対処するか。対米関係は良好。トランプ・蔡英文の電話会談があった。アメリカのあらゆる官僚が台湾を訪問できるようになった。台湾政府のトップもアメリカに入り話し合うことができる。台湾国防部の幹部が訪米してアメリカ国防省幹部と堂々と安保について議論できる。現在の蔡英文政権は一生懸命改革している。中華民国の制度の中で票を入れても憲法・国旗・国歌を変えることはできない。『中華民国憲法』を変える。中華民国体制の外で何かできないか。直接民主主義の典型である国民投票は国民の意志を反映することができる。国民投票を行いたい。次のステップは国連に入ること。我々は台湾の未来を希望のある未来に変えたい。中国の脅威と国際情勢の変化に直面する中、台湾本土派が執政党となり、立法院で過半数を占めた今、我々に出来ることは何かと自分自身に問いかけねばならない。自分が何者であるかを主張し、自分が何者であるかを人に認めてもらうようにしなければならない。自分のことを自分で決めてこそ、はじめて人が我々の存在を認めることになる」。

 

林紋輝氏「二・ニ八事件は現在進行形。真相究明は蔡英文政権の使命。官僚は国民党の人が殆ど。民進党政権は国民党のしがらみを取り除くのが精一杯。中国に脅えず台独を掲げる政党が必要」。

 

李旻臻氏「世界の人々に民主主義陣営の要塞の役割を果たすのが台湾独立運動」。

 

林建良日本本部中央委員「台独運動は台湾人にとって生きるか死ぬかの運動。二十年前まで台独を口にするだけで牢屋に入れられた。今は九割の台湾人が独立したいと言っている。台湾人が独立をあきらめたら善が悪に負けることになる。中国はマフィア。善が悪に負けてたまるか。それはモラルの問題。日台軍事協力のために、日本は『台湾関係法』を作ってもらいたい。法的根拠が無いと日台は軍事協力ができない」。

| | トラックバック (0)

2018年6月13日 (水)

『笹川平和財団主催 インド洋地域の安全保障国際会議』における登壇者の発言

 

二月二十三日に開催された『笹川平和財団主催 インド洋地域の安全保障国際会議』における登壇者の発言は次の通り。

 

カンワル・シバル氏(元駐フランス・インド大使 ヴィヴェカナンダ国際財団参与)「アジア太平洋からインド太平洋という概念に移行して良かった。広い国々に影響を及ぼし、関心が持たれている。西太平洋とインド洋に共有された脅威について戦略的パートナーシップが安倍首相によって強化された。国際的規範を持つ国は中国の野心に対処すべし。中国はインド太平洋を支配してアメリカに取って代わりたい。中国はインド洋で十六の基地建設を望んでいる。安倍首相の積極的平和主義の提唱に感謝する。日米印豪の四か国が協力する状況は熟している。中国は他国の利益を考えていない。中国は民主主義を否定している。一帯一路の構想も野心的。中国は国際安保を複雑にしている」。

 

マイケル・マクデヴィット氏(元米海軍大将 CAN上席研究員)「インド洋における中国の能力は、小さな種が大きな木になる。中国海軍の能力が今後どうなるか。人民解放軍の演習は自分の力を誇示する。中国はどうしてインド洋に艦船を派遣するのか。共産党から海軍に命令された。中国海軍の役目は本土とシーレーンを守ること。中央軍事委員会の命令。一帯一路が国家のプライオリティ。中国海軍が期待されている。地球の裏側まで行き長期的に活動できる能力が必要。そういう部隊を作ろうとしている。運用可能な中国の空母三隻が就役。二〇二一年、イージス艦・駆逐艦を二十一隻持つ予定。九十七から百隻の艦船がインド洋で活動している。米中関係が悪化すればより多くの艦船をインド洋に派遣して中国の権益を守る。アメリカは中国と比較して圧倒的に優位。アメリカが核で中国に不利ということは全くない。中国海軍の新たな駆逐艦は防空能力を持っている。高速巡航船・水陸両用艦は、五六千人の海兵隊を世界の何処へでも派遣できる。中国海軍は何処まで建艦建造をするのか分からない。

 

デイヴィット・ブリュースター氏(オーストラリア国立大学上席研究員)「中国の国民が百万人アメリカにいる。パキスタンにも中国籍の人が増えている。パキスタンに五十万人の中国人労働者の宿泊施設を作っている。危機の時に中国海軍が中国人労働者の退避を可能にしなければならない。中国海軍は示威運動をしている。モルディブ沖で海軍演習を行った。中国は太平洋を第一戦線、インド洋を第二戦線にしている。潜水艦の支援施設をインド洋に作る。そのためにパートナーたるパキスタンに依存せざるを得ない。中国は海上交通路を守らねばならない。そのために広いネットワークが必要。大きな海上プレゼンスが必要。これにはかなり時間がかかる。モルディブはインドの責任領域であり、行動をとるべし。しかしどういう行動をすべきかが問題」。

 

下平拓哉氏(防衛省防衛研究所主任研究官)「中国の海軍力は、民兵、海警で成り立ちその戦力を使う。安倍首相は積極的平和主義を提唱。海上の連結性を活性化する必要あり。インド・オーストラリア・日本は、三つの地域で責任を持つ。日本は東シナ海と南シナ海で責任を持つ。インドはアンダマン海と南シナ海で責任を持つ。南シナ海が一番重要。技術開発・訓練の協力が大切。潜水艦の需要が高まっている。インド太平洋にてお互いに関係を深めるべし。台湾は重要なのに議論にならない。米海軍大学も台湾とフィリッピンが重要であるとして研究されている」。

 

ビジェイ・サクージャ氏(グジャラート国立法科大学・南洋理工大学)「非伝統的脅威は沿岸で発生する。非国家主体がやりたいことをやる。民主主義を信じる国々が手を携えて対中包囲網を作り、中国を説得すべし」。

 

ローリー・メドカルフ氏(オーストラリア国立大学教授)「アジア太平洋とインド洋は、安保面でも経済面でも切り離すことはできない。中国の影響には多極的・戦略的に対処すべし。日米豪印の安保対話が大切。自由で開かれたインド太平洋にすべし。中國排除ではないが、インド洋における中国の力が他国に損害を与えないことが重要。トランプ政権の方向性が重要」。

 

デニス・ブレア氏(元米海軍大将 笹川平和財団米国(SPF-USA)会長)「中国は全体主義。野心がある。日米印豪四国は民主的で公平なルールに基づいた活動を行う。アジア全域でルールに基づいた秩序を守る。小さな国を支えることが必要。防衛協力で中国の威迫に対処すべし」。

|

2018年5月29日 (火)

矢坂明夫産経新聞外信部次長による「中国習近平『皇帝』の野望にどう対応するか―台湾問題を含めて」と題する講演内容

二月十日に開催された『アジア問題懇話会』における矢坂明夫産経新聞外信部次長による「中国習近平『皇帝』の野望にどう対応するか台湾問題を含めて」と題する講演内容は次の通り。

 

「私は一九七二年天津生まれの残留孤児二世。父は昭和二十年に二歳であった。私が生まれる一週間前に田中訪中。日中関係正常化。文革の真っ最中に父は日本のスパイとされ強制労働。銭湯で垢すりを担当。収入は三分の一になった。父親は日中国交正常化で『日本の友人』ということになり名誉回復。家では田中角栄の悪口を言えない雰囲気があった。十五歳で帰国するまで共産党教育を受けた。

 

政治家が評価されている国家が安定している。日本の政治家は一流。私は一九九七年に慶応大学卒業。松下政経塾で学んだ。選挙の手伝いをした。しかし政治家になろうという人が勉強していない。街頭演説で新聞の見出しを読みあげる。支離滅裂。こんな人が政治家になって良いのかと思った。国会での質問も新聞を見てやっている。世の中を変えるのは新聞記者だと思った。中国社会科学院に留学。2002年産経新聞入社、2007年から十年間中国総局(北京)特派員。

 

中国メディアのニュースは政治家のため指導者のためにある。習近平が大きく見えるように写真を撮る。メディアは権力闘争に絡めて操作される。

 

二〇〇八年に胡錦濤が訪日した時同行した。唐招提寺に行った。その二日後に四川大地震が起きた。被災地に行った。十一万人が亡くなった。

 

当面一番大事な問題は、李克強と習近平の確執。習近平は共産党権力に集中させたい。李克強は規制を緩和させ内需を拡大して民間の力を活用したい。習近平にはコンプレックスがある。李克強は経済担当。経済事情が分かっている。習近平は自分の任期中に経済的にアメリカを超えたい。そのためには成長率が八%以下では駄目。

 

二十五人の政治局会議で大事なことを決める。常務委員は七人。バラバラ。何も決められない。政治局二十五人プラス長老が決める。今年の党大会の前に激しい権力闘争があった。孫政才が失脚するとは誰も思っていなかった。孫政才は無派閥だった。軍内の胡錦濤は粛清され四人失脚。

 

台湾を国際組織から排除することを画策。台湾と国交関係のある国を奪う。メディアと孔子学院を利用して宣伝戦をしている。北朝鮮と中国は核問題でそれほど対立していない。中国と北朝鮮はヤクザ的親子関係。中国が北を攻めることはない。

 

習近平がこの五年間にやったことは粛清と反日。尖閣に海上民兵が上陸するか否か。人権の尊重・民主主義の価値観を発信すべし。李克強訪日前に拘束されてゐる八人の日本人の無事帰国を最優先課題にすべし。

 

習近平はこの五年間権力固めしかしていない。しかも権力が固められない。李克強も失脚させられない。個人崇拝をやらせるのも自信の無さの表れ。今度の大会で後継者を作らなかった。安定した後継者がいることによって國が安定し経済発展がある。これから激しい権力闘争がある。粛清すればするほど敵が増える。肉親しか信じられない。王岐山は何もなければ三月に国家副主席になる。党の役職がなくとも政府に役職につける。習近平のそうなりたい。党の会議に参加できない人が国家権力を握ると一党独裁にならない。

 

朝鮮戦争で中国の『台湾解放』は出来なくなった。今の台湾の政治家が朝鮮情勢に興味がないのは残念。日本の保守派は他力本願で、アメリカが北朝鮮に武力行使をしてくれると思っているがそれはない。

 

中国の台湾への武力行使が失敗すると共産党政権が駄目になる。台湾の中の親中派に内乱を起させ、中共軍を派遣して占領する。『中華民族の復興』とは漢の武帝、清の康熙帝の時代に戻すこと。朝貢体系を作った時代の秩序に戻すことが理想。中共は沖縄独立をかなり本気で支援していた。沖縄を独立させて衛星国にしたい。沖縄の人は独立を主張しても本気ではない。

 

中国で日本人がスパイとして逮捕されても国会も政府も野党も取り上げない。産経だけが取り上げる。八人のうちの二人は李克強来日の時に釈放するという噂あり。カナダ人やアメリカ人も拘束されている。拘束された人にNGO関係者が多い。日本叩きの延長」。

| | トラックバック (0)

2018年5月19日 (土)

伊吹文明第七十四代衆議院議長による講演内容

二月七日に開催された『躍進日本!春風の会』における伊吹文明第七十四代衆議院議長による講演内容は次の通り。

「今年は明治維新百五十年。アジアの多くの国が植民地になる中で、日本は植民地になるのを免れた。それには我々の先輩方の苦労があった。富国強兵を國の目標とした。日露戦争に勝ち、第一次大戦で漁夫の利を得た。列強の仲間入りをした。当時の若者は司馬遼太郎の言った『坂の上の雲』を夢見て頑張った。その後、日本は欧米列強の真似をし過ぎた。欧米と衝突して大東亜戦争に敗れた。そこが一区切り。我々の祖父祖母の世代はアメリカに追いつき追い越せと一生懸命生きてきた。

 

京都は爆撃の被害を受けなかった。しかし日本の全てが破壊された。戦後は、高度成長のプロセスを手に入れた。今の中国とよく似た状況。インフラが殆ど無い状況から立ち上がり、どんどんお金が入って来た。そのお金を使って作ったのが高速道路・新幹線・社会保障。

 

昭和の御代が終わり平成に入って高度成長のマイナス面が蔓延。平均寿命が九十歳近くになった。親爺の年金をあてにしてフリーターをしていけば生きていける。長生きすればお金がかかる。財政は当然赤字になる。賃金が高くなる。これだけ行き届いた國はそれだけ経費がかかる。日本は労働生産性が非常低い。全体として底上げは出来たが、恩恵を受ける人の格差が出来た。

 

賃金の安いところに工場を持って行くことが出来る企業はどんどん海外に出て行っている。大企業は儲かるから日経平均は上がる。資材は海外で調達。農業や地方の伝統産業は大変。

 

日本は少し曲がり角に来ている。明治維新から七十年と敗戦から七十年で行き詰って来た。この次の七十年は何を『坂の上の雲』として生きて行くべきかを政治家は考えねばならない。日本本来のものを取りもどさねばならない。人間的なものを取りもどさないと次の七十年はうまくいかないのではないか。

 

いわゆる先進国家は自由民主体制で動いている。民主生徒は国民一人一人が物事を決める権利を持っている。主権者が真剣でないと民主制はポヒュリズム・衆愚政治になる。民主制度をどう動かせばいいかが問題。自由とは何をしてもいいというわけではない。池田潔氏は『自由と規律』という本を書き、『規律が無ければ自由はない』と言った。日本人は矜持を確立せねばならない」。

| | トラックバック (0)

2018年4月23日 (月)

福島香織氏(元産経新聞中国総局特派員)による「二〇一八年、中台関係はどうなる」と題する講演の内容

一月二十日に開催された『アジア問題懇話会』におけるフリージャーナリストの福島香織氏(元産経新聞中国総局特派員)による「二〇一八年、中台関係はどうなる」と題する講演の内容は次の通り。

 

「習近平は微笑外交に転じたのではないかという期待があった。ところが年明け早々中国の台湾圧迫が強まっている。尖閣に対しても圧力が強まっている。軍船が入った。攻撃型潜水艦が尖閣海域に近づいたのは前代未聞。東シナ海が緊張。習近平は、軍の指揮系統の一元化し、共産党の軍である、軍は党の指導に従うことを確認。

 

中華民族の偉大なる復興は清の乾隆帝の時代をイメージしている。乾隆帝の時代は版図が一番広い時代。眠れる龍の時代。中華民族の偉大なる復興の中心は軍の強化。今世紀半ばまでに世界一流の軍の建設。アメリカに対抗できる軍を作る。

 

『中国近未来の六つの戦争』という写真が中国で流されている。それには『台湾統一(二〇二〇―二五)、南シナ海奪還(二〇二五―三〇)、インド国境奪還(二〇三五―四〇)、釣魚東・琉球奪還(二〇四〇―四五)、外モンゴル(二〇四五―五〇)、ロシア国境奪還(二〇五五―六〇)』と書かれている。これが本当かどうかは別。中国は『琉球は冊封体制に入っていたので沖縄はオレのもの』と主張。

 

五大戦区はそれぞれ戦略目標を持っている。アメリカのシンクタンク(共和党系)は二〇二〇年までに台湾に侵攻するとしている。『サウスチャイナモーニングポスト』にもその説が載った。中国が二〇二〇年に設定する理由は、台湾独立パワーの高まり、国民党政権が返り咲いても『中台統一』への指導力はないなど。武力統一論を去年暮から出すようになった。

 

解放軍内部がざわついている。今年も四回退役軍人のデモがあった。習近平が妥協してデモに妥協したのは初めて。軍の掌握が上手くいっていない。これを是正するために外部の敵対勢力と戦って国内を統一する。台湾を取りもどすと習近平の歴史的偉業になる。台湾・日本との緊張が丁度いい。

 

台湾の情勢は二〇一四年以降劇的に変わった。台湾人の中国人アイデンティティは非常に低下している。九割は台湾人と思っている。アメリカは台湾を全面的に庇護する姿勢を強める。台湾のNGO職員が政府転覆罪で逮捕され、懲役五年の判決。外国のNGOも中共の管理下に置かれる。

 

中国には一億人以上のカソリック教徒がいる。この人たちを見捨てるわけにいかない。ローマ法王は中国を訪問したいという意識がある。中国はカリブ海周辺の台湾と国交のある国に影響力を強めている。パナマの次にドミニカに接触してインフラ支援をしている。外資企業への踏み獲を行っている。台湾を國扱いする企業は中国で商売できない。

 

中国は、北朝鮮問題に国際社会の視線を集中させつつ台湾併合へと動いている。二〇一八年は日本にとっても危機的な年になる可能性あり。中国の太平洋進出の野望を阻み、東シナ海を守るためには台湾は大事。台湾問題は日本の安全にかかわる。

 

尖閣海域に中国の原潜がうっかり入ったなどということはあり得ない。刺激の度合いを強めて来ている。日本のメディアはあまり報道しない。二〇二二年は沖縄施政権回復後半世紀。中国は節目を大事にする。五十年経つと日本のものになる。だから尖閣は係争地であると国際社会に認めさせるために緊張を高める。

 

領土は力づくで奪うというのが国際社会のルール。アメリカが安保条約第五条を発動する保証はない。係争地帯だからお互いで解決してくれということになる。二〇二二年は半世紀の節目。習近平政権にとって尖閣奪取、台湾奪取が選択肢。それが出来るかどうか。可能性はある。成功するかどうかも分からない。むしろこれをきっかけとして習近平共産党政権が揺らぐかもしれない。

 

世界が真空状態になりつつある。その真空を狙って中国は色々なことをする。それが国際社会にとってリスク。台湾・北朝鮮・尖閣がきっかけとなって国際社会が劇的に変わる可能性あり。中国の原潜が尖閣海域に入ったのは重大事件。日本は対中脅威感が一番強い。もう少し劇的対立が鮮明にならないと決定的米中対立にならない」。

| | トラックバック (0)

2018年4月20日 (金)

笹川平和財団主催「1/16 知的対話:日印パートナーシップの深化が生み出す可能性と役割」における登壇者の発言

一月十六日に開催された笹川平和財団主催「1/16 知的対話:日印パートナーシップの深化が生み出す可能性と役割」における登壇者の発言は次の通り。

 

ハリンダ―・コーリー氏(センテニアルグループインターナショナル会長)「全ての地域で高齢化社会を迎える。日本だけでなく中国も高齢化社會を迎える。世界の労働人口はピークを迎えている。都市化が進む。最も都市化している地域が北アフリカ。金融市場のグローバル化はリスクを伴う。中間層の台頭は大きなトレンドとなる。インドは大きな中間層を抱えることになる。天然資源に関する競争が激化する。気候変動は加速する。幸いなことに技術革新が進んでいる。非国家主体の暴力が高まっている。IМFの報告によると世界の成長の六五%はアジア。中國・日本・インドが世界の成長の五〇%を押さえている。二〇五〇年にはGDPの五六%はアジアが占める。世界の中心はアジアに戻る。インドは世界七番目の経済大国。インドはフランス・イギリスを追い越すであろう。五番目になる。ドイツをしのいで四番目になる。米中日印になる。二〇五〇年にはインドは二番目の経済大国になる。日本は豊かな国であり続ける。しかし日本は、人口は少なくなる。日本とインドは同じ価値観でお互いの礎になり得る。アメリカは不確実性の中で今の大統領は任期満了まで行かないかもしれない」。

 

モンテック・アフルワリア氏(元インド中央計画委員会の副委員長)「日本は前もって計画をする國。長い先を見据えたうえで日印は協力せねばならない。経済発展と地政学的発展の二つがある。インドと日本は歴史的な紛争がない。共通するところが多い。歴史的に二つの國は紛争の重荷は無い。日印はこれまで数年間『特別な戦略的パートナーシップ』という言葉がよく言われている。しかし経済では協力関係は低いレベルにとどまっている。日本は強くインドを支援して下さった。有難い支援を長年いただいている。インドの経済は閉鎖されていた。一九九一年からインドでは経済変革を行った。民主的インドという状況の中で経済変革が行われた。IМFの予測では中国は成長が鈍化する。インドは伸びる。インドの成長が早まっている。インドは外貨準備高が早まっている。インドの輸出は少ない。インドはアジアとの統合は低い。インドと日本は交流すべし。投資をすべし。ソ連崩壊以前は二極化された世界だった。ソ連崩壊後は単極化した。フランシス・フクヤマは『歴史の終焉』と言ったが、それは現実にならなかった。小規模紛争が増えた。一九九〇年代初めから自由主義的秩序が世界に広がると言われたが圧力がかかった。リベラルな秩序が繁栄の基盤になるはずだったがうまくいかなかった。EU統合によってヨーロッパが極になると言われていたが全く実現しなかった。EUの統合は損なわれた。中国の成功は良いこと。しかしその結果バランスが維持されなくなった。中国という一つの力が台頭するとアメリカの支配力が後退する。台頭する国が秩序を維持してくれなければならない。その意味でインドと日本が協力する。日印は共有する所が沢山ある。航行の自由、安全保障の面での協力が増えている。アジア・アフリカコリドールを具体化すべし。経済地政学では日印は協力しなければならない。WTO(注・ガットの多角的交渉として1994年に終結したウルグアイ・ラウンドで合意され、各国の批准を経て951月に発足した、貿易に関する国際機関)を日印で活性化させるべし。アメリカがアジアから引き下がるのはアメリカのためにも良くない。一帯一路はパキスタン・カシミールを通る回路があるからインド政府は反対。インフラを作ってくれるのは有難い。しかしは債務を押し付けてはならない」。

 

ラジャット・ナグ氏(元アジア開発銀行事務総局長)「ポジティブは構造的要素があるので日印は協力せねばならない。自由民主主義と不可分の法の支配を共有している。歴史的負担・マイナスの重荷が無い。インドはあらゆる面で投資が必要。日本は技術がある。資本が余っている。しかし人口は減っている。故に日印は協力しなければならない。日印は、戦争中は仲良かった。戦後は、インドはソ連寄り。日本はアメリカ寄りだった。今は、印日はパートナーにならねばならない。中国の台頭により多極化世界になった。オープンな地域主義は必要。安全保障は貿易を守るために必要。日米印豪のパートナーシップを目指す。アジアには世界の三分の二の貧困層がいる。格差が拡大している。アジアを要塞化してはいけない。対抗ではなく貿易路を担保するために経済だけでなく安保面でも協力すべし。アメリカはアジアにいることが自国の利益になる」。

| | トラックバック (0)

より以前の記事一覧