2017年3月28日 (火)

『アジア問題懇話会』における国際政治学者・藤井厳喜氏による「トランプ米新政権で世界はどう変わるか」と題する講演内容

〇一月十四日に開催された『アジア問題懇話会』における国際政治学者・藤井厳喜氏による「トランプ米新政権で世界はどう変わるか」と題する講演内容は次の通り。

 

「十二月二日にトランプと蔡英文が電話会談。トランプ外交の性格を非常によくあらわしている。IS潰しが第一の課題。トランプは昨年四月二十七日のメイフラーホテルにおける外交政策に関する演説で、①地上軍を派遣してもIS潰しをやる。②チャイナを外交的経済的にアメリカに取って代わろうとしている一番危険な国家、と語った。二〇一七年にISの地域支配は終らせる。ロシアと手を組んでやる。ロシアとは外交的に戦略的妥協を図る。親露反中。

 

オバマ・クリントン外交で中東の安定政権が少なくなった。安定しているのはイラン・イスラエルのみ。西側のデモクラシーの基準で見れば、エジプトもリビアも独裁。それを潰した。イスラム過激派が出てきた。オバマはバカなことをした。そのためアジアへのりバランスが出来なかったので、チャイナが出てきた。

 

ISの領域支配はなくなる。脅威が減る。トランプ・蔡英文の電話会談は素晴らしい。事実上の独立国家として台湾を維持する。武力侵略を許さないということをシンボリックに表したのが電話会談。ディック・チェイニー副大統領の国家安全保障問題担当副補佐官を務めた人物であるスティーブン・イェーツが相当前から根回ししていた。イェーツは中国語がペラペラ。昔から台湾派。二〇一五年の総統選直前に蔡英文に会っている。若い。四十四歳。人脈を築いている。

 

トランプにとって共和党のエスタブリッシュメントは敵であった。共和党全国委員長のラインス・プリーバスは組織をトランプ支持でまとめるために努力。誠実な人。大統領首席補佐官に就任した。政策・選挙をコーディネイトする。スティーブン・イェーツとラインス・プリーバスとは仲が良い。

 

ワンチャイナポリシーは嘘。アメリカが台湾は中国の領土であると認めたということはない。日本もワンチャイナと中華人民共和国が言っていることは承知したと言っただけ。東シナ海と南シナ海の結節点にあるのが台湾。地政学上非常に重要。台湾にミサイル基地が出来たら何処へでも飛んでいく。中国が台湾を手に入れたらもアジアが中国に靡くドミノ現象が起こる。アメリカは台湾を守るという意志を鮮明にしている。『ピープルオヴタイワン』という言葉を台湾関係法では使っている。ピープルは国民。意志を持つ集団。『アメリカが台湾を守りきれなかったら我々も守ってくれない』とアジア諸国は考える。南シナ海が中国の領海になったら、ベトナムは何処にも出ることはできない。ラオス・カンボジアは親中であるが故にベトナムは孤立する。台湾を守りきれないと、アメリカはアジアでの影響力はゼロになる。

 

プーチンには東ローマ帝国の末裔という意識がある。日本の防衛費はGDPの二%にすべし。イタリアのEU離脱があるかもしれない。南西諸島防衛のため自衛隊の海軍と空軍を増強中。TPPはもう駄目。あきらめた方がいい。トランプは多国間や国際機関が嫌い。二国間でやるべしと考えている。日本が中心となって環太平洋をまとめるべし。

 

ヒラリーが大統領になっていたら、中東で米露が戦争になっていたかもしれない。CIAは政治家に影響されやすい機関。CIAとFBIは政治的に分裂している。日本の核武装はアメリカのOKを取ることが前提。現行憲法は無視すれば反古になる」。

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2017年3月20日 (月)

野嶋剛氏(ジャーナリスト、元朝日新聞台北支局長)による「台湾とは何か―日本に求められる台湾への新思考」と題する講演内容

昨年十一月二十六日に開催された『アジア問題懇話会』における野嶋剛氏(ジャーナリスト、元朝日新聞台北支局長)が「台湾とは何か―日本に求められる台湾への新思考」と題する講演内容は次の通り。

 

「自由は良い。しかし自由は代価を伴う。『朝日新聞』という重しが取れたのは、言論に関わる人間として気分が良い。フリーな活動を始めるにあたって、本年五月に台湾新政権発足と同時に、『台湾とは何か』という本を出した。これまでの日本人の台湾観を批判的にとらえ直した本。

 

『蔡英文の台湾』の誕生は節目であると感じる。民主化してからもう三十年。平和的革命、段階的に民主化が進んだのは世界的に稀有なこと。安倍政権が長期化。最も親台湾政権。日中対立は、日台接近が関わっている。

 

二〇一六年の選挙の意味で大切なのは、台湾のアイデンティティの結論が出たこと。独立か統一かの結論が出た。中台対立は兄弟喧嘩と評する人が多かった。しかし今の台湾問題をこういう立場で語る人は台湾のことをよく理解していない。中台関係は男女関係。中国は男。台湾は女。性格も理想も違うので結婚は無理と思っている。今度の選挙は心の中で独立の覚悟を決めた選挙。

 

中台関係は変化が起きている。アメリカからの支持が台湾総統選挙では重要な要素。『台湾は台湾であり中国ではない、自分たちは台湾人であり中国人ではない』と思うようになった。台湾人に『あなたは中国人ですね』と言うと侮辱になる。二〇〇〇年以降そうなった。自分たちは中國人だと思っている外省人第一世代は五%。次第に減る。

 

日本は台湾を二回捨てている。一九四五年の台湾放棄。一九七二年の日台断交。交流協会の二〇一五年の調査では、『日本が一番好き』と答えた人が五六%。六十代の親日の度より、二十代の親日度の方がはるかに高い。観光・文化交流によって日本が好きと言う人が若者に多い。台南の地震の時に日本からものすごい支援があった。東日本大震災の時は日本からものすごい支援があった。

 

『日華関係』と『日台関係』の二つがある。『日華関係』とは『日中関係』のコインの裏側。日台関係は民間の人的交流。『以徳報怨』=蒋介石への恩義論は台湾人には実感なし。台湾は常に外来政権に支配されてきた。日本人は台湾への関心が強い。『台湾の民主化』がキーワードとして成り立たなくなった時に、地震で善意の連鎖が起きた。キーワードが変わってきた。日本は安定的な台湾政策を持つべし。

 

右寄りの論壇人やメティアは蒋介石を支持していた。民主化が始まると台独にシフト。李登輝が国民党から離れたのと同じように、日本の右も国民党から離れた。民進党はリベラルな政党。蔡英文は反原発。マイノリティ。これを日本の右が支援。民進党が反中国だから支持している。日本の左=朝日新聞・岩波書店、以前のNHKは、蒋介石時代には台湾を徹底的に批判していた。朝日には二〇〇年まで蒋介石の記事は全くと言っていいほど出てこない。それと反対に毛沢東を大きく取り上げた。軌道修正をしていても台湾に対して明確なビジョンを示すことはできない。思考停止になっている。二〇〇年以降朝日は頑張った。最近の朝日は産経よりきちっと書いている。

 

台湾の民進党はリベラル政党だが、日本の左派は台独に対する心理的嫌悪感がある。中國からの批判を恐れている。右の人は、『台湾頑張れ』という主観を持っている。左の人はそれがない。少数者が生存を求めて権利を勝ち取っていくのがリベラルなのに、中国の枠を課せられて台湾を支持出来ずにいる。台湾応援団は右に取られている。左は後れを取っている。

 

中台関係は大事だが、日本人がどう思うかとは本質的に関係ない。中国の言論統制は嫌いだが、中国そのものは否定できない。台湾が好きな人に中国を悪く言う人が多い。日本もアメリカも二者択一からスタートしている。客観的に台湾社会の変化を正視すべし。何故、台湾は尖閣流有権を主張しているのか。蒋介石は琉球独立を支持した。健全で普通の隣人になるにはどうしたらいいのかの一点に尽きる。

 

台湾人のアメリカへの好感度は低い。アメリカとの距離は日本ほど近くはない。台湾は戦勝国なので、アメリカの支配に入って来なかった。台湾でエリートになるには、アメリカに留学しなければならない。庶民レベルではアメリカ体験は共有されていない。アメリカは台湾に旧世代の戦闘機を最新型と同じ値段で売りつける。アメリカの横暴が見える。弱者の身も蓋も無い現実を台湾人は見ている。

 

沖縄県民の台湾への意識は分かりづらい。少なくとも沖縄の左派は親中的。台湾は冷淡。八〇年以前の日本の如し。琉球独立団体は中国と仲良くしたい。太田元県知事は中国によく招待される。マイノリティなのに同じマイノリティに冷淡。戦後、台湾人が数多く沖縄に移住している。台湾の人々、民進党は『沖縄基地を削減すべはではない』と言い沖縄の反基地闘争を批判する。習近平がいくら圧力をかけても、台湾人に中国との統一意識が甦ることはない。馬英九時代に台湾化が圧倒的に進んだ。

 

台湾は国家としての枠組みを持っている。台湾は政府、人民・軍・法制度を持ち、選挙をしている。国際承認だけが欠けている。香港とは明らかに異なる。香港は制度上、中国に入っている。香港は司法も中国にコントロールされている。民意を無視している。香港の人は希望を寄せる出口が無い。危ういところに追い込まれている。中学生高校生は独立思想に染まっている。香港は香港という流れが加速している。このままで行くとえらいことになる。『今日の香港明日の台湾』と言われている。

 

香港情勢は台湾に大きな影響を及ぼしている。香港と台湾は連動しながら中国に対抗している。中国は主権が及んでいない台湾に対して『鳴かぬなら殺してしまえホトトギス』というアプローチはできない。主権が及んでいるチベット、ウィグルに対しては殺してしまう。香港も独立を主張すると、国家統一の反するということで思想犯になる。『殺してしまえ』というアプローチでやって来る。台湾にはそれは出来ない。

 

台湾は南向政策を打ち出している。ASEANとの関係強化を図っている。台湾も南洋文化の一部である。台湾は中華よりもアジアとつながっている。アジアとの一体化を強調。しかし現実にはASEANは台湾を受け入れる状態ではない。カンボジア、ラオス、タイは中国が何を言っても『ハイ』と言う。マレイシア・シンガポールは自由陣営。フィリッピンは新大統領になって中国に傾いている。台湾人自身が国名についてコンセンサスを持つべし。台湾自身が『中華民国』を『台湾』にしていない。大使館名も『台湾代表処』にすればいい」。

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2017年3月16日 (木)

『第七五回日本の司法を正す会ー田中角栄とロッキード事件の真相を考える』における石井一元自治大臣の講演内容

〇昨年十一月十四日午後二時より、永田町の村上正邦氏事務所にて開催された『第七五回日本の司法を正す会ー田中角栄とロッキード事件の真相を考える』における石井一元自治大臣の講演内容は次の通り。

「村上さんとはバッチをつけていない時代からの付き合い。早川崇氏の所でよく逢った。五十年前のこと。村上氏は心が通い合う政治家である。

 

田中氏に関する本は二百冊出ているが、受け売りが多い。石原氏は作家なので文章はうまい。しかし新しいことはない。田中は二十年裁判の虜になった。無実のために命を懸けて戦った。私は完全に冤罪と思っている。この事件はアメリカが震源。

 

田中は繊維交渉で高い評価を受けた。総理になるとアメリカ追従ではなく自主独立外交を展開。総理就任二か月後に日中国交回復をやった。台湾派がものすごい勢力。『蒋介石という恩人を無視して中国の国交を回復するのか』という批判が起った。毛沢東・周恩来が生きている間にやらねばならないということだった。帰国したら暗殺されるかもしれなかった。アメリカの虎の尾を踏んだ。ブレジネフとの会談で、『四島返還』をテーブルに乗せた。アメリカはこの男を始末せねばならぬと思った。

 

ロッキード社のワイロ工作が発覚。全世界に飛び火。イタリアのモロ首相がトランクの中で、死体で発見された。赤い旅団が殺したということになっている。CIAの手先が関わったと私は思う。証拠はない。アメリカが世界支配するのに気に入らない奴は暗殺するというのが方針。国益追及のためなら何でもアリ。ビンラディンも殺害された。殺害する瞬間をホワイトハウスで大統領は見ている。この調査でアメリカに行った時、危険を感じた。

 

アメリカで集めた情報を積み重ねて田中に報告した。トライスターは機種が決まっていた。対潜哨戒機で追及すると国防費の国家汚職になるのでP3Cはすべて外した。

冤罪はストーリーを地検が作って証拠を集める。村木事件で私も狙われた。本人ではなく下と周りを固めて行く。百六十日間拘留されたら検事の言う事を聞いてしまう。個室の中の強者と弱者の関係。田中の運転手二人が死んだ。向うの言う通りにハンコを押してしまう。検事の気に入らないと壁に向かって立たしておく。『国民ためにやっている。これに署名しないとここから出られんぞ』と言われる。桧山会長に初めて会って三分間で五億円をあげるということにされてしまった。三木と稲葉は田中と犬猿の仲。『日本の民主主義のためにやれやれ』と言った。政府が『やれ』と言っている。獲物としても大きい。総理と雖も検察に狙われるとやられるということを天下に示したかった。

 

最高裁が『嘱託尋問をやれ』と無茶な事を言った。地検の暴走、最高裁の迷走。三木内閣の国策捜査、アメリカの意向、マスコミの姿勢が重なった。世論に巻き込まれると裁判所はクロとしか出せなくなる。田中は一切身に覚えがなかった。外為法違反だから田中への調べはない。組み立てたストーリーにはめ込むだけ。

 

一九八三年十月十三日の判決の日の朝、田中は無罪を信じていた。早坂秘書に『お前に苦労をかけたが今日から無罪だ』と言った。判決は懲役五年追徴金五億。田中は阿修羅のごとく怒って帰宅。七十人の国会議員に一時間から一時間半演説。『身に覚えのない者が何故有罪のなるのか。内閣総理大臣の地位を汚したと言われるのは耐えられない。命を懸けて戦う』と言った。

 

田中派を八十人から百四十人以上の派閥にした。自民党を支配しキングメーカーになった。中間派や他派の人が入ったのは金と地位が欲しかった。総理を辞めてから田中の闇支配は物凄いものだった。完璧そのものの闇支配の人事体制を作った。金丸・竹下は気分が良くない。創政会になった。

 

ニクソン大統領を辞任に追い込んだウォーターゲート事件で主任弁護士を務めた凄腕の持ち主だった米国の弁護士リチャード・ベンベニステ氏と契約を結ぶ時、田中の呼び出しを受け『アメリカの弁護士に帰ってもらってくれ』と言う。私は怒った。『アメリカに仕掛けられた事件をアメリカの弁護士に助けられたくなかった』というのが田中の精神構造。それほどアメリカを田中は嫌った。田中は無罪を信じ切っていた。やっていないものはやっていないという事。一審の弁護団は綺羅星の如き偉い人ばかり。二審から多くの若い人を入れた。冤罪を晴らすことを狙った。一審とは全く違った弁護士。

 

田中は、ゴルフをやり、オールドパーをあおり、脳梗塞で倒れた。田中が倒れていなかったら裁判がひっくり返っていた可能性あり。田中が亡くなって控訴棄却。最高裁で丸紅が有罪。

 

田中は目白の自宅で真紀子の監視の下で生活した。一切外部遮断。九年間さみしくて歯ぎしりして生きたと思う。私にも真紀子は絶対に会わせない。会ったのは中国要人のみ。キッシンジャーはその間に三回目白を訪問。キッシンジャーは田中を陥れた元凶の一人。やり過ぎたと反省したのだろう。

 

ロッキード裁判の直後に総選挙。私は落選した。アメリカに行って働き過ぎた。世論の総攻撃に反論した。ところが十二月十八日に落選。毎日、田中から『ピンはどうしているか』と電話があった。十二月末に田中邸に行くと、田中は涙を流して喜んだ。このおっさんのために心血を注いだ私は良いことをしたと思った。

 

総理に職務権限はない。桧山の請託、金銭授受もない。どうして有罪になったのか。人質を取って自白をとるのが冤罪事件に共通している。バンカーの中で『三木・稲葉の馬鹿野郎』と言っていた」。

この後、村上正邦・山口敏夫・平野貞夫・山本峯章の各氏などがスピーチ。質疑応答。村上正邦氏はますますお元気であった。

 

              〇

この報告は、小生のメモに基づくものです。文責は小生にあります。

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2017年2月13日 (月)

「東京国際大學 第5回 国際シンポジウム」における登壇者の発言

昨年十月二十五日に開催された「東京国際大學 第5回 国際シンポジウム」における登壇者の発言は次の通り。

 

高村正彦氏(衆議院議員・基調講演)「日本外交のあるべき姿について話したい。今年は余りにも大きな事件が続いた。北朝鮮の核実験は新たな段階の脅威になっている。国際社会は一致して断固たる態度をとるべし。わが国はさらなる挑発防止に努め、抑止力を高めるべし。昨年成立した『新安保法制』はそれに役立つ。日本にとって南シナ海の安全確保は重要。一方的現状変更は認められない。ベトナムなどへの支持を通じて法の支配を強めるべし。尖閣周辺で十五隻の中国公船が領海侵犯している。中国は国際社会の声に耳を傾けるべし。

 

中東のみならず世界中にテロの脅威が広がった。日本人も何時でも何処でもターゲットとなっているとの認識のもとテロに対処すべし。中東をはじめとする社会安定化支援が必要。穏健な社会構築に向けた地道な努力が必要。

 

日米同盟はわが國外交の要。来年は中国の人事異動がある。先行き不透明の時、日本の外交・安保の基軸は日米同盟。日米同盟の深化が最優先。ASEAN、インド、豪州など基本的価値観を共有する国々との連携が必要。本年五月のオバマ広島訪問は、希望の同盟の象徴となる出来事。

 

日中議員同盟の会長として日中関係改善に努力している。戦略的互恵関係の原則の下、日中関係、東シナ海の安定が不可欠。尖閣での中国の行動は我が国国民の対中国感情を悪化させた。日中の協力は国際社会が期待している。様々な分野で交流を積み重ね、関係が改善されることを期待する。

 

今回の慰安婦問題の日韓合意は画期的。韓国に責任ある国家としての対応を期待する。拉致問題は早期解決の機運を高めるべし。対話と圧力・行動対行動の原則の下、対話の窓口をわが国から閉ざすことなく解決への努力をすべし。

 

安倍・プーチンの個人的信頼関係は大きな意味がある。山口における会談で北方領土問題の進展を期待している。私は日露協会会長として自民党副総裁として政府をサポートしていきたい。安倍総理は画期的な外交的成果をあげてきた。各国首脳との個人的信頼関係が深まっている。

 

新安保法制はわが国の安全を守るためのもの。積極的平和主義は多くの国から支持されている。わが国の国益の確保を目指した積極的努力、アジアアフリカへの日本の質の高い支援は、高い評価を得ている。人材育成も積極的に進めていきたい。経済外交を推進。民主主義・法の支配・人権尊重という基本的原則を共有する国々と協力していきたい」。

 

ジョセフ・ナイ 氏(ハーバード大学教授)「一九一七年、米国は二百万の部隊をヨーロッパに派遣。第一次大戦は変貌。一九三〇年代に大恐慌が起こり、第二次世界大戦につながった。この失敗に学び、アメリカは世界秩序に貢献した。アメリカ軍の前方展開によるものであった。貿易投資が進んだ。英国が世界秩序を提供した時代も貿易投資が進んだ。しかし第一次大戦でそれは止まった。

 

グローバル化で世界は豊かになったが、今後もそれが進むのか。アメリカは衰退し世界秩序を提供できないというのは不正確。アメリカが衰退しているというのは現実ではない。ソ連が一九五七年にスプートニクを打ち上げた時も、アメリカは衰退しソ連が台頭したと言われた。二〇〇八年以降、中国が台頭しアメリカは衰退したと言われた。衰退という概念を見なければならない。ローマが衰退したのは内戦故である。今日のアメリカに絶対的衰退が見られるかというと、私の答えはノー。アメリカは移民の流入によって人口を意志できる。アメリカはエネルギー輸入に頼りすぎると言われたが、シェール革命により北米大陸はエネルギーの独立性が保たれるようになった。アメリカが衰退しているというのは事実と異なっている。

 

アメリカに置き換わる國は何処か。今のヨーロッパは一体となって動けない状況。ロシアは実際には衰退しつつある。一つの産物にしか頼れない国。ロシアは偉大である国であることを証明したいためにリスクをより多く取ってしまう国。インドは成功しているが途上国の範疇にある。

 

中国は次なる超大国になりアメリカを超えると言われるが必ずしもそうではない。中国経済規模は十兆ドル。アメリカ経済規模は十八兆ドル。中国の成長率は三・九%。米国は二%。中国経済がアメリカに追いつくには二〇三〇年代の終りか二〇四〇年までかかる。中国の軍事力は目覚ましいほど伸びているが、軍事費はアメリカの四分の一に過ぎない。共産主義は中国社会のクリエイティヴな力を良しとしない。市民社会を自由にしない。儒教を伝播しようとしている國と領土問題を起している。

 

アメリカは破綻しない。アジアの将来は日米同盟がある限り楽観できる。クリントンが大統領になる可能性は九三%。クリントンは日米同盟関係支持。彼女は確固たる形で日米関係にコミットしている。アメリカ世論の大半は孤立主義ではない。アメリカ国民の大半は外向きの姿勢を維持してほしいという意見。孤立主義にはならない。特にアジアとの関係においてそうならない。TPPが重要。カナダとEUとの貿易協定も困難をきたしている。しかし貿易量が減ることはない。増えている。

 

イランとの核合意ではロシア・中国の協力があったと思われる。英仏独も協力した。米露間の協力は必要。しかし、ロシアは奇妙なゲームをしている。そういう意味では難しい。中国は北朝鮮に対し影響力を使おうとしない。中国高官が心配しているのは北朝鮮の不安定化。北朝鮮は食糧の大半を中国から受けている。制裁強化しても北朝鮮は崩壊しない。中国に北朝鮮への影響力をもっと行使させるべし。プーチンは国連憲章を守らず他国領土を奪った。北方領土については日本はプーチンに協力しなければならない。日本は日露交渉においてアメリカと相談してほしい」。

 

ヴァリ・ナッサー 氏(ジョンズ・ホプキンス大学教授)「中東はこれまで最大の世界秩序への脅威を突きつけている。不安定性が高まっている。中東はグローバル化にはあまり参加して来なかった。アラブ世界の輸出はインド一国より少なかった。シェールオイル革命がアメリカで起こり、アメリカが有数の産油国になっている。イラク、サウジアラビアは経済的に苦しんでいる。サウジは石油産出を大きく削減しなければならない。大きな産油国は不安定性を抱えている。

 

最も重要な不安定要素は秩序が瓦解していること。シリアとイラクは国家権力が破綻している。アラブ世界における秩序の崩壊が未曾有の数の難民を生んだ。シリカ難民はヨルダンの人口の四分の一。ヨルダン、レバノンなど難民を受け入れた国は不安定化している。国際社会としては中東の封じ込めを検討すべし。中東以外に悪影響を及ぼさないようにすべし。ヨーロッパのファシズムの台頭は難民問題が影響している。国際秩序の維持のために難民の二次被害を防がねばならない。国際社会としてコンセンサスを構築して封じ込める。しかしコンセンサスを醸成していない。

 

クリントンがどれだけ大勝利を取るかによって強い立場を持てるかどうかになる。中東の問題は一つずつとり上げて行かねばならない。中国やロシアとの合意を取り付けねばならない。中東の崩壊はアメリカがアジアへの回帰を始めた途端に起こっている。日本はアメリカの同盟国としてアフガンなどで大きな貢献をした。日本が関与する機会である。東南アジアでも過激主義が広がる危険がある。ロシアの利害とアメリカの利害は一致していない。向こう十年間で油価が低下し中東の政治が不安定になると日本に影響する。アルジェリア、エジプトが経済的に衰退すると難民がヨーロッバに向かう。日本や韓国はこういう国を支援すべし。緊張を緩和する」。

 

岡本行夫 氏(外交評論家)「今、世界は物凄い勢いで変化している。技術を利用している国が勝つ。人口が増えている所は経済も強くなる。世界は構造的に変化している。今、世界の人口は七〇億。

 

IT革命により今、全ての人が自分の意見を発信できる。テクノロジーをうまく利用して巨万の富を持つ。世界の富・総生産の五〇%を一%の人が持っている。これだけ格差が広がれば揺り戻しが起こる。私は前からトランプが当選するとは思っていなかった。クリントンは日本にとって良い大統領になる。クリントン国務長官の最初の訪問国は日本だった。

 

アメリカの将来は明るい。問題はその力を世界の安定化のために使ってくれるかどうか。ロシア・中国という新しい帝国主義の勢力が伸びて来て、新しい帝国主義の時代になっている。アメリカが動かないと中国とロシアが攻め込んでくる。ロシアがウクライナの領土を取ったのは戦後初めての力による領土の変更。厄介な要素はフィリッピンのドゥテルテ大統領。フィリッピンが中国の側に行くと大きな穴が出来てしまう。

 

日本の製造業の復活を計らねばならない。日本にはその力がある。需要者にぴったりと寄り添ってテーラーメイドの物を作って行く。日本企業は自信を持っていただきたい。新規投資をしていただきたい。

 

心配なのは安保情勢。北朝鮮がアメリカまで届く小型核兵器を作るまで核実験を続けるであろうと私は言ってきた。北の核の脅威はますます増えている。日本は周囲の全ての国と領土紛争を抱えている。せめてロシアとは決着してほしい。竹島・尖閣は無理。ロシア取りあえずの合意をしたい。今やらないと後五十年は駄目。歯舞・色丹と発音できない人を担当大臣にするなんて信じられないこと。アメリカとの関係強化しか安全保障を全うする道はない。抑止力とは日米関係全体。横須賀を母港とする第七艦隊が、アメリカが日本を守るという意志を示している。日米安保体制を周辺諸国がどう見るかが前提。日平安保体制が常に有効に機能できることを周辺諸国に認識させる。これが抑止力。沖縄の基地問題は円滑に解決しなければいけない。力の空白ができると中国は必ず攻め込んでくる。

 

トランプが大統領になるとTPP発効の希望は無くなる。クリントンは最終的にはTPP支持になる。シリアの膠着状態をどう解決するか難しい。レバノンの紛争も解決まで十五年かかった。シリアは色々な勢力が関わっている。あと七十年は続く可能性はある。日本は過激派の行動を防ぐために現実的には何ができるでしょうか。アイシスにはチュニジアの若者六千人が戦闘員になっている。チュニジアは『アラブの春』が成功した国なのに若者たちが働く場がない。日本は経済面でチュニジアに協力して若者たちの働く場を作ることはできる。日米同盟が地域の安定の基盤」。

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2017年2月11日 (土)

『アジア問題懇話会』における東京国際大学教授・村井友秀氏による「南シナ海の安全保障―暴走する中国をどう食い止めるか―」と題する講演内容

十月一日に行われた『アジア問題懇話会』における東京国際大学教授・村井友秀氏による「南シナ海の安全保障暴走する中国をどう食い止めるか」と題する講演内容は次の通り。

「中国は外に出ることが重要な戦略。中国は基本的にランドパワーの国で外に出てきたことはない。今、急に外に出ている。黄海と渤海は浅くて潜水艦が動けない。湖のようなもの。外に面している中国の海は南シナ海と東シナ海しかない。

 

冷戦時代は米ソが均衡していた。相手から一撃があっても二撃は保障されていた。潜水艦発射ミサイルがあるから相互に攻撃できなかった。北朝鮮は潜水艦がない。通常兵器は相手に与えるダメージが明白ではない。どっちが勝つか計算できないから抑止力にならない。しかし核爆弾は一定程度ダメージを与えることができる。抑止力になる。通常兵器は相手に勝たねばならない。いくらでも数を増やさねばならない。

 

戦争の勝ち負けは損害が許容限界を超える前に戦争目的を達成する。ソ連はフランスの九十五%を破壊できる。フランスはソ連の十五%を破壊できる。十五%の国力を破壊することはソ連には耐えられない。毛沢東とドゴールは同じ考え。どの国も覇者になりたい。中国はアメリカより国力が劣る。弱い国は核兵器を作る。潜水艦とミサイルを作る。

 

ソ連の潜水艦がオホーツク海にいた。北方領土・千島列島が大事だった。プーチンがソ連の復活を考えているのならロシアにとって北方領土は重要。中国も海洋基地を作りたい。水深が浅い東シナ海は潜水艦にとって厳しい。南シナ海は水深が二千メートルある。原潜が活動できる。東シナ海で活動すると相手はアメリカと日本。日本は潜水艦が二十隻ある。インド洋と太平洋の哨戒に使う原潜が欲しい。通常潜水艦でやるのは大変。原潜が必要。中国は南シナ海を海洋要塞にしたい。

 

日本は海に出ようと思えばどこからでも出ることができる。中国は外に出ようとすると出口が殆ど無い。一番通りやすいのは宮古海峡。日本だけが封鎖できる。中国の貿易の九割が海上輸送。輸入原油の九割が海から来ている。海を封鎖すると中国の六割の産業が止まる。中國は海上封鎖に弱い。

 

中国は金の社會。学者まで金の世界になっている。中國軍は本当に戦えるのか疑問。中国のジャーナリズムはトランプの方が扱いやすい。中国のアメリカに対するカードはビジネス。金が儲かるなら何でもする。

 

北京語が共通語になったので言語の問題が亡くなり、戦区を五つに変えた。中国軍は国内の反革命を打倒する軍。スーパーポリス。だから二百万必要。しかし今はアメリカと戦う軍、東南アジアと戦う軍を作る。それは空軍と海軍中心。

 

王毅外相は政治局員ではない。党の決定したことを実行するだけ。国防部長は天下り先。毛沢東・鄧小平は軍人。江沢民以降は軍人ではない。ソ連の赤軍は帝政ロシアの軍。中国とは基本的に違う。中国は十大元帥が政治をしていた。独裁国家では警察と軍という強制力を小さくするのは合理的ではない。軍事費を削減できない。

 

国内の不満を外に転嫁するために日中関係は緊張している方がいい。外敵の脅威が重大だとして国内を統一する。それが共産党統治のメカニズム。適度の緊張関係を維持しようとしている。北朝鮮も全く同じ。党と軍の間で意見が違うということはない。負ける戦いはしない。日中間の軍事バランスが日本の方が優位であることを維持することが大事。日本と中国の軍拡競争がある。日本は平和を守るために軍拡すべし」。

 

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2017年2月10日 (金)

「笹川平和財団 アロク・シャーマ英国外務省大臣政務次官(アジア担当)講演会」におけるアロク・シャーマ氏の講演内容

昨年九月二十七日に開催された「笹川平和財団 アロク・シャーマ英国外務省大臣政務次官(アジア担当)講演会」におけるアロク・シャーマ氏の講演内容は次の通り。

「近年のイギリスの出来事は大きな変革。新首相、新閣僚が生まれた。国民投票は今までなかった取組。私はEU残留を支持。我々の経済は弾力がある。二国間関係はきちんと存続できる。日英二国関係は強化されてきた。防衛協力は強化されている。

 

英国のEU離脱はヨーロッパ離脱ではない。英国は自由民主主義・法の擁護であり、国連常任理事国。世界に対して影響して行く。グローバルな視点を持つ英国であることに変化なし。過激主義やテロリズムに対抗していく。北アイルランドでの成功の経験は役立つと思う。英国はピョンヤンに大使館を持っている。北朝鮮の核実験に英国は抗議している。北朝鮮の人権侵害を無視してはいない。アジアは異なるルールに拠るべきだということを我々は認めていない。国際的規範に則らねばならない。クローパルに包括的関係を築いている。日英二国間関係で最も重要なのは防衛と安保。

 

EU離脱で変化は起こるが、日英関係に影響はない。EUと英国は現実的な行動をとりながら交渉を進め、ウィンウィンの関係で解決できると信じている。強力な英米関係も続く。AIIB(アジアインフラ投資銀行)に英国は参加し支持している。日本がロシアと対話しているのを評価する。東シナ海については申し上げることはない。南シナ海では国際的ルールにのっとって行動する。中國とはグローバルパートナーシップを持ち様々な協力をしていく。安保人権の英国の立場を表明することは可能。東京オリンピック成功に協力できることがあれば協力する」。

千駄木庵主人曰く。何とも官僚的な講演であった。「日英二国間関係で最も重要なのは防衛と安保」と言いながら「東シナ海については申し上げることはない」とは何事であろうか。

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