2019年5月19日 (日)

昨年十一月十七日に開催された『アジア問題懇話会』における阿部純一霞山会常任理事・研究主幹の「中国『一帯一路』の軍事的側面を考える」と題する講演内容

昨年十一月十七日に開催された『アジア問題懇話会』における阿部純一霞山会常任理事・研究主幹の「中国『一帯一路』の軍事的側面を考える」と題する講演内容は次の通り。

「一体一路というのは曲者。時間と共に変化している。今は南米まで加わっている。氷山のシルクロードと言って北極航路の利用まで打ち出している。一帯一路は党規約に書き込まれた習近平の国家戦略。中国の野心はどんどん広がっている。その根本を決めるのは中国のエネルギー戦略。

やがて中国共産党結党から百年、中華人民共和国建国から百年を迎える。二〇一九年以降、中国経済の成長は鈍化している。鉄鋼やセメントの過剰がリーマンショックの影響で起こってしまった。過剰生産、外貨の過剰準備。二つの過剰を金儲けの手段に切り替えた。スリランカの港湾建設に大きな金を高利で貸し付けた。インドネシアの高速道路、ラオスの鉄道建設でも貸し付ける。中国側に有利な仕組みで中国の国有企業が儲かる。中国の影響力強化を図る。

一九九二年より、エネルギー・石油輸入国になった。国内経済の活発化で国内石油では足りなくなった。中国国内で消費されているエネルギーは石炭。大気汚染が深刻化。天然ガスに切り替えると習近平が命令したが、うまく進まなかった。民生用の石油利用はどんどん増えていく。中国の入ってくる石油供給源は中東アフリカ。日本の石油ルートとあまり変わらない。中国にとって脅威はマラッカ海峡封鎖。シンガポールの港にアメリカ海軍が定期的に寄港。マラッカ海峡封鎖の脅威を回避するためにパイプラインを作る。石油の中心とするエネルギー安全保障が中国の最大関心事。連結性強化を図る。

習近平は終身国家主席になった。二〇三五年、習近平は八二歳から八三歳。アメリカに追いつける意欲を見せている。そのために一帯一路は重要。海軍力を拡大しアメリカ海軍を西太平洋から駆逐する。二〇一三年の習近平の初訪米で、太平洋は広いから東西二分論を主張。ハワイから西を中国の影響下に置きたい。中央アジアで中国とロシアの覇権争いが起こる。リムランド(地政学の用語のひとつ。ニコラス・スパイクマンによる造語であり、北西ヨーロッパから中東、インドシナ半島までの東南アジア、中国大陸、ユーラシア大陸東部に至るユーラシアの沿岸地帯を指す)は中国にとって手ごわい地帯。インド日本という中国の言うことを聞かない国がある。ソマリア海賊退治は中国にとって天の助け。インド洋では中国の軍事拠点はジブジだけ。

南シナ海は中国のベースでどんどん軍事化が進んでいる。戦闘機は長持ちする。中国製の戦闘機は輸出できない。耐久性に劣る。アメリカに対抗できる力を中国は持っていない。実績を積む前に虎の尾を踏んだ。私はアジアにおける発火点としては北朝鮮より台湾の方がより大きくなりつつあると懸念している。中国は、『アメリカ艦船が高雄に寄港したらその時、台湾海峡で戦火が上がる』と脅している。台湾海峡での軍事バランスは極めて危うい。しかし中国の台湾上陸は難しい。アメリカは対応を取る。一九四九年以来のアメリカとオーストラリアとの同盟関係は強固。オーストラリアはアメリカのやる戰爭には必ず協力。中国は米豪関係を分断できない。パプアニューギニアはオーストラリアの影響下。中国軍は組織的作戦で戰爭に勝てる軍ではない。中国軍は腐敗している。経験の無い連中が軍の上にいる」。

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昨年十月二十九日に開催された『明治の日を実現するための議員連盟支援集会』における登壇者の発言

昨年十月二十九日に開催された『明治の日を実現するための議員連盟支援集会』における登壇者の発言は次の通り。

塚本三郎明治の日推進協議会会長「明治維新の先人の努力を学ぶことが大切。先人の事績を学び、感謝すべし」。

古屋圭司議員連盟会長「消防団は日本が生んだ世界一のインフラ。十一月三日は叙勲の日。出来るだけ多くの与野党の賛同を得る必要あり。昭和二十二年十一月三日、『明治節』が『文化の日』に替えることを強いられた。『明治の日』を作ると国家神道が復活するとA新聞は批判。風が吹けば桶屋が儲かる論法。法制局と協力を進めている。自民党の中でも政務調査会と連携し、法案成立を期す。将来を担う子供が明治の精神を全く学校で学んでいない。明治の日制定によって学校教育で学ぶことができるようになる」。

稲田朋美議員連盟幹事長「私は『代表質問』で『五箇条の御誓文』の復活を訴えた。道義的に尊敬される國を目指し明治の精神に回帰しなけれはいけない。明治維新百五十年の今年に形にしてゆく」。

山田宏議員連盟事務局長「天下大乱の時に日本人にとって大切なのは民族の記憶。明治時代を作った記憶に回帰する。『文化の日』では駄目。自民党内の部会を通し、公明党の理解を得て、野党の支持を受ける。私は野党生活が長いので野党対策」。

衛藤晟一氏「明治維新前後の激動の時代は、日本人が素晴らしい精神で駆け抜けた時代。その精神を私たちの心の中に蘇えらせる」。

新保祐司氏「国民が歴史を振り返ることは大事。奈良時代も偉大だった。明治時代はもっと偉大だった。明治の精神が偉大だったのは物質文明が偉大だったからではない。非凡なる凡人が明治の人。義の精神が強くあった。今日の日本人は鑑として振り返らねばならない。独立自尊の精神。カレンダーに『明治』という文字が刻まれ、『明治の日』の行事が行われることによって明治の精神が継承される」。

櫻井よし子氏「日本に本当に必要であるのは、日本人は立派な民族であるという精神。自分の力で国土と民族を守ることが求められている。それが出来なければ民族は滅びる。戦後は豊かになったか、日本人は日本人の価値を置いて来てしまった。国家としての日本、精神の気高さ、誇りがあった。それが形になったのが明治国家。『五箇条の御誓文』ほど立派なものは無い。今の時代にも通用する。今日の世界に広めてゆく価値のあるものが『五箇条の御誓文』。その精神を忘れないために『明治の日』制定が大切」。

阿羅健一氏「十一月三日を『明治の日に』という篤い思いで日本青年館に集まったのは十年前。正念場に来て国会議員と一緒になって頑張っていきたい」。

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2019年5月 1日 (水)

公益社団法人・日本弘道会主催「弘道シンポジウム2018ー日本の皇室を考える-天皇陛下の御退位を目前にして」における登壇者の発言

十月二十三日に開催された公益社団法人・日本弘道会主催「弘道シンポジウム2018ー日本の皇室を考える-天皇陛下の御退位を目前にして」における登壇者の発言は次の通り。
所功京都産業大学名誉教授「日本の皇室は天照大神を皇祖と仰ぐ。天皇皇室は国民大多数から敬われてきた。天照大御神は皇祖神であり、歴代天皇の御尊称はスメラミコト、スメミマノミコトである。神々を祭り、人心を清らかにし統一するミコトであらせられる。皇族が消滅する恐れがある。『皇室典範』の総合的見直しに努めるべし。日本皇室が続いて来たのは、血統が極めて重要。そのためにも君徳の涵養が大事。この会場に来ている人は、日本に皇室が末永く続くことを祈ることで共通している。今上陛下の御心と歴代天皇の御心とは違うかどうか。一昨年のお言葉は今上天皇個人の思い込みで仰ったとは思わない。原則原理には例外はある。譲位も例外。原則は重要だが状況が変化したら変えることによって本質が守られる。養子・猶子で正統性をつないだ。側室を認めることは不可能。旧皇族の御子孫を養子・猶子にする可能性を探るべし。男系か女系かの議論に疑問を持つ。平成二十二年の参与会議で譲位のご意向を示され、政府に伝わっていた。しかし民主党政権だったので十分な対応が出来なかった。もっと早く真剣に対応すべきだった。天皇制の存続を願ってのご放送であった。譲位という言葉を政府が使わないのは頑なな考え。譲位と言うべし」。
古川隆久氏日本大学教授「日本国憲法制定までの状況を見ると、戦争への反省があった。国民主権という国の在り方や象徴天皇という考え方は、日本の軍部官僚が神格化された天皇の権威を乱用して失敗を隠蔽し、その結果戰爭で甚大な被害を出してしまった事実を踏まえ、占領軍に先立って日本側から提起されたものだった。天皇のテレビメッセージはぎりぎり合法。天皇のご訪問によって被災地の救済が進むのであれば、国民主権と議会制民主主義が空洞化してしまう。天皇がリードしたり牽引するのは、現行憲法考え方に照らすと適切ではない。天皇の問題提起を受ける形で、国民の間で開かれた自由な論議が半年以上にわたって行われた。この事は国民主権下における象徴天皇制の定着が進んできたことを示しており、大変喜ばしい。女性天皇・女系天皇について自由な議論で、議会制民主主義で決めるべし。天皇制と議会制民主主義が共存する。皇族以外も含めて猶子を考えるべし」。

八木 秀次氏麗澤大学教授「現行『皇室典範』には退位の規定はない。政府国会は終身在位制を維持しつつ特例法を制定した。一代限りの退位という特例を作った。特例制定は先例となったので、皇位は不安定になったと言わざるを得ない。天皇の自由意志によって退位できる。即位も否定できる。国家の道徳的中心は天皇にある。天皇を戴くことが日本国を道徳的にする。日本には老舗が多い。日本人は努力勤勉を尊ぶ。男系継承で来たので安定している。天皇に徳を求めすぎると争いになる。天皇が政治に関わらないのは重要。象徴という言葉の出典は英国のウォルター・バジョットの『イギリス憲政論』を参照した。バジョットの本の中に『君主は党派を超越、統合の象徴』とある。バジョットの本こそ福澤諭吉の『帝室論』の種本。福澤は『我帝室は政治社外にあるものなり』と言った。男系継承は確立した原理。一度も例外はない。天皇の正統性の直結。柔軟に考えてはいけない。最早十年もこうした議論をしている。政治の決断が必要」。


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2019年4月30日 (火)

公益社団法人・日本弘道会主催「弘道シンポジウム2018ー日本の皇室を考える-天皇陛下の御退位を目前にして」における小堀桂一郎東京大学名誉教授による「天皇=象徴観の今昔」と題する基調講演の内容


十月二十三日に開催された公益社団法人・日本弘道会主催「弘道シンポジウム2018ー日本の皇室を考える-天皇陛下の御退位を目前にして」における小堀桂一郎東京大学名誉教授による「天皇=象徴観の今昔」と題する基調講演の内容は次の通り。
「平成二十八年七月十三日に、天皇陛下が譲位のご意志を内々にお示しになったとNHKが報道。この段階では宮内庁は否定。メディアは強い反応。あのご高齢では譲位はもっともというのが世論の大多数。八月八日に陛下が譲位のご意向を国民に直接表明された。御退位は動かし難いものとなった。生前退位という表現を、皇后陛下が拒否。『産経』をはじめ譲位と表現した。

草莽の人々はある種の困惑を惹き起こした。憲法のもとの天皇は、国政に関する権能を持たないと言われた上で、摂政を否定し、譲位を表明された。超憲法的処置を求められた。昭和五十三年、栗栖弘臣統幕議長(当時)が『国家緊急事態の折には超法規的措置を以て対処する』と言っただけで罷免された。天皇の国事行為に対する助言と承認をする政府も、そして国民も柔軟な対応を示した。これは歓迎に値する。現行憲法は敗戦国の戦勝国に対する臣従の誓いのようなもの。占領目的の達成の手段が米国製憲法であった。これは国家的屈辱であった。この拘束を破る憲法無視は結構ということである。

しかし、天皇の個人的ご意向によって超憲法的事態が生ずるのは一抹の不安が生ぜしめる。『特例法』は、『今上天皇お一人に限る御譲位』という配慮が施してある。今回の事が前例として踏襲されることは防がれた。

今上陛下は憲法第一条の規定を強く意識され、象徴の在り方について常に心を砕いてこられた。〈日本国の象徴〉〈国民統合の象徴〉であるという現憲法での天皇の位置づけ乃至性格規定をめぐって、今上天皇と皇室伝統擁護派の一部言論人との間に、この規定の理解をめぐって齟齬が生じていることが明らかとなった。大きな災害が発生した時の被災者への親身なご激励、天皇皇后両陛下のご行動が不幸を背負った人々にどれほど大きな慰めとなったか。しかし、三十年間の靖国神社不参拝が、私どもの考える『象徴』と、陛下が模索される『象徴』との食い違いが生じる。

陛下がご加齢による身体の衰えの故に『これまでのように、全身全霊を以て象徴の務めを果たしていくことが難しくなる』とご軫念に、ある疑問にとらわれることがある。つまり陛下の言われる『象徴としての務め』とは皇位にあられる身にとって本当に不可欠な義務なのであろうかとの疑念である。

憲法の規定は、天皇は『統治権の総攬者』『国家元首』から『象徴』になった。國體の変更が起こったのか。和辻哲郎は『象徴天皇』で國體は変更していないとした。佐々木惣一は変更しているとして論争となった。国民の総意とは個々人の意識の集積ではなく、二千年の歴史的意志である。歴史的に形成された全体意思の中に無数の死者たちの意思も含まれるルソーの一般意思である。

和辻氏は見落としていたが、『天皇は象徴である』という性格規定を文字にした先例がある。それは明治三十四年に新渡戸稲造氏が英文で著作した『武士道』である。この書の中で新渡戸稲造氏はブリートミーというイギリスの歴史家が英国の王室について〈それは権威の像(イメージ)たるのみでなく、国民的統一の創造者であり象徴(シンボル)である〉と説明したことを引いて、それが実態をよく表現し得た言葉であるとの表現を付して、〈この事は日本の皇室については二倍も三倍にも強調せるべき事柄である〉との見解を述べている。

現行憲法の〈国民統合の象徴〉規定は、GHQ民政局次長として英文原案の奇想のたずさわったチャールズ・ケイディスの『その場でのふっとした思いつきだった』という告白的回想にもかかわらず、実際には新渡戸のこの英文著作から意識して借用したものだというのが私の見解である。

象徴としての天皇の御存在は、独自の行動的機能を有する必要を有しない、祭祀主としての静謐な在り様をお示し下さっていればそれで十分なのだった。今上天皇は昭和二十年からの数年間、小学校初等科六年から中学初年級という学齢の時期に、昭和天皇が国家存亡の危機に毅然として対処しておられたその極度の緊張を経験しておられる。父帝を身近にご覧になるにつけても、祭祀主としての伝統に則した象徴的の説に安んぜられる環境になかった。

皇太子の時代に、象徴と位置付けられた天皇は如何に身を処してゆくべきか、いかに行動すれば国民統合の役割を果たすことができるのか、という問いを自らが運命的に背負った課題として模索を試みることを余儀なくせられた。所詮罪は米国製の國體違反の憲法にある。罪は独立回復の時この米国製憲法を廃棄しなかった政府と立法府の怠慢にある」。

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2019年4月 4日 (木)

山田吉彦東海大学海洋学部教授による「日本の海が危ない―脆弱な島嶼防衛」と題する講演内容

昨年十月二十日に行われた、『アジア問題懇話会』における山田吉彦東海大学海洋学部教授による「日本の海が危ない―脆弱な島嶼防衛」と題する講演内容は次の通り。

 

「日本という国は、北は択捉から沖ノ鳥島まで三千キロを超える。周囲一〇〇メートル以上の島嶼のみで六八五二の島がある。これ以外を加えると十万を超える島がある。離島の人口は七〇万人。淡路島も離島に分類され十万人住んでいる。人が住んでいる島は四一六。一人しか住んでいない島もあるのでこれは毎年変る。この島のお蔭で日本は非常に恵まれている。

 

国連の『海洋法条約』は大きな影響力がある。沿岸から十二カイリを領海とする。沿岸国が行政権・警察権を持つ。ただし無害交通権がある。瀬戸内海・東京湾は内水。無害交通権は適用されない。排他的経済水域は他を排し独占的に経済的権利が認められる。海底資源の権利、漁業管轄権などがある。海洋調査と安全を守るという義務を果たす。

 

台湾と日本が提携すべし。逆さ地図を見ると、中国は完全に蓋をかけられてしまう。アメリカに物を運ぶ時、日本の近海を通らなければ中国は貿易出来ない。中国はこれ以上攻撃的になれない。紛争国となれば中国は日本海域を通る事ができない。中国は沖縄切り崩しをしている。

 

尖閣・沖縄で嘘を百回言えば本当になる。琉球独立を図る。琉球独立学会というのがあり、毎年一回シンポジウムが北京で開かれている。沖縄の土地を中国企業に売るのが目的。沖縄の工業地帯造成地をかなり中国に売っている。沖縄取り崩しに向っている。中国は最初に与那国のレーダーを壊しに来る。台湾も中国から相当圧力をかけられている。

 

自衛隊は沖ノ鳥島に行くことができない。沖ノ鳥島は門司から六十時間かかる。日本の土地の持つ力は中国への圧力になっている。台湾と日本が手を結べば完全に中国を押しこめることができる。

 

ロシアは日本との協調関係が成立しないと極東開発ができない。ロシアは『日露平和条約』を結んでしまいたい。対馬には毎日三千人の韓国人観光客が来る。対馬で高麗蒙古連合軍が何をやったか。沿岸警備が重要。海上保安庁は一万三千人。数が少ない。船も少ない。中国の海警局の方が多い。海保は軍であってはならないということで後方支援も出来ない。

 

西之島(にしのしま。小笠原諸島にある島(無人島)。海底火山の活動により生じた火山島)は順調に大きくなった。尖閣で海洋調査をすべきだ。北方領土は返還される目途は立っていない。ロシアは日本海で仮想敵国・アメリカに対して軍事展開したい。色丹島には千人を超えるロシア兵がいる。だから二島返還もない。北方領土にどんどん観光客を送って相当巧妙に日本化しないとおいしい所だけ取られてしまう。観光客は七月から九月までしか行く事ができない。十月になったら冬。

 

日本の島々をしっかり管理することが重要。台湾と連携して島嶼防衛線を作る。他国と協力できる態勢を作るべし。習近平は八回から九回暗殺未遂に遭っている。中国の台湾侵攻はあり得る。習近平は祖国統一の英雄になりたい。尖閣に自衛隊を常駐させないと危険」。

 

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2019年4月 3日 (水)

笹川平和財団主催『米国新安全保障センター(CNAS)理事長・リチャード・フォンテーン氏講演会』におけるリチャード・フォンテーン氏による「変化するアジアにおける日米関係」と題する講演内容

昨年十月一日に開催された笹川平和財団主催『米国新安全保障センター(CNAS)理事長・リチャード・フォンテーン氏講演会』におけるリチャード・フォンテーン氏による「変化するアジアにおける日米関係」と題する講演内容は次の通り。

 

「日米関係が強いことがアジアの平和のために重要。日米の連携は以前にも増して重要。インド太平洋、アジア太平洋は変化しているしこれからも変化する。トランプ政権は『自由で開かれたインド太平洋地域を』と言っている。言葉の背後には概念の変化もある。二つの海の交わる所で複数の地域に影響がある。『日米印の二十年の強化』という言葉の背後には政策立案者の考えがある。中国の野心的な影響力が背後にある。一帯一路の投資は巨額の金が動く。このままの事態が続くと思ってはならない。中国は労働者の数が減った。地域の國が返済できなくなっている恐れがある。中国の国産空母が出来、海軍力が強化されている。中国の軍事力が強化されている。米国の優位は小さくなりつつある。日米連携の動きは中国の動きが背景にある。北朝鮮の動きもある。日米関係に劇的な変化があった。非核化の枠組みをどのように確保するのか。北朝鮮が核兵器を放棄する。抑圧体制を変えることに疑問を持っている。現状ではその反対。北朝鮮の核放棄の兆候は全く見えない。あっという間に緊張関係に戻る可能性あり。中国を除くインド太平洋の国々が日本とオーストラリアと絆を強めつつある。アジアの安全保障のネットワーク構築は中国への懸念がある。アメリカとの同盟関係に加えて協力関係を作るのは評価すべし。ネットワークの多角化を図るべし。インド太平洋におけるアメリカの役割をトランプ政権は重視している。地域秩序を守ろうとしている。トランプ政権は中国の一帯一路に警戒的。中国の他国への干渉に対してもアメリカは批判的。防衛面でこの数年日本にとって大事な時期になる。憲法九条改正、輸出用の武器製造、敵地攻撃能力が議論として出てくる。アメリカの保護に日本は何時まで頼り続けるのか議論した。アメリカ国民には三つの分野がある。①平和の維持のためにヨーロッパとアジアは提携関係を持つ。②豊かさを維持するために自由貿易を守る。③アメリカの政治的価値を世界に広げる。この三つの原則は民主・共和両政権に共通する。アメリカは自由な国際秩序とルールを作ってきたと思っている。トランプは今の国際秩序于アメリカのためになっていないと思っている。トランプだけでなくアメリカ国民もそう思っている。この傾向がインド太平洋における関与を決めている。日米両国は共に強く共に近い関係が良い。一緒にいた方が良い。アジェンダ(計画・予定)を共有し日米両国が共通の目的を持っていた方が良い。根本的現状理解に立ち戻り米軍幹部は日米協力を大切と思っている。トランプも安倍との会見が他国の人より多い」。

 

続いてパネルディスカッションが行われ、次の発言があった。
佐橋亮氏(神奈川大学 教授、アジア研究センター所長)「インド太平洋という戦略概念が広まっている。中国に対応するアメリカに政府と大統領とのせめぎ合いがある。トランプに共鳴する人も増えている。トランプ政権はグローバルに対する敵意を持つ外交政策を持つ。トランプとそれを支える経済ナショナリストが強い。秩序を気にしないトランプ。アメリカ以外の國がどんなに連携してもバランスオブパワーを崩すことはない」。

 

リチャード・フォンテーン氏「インド太平洋戦略がアメリカンファーストに吸収されてしまうのは一部正しい。ただし実戰上何処まで変って来るのか分からない。日米豪印が力を合わせて中国に対抗する。アメリカがインド太平洋から離れて行くとは私は見ていない。アメリカの同盟国で日本は圧倒的に軍事的能力が高い。冷戦下の米ソ関係には無かった依存的経済貿易関係が今日の日中米にはある。今日の日米中には対立競争関係だけでなく相互依存的関係がある。金正恩とトランプの関係には破綻があり得る。北朝鮮は敵対政策をもう一回やりたいと思っている。アメリカ国民は選挙干渉があったのでロシアに関心を持っている。中国に対する防衛能力、抑止力は極めて大切」。

 

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2019年2月15日 (金)

佐伯啓思氏(京都大学心の未来研究センター特任教授)による『日本経済再生への期待と不安』と題する講演の内容

昨年九月二十六日に開催された『新聞通信調査会特別講演会』における佐伯啓思氏(京都大学心の未来研究センター特任教授)による『日本経済再生への期待と不安』と題する講演の内容は次の通り。

 

「石破さんが善戦したというより安倍圧勝。安倍への対抗馬はない。野党は問題外になっている。野党は安倍に対抗できない。石破は色々なことを言ったが弱い。地方創生大臣の時実績を挙げられなかった。

 

中国はアメリカを追い越すかもしれない。インドも強くなっている。その中で『日米同盟以外にない。日本の経済競争力をつける』という二つが安倍の考え。これに対する対抗軸を出せと言っても難しい。日本はアメリカに頼る以外にない。

 

アベノミックスは果たしてうまくいったのか。失敗したとは言えない。数字上景気は好景気。雇用状況も求人難。アルバイトの時給も上がっている。外国人がどんどん日本に来ている。株価も上がっている。円安のおかげで輸出好調。しかし万全かというクェッションが付く。国債金利は上がらない。財政規模は膨らんだ。

 

第一の矢の金融緩和とはお金をジャブジャブ出せばインフレとなる。そういう考え方。財政政策をどんどんやるのはケインズの考え方。政府は公共投資をして率先して経済を動かす。フリードマンはケインズ派が嫌い。『市場経済は競争によって成り立っているので、政府が介入するのは良くない』というのがフリードマンの考え方。政府のやることは物価を上げたり下げたりすることだ。『景気が悪い時は政府が出て来るべし』というのがケインズの考え方。

 

この第一の矢と第二の矢をやっているのはかなりアクロバットなやり方。安倍と黒田はそれを分かったうえでやっているのであろう。考えようによってはこれは恐ろしい。政府の国債発行分を日銀がファイナンスしている。財政を中央銀行がファイナンスしてしまうというのは規律がなくなる。政府の赤字分を中央銀行が出して来る。実際の企業の設備投資に流れていない。あり得ないことをやってこの程度の事しかできない。

 

第三の矢で成功すると安倍氏は言う。『成長戦略さえうまくいけば財政はうまくいく。成長戦略の中心はAI(人工知能)。ロボット、ITなどの新しいテクノロジーが社会を変えてしまう。これさえうまくいけばいい』と安倍さんは思っている。

 

新しい産業革命が起れば生産性は上がる。もう一度経済成長できる体質に変えようと言って来たがこの考え方は駄目。グローバル競争は破綻している。経済成長すれば良くなるという考えは限界に来ている。経済成長至上主義は止める。IT革命を起せば生産性は高まると言われた。経済効率性が高まると言った。ではどうだったのか。GDPは増えなかった。IT革命は経済効果は殆ど無かった。企業生産性を高めたが、そこで働いていた人々は仕事を失った。

 

供給が二倍になれば需要も二倍に増えねばならない。そうではない経済は良くならずデフレになる。需要を増やすのは難しい。高齢者はみんな金を持っているが物を買わなくなった。預金している。

 

イノベーションが人間を幸せにするかどうかわからない。携帯電話の普及は家庭を崩壊させた。若者はブランド物に興味無し。若者はコンビニがコーヒーを買ってスマホを見ている。金融資産だけが増えてしまう。欲しい物が無い。

 

生活の質を考えるべし。量で考えるべきではない。適正規模を考えるべし。経済を大きくすればいいという考えを変える。巨大災害が来たらどうするのか。質の良い社会・システムを作るのが大切。安倍氏の経済政策が上手くいけばそれを考えてほしい。日本は成熟経済時代に入った。ゼロ成長だと貧しいというのは間違い。ゼロ成長時代に東京は大変化」。

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三角育生氏(内閣官房内閣サイバーセキュリティセンター副センター長・内閣審議官)による「サイバーセキュリティ戦略の改定について」と題する講演内容

昨年七月二十五日に開催された「第十回サイバーセキュリティ月例セミナー・サイバーセキュリティ戦略の改定について」における三角育生氏(内閣官房内閣サイバーセキュリティセンター副センター長・内閣審議官)による「サイバーセキュリティ戦略の改定について」と題する講演内容は次の通り。

 

「サイバーセキュリティのサイバー(空間)には色々な文明・文化がある。社会の変化がある。それを見据えてサイバーセキュリティを考える。新しいサービスがどんなことができるか。従来の人間社会が作って来たものが、新しい構造になっていく。それを悪用することによって想定外の事が起きる。

 

サイバー(空間)を使って起って来る。オリンピックでも何か仕掛けられたら大変。自由・公正・安全なサイバー空間を維持する。政府が管理する権限があるという考え方がある。サイバー空間をどう規律していくか。国連でも意見が対立。日本は自由主義の立場。インターネットの世界は、政府が関与せず民間の力で発展してきた。

 

新しい民間の力で技術開発が進んできている。自律的に安全のシステムが回ってゆく環境を作っていきたい。『任務保証』は聞き慣れない言葉。サイバーセキュリティを確保するのが目的となっている場合があるが、人、組織、ビジネスミッションがある。そこに遂行するのが目的。

 

ICT(情報・通信に関する技術の総称)の普及で色々なサービスが実現。安全のレベルの違いがある事が脆弱性になる。国際標準化・言葉の統一を提案している。

 

サイバー空間をクリーンアップする。国民が安全安心の生活ができる。積極的サイバー防衛。防犯カメラが適切に設置されているかどうか。重要インフラ・サービスを安定して提供するために、サイバーセキュリティが重要。行動計画を立てる。戦略性を持って出来るだけ自動化を導入したい。

 

学問の自由を守るためのセキュリティ。オリンピック開催中のサイバーセキュリティ確保。自分の情報は他人と共有したくない。何よりも大事なのは人材。組織的対応をしなければならない。戦略・研究開発が大切」。

 

モデレーターをつとめた山口昇元陸将・元内閣官房参与「防御するには攻撃能力を持たねばならない」と語った。

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2019年1月18日 (金)

渡辺剛杏林大学教授による「中国のシャープパワーに揺れる台湾民意」と題する講演内容

昨年七月七日に開催された『アジア問題懇話会』における渡辺剛杏林大学教授による「中国のシャープパワーに揺れる台湾民意」と題する講演内容は次の通り。

 

「私は台北市生まれ。母方の祖父が台湾人。祖父は戦前地主。戦後没落。国民党に恨みを持つ。私は、外事捜査官の教育もした。警察学校国際捜査官養成コース教官を経て杏林大学教授。

 

シャープパワーとは軍事力、経済力、権威主義。国家による影響力行使。中国の工作の対象は先進国全般。アフリカへの浸食は激しい。ハードパワーとは経済・軍事での実力。ソフトパワーは文化イメージ。理念も重要。アメリカはハードパワーだけでなくソフトパワーも強い。シャープパワーは内部から蝕んでいく。シャープパワーの対象は財界。

 

企業は金さえ儲かれば國さえ売りかねない。政治家・官僚にも飼い犬になる奴がいる。オーストラリアの政官界で『中国の資金を受け取ってはならぬ』という立法が行われた。文化、学界、有識者、大学、シンクタンクを工作の対象にしている。工作の内容は、虚偽情報流布、人的経済的浸透工作。

 

投資を人質にとって『中国を裏切ったらどうなるか分かっているだろ』ということになる。弱みを握られる。親中派と保守派の間にくさびを打ち込む。レーニンの手法。レーニンは『弱い所を狙え』と言った。開かれた自由民主国家はこれを防ぎきれない。

 

マスコミに外資が入るのを断固として防ぐ必要あり。国民としてのアイデンティティが弱いと付け込まれる。自由民主主義が定着しないとそれに付け込んでくる。アフリカへの中国の食い込みは激しい。インフラ・社会システムに中国資本が入り、やり方も中国式になっている。経済基盤が作られる。

 

カンボジアは中国に乗っ取られた。政治根経済も中国化している。ケニアのインフラは中国式になっている。ケニアは顔認識ができる。危機感が薄い。中国問題の専門家が少ない。こういう国を狙って中国は入って来る。中国に逆らっても無駄だと思い込ませる。中国は「途上国の味方だ」と強調する。香港はかなりひどく食い荒らされている。しかし香港資本反中国に傾いている。オーストラリアも遅まきながら気付いた。先進国は中共のネガティブイメージが強い。後進国はそうではない。

 

中台関係はかなり悪い。蔡英文は就任演説で台湾という言葉を使わなかった。陳水扁は使ったが…。蔡英文はその後かなり中国を刺激するようなことをしている。中国の『文攻武嚇』が強まっている。呼称問題で、航空会社・ホテルへの圧力を強めている。断交国も増えている。企業も名所変更を余儀なくされている。台湾が国交を持つ国は貧しい國が多い、そこに中共が食い込む。

 

台湾人意識はじりじり下がっている。心情的反中も下がっている。『戦争になるのは嫌だから現状維持が良い』と言う人が増えている。しかし自分のことを中国人と言い切る人はほぼいない。『中国が大きくなるのだったら呑みこまれるのはやむなし』という人が増加。多数派は台湾人意識だがそうではない人も増え始めている。台湾人アイデンティティが薄くなっている背景にあるのは、経済優先、実利志向、名より実の傾向が強いこと。対中警戒感は多数派を占めているが、比率が下がってきている。台湾の貿易相手は四割が中国。

 

ドイツ、オーストリア、スイスはドイツ民族だが、国家は異なる。アングロサクソンも、英米加豪ニュージーランド。国家は別。国ごとにアイデンティティを持っている。台湾は国民アイデンティティが未成熟。蔡英文は、『台湾は多元的移民社会』という考え。教育の場で、中国史を外国史に入れた。地理も同じことが行われようとしている。与野党対立はひどい。国民党統治の全否定。

 

日本もトランプ政権並みに台湾支持を鮮明にすべし。『在台北米代表処の防衛のために海兵隊を派遣する』とうのがインパクトを与えている。軍は国民党。将官は外省人。下士官に台湾人が多い。世代交代で将校は本省人。将校には素朴に台湾を守りたいという人が多い」。

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黒田秀高伏見稲荷大社正禰宜の「明治維新から第二維新へ」と題する講演内容

昨年七月三日に開催された『國體政治研究会』における黒田秀高伏見稲荷大社正禰宜の「明治維新から第二維新へ」と題する講演内容は次の通り。

 

「去年は『応仁の乱』五百五十年。『応仁の乱』と明治維新は関係がある。『応仁の乱』は家督相続の戦争で、戦国時代まで続いた。能、歌舞伎は『応仁の乱』以後に興った。戦乱の中の民衆の側からの改革によって日本は変った。明治維新の制度改革は民衆から盛り上がったのではない。『応仁の乱』とは対照的。『応仁の乱』で権威は崩れた。

 

明治維新には理念はあったが思想はあったのか。薩長は討幕の後の理念を決めていなかった。徳川慶喜の方が列侯会議を考えていた。薩長と慶喜との駆け引きがあった。慶喜は大政奉還を行った。慌てたのは薩長。島津斉彬は討幕を考えていなかった。斉彬は列侯会議を目指した。井伊直弼は幕府にしがみつき過ぎた。時代を考えていなかった。江戸時代は宮家より摂関が上だった。摂関家が朝廷の権威を貶めていた。

 

明治維新の後、太政官と神祇官が復興した。神祇官は何をすればいいか制度内容が決まっていなかった。平田篤胤と津和野派の福羽美静との軋轢があった。神祇省は教部省になった。残念ながら内容の検討が出来ぬまま明治維新を迎えてしまった。戊辰戦争終結の後、まずしなければならなかったのが外国との交渉。不平等条約の改正。前王朝の歴史を編纂することが正統性の証明になる。前王朝から引き継いだことを証明するために正史を作る。正統性の主張の大きな意義がある。日本は『三代実録』で生死が途絶えた。修史は東京大学史料編纂所に引き継がれた。『日本書紀』『続日本紀』の『紀』とは本筋・筋道という意。

 

廃藩置県、版籍奉還は公地公民・王土王民という考えがあった。しかし中途半端に終わってしまった。土地私有化が進んだ。徴兵令の制定によって武士階級がなくされた。

明治十四年国会開設。二十四年憲法発布。上からの制度変革が立て続けに行われた。西郷隆盛が一番の思想家。『南洲遺訓』をいかにして生かすかが問題。明治第一の思想」。

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