2017年12月 8日 (金)

村井友秀東京国際大学国際戦略研究所教授による「中国の覇権野望に直面して―国際紛争の理論と現実」と題する講演内容

九月二日に開催された『アジア問題懇話会』における村井友秀東京国際大学国際戦略研究所教授による「中国の覇権野望に直面して国際紛争の理論と現実」と題する講演内容は次の通り。

 

「国際政治・国際関係論は戦争を起こさないようにするのが目的の学問。そのために戰爭のメカニズムを理解するのが一番大事。

 

来週沖縄で講演する。『戦争』という言葉を使うと、『沖縄タイムス』が批判する。安全保障は人間にとって空気のようなもの。自分が空気があって生活できるのが分かるのは、空気が無くなった時。平和だから日常生活ができる。

 

戦争をする國はどういう国か。①軍事政権②独裁政権③民族主義④構造的暴力⑤戰爭のコストが小さい國。①は軍人が政策を決める。②は何処の国も、政治は国民の同意によって支えられると同時に、国民を強制する。独裁国家は強制のみによって支えられている。強制力(軍と警察)は独裁政権が国民を叩く鞭。国民にとっては迷惑。政権を強化すると国民の同意が減ることを解決する方法は外敵を作ること。外から国を守らねばならない・外敵から攻撃ということを口実に、強制力を強化する。北朝鮮はその典型。

 

イスラム教は喜んで自爆する。だから戰爭をする下地ができる。百五十万人が死んだ北朝鮮の飢餓は、人命に対する意識を希薄化させた。戦争をしたくない最大の理由は人が沢山死ぬから。しかし、色々な理由で人が沢山死ぬ國は反戦意識は高くない。

 

戦争のコストが高い所は戦争ができない。都市化・対外依存度・少子化が三つのコスト。農村は物流が止っても自給自足で生きていける。都市はそれが出来ない。ベトナム空爆の責任者カーチス・ルメイは東京大空襲の指揮者。戦争に勝つとは損害許容限度を超える前に戦争目的を達成すること。ベトナム戦争では三四〇万人のベトナム人が死んだ。日本は三百万人が死んだ。三百万人は限度を超えた。日本は損害に耐えられるまで戦った。だから強かった。

 

北朝鮮の少子化は進んでいる。北朝鮮はチキンゲームをやっている。madmanは合理的判断はしない。トランプは何をやるかわからないと金正恩は知っている。

 

鄧小平は中央軍事委員長。胡耀邦よりも偉かった。党のトップよりも軍のトップの方が偉い。中国は兵営国家。軍と政治家が一体化している。中国はシーレーンを守れない。戦争になったら中国はGDPの三割を失う。ロシアは中国を助けない。ロシアは中国に攻め込む。中国も少子化が進んでいる。少子化は中共の政策であった。今の中国に人海戦術は無理。

 

中国は国連が一致して北朝鮮に制裁を加えることに反対。中国が北朝鮮を支援しているから国連の経済制裁は効かない。中国は北朝鮮を丸抱えしている。自分の領土と思っている。中国は朝鮮が統一して反中国国家になるのが怖い。中国の庇護の中に北朝鮮はある。北朝鮮は中国の利益の範囲内でやっている。

 

戦争にならないのはアメリカにとって大した問題ではないから。イラクに対してやったように北朝鮮に攻め込むことはない。だから数百人の部隊で実行できる斬首作戦を考えている。

 

何かあったら一番先に北朝鮮に入るのは中国軍。金正恩を排除し親中国政権を作る。傀儡政権の頭を変え、核開発を止めさせる。

 

日本が軍拡すると中国も軍拡する。軍拡競争をしている間は戦争にならない。中国は同盟を信じない。中国は尖閣を攻めてもアメリカは出て来ないと思っている。日米同盟だけでなく、日本の軍事力を強化すべし。

 

『日本には漢奸が多い』と中国の工作員は言った。そういう漢奸とされる人たちは『自分は日本のためにやっている』と信じて中国のためにやっている。

 

中国は自分の不利益にならないことはやらない。ロシアは中国に対してかなり危機感を持っている。ロシアの経済状態は悪いし、軍事力も中国の増強度に比べると弱い。ロシアの軍事力は世界第二位だがGDPは韓国並み。中国は党も軍もほとんど皆賄賂をもらっている。汚職で誰でも逮捕できる。スターリンは将軍を粛清した時、佐官級を昇進させたので、軍は反発しなかった」。

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2017年12月 2日 (土)

『笹川平和財団主催・イランイスラム共和国外務省事務次官来日記念講演会「中東情勢とイランの新たな役割」』におけるセイエッド・アッバス・アラグチ外務省事務次官(法務・国際問題担当)による講演内容

八月八日に開催された『笹川平和財団主催・イランイスラム共和国外務省事務次官来日記念講演会「中東情勢とイランの新たな役割」』におけるセイエッド・アッバス・アラグチ外務省事務次官(法務・国際問題担当)による講演内容は次の通り。

 

「二〇一一年に日本に来て、四年間滞在した。多くの友人を得た。日本風の名前のアラグチです。中東は三つの大陸が接する所。三つの宗教が生まれた所。多くの始源が眠っている地。過去四十年間戰爭とテロが続いた。革命もあった。アラブの春は冬に変ってしまった。アラブは世界全体に影響を与えている。深刻な課題に直面。国内紛争が存在する。民主的でない政権がある一方、人々に政治的意識が高まっている。経済的課題・貧困・格差問題がある。外国の介入もある。

 

テロリズムは古くて新しい問題。パレスチナ問題も継続している。イランとトルコが勢力を増している。ハマスとヒズボラは正義のために戦っている。市民社会が新しい主体として形成されつつある。中東は深遠なる変化を経験し、進化している。正しい方向に向かっているかどうかは分からない。混乱と不確定性を伴う移行期である。

 

その中東の大国としてイランは抬頭しつつある。大統領選挙が行われ、現職のロウハーニー氏が再選された。この選挙では有権者の七三%が投票した。民主主義が力の源泉。イランの国民が力の源泉。イランは安全保障を自分で生み出している。民主主義体制を自ら作り出した。

 

イランは地域のテロと戦っている。現在のテロの形は世界の全ての人にとって脅威。何の罪もない人を殺している。グローバルにテロが行われている。我々はテロに対して戦わねばならない。

 

イラン経済は良い方向に向かっている。石油の輸出も増えた。インフレ率は一ケタに戻った。アメリカは建設的雰囲気を壊しつつある。イランの核問題に関する包括的共同作業計画(JCPOAJoint Comprehensive Plan of Action)全体としては力強い状況にある。ヨーロッパの国々はアメリカの新しい政策がどうあれイランと関係を持ち続けると言っている。イランは国際社会で大きな位置を占めている。

 

JCPOAで学んだことは、あきらめることがソリューション(解決)ではないということ。わが国のミサイルは防衛のためのみに使われる。われわれの安保はフセインのような誤算をしないためにミサイルに依存している。八年間のサダムフセインとの戦争のようなことを繰り返さないようにするために核を持っている。正当な防衛システム。地域の安定に確実に貢献している。

 

シーアとスンニの対立は危険。イランはシーア派のムスリム国として理解を求めていきたい。スンニ派の国とも連携している。宗派による対立に反対している。サウジとも対話を持っている。

 

テロリズムとは対決する以外にない。これが国際社会全体の結論。イランはパレスチナを正義のために支持している。イスラエルはパレスチナを抑圧し、領土を占領している。パレスチナ人は難民キャンプに生活している。イスラエルの国家によるテロを我々は批判する。われわれはパレスチナ人の正当な権利を支持する。軍事的抑圧に抵抗することは必要。しかし軍事的にイスラエル人を海に突き落とそうというのではない。政治的解決が必要。

 

イランと日本の関係は良好であり続けた。第三国が関わった時に問題が起こる。日本がアメリカと同盟関係にあることは理解する。安倍さんのイラン訪問を実現したい。日本の経済界はゆっくりしている。リスクのない経済関係は無い。ビジネスチャンスが無くなってしまう。ヨーロッパはアメリカと関係なくイランと関わりたい。日本も同じ結論を出してもらいたい。日本とサウジの関係に異論をはさまない。サウジの繁栄は我々の繁栄。

 

人権を守らない民主主義は民主主義ではない。報道の自由・言論の自由はイランの憲法に明確に書かれている。イスラム共和国では人権をどう見るかは他国とは違うところがある。同性愛者の権利は認めない。同性愛は人間のすることではない。宗教・文化・価値の違いは尊重し合うべきだ」。

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八月四日に開催された『第109回東京財団フォーラム トランプはどこまで変えられるのか-アメリカ大統領権限に見る可能性と限界』における登壇者の発言

八月四日に開催された『第109回東京財団フォーラム トランプはどこまで変えられるのか-アメリカ大統領権限に見る可能性と限界』における登壇者の発言は次の通り、

 

久保文明東京財団上席研究員、東京大学法学部教授(モデレーター)「トランプ登場前、オバマ大統領も大統領権限を使って法律上問題かもしれないことをしていた。トランプが登場して、こういうことを考える必要がもっと出て来た。アメリカ大統領は行政部の中では強い権限を持っているが、議会に対してはそうではない。アメリカ大統領は、局長級以上の人事権あり。役所に対する掌握権は強い。軍も掌握している。アメリカには内閣という言葉はない。行政権は大統領一人にある。大統領の議会への影響力は限定されている。ねじれ国会の方が多い。与党が多数でもなかなか法案は通らない。アメリカの政党には党首がいない。大統領は選挙の公認権は全く持っていない。公認候補は予備選で決める。日本は総理大臣が与党の党首であり、小泉郵政選挙を見ても分かる通り、公認にも強い権限がある。ロシア制裁決議をトランプは望んでいなかった。トランプのツイッターは公文書扱いで保存される。閣議決定が日本の最高意思決定。アメリカは大統領一人で決定。保守とリベラルの分極化が進んでいる。共和党は、ニューヨ―クタイムズ、CNNなどのメディアに対する不信が強い」。

 

阿川尚之同志社大学法学部特別客員教授「アメリカ憲法は一七八八年発効。第一条で議会権限、第二条で大統領権限、第三条で最高裁判所権限が書かれている。議会は憲法によって与えられた立法権しか持っていない。議会の横暴が恐れられていた。各州の司法権・立法権には触れない。限界が何処かは書いていない。憲法には大統領は法律の執行に責任を持つこと、全軍の指揮者であることが書かれている。強い執行府を作ろうとしたが、暴政を防ぐために矛盾した条文も入れた」。

 

梅川健首都大学東京都市教養学部法学系教授「大統領権限が定まっていない。大統領は難しい立場。大統領が単独で出来ることは殆ど無い。大統領は議会の協力を必要とする。メキシコとの国境の壁の建設には金がかかる。金の措置をするのは議会。民主党はマイノリティ、エスニックが票田。共和党支持者の企業経営者は安い賃金で人を雇いたい。だから予算措置はできない」。

 

浅野貴昭東京財団研究員・政策プロデューサー「通商協定は条約ではなく行政協定。一月二十日にトランプ就任、一月二十二日にTPP離脱を表明。TTP協定は批准してはいなかった。パリ協定も離脱。合衆国大統領は単独の政策変更はどこまでできるか。執政部都議会が権限を分かち合っている。大統領は条約を締結する権限がある。議会と大統領の権限の調整の仕組みがある。議会には予算を減らす対抗措置がある」。

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2017年11月19日 (日)

猪子恒大本東京宣教センター次長による「出口王仁三郎と大本-藝術は宗教の母」と題する講演内容

七月二十三日に開催された『出口王仁三郎と大本-藝術は宗教の母』における猪子恒大本東京宣教センター次長による「出口王仁三郎と大本-藝術は宗教の母」と題する講演内容は次の通り。

 

「多くの人々には、イケメン、美人の方が良いという気持ちがある。美と芸術はリンクしている。シンクロもきれい。相撲は女性ファンが多い。お相撲さんはきれいな人が多い。藝術は好き嫌いが出て来る。

 

 

音楽は人の気持ちを変えてくれる。音楽にはそういう力がある。田端義夫がテレビで『カチューシャ』の歌を歌うのを見ていた。一緒に出ていた三人の女性アナウンサーが泣き出した。音楽の凄さを思った。人の心に訴えかける。月に『様』を付けるのは日本人のみ。星空もきれい。全てが美しい。『最も美しい嘘』という芸術論もある。

 

呉服屋に丁稚奉公に行くと、一番最初は蔵の中で一番良い反物に触らせる。どういう反物が良いか悪いかをだんだん分からせる。美に対しての感性を磨かせる。

 

出口王仁三郎師は『藝術と宗教とは、兄弟姉妹の如く、夫婦の如きもので二つながら人心の至情を根底を固め、共に霊最深の要求を充たしつつ、人をして神の温懐に立ち遷らしむる、人生の大導師である』『瑞月(注・出口王仁三郎)はかつて藝術は宗教の母なりと謂ったことがある。しかしその芸術とは、今日の社会に行わるる如きものを謂ったのではない。造化の偉大なる力によりて造られたる、天地間の森羅万象は、何れも皆神の芸術的産物である。この大藝術者、即ち造物主の内面的真態に触れ、神と共に悦楽し、神と共に生き、神と共に動かむとするのが、真の宗教でなければならない』(『霊界物語』)。「神様がわからないという人に、一本の花を見せてやれ。これでも神様が分からないのですかと…。たれがこの美しく、妙なる色香をもった花を造るのであるか、同じ土地に播いても種が違えば、千紫万紅色さまざまに咲き出でて得もいわれぬ美しさを競うではないか。いったい誰が草するのか」(『水鏡』)『洪大無辺の大宇宙を創造したる神は、大藝術者でなければならなぬ。天地創造の原動力、これ藝術の萌芽である』と説かれた。

 

藝術即宗教即生活。全てに美が含まれる。天地間にリズムがある。それが今乱れている。茶道は日本のオリジナル」。

 

 

 

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2017年10月19日 (木)

武貞英士拓殖大学大学院教授による「朝鮮半島情勢を読む」と題する講演内容

七月八日に開催された『アジア問題懇話会』における武貞英士拓殖大学大学院教授による「朝鮮半島情勢を読む」と題する講演内容は次の通り。

「朝鮮半島は七月四日非常な転換点を迎えた。アメリカは臆病者・弱い者と言われるのを最も嫌う。北朝鮮がICBМを発射したのに傍観したといわれるのが嫌なのでICBМとは言えなかった。翌日声明の中で訂正した。現実を直視するようになった。異次元の政策をアメリカはこれからとるであろう。東アジア動乱の時代を迎えた。

 

情勢分析には四つの眼が必要。①虫の目。②鳥の目。③魚の目。④蝙蝠の目。中国は北の核兵器を喜んでいる。移動式発射台は中国からの輸出。中国は『北朝鮮が核兵器を持っていても良いが撃たないでくれ』ということ。中国は北朝鮮の核開発に水面下で関わっている。貿易の金額を増やしている。中朝の物流を活性化している。一帯一路に北朝鮮を組み込んでいる。

 

アメリカが取る事が出来る選択肢は少なくなってきている。偶発的に戦争が起こる可能性は十分にある。韓国を守るのは嫌だとトランプ・アメリカが言い出す可能性あり。中国には北朝鮮を崩壊させてまで核問題を解決する気はない。

 

南北の対話が必要。東西ドイツの統一に韓国は学んでほしい。民族和解はドイツの知恵に学んでほしい。日本は拉致問題でピョンヤンに連絡事務所を置くべし。

 

金正男は不倫の子。金日成は初孫なので可愛がった。母親はモスクワで亡くなった。脱北者が亡命政府の首席に金正男を据えようとした。見せしめにカメラの前で殺された。

 

日本は敵基地攻撃能力・積極的防御能力獲得の検討(巡航ミサイル、弾道ミサイル、空対地ミサイル、早期警戒衛星、THAAD、空中給油機)。外交努力を続ける。近隣諸国との関係修復。日中、日露、日韓首脳会談。日米韓の政策協調は不可欠。北朝鮮には英国式の批判的関与(critical engagement)をすべし。拉致問題で北朝鮮と直接協議を再開する。的確な北朝鮮動向分析が必要。北朝鮮の変化に注目。金正恩委員長の側近・李洙墉(リスヨン)前外相が最高人民会議の外交委員長に。朝日友好親善協会顧問。日朝関係改善に意欲」。

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2017年10月14日 (土)

橋下富太郎麗澤大学助教による「新渡戸稲造における武士道」と題する講演内容

七月一日に開催された日本学協会主催『日本学講座』における橋下富太郎麗澤大学助教による「新渡戸稲造における武士道」と題する講演内容は次の通り。

 

「麗澤大学は道徳と國體を基軸に置く大学なので、国際的に活躍する人間は日本のことをよく学ぶべきであるという方針である。私たちのルーツを骨身に沁み込ませたいという学生が増えて来ている。

 

新渡戸稲造先生の知名度は実績に比べると低い。人物・実績の背景には家の伝統・祖先が必ずある。新渡戸稲造の祖父・伝(つとう)は七戸藩家老。開拓事業に人生を捧げる。父・十次郎も開拓事業に従事。藩の勘定奉行。晩年蟄居。十次郎は父・伝より先に亡くなった。新渡戸稲造は十次郎の三男として文久二年(一八六二)生まれた。戊辰戦争で東軍となり敗北。降伏した時に屈辱感をおぼえた。立身出世しなければならないというモチベーションはこの屈辱感にあった。

 

明治四年(一八七一)稲造は叔父・大田時敏の養子となり上京。家名を挽回したいという思いに駆られていた。明治六年東京外国語学校に入学。同十年に故郷より遠い札幌農学校に入学。十一年に受洗。十六年に東京大学に入学。外山正一教授に『太平洋の橋になりたいと思います』『日本の思想を外国に伝え、外国の思想に日本に普及する媒酌になりたいのです』(『帰雁の蘆』)と表明した。十六年、大田時敏など家族の援助で渡米し、ジョンズ・ホプキンス大学に留学。クエーカーと出会う。二十四年メアリー・エルキントンと結婚。帰国して札幌農学校教授。三十三年(一九〇〇)『武士道』(英文)刊行。三十四年台湾総督府技師・殖産課長。三十六年京都帝国大学教授。三十九年から大正二年まで第一高等学校校長。四十二年から東京帝国大学教授。大正七年(一九一三)東京女子大学初代校長。大正八年国際連盟事務局次長就任のため渡欧。十五年に帰国後貴族院議員。

 

著書『武士道』は、明治天皇に献上している。『武士道』は限られた精神論ではなく、すそ野の広い内容を帯びている。『日本には道徳教育はない』と言われたことへのアンチテーゼとして書いた。『武士道』はある意味でバイブルである。創唱宗教にはバイブルが求められる。『古事記』『日本書紀』は教典として書かれたわけではない。『武士道』も然り。武士の目指した道徳を整理し分類して書かれている。一九〇〇年以前は辞書に『武士道」という言葉はない。この著書は『武士道』という言葉を一般化した。

 

人間としてのお手本が武士。戦闘する者としての武士の実用性・素養が大きく変化するのが江戸時代。為政者・行政官としての素養へと変った。それ以前の武士は勝てば良かった。必ずしも道徳的ではなかった。死に対する平安は『禅』によって得られている。しかし物足りないものがあった。忠君愛国としての国民道徳は神道によって得られ、仁は儒教によって得られた。『士は義の為に死ぬ』。死に値しないことの為に死ぬのは『犬死』。嘲笑の的となった。

 

新渡戸稲造こそ、日本及び天皇に対する忠義の士であった。愛国心が強ければ強いほど語学を学ばねばならなかった。発信する力を持たねばならない。新渡戸は『日本の武士道の跡を継ぐのはキリスト教である』と言っている。昭和六年、新渡戸稲造がジュネーヴでの国際聯盟事務局での七年の勤務を終えるに際し、或るイギリス人の友人の慫慂に応えて著した『日本-その問題と発展の諸局面』と題する英文の著述において、天皇について詳しく論じている。『天皇は国民統合の象徴』という言葉が出てくる。天皇の本質を表す言葉として『象徴』という言葉を使っている。GHQの関係者は当然この本を読んでいたであろう。

 

伊藤博文は『日本の基軸となるものは皇室あるのみ』と言った。日本人としてのあり方・道徳の指標は天皇・皇室である。新渡戸稲造の意思を継いでゆくべし。武士道を素養として身につけさせるには新渡戸の『武士道』を学ばせることが大事」。

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2017年10月 9日 (月)

丹羽文生拓殖大学海外事情研究所准教授による「台湾蔡英文政権の対日政策―緊密化する日台関係―」と題する講演内容

六月十七日に開催された『アジア問題懇話会』における丹羽文生拓殖大学海外事情研究所准教授による「台湾蔡英文政権の対日政策―緊密化する日台関係―」と題する講演内容。

 

「一九九九年九月二十一日台湾南投県を震源とするマグニチュード七・六の大地震発生。私が国士舘大學二年生の時。発生から十日後の十月一日、台湾に飛んだ。六十人の仲間と共に十日間ボランティアとして救援活動を行った。台湾の親日に触れた。日本語が流暢な老人が『ふるさと』を涙を流しながら歌ってくれた。その老人に『君は教育勅語を知っているか』と言われた。私は祖父母と暮らしていて『教育勅語』を憶えていたので朗誦したら、老人は手をたたいて喜んでくれた。

 

十年後、拓殖大学に奉職。拓殖大学は台湾協会学校として発足。台湾統治を進めるための台湾研究と日本人への啓発を行った。第二代台湾総督の桂太郎が初代校長となり、台湾近代化に役立つ人材を育てた。三代目学長は後藤新平。二代目學監は新渡戸稲造。『拓殖』とは開拓殖民の略。拓殖大学のアイデンティティの源は台湾。平成二十八年四月台湾研究センター創設。

 

蔡英文政権で日台関係は成果が出ている。台湾駐日代表に知日派大物を起用。謝長廷代表は元行政院長。行政のトップだった人が大使になるのは異例。亜東という言葉は日本人にはなじみがない。中華民国という言葉は稀薄化している。実務機関の名稱は『交流協会』から『日本台湾交流協会』に、『亜東関係協会』から『台湾日本関係協会』に変更した。二〇〇一年三月、赤間二郎総務副大臣が公務で訪台。二〇〇二年一月、古屋圭司経済産業副大臣が私的に訪台。二〇〇六年八月、宮腰光寛農林水産副大臣が私的に訪台。

 

安倍再登板後、二〇一二年に『日台漁業協定』締結。一三年に李嘉進亜東関係協会会長が首相官邸で菅義偉官房長官と面会。一五年七月に安倍総理が李登輝元総統と面会。同年十月に安倍総理が蔡英文主席と面会。二〇一三年三月、安倍総理はフェイスブックで『震災発生時、台湾は世界のどの国よりも多額の二百億円を超える義捐金を送ってくれた日本の友人です』と書いた。二〇一六年一月に国会で『台湾は日本の古くからの友人です。自由な言論の下で行われた今般の総統選挙は台湾の民主主義の証しです』と答弁。岸田外務大臣は『台湾はわが国にとって、基本的な価値観を共有し、緊密な経済関係と人的往来を有する重要なパートナーであり、大切な友人』と言った。いびつな状態は改善されつつある。日本が台湾に冷ややかな態度をとると台湾のみならず国際社会から後ろ指を指される。馬英九政権下でも、日台関係は進化。馬英九は反日の権化と言われるが、八田與一記念公園は馬英九の指示で作られた。

 

二〇一六年の対日世論調査では、『最も好きな国』は日本が五六%、中国は六%、アメリカは五%。日本統治下で建てられた日本式建物をリノベーションして民宿・カフェ・レストランとして再利用すする現象が台湾各地で起こっている。その中心は二十歳から三十歳の若者。何処に行っても日本のコンビニ、百円ショップが散見される。台湾と日本の人的往来は拡大している。修学旅行先として台湾ほど適している國はない。台湾への修学旅行を増やすべし。韓国・中国は子供たちの将来にとって有益なのか。地域間交流も活発化すべし。

 

民進党内部では蔡英文への批判が高まっている。中国人観光客が減った。観光施設に打撃。対中政策を柔軟にせよという声あり。国民党は複雑な政党。台湾国民党と中国国民党とがある。国民党と自民党はもともといい関係。民進党は日本の民主党といい関係。

 

パナマとは一九一二年中華民国建国以来の関係。断交二か月前に大使に勲章を授与した。中国はパナマを札束でひっぱたいた。中国はパナマ運河の二番目の利用国。これが中華民国の存在を稀薄にした。断交ドミノが続く。次はバチカンかもしれない。トランプにとって台湾は取引材料。トランプに幻想を抱いてはならない。バチカンは一九四二年に重慶政府と外交関係樹立。中国には五五〇万人のカソリック信者がいる。地下教会に属する人はその数十倍。ローマ法王はその安全を保つために中国と国交を結びたいのではないか。

 

日本の民進党は思想も哲学もない。政党の体をなしていない。蓮舫はミニ金美齢と言われていたことがある。台湾に融和的であった。最近の蓮舫はそうとも言い切れない。しかし個人としては台湾にシンパシーを抱いていると思う。民主党の親台派は小沢一郎幹事長によって潰された。

 

日本版『台湾関係法』を作るべし。自民党に『日本・台湾経済文化交流を促進する若手議員の会』(会長・岸信夫氏)がある。アメリカの『台湾関係法』を念頭に置いている。日本外交に求められるのは主体性を持って台湾と付き合うという強靭さ」。

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2017年9月26日 (火)

山田宏参院議員の講演内容

五月二十三日に開催された『第五十回呉竹会アジアフォーラム』における山田宏参院議員の講演内容は次の通り。

 

「言葉狩りは世界を無色にする。トランプ登場は国家としての日本を取りもどすチャンス。ヨーロッパは一つになると誰もが疑っていなかったが、それが崩れてきた。日本は外国頼みになっているもどかしさがある。北のミサイルに体して日本自身は何もできない。

 

グローバルの反対はエスニック。日本人は日本人らしく生きよう。日本は自分で自分を守らねばならない時代にいる。日本直が何処まで眼覚められるか。日本は国家を自分の手で守ろうということを拒否してきた。憲法九条二項を削るべし。来年の十二月までには発議しなければならない。日本の夜明けになるかどうかの正念場。

 

日本は数千年来、天皇を中心にまとまっている國。神話が生きている國。これが一番の強み。皇室・神社・日本語が日本を支えている。山上憶良の『好去好来の歌』は遣唐使への歌。『そらみつ 大和の国は 皇神(すめがみ)の 嚴(いつく)しき國 言霊の 幸はふ國』と歌われている。私はこの歌に出会った時、この精神を守りこの精神を基盤に日本が睦み合って行くのが大切だと思った。危機の時こそ『根っこ』を大切にしていきたい」。

 

続いて田母神俊雄氏は次のように語った。

「北は儲からない暴発はしない。アメリカも北を攻撃しても儲からない。日本にとって一番怖いのは中国。尖閣に侵攻する」。

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加瀬英明氏の講演内容

五月二十四日に開催された『第五十回呉竹会アジアフォーラム』における加瀬英明氏の講演内容は次の通り。

 

「二〇一七年は日本の曙。日本の周辺は騒然としている。中国がアジアを制するか、日本がアジア導くのか、分かれ目である。十九世紀後半、西洋帝国主義が大津波のように押し寄せた時、日本は近代化を遂げたか、中国は近代化できなかった。大化改新と明治維新はよく似ている。大化改新の頃は、唐が大きな勢力。朝鮮半島は流動的。徳川時代末期と似ている。

 

日本は近代化にために天皇中心の中央集権国家にした。神道よりも仏教を選んだ。仏教の方が普遍性がある。『中国』という名称は辛亥革命の後彼らが勝手に作ったもの。日本は海の文化。中国は山。中国の理想郷は山の奥。日本は謙虚な文明。中国は傲慢な文明。今上天皇は世界で最も謙虚な方。世界から良い物を採用する日本は謙虚。日本は謙虚だから明治維新が成功した。日本にとって一番大切なのは天皇。

国民は天皇のことを真剣に考えるようになった。天皇は芸能人でも政治家でもない。天皇は神々を祭られ祈られることが一番のご使命。天皇はお祭りをされるとともに歌を詠まれる。歌は祈り。

 

『宗教』『独裁者』『指導者』という言葉は明治以降の言葉。私たちの中には指導者・独裁者はいない。神道で一番大切なのは言挙げしないこと。言葉が大切であることを日本人は太古から知っていた。仏教・儒教と共に日本にロジックが入ってきた。言葉は自己主張・自己弁護のために使う。言葉は危険なもの、

 

イスラムはキリスト教より六百年若い宗教。カソリックとプロテスタントとが論理が違うと言って殺し合った。日本版は論理を嫌う。孔子はペテン師。民衆を治めるための政治的書いたものが『論語』。

 

天皇は日本人の優れた面の結晶。マッカーサーが臣籍降下にした皇族の若い方を皇籍にお入れすることが大事。『平和無抵抗憲法』を改正すべし。安倍氏の提言に大賛成」。

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2017年9月16日 (土)

宮崎学氏による「テロ等準備罪・盗聴法を考える」と題する講演内容

五月二十三日に行われた講演会における宮崎学氏による「テロ等準備罪・盗聴法を考える」と題する講演内容は次の通り。

 

「法律は『法の下の平等』で成り立っている。それが近代市民法の原理。これを侵すのは法としておかしい。相互監視・密告・監視カメラで危機感を煽っているのが最大の問題。三十年前に『暴対法』が出来た。市民運動は反対せず容認して来た。その流れの中に『共謀罪』がある。遠藤誠・西垣内堅佑の二人の弁護士が反対した。弁護士もなかなか集まらなかった。やくざ当事者も反対運動をほとんどしなかった。改正が重ねられ、都道府県条例が作られ、やくざ取締りは厳しい状況になっている。お上に逆らうのは如何なものかという意見もあり、やくざ側の取り組みも遅れた。

 

組織犯罪集団=やくざの側は『暴排条例』の適用を受けてきた。やくざの組員はある程度の免疫力を持った。共謀罪はやくざの周辺者を取り締まることができるようになった。コアではなく周辺で直撃していく。言葉が曖昧に使われている。ものすごく広い範囲をひっかけて行くというのが今回の特徴。

 

『朝日新聞』の報道もピンと外れ。『市民が取り締まられるから悪い』と言うのだ。一般の人まで逮捕されるから悪いというのは大きな間違い。『法の下の平等』は万人に保証されなければならない。法の下に特殊な存在を作るのは嫌な感じがする。『俺の眼を見ろ何にも言うな』という歌がある。目と目を見れば意思が通じていることを理解したら共謀だということになる。

 

色々な集団の独自性を奪うと、フラットで真っ白な社会になるのが怖い。不自然な形で突出して来たのが『共謀罪』。国際的にどこの国もある法律だと言うが、國によって法律が違うのは当たり前。日本には日本の独自の法体系があるべし。

 

一般人は対象としないと言うのは『法の下の平等』に反し法の原則を逸脱している。この法律によって取り締まるのは警察であり、誰を取り締まるのかは警察の判断である。取り締まる側と判断する側が同じというのはいびつ。法としての瑕疵が多い。犯罪計画の準備段階で拘束できると言う。人間関係特に東洋的発想の中に『阿吽の呼吸』がある。これを肯定すると『計画がある』ということになる。文化を破壊する。人殺しの小説が『反社会的』という烙印が押され、規制される可能性あり。私は無制限の表現の自由を求める。権力で規制するのはとんでもない。自然淘汰されるべし。

 

微罪とも言えない微罪でやくざとその周辺者が逮捕されている。そういう状況で『法の下の平等』がぶっ壊されている。この法律が通れば警察官の凄い増員をしなければならない。盗聴監視を裁判所の手続きをしないで出来るようになる。極秘裏に監視されるのは恐ろしい。警察が自分で決めて自分で取り締まる事が出来る権力を掌握する。この法律で得をするのは警察だけ。三十年前の『暴対法』の時も同じ。

 

裁判闘争をすべし。金も時間もかかり、警察に余計に睨まれるが、そのリスクを背負っていただきたい。この法律に対峙してもらいたい。盗聴の技術は凄く発達している。大人のおもちゃ屋でも盗聴する道具を売っている。街宣活動はこの法律で引っ掛けられる。この法律でダメージを受けるのは右派」。

 

千駄木庵主人曰く。この講演内容に全面的に賛同するものではありませんが、報告の意味で掲載しました。

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