2018年4月20日 (金)

笹川平和財団主催「1/16 知的対話:日印パートナーシップの深化が生み出す可能性と役割」における登壇者の発言

一月十六日に開催された笹川平和財団主催「1/16 知的対話:日印パートナーシップの深化が生み出す可能性と役割」における登壇者の発言は次の通り。

 

ハリンダ―・コーリー氏(センテニアルグループインターナショナル会長)「全ての地域で高齢化社会を迎える。日本だけでなく中国も高齢化社會を迎える。世界の労働人口はピークを迎えている。都市化が進む。最も都市化している地域が北アフリカ。金融市場のグローバル化はリスクを伴う。中間層の台頭は大きなトレンドとなる。インドは大きな中間層を抱えることになる。天然資源に関する競争が激化する。気候変動は加速する。幸いなことに技術革新が進んでいる。非国家主体の暴力が高まっている。IМFの報告によると世界の成長の六五%はアジア。中國・日本・インドが世界の成長の五〇%を押さえている。二〇五〇年にはGDPの五六%はアジアが占める。世界の中心はアジアに戻る。インドは世界七番目の経済大国。インドはフランス・イギリスを追い越すであろう。五番目になる。ドイツをしのいで四番目になる。米中日印になる。二〇五〇年にはインドは二番目の経済大国になる。日本は豊かな国であり続ける。しかし日本は、人口は少なくなる。日本とインドは同じ価値観でお互いの礎になり得る。アメリカは不確実性の中で今の大統領は任期満了まで行かないかもしれない」。

 

モンテック・アフルワリア氏(元インド中央計画委員会の副委員長)「日本は前もって計画をする國。長い先を見据えたうえで日印は協力せねばならない。経済発展と地政学的発展の二つがある。インドと日本は歴史的な紛争がない。共通するところが多い。歴史的に二つの國は紛争の重荷は無い。日印はこれまで数年間『特別な戦略的パートナーシップ』という言葉がよく言われている。しかし経済では協力関係は低いレベルにとどまっている。日本は強くインドを支援して下さった。有難い支援を長年いただいている。インドの経済は閉鎖されていた。一九九一年からインドでは経済変革を行った。民主的インドという状況の中で経済変革が行われた。IМFの予測では中国は成長が鈍化する。インドは伸びる。インドの成長が早まっている。インドは外貨準備高が早まっている。インドの輸出は少ない。インドはアジアとの統合は低い。インドと日本は交流すべし。投資をすべし。ソ連崩壊以前は二極化された世界だった。ソ連崩壊後は単極化した。フランシス・フクヤマは『歴史の終焉』と言ったが、それは現実にならなかった。小規模紛争が増えた。一九九〇年代初めから自由主義的秩序が世界に広がると言われたが圧力がかかった。リベラルな秩序が繁栄の基盤になるはずだったがうまくいかなかった。EU統合によってヨーロッパが極になると言われていたが全く実現しなかった。EUの統合は損なわれた。中国の成功は良いこと。しかしその結果バランスが維持されなくなった。中国という一つの力が台頭するとアメリカの支配力が後退する。台頭する国が秩序を維持してくれなければならない。その意味でインドと日本が協力する。日印は共有する所が沢山ある。航行の自由、安全保障の面での協力が増えている。アジア・アフリカコリドールを具体化すべし。経済地政学では日印は協力しなければならない。WTO(注・ガットの多角的交渉として1994年に終結したウルグアイ・ラウンドで合意され、各国の批准を経て951月に発足した、貿易に関する国際機関)を日印で活性化させるべし。アメリカがアジアから引き下がるのはアメリカのためにも良くない。一帯一路はパキスタン・カシミールを通る回路があるからインド政府は反対。インフラを作ってくれるのは有難い。しかしは債務を押し付けてはならない」。

 

ラジャット・ナグ氏(元アジア開発銀行事務総局長)「ポジティブは構造的要素があるので日印は協力せねばならない。自由民主主義と不可分の法の支配を共有している。歴史的負担・マイナスの重荷が無い。インドはあらゆる面で投資が必要。日本は技術がある。資本が余っている。しかし人口は減っている。故に日印は協力しなければならない。日印は、戦争中は仲良かった。戦後は、インドはソ連寄り。日本はアメリカ寄りだった。今は、印日はパートナーにならねばならない。中国の台頭により多極化世界になった。オープンな地域主義は必要。安全保障は貿易を守るために必要。日米印豪のパートナーシップを目指す。アジアには世界の三分の二の貧困層がいる。格差が拡大している。アジアを要塞化してはいけない。対抗ではなく貿易路を担保するために経済だけでなく安保面でも協力すべし。アメリカはアジアにいることが自国の利益になる」。

| | トラックバック (0)

2018年4月18日 (水)

『憲法懇話会』における慶野義雄平成国際大学名誉教授による「帝国憲法軍事安全保障関係条項」と題する報告内容

昨年十二月十六日に開催された『憲法懇話会』における慶野義雄平成国際大学名誉教授による「帝国憲法軍事安全保障関係条項」と題する報告内容は次の通り。

「憲法に軍を保有すると書くなら良いが、一項・二項を残して自衛隊保有を書くのはおかしい。『帝国憲法』は軍の保有は当然のこととして構成されている。

 

『帝国憲法』には、『第10条天皇ハ行政各部ノ官制及文武官ノ俸給ヲ定メ及文武官ヲ任免ス但シ此ノ憲法又ハ他ノ法律ニ特例ヲ掲ケタルモノハ各々其ノ条項ニ依ル。第11条天皇ハ陸海軍ヲ統帥ス。第12条天皇ハ陸海軍ノ編制及常備兵額ヲ定ム。第13条天皇ハ戦ヲ宣シ和ヲ講シ及諸般ノ条約ヲ締結ス。第14条天皇ハ戒厳ヲ宣告ス。第19条日本臣民ハ法律命令ノ定ムル所ノ資格ニ応シ均ク文武官ニ任セラレ及其ノ他ノ公務ニ就クコトヲ得。第20条日本臣民ハ法律ノ定ムル所ニ従ヒ兵役ノ義務ヲ有ス』と書かれている。

 

『帝国憲法』には何故『軍を保有する』と書いていないのか。『帝国憲法』制定時には、軍はすでにあったから敢て憲法に書く必要はなかった。国家があって憲法が作られるのであり憲法が先にあって国家が作られたことは歴史上一度もない。自衛隊を憲法に規定すると、自衛隊を軍に改組するときは再度憲法改正の手続きをしなければならない。再改正は現実的には不可能に近い。一項、二項削除なら法律制定のみで軍に転換できる。自衛隊を明記するなら自衛隊が戦力であり、交戦権を持つことを明示しなければならない。

 

対外的には自衛隊は軍であり戦力。国内的には實力。これはダブルスタンダード。戦後日本は国家の存在の有を否定した奇妙な日国家団体・アナーキズム社会であった。政府・軍の行動を制約することを第一義とするなら非武装・軍を持たなければ良いだけ。軍を持つ以上、少ない軍事費でいかに最大限の国防効果をあげるかが最重要。

 

国防軍ではなく自衛隊を書き加えるのは、今の自衛隊を固定化することになる。現状追認になる。今と変わらないのなら殊更自衛隊を憲法に書く必要なし。戦力とは軍。自衛隊は軍としなければならない。しかし第二項を残すと軍にはならない。一項・二項に違反するという状況が続く。一項・二項単純削除なら軍が再建される。文民統制は必要。軍の保有は、憲法の条文ではなく国家の存在理由に由来する。軍を憲法で規定するから合法合憲というのではなく、主権国家があるからそこに軍があるという発想に転換すべし」。

| | トラックバック (0)

2018年4月 6日 (金)

奥山真司国際地政学研究所上級研究員による「地政学から見た海洋安全保障―北朝鮮問題を事例として」と題する講演内容

昨年十二月十二日に開催された笹川平和財団海洋政策研究所主催『第一四七回海洋フォーラム』における奥山真司国際地政学研究所上級研究員による「地政学から見た海洋安全保障北朝鮮問題を事例として」と題する講演内容は次の通り。

「日本ではじめて地政学を扱ったのは倉前盛通氏。『悪の論理』は十万部売れた。エキセントリックな陰謀論。その後、冷戦が終わり、地政学という言葉は使われなくなる。二〇〇二年に、第13代連邦準備制度理事会(FRB)議長アラン・グリーンスパンが『地政学リスク』という言葉を多用するようになった。現在は、金融系の言葉として出てきている。地理+政治学=地政学。GeographyとはGeographyで、『地球を描く』ということ。誰が地球を描くのか。地図はロンドン中心。彼らの世界がこの地図に表れている。そして戦略が描かれている。隣国は潜在的に敵。その向うの國は、敵の敵は味方。人類はコミュニティを持った瞬間から地政学的思想を持たねばならない。

一八七一年までドイツという国はなかった。ドイツ民族はヨーロッパに散らばっていた。アメリカの西方拡大は『明白な天命』として西方に物凄く拡大し、ヨーロッパ以上の領土を獲得して世界第二位の大帝国が出現。大陸横断鉄道を作った。トランプ自身のルーツがドイツ。フリードリッヒ・リスト(注・19世紀のドイツ人経済学者)がアメリカの発展を見て驚いた。『俺たちも東に向かってアメリカと同じことが出来る』と考えた。一八七一年にドイツ帝国誕生。『蛮人であるドイツ人がヴェルサイユ宮殿で勝手に「皇帝」を名乗った』とフランスが怒り、普仏戦争が起こって、ドイツが勝った。ドイツは地理学・交通学がしっかりしていた。ヒトラーの東方拡大は、アメリカの影響。地政学がそのもととなった。

 

国際システムの中心は海上交通に依存している。富を動かしているのは海洋。北極海が軍事的に重要になって来る。日本としてはユーラシア大陸にそれほど関与せずにやって行くのが理想。十九世紀のイギリスが手本。日本としては余剰の兵力を対中国に充てる。人類の歴史は海と陸との戦いの歴史。シーパワーが優位。外交が軍事に勝る。トランプ政権は不安定。何をするか分からない。アメリカの生存が脅かされる時に軍事介入する。『偉大なアメリカ』を実現するために軍事介入する。アメリカの生存に関係ないと介入しない」。

| | トラックバック (0)

2018年3月20日 (火)

日本学協会主催『第七回日本学講座』における明治神宮武道場至誠館館長・荒谷卓氏による「生成思想と武士道-世界を創造する精神文化―」と題する講演内容

昨年十二月九日に開催された日本学協会主催『第七回日本学講座』における明治神宮武道場至誠館館長・荒谷卓氏による「生成思想と武士道-世界を創造する精神文化」と題する講演内容は次の通り。

 

「自衛隊に三十年近くいた。ブッシュ大統領が九・一一に際してテロとの戦いを宣言。アメリカの軍事に対する考え方が根本的に変わった。軍事に関する教科書が書きなおされた。富の不平等な配分、特に物を持つ者と持たない者との格差を生じる。グローバル化に取り残される国家が生まれる。国家が主役ではなく、法人企業と個人が主体。今は中間層がいない。富める者と貧しい者しかいない。

 

軍事作戦は、攻撃と防御の戦略的概念が根本。今は安定化作戦。同じ力ではなく圧倒的な力の差によって社会秩序の安定化する。ペリーが来日する時の『航海日誌』に『日本が価値のある産物を有しながら鎖国する権利はない。日本が譲歩しないなら武力によって開放すべきだ』と書いた。日本文化の価値觀はそういうところにはない。このような目的と価値観で軍事作戦に参加するのはノー。私の価値観と異なる。新自由主義の資本主義は、非合理的ろ情緒的生活の全てを解体する。経済外的規範から成る共同体の慣習は資本主義の規律とは相反する。私は経済成長=幸福とは考えていない。

 

個人の権利の法的規定は家族の中で政争が始まる。個人の権利の主張から万民の幸福は出て来ない。正しい文化伝統の価値観を守っていきたい。

 

戦争は極めて合理的考え方から成り立つ。合理性で武器の進歩がある。武道は世界的普遍性がある。神道の祭祀では籬(ひもろぎ)を立てる。常緑樹はその土地の神をお呼びする。ロシアで行われたセミナーの祭典の時、神職が『かけまくも畏きキリストの大神』という祝詞を相乗した。参加者は感動した。

それぞれの参加者の信仰の取り持ちをするのが神道。自分自身を構築するのが武士道。フランスの柔道人は日本より多い。日本人に感謝の心を持っている。明治神宮の参拝者の半分は外国人。日本の神はきこしめす神、みそなわす神、見てくれる・知ってくれる神。日本の神は受容の神

マーシャルアーツ(注・martial arts。日本語の『武芸』を英訳した言葉。文字通り、『武の』【martial】『芸』【arts】のことを指す。これが転じて、レスリング、ボクシングといった西洋文化に根を持つ術技体系以外の拳法、格闘技全般を指す言葉として用いられる)は相手を殺す、傷つけることが目的。日本の武士道はそうではない。活人剣。合気道然り。全体として生命体意識に目覚める。他者に対する自己犠牲を日本武人は体現している。日本武道は従属ではなく主体性。殺傷ではなく創造。結果よりプロセス。戦い方自体に文化がある。道義があるから戦う。結果は問わない。道義を体現して戦う。

武道は型・形態から入る。型の継承と維持は大変大事。古いものを継承すると新しいものが創造されていく。伊勢の神宮の式年遷宮、皇位継承と同じ。われわれは宇宙の一部、自然の一部。自分の中を探求すると宇宙と共通するものがある。自分の中に宇宙の原理が働いている。包容同化して、勝った者が負けたものをお祭りする。お互いの尊厳を認める。平らけく和するのが平和。お社に集まるから社会と言う。共同体の原理」。

 

| | トラックバック (0)

2018年3月19日 (月)

『深見東州・バースデー書画展開幕式』における登壇者の祝辞

『第十八回 深見東州・バースデー書画展開幕式』における登壇者の祝辞は次の通り。

 

亀井静香氏「深見東州氏は神か人か分からない人。現代のレオナルド・ダ・ヴンチ。歌はうまいとは思わないが、プラシド・ドミンゴと一緒に歌った心臓は大したもの」。

 

小沢一郎氏「深見氏には私の仲間が本当にお世話になっている。今の政治はあまりにもひどい状況。このままでは日本の将来はどうなるのか。嘆いてばかりはいられない。『お前たちは何やってんだ』ということになる。来年の深見氏の誕生日にはきちっとしたことを報告したい。大同団結して夏の参院選で過半数、次の総選挙で政権を取りたい」。

 

原口一博氏「私が難病をしていた時、深見先生は光であった。天から才能の神が降りて来るとおっしゃった。深見先生の光を多くの人に伝えるのが私の使命」。

 

松木けんこう氏「野党がしっかりしないと駄目。国民第一の政治であって欲しい。深見先生には我々の仲間がお世話になっている」。

 

深見東州氏「私は与野党を超越して政治家を応援している。五回以上当選する人。揺るぎない基盤を持っている人。官僚を使うのが上手い人。のるかそるかの時に運がある人。ロシア・北朝鮮・中国と較べると日本には自由がある。私は、年齢と共に生きてゆく。物事を始めたらケツを割らない。継続は力。前人未到のことにチャレンジしていく。継続しつつ新しいものを生み出していく。七十歳になってから第三番目の博士論文を書きたい。知力は冴えている。七十歳から本格的な活動をしていく。まごころを持って至誠一貫で生きていると神様が来て下さる。神の御心にかなえば運が巡って来る。財務官僚・国税庁はずっと前から書類の改竄をやっている。一切不正をしないことが税務署に勝つ道。村木厚子さんのことを見ても分かる通り、検察はどれだけ改竄・虚偽・でっち上げをやっているか。屈辱を受けた時、どう生きて行くかが人間を決める。志を持ち、天地正大の気を受けて乗り越えて行く」。

 

(この記録は小生のメモと記憶によるものです。文責は小生にあります)

| | トラックバック (0)

2018年3月17日 (土)

昨年十一月二十三日に開催された『第三十四回新嘗を祝ふ集ひ』における稲貴夫氏(元神社本庁総合研究部長)による「御代替はり大嘗祭」と題する講演内容

昨年十一月二十三日に開催された『第三十四回新嘗を祝ふ集ひ』における稲貴夫氏(元神社本庁総合研究部長)による「御代替はり大嘗祭」と題する講演内容は次の通り。

 

「この度の御代替わりは、昨年(平成二十八年)八月八日の『象徴としてのお務めについての天皇陛下のお言葉』が出発点になっている。本年(平成二十九年)六月九日、『天皇の退位などに関する皇室典範特例法』成立。ご退位が、皇室会議で正式に決まる。今上陛下には長く御在位いただきたいという願いがあったが、想定外の事態となった。今上陛下は象徴としてのおつとめに全身全霊を込めて来られた。

 

戦後の皇室制度は、未整備のまま今日まで続いてしまった。ご譲位を是とするか否かは議論がある。近代以前を含めて考えるかどうかで結論も変る。天皇のご存在は憲法以前のもの。憲法を超越するご存在である。こういう観点から考えるべし。御代替わりには、即位礼、大嘗祭という国家と皇室の重儀が行われる。

 

現行皇室法には重大なる欠陥がある。皇位継承に不可分の『神器』『大嘗祭』が欠落している。葦津珍彦先生を中心とした皇室法研究会の『現行皇室法の批判的研究』(昭和六十二年十二月刊行)によって、政府関係者に皇統継承のあり方について理解が深まった。戦前は『登極令』があったが廃止された。戦前は、皇室財産である御料林は帝室林野局が管理した。国の財政とは独立していた。昭和三十五年に『伊勢の神宮の御鏡に関する質問に対する政府答弁書』で御鏡は皇位継承と不可分との答弁があった。根本的な法的整備が難しいが、一歩でも二歩でも正しいあり方に近づけたいという先人の努力。

 

大嘗祭の位置づけについて当時論争があった。國の行事とすることによって世俗・政治・政界の横槍が入らないように努力。大嘗祭に関する論争がある。『邇邇藝命が真床追衾にくるまって降臨する。大嘗祭には寝座にやすまれることによって天皇靈を身に付ける』という論があったが、多くの学者によって否定された。秘儀はない。天皇靈が身に付くことはないということになった。しかし、大嘗祭の信仰的・精神的意義を深く考えるべし。新穀をいただくことによって霊が蘇える。

 

平成の御代替わりでは日本の國柄を確認する行事が行われた。しかし極左のテロがあった。三十社の神社に時限発火装置が仕掛けられた。しかし、当時の神社関係者はテロに屈しないと決意した。平成の御代替わりと同様、今度も皇室と国民との強いつながりを確認し、盛り上げていくことが必要。

 

式年遷宮が国民の奉賛があったと同様、大嘗祭も国民全体が奉賛させていただく。日本文化の根底には稲作がある。人間の命の根源である食べ物の有難さを思う。皇位継承と密接に結びついている。稲を中心とする日本文化を考えるべし。

 

アジア島南部にはじまり、生産性が高く連作もできる水田稲作は、その栽培に適したモンスーン地帯へ広がって行ったと考えられる。その時代や経由地については諸説あるが、日本人が稲とその栽培技術を国家形成の基盤と捉えてきたことは間違いない。そのことは、私たちの祖先が辿って来た歴史にも、そして神話の中に記されたコメの起源神話などにも明らか。そして今日のいたるまで品種や栽培技術の改良が続けられてきた。

 

 

 

かつては三食お米を食べることが日本人の夢であり、先人たちはその実現を追い求めてきた。その営みは戦後まで続き、コメの完全自給を達成したのは昭和四十二年のこと。その頃、コメの生産量は過去最高の千四百万トン超を記録したが、以降は逆に余剰が問題となり、生産調整が進められた。現在の生産量は最盛期の半分程度であり、広大な耕作放棄地が生まれている。

 

 

 

同時にその間、食の多様化や経済のグローバル化の渦中に晒され、米離れは今日の過疎問題の原因ともなっている。現実と理想の狭間でコメ離れが進んでいく中、私たちの将来に関わるこの大きな課題を、国民全体が真剣に考える時を迎えている。

 

昭和三十四年生まれの私は、臨海学校に米を持参した。『斎庭稲穂の神勅(ゆにはいなほのしんちよく)』を継承し、御代替わりの際に深く考えることが大事」。

| | トラックバック (0)

2018年3月 8日 (木)

昨年十一月十四日に開催された『呉竹会アジアフォーラム』における中谷元・元防衛大臣の講演内容

昨年十一月十四日に開催された『呉竹会アジアフォーラム』における中谷元・元防衛大臣の講演内容は次の通り。

 

「私は昭和三十二年に高知県に生まれた。防衛大学を出て、六年間自衛隊にいた。苛酷なレンジャー訓練も受けた。平成二年に衆議院議員になった、九・一一の時、防衛庁長官だった。二年前の平和安全法制の時、防衛大臣。掃海艇の派遣は出来なかった。PKOでも戦闘が行われていない地域しか行けない。

 

グローバル化の時代と言うが、国家主義が台頭して来ている。情報ツールで世界が動かされている。エジプトではフェイスブック革命で政権が倒れた。密室でアクセスしてしまう。世の中が劇的に変化。

 

頭山満先生は素晴らしい先覚者。アジア主義の巨頭。条約改正反対を貫いた。金玉均など各国のニューリーダーを育てた。土佐に板垣退助を訪ねた。昭和四年、日光東照宮に板垣退助の銅像を建てた時、民権運動の弟子として祝辞を述べた。

 

今年は大政奉還百五十年。来年は明治維新百五十年。阿部正弘は嘉永七年、日米和親条約を締結し開国を行った。慶応三年、坂本龍馬は山内容堂に対して大政奉還論を進言するため『船中八策』を提出。『一、天下ノ政権ヲ朝廷ニ奉還セシメ、政令宜シク朝廷ヨリ出ヅベキ事。 一、上下議政局ヲ設ケ、議員ヲ置キテ万機ヲ参賛セシメ、万機宜シク公議ニ決スベキ事』などがと書かれていた。大政奉還が行われ、『五箇条の御誓文』が示された。

 

昭和十五年に『三国同盟』を結び道を誤った。アメリカと対立した。無条件降伏した。『ポツダム宣言』が今の憲法の原点になっている。『憲法』を十日間で作り上げた。

 

五年後に朝鮮戰爭がおこり、警察予備隊が創設された。二十六年に主権回復。二十九年に自衛隊創設。三十四年に最高裁の自衛隊合憲判決が出た。

 

トランプファミリーがアメリカを動かしている。トランプ情報が国の運命を左右する。マスコミ情報が正しいかどうかを見誤ると国が滅びる。韓国は慰安婦問題で国家の品位品格が感じられない。北朝鮮は通常戦力では米韓にかなわない。各国のエゴイズムの時代になりつつある」。

| | トラックバック (0)

2018年3月 7日 (水)

昨年十一月七日に開催された『笹川日中友好基金主催 講演会 日中有識者対話・北朝鮮の核危機と北東アジア情勢の行方』における登壇者の発言

昨年十一月七日に開催された『笹川日中友好基金主催 講演会 日中有識者対話・北朝鮮の核危機と北東アジア情勢の行方』における登壇者の発言は次の通り。

 

沈志華氏(華東師範大学歴史学部教授、冷戦国際史研究センター主任、周辺国家研究院院長)「今年三月、大連で講演した時に私は『北朝鮮は中国の潜在的敵』と言った。すると売国奴と批判された。多くの中国人は中朝関係をよく分かっていない。中朝同盟は常に友好を謳っていたが内情は常に変化していた。中国の改革開放以来二十年間で中朝関係は大きな変化が起こった。毛沢東時代は特殊な時代。二〇〇〇年に金正日が江沢民に会った時、金正日は『東北(注・満州)に視察に来た』と言った。『訪問』と言うべきだった。金正日はウチのお父さん(注・金日成)は、毛沢東はかつて何回も『東北は朝鮮のもの』だと言っていたと語った。周恩来は『中国人の祖先があなたたちの祖先をいじめたことを謝る』と言った。毛沢東は、『北朝鮮は最前線にあり、東北は後方にある。一緒に管理しましょう』と言った。金日成は東北で訓練を受けた。特別な関係だった。毛沢東・周恩来死去の後、中国の指導者の考え方が変化。市場経済はすでに社会主義ではなくなった。イデオロギーでも中朝は一致性が無くなった冷戦の終了、東南アジアあるいは世界の構造変化、特に改革開放後の中国の基本的な利益の背離によって、中朝同盟の基盤はすでに事実上崩壊している。中国は安定した周辺環境を必要としており、世界も中国の安定を必要としている」。

 

平岩俊司氏(南山大学総合政策学部教授)「北朝鮮は、以前は中ソ論争・矛盾を利用して国益を確保。今日は米中の対立を巧みに利用して外交空間を確保しようとしている。中韓国交正常化が今の核問題の原点。北朝鮮は中国に裏切られたと思った。自分が核の脅威にさらされるというのが核保有正当化の理由。中韓国交正常化で、北朝鮮は中国の核の傘の下に入っていないという不安を持った」。

 

周永生氏(外交学院国際関係研究所教授)「中国は北朝鮮を完全に信頼していないわけではない。核兵器を中国に向けているとは考えないが、中国に向けているという意見もある。中国は日中関係の改善を望んでいるが、安倍首相は中国批判を続けている」。

 

牛軍氏(北京大学国際関係学院教授)「アジア太平洋地域には長い対立がある。一九七九年の中米国交樹立が対抗から協力への転換。八〇年代から今日まで安全秩序が保障されてきた。四〇年間の安定が続いて来た。朝鮮統一で七千万の人口を持ち核兵器を持つ国が出来る問題がある。核拡散の問題は我々一人一人の生活に関わる問題。この地域の人々全員に対する脅威。技術的故障で核物質が漏れ出した時どうするのか」。

 

李丹慧氏(華東師範大学冷戦国際史研究センター研究員)「中露は七千六百キロの国境を持っている。六十年代初め中ソのイデオロギー闘争が国境闘争にまで広がった。六四年の中ソ国境交渉が決裂。ソ連は核による威嚇を行った。一九六九年の珍宝島事件、文革での反ソの高まりで、一触即発の状態になった。東北アジアにおいて北朝鮮と最も密接な関係を持つ国はロシア。北朝鮮はロシアよりもロシアに傾いている。またロシアは北朝鮮を利用して朝鮮半島と東北アジアでの影響力を強めている。東北アジアから核の暗雲を晴らし、朝鮮半島の安定と平和を実現するためには、大国間の協調が必要。中露が米日韓に対峙して北朝鮮に漁夫の利を得させてはならない」。

 

小泉悠氏(公益財団法人未来工学研究所特別研究員)「ロシア軍はバイカル湖の東に八万人配備されている。人民解放軍が攻めて来ても、ロシア軍は見つからないのではないかという冗談を言う人がいる。NATOの脅威を書く人はいるが、東側で直面している中国の脅威について何も書いていない。この事を明確に言うとデメリットがあるから言わない方が良いという考え」。

 

周志興氏(米中新視角基金会長)「北朝鮮の核汚染の問題がジレンマ。解決できない。中国のメディア・世論は制限をかけられている。インターネットは管理されている。メディアは殆ど政府の立場を代弁している。北朝鮮の指導者を批判してはならないということ。批判すると北朝鮮から抗議が来る。官製メディアはトーンダウンして報道。しかし控えめに批判していいということ。今は反対だがアメリカが武力行使したら中国は変る」。

 

| | トラックバック (0)

2018年2月 3日 (土)

『笹川平和財団主催セミナー・独裁主義体制の挑戦:中国、ロシアとリベラルな国際秩序への脅威』におけるアーロン・フリードバーグ氏(プリンストン大学ウッドロー・ウィルソン・スクール教授)の講演内容

昨年十一月一日に開催された『笹川平和財団主催セミナー・独裁主義体制の挑戦:中国、ロシアとリベラルな国際秩序への脅威』におけるアーロン・フリードバーグ氏(プリンストン大学ウッドロー・ウィルソン・スクール教授)の講演内容は次の通り。

 

「リベラルな国際秩序は、とりわけ個人の自由が大事。個人の権利は神聖である。アメリカの『独立宣言』はこれを端的に表現している。理想的な国際秩序はリベラルな民主国家から形成される。二十世紀になってアメリカのビジョンが台頭。リベラルな国際秩序作りをした。概ね西側と言われる自由な国家、軍事、経済の枠組みが出来た。ロシア・中国は条件を満たしていなかった。自由民主主義体制ではなかった。これによって今の危機に至っている。

 

ロシア・中国の国内は自由化していない。中国は自由化など全く考えていない。政治的コントロールの縛りを強くした。ロシアは改革の第一歩から駄目であった。中国とロシアは重要な部分が似ている。独裁体制であり、自由な選挙もない。市民の自由を保護することはない。両国とも勢力圏を確立しようと思っている。ロシア・中国共にグローバルな野心がある。アメリカと同等であると主張し始めている。ロシアは西側同盟を分断しようとしている。

 

『中国は経済発展すれば自由化する』と思われていたが、そうはならなかった。中国は豊かになったが、以前よりも抑圧的になっている。中國ロシア共に今の道を続けることが出来ると思っている。それが我々にとって大変な挑戦になっている。新しい技術ができることが政治の自由化につながらないということである。希望的観測を持ってはいけない。中国が主導してグローバルな秩序が作られるという事は少なくとも近い将来にはない。

 

中国の経済成長がこのまま続くと考えるのは間違い。先進国の経済力を合算した国力は中国の国力に勝っている。地域で中国がどういう行動をとるかを注視すべし。アメリカの役割は非常に大事。ユーラシア大陸に『一帯一路』という大規模投資をしている。これがうまくいくが疑問があるが、深い野望がある。日米がその中に入ってコントロールできると考えるのは誤り。日米は代りのプロジェクトを推進し、透明性を確保し、効率を高めるべし。我々のプロジェクトを進めるべし。

 

優れたバランスオブパワーを維持するために日米同盟は重要。日本が防衛力を高めているのは前進。他の民主国家・インド・オーストラリアを含めて多国間の防衛協力を強化すべし。アメリカがイラクと戦争したのはワーストであった。戦争しない方が良かった。アメリカのビジョンを弱めた」。

| | トラックバック (0)

2018年1月27日 (土)

デニス・C・ブレア氏(元米国太平洋軍司令官 米国第3代国家情報長官)による講演内容

昨年十月三十日に開催された笹川平和財団主催「第3回サイバーセキュリティ月例セミナー」におけるデニス・C・ブレア氏(元米国太平洋軍司令官 米国第3代国家情報長官)による講演内容は次の通り。

 

「日本のセキュリティは脅威に見合う軍事的対応の立法化が進んでいない。情報共有についての連携が義務化されていない。多くの官庁企業の協力が必要。インフラ防護の調整と協力は企業の利害が一致していればうまくいく。官僚間のライバル意識が阻んでいる。

 

犯罪グループや北朝鮮が攻撃を仕掛けてくる。日本はサイバーセキュリティの専門家が不足している。アメリカよりも深刻。経産省・総務省・防衛省は訓練プログラムを持っている。担当職員を増している。世界第三位の経済大国日本においてはサイバーセキュリティ企業と利用者企業の適正な比率はない。強い部署を自社の中で持っているべし。

 

官民協力・法律と規制を作ることで國民をサイバー犯罪から守る。官は民の声を聞くべきだが、民間に決めさせてはならない。ⅠOT(注・Internet of Thingsの略で、『モノのインターネット』と訳される。パソコンやスマホなどの情報通信機器に限らず、すべての『モノ』がインターネットにつながることで、生活やビジネスが根底から変わるという)が最近の事例。インターネットに多くの製品をつないでいる。ハッカーによる攻撃の面積が拡大している。日本とドイツはIOTスタンダードを設定しようとしている。

 

日本における官民協力は発展途上。秘密主義的文化が日本は強いので官民協力が阻害されている。スキルを持った人材が不足。サイバー犯罪抑止の結果が出ていない。サイバー攻撃の数は増えている。検挙数は横ばい。日本においてはサイバー犯罪がしやすくなっている。ハッカーは脅威を感じていない。警察庁の持つ権限、セキュリティ組織の持つ権限が限られている。FBIは裁判所の許可があればコントローラーをハッキングすることが出来る。日本は権限を法執行機関に与えるべし。国民のプライバシーの権利を保護するためにもそれは必要。IGCT(国際刑事機構のサイバー捜査部門)の初代局長に日本の警察庁の官僚がなった。

 

サイバー保険は日本では大きなトピックにはなっていない。日本はこの数年サイバーセキュリティの能力は高まっている。技術者と経営幹部のコミュニケーションが大切。サイバー技術専門家と経営者の共通言語を作らねばならない。

 

日本のレガシーは質の高いモノづくりの長けた品物を売ること。知的財産の保護・インターネットのコントロールは、通常の外交とは異なる。どこの国の外交官も迷っている。アメリカの優位性はFBIや州警察で体験した人が企業の専門家になること。日本は才能の民間と官の回転ドアが無いので信頼関係が無い。態勢が整っていない。中小企業をサイバーセキュリティにどう巻き込むことが出来るかが問題。ハッカー侵入を防ぐシステムが大切。いずれにしても人材が不足している。何万人という専門家を集めねばならない。脅威の情報を収集すべし。

 

ハッキングは少人数で出来る。それほど経験も要らない。だから北朝鮮を過小評価してはいけない。北朝鮮・中国・ロシア在住の人に攻撃的存在がある。もっとも良いサイバー防衛は、ハッカーの立場に立って考えること。そして自分の防衛に組み込むこと。それが実効性が高い」。

| | トラックバック (0)

より以前の記事一覧