2018年6月13日 (水)

『笹川平和財団主催 インド洋地域の安全保障国際会議』における登壇者の発言

 

二月二十三日に開催された『笹川平和財団主催 インド洋地域の安全保障国際会議』における登壇者の発言は次の通り。

 

カンワル・シバル氏(元駐フランス・インド大使 ヴィヴェカナンダ国際財団参与)「アジア太平洋からインド太平洋という概念に移行して良かった。広い国々に影響を及ぼし、関心が持たれている。西太平洋とインド洋に共有された脅威について戦略的パートナーシップが安倍首相によって強化された。国際的規範を持つ国は中国の野心に対処すべし。中国はインド太平洋を支配してアメリカに取って代わりたい。中国はインド洋で十六の基地建設を望んでいる。安倍首相の積極的平和主義の提唱に感謝する。日米印豪の四か国が協力する状況は熟している。中国は他国の利益を考えていない。中国は民主主義を否定している。一帯一路の構想も野心的。中国は国際安保を複雑にしている」。

 

マイケル・マクデヴィット氏(元米海軍大将 CAN上席研究員)「インド洋における中国の能力は、小さな種が大きな木になる。中国海軍の能力が今後どうなるか。人民解放軍の演習は自分の力を誇示する。中国はどうしてインド洋に艦船を派遣するのか。共産党から海軍に命令された。中国海軍の役目は本土とシーレーンを守ること。中央軍事委員会の命令。一帯一路が国家のプライオリティ。中国海軍が期待されている。地球の裏側まで行き長期的に活動できる能力が必要。そういう部隊を作ろうとしている。運用可能な中国の空母三隻が就役。二〇二一年、イージス艦・駆逐艦を二十一隻持つ予定。九十七から百隻の艦船がインド洋で活動している。米中関係が悪化すればより多くの艦船をインド洋に派遣して中国の権益を守る。アメリカは中国と比較して圧倒的に優位。アメリカが核で中国に不利ということは全くない。中国海軍の新たな駆逐艦は防空能力を持っている。高速巡航船・水陸両用艦は、五六千人の海兵隊を世界の何処へでも派遣できる。中国海軍は何処まで建艦建造をするのか分からない。

 

デイヴィット・ブリュースター氏(オーストラリア国立大学上席研究員)「中国の国民が百万人アメリカにいる。パキスタンにも中国籍の人が増えている。パキスタンに五十万人の中国人労働者の宿泊施設を作っている。危機の時に中国海軍が中国人労働者の退避を可能にしなければならない。中国海軍は示威運動をしている。モルディブ沖で海軍演習を行った。中国は太平洋を第一戦線、インド洋を第二戦線にしている。潜水艦の支援施設をインド洋に作る。そのためにパートナーたるパキスタンに依存せざるを得ない。中国は海上交通路を守らねばならない。そのために広いネットワークが必要。大きな海上プレゼンスが必要。これにはかなり時間がかかる。モルディブはインドの責任領域であり、行動をとるべし。しかしどういう行動をすべきかが問題」。

 

下平拓哉氏(防衛省防衛研究所主任研究官)「中国の海軍力は、民兵、海警で成り立ちその戦力を使う。安倍首相は積極的平和主義を提唱。海上の連結性を活性化する必要あり。インド・オーストラリア・日本は、三つの地域で責任を持つ。日本は東シナ海と南シナ海で責任を持つ。インドはアンダマン海と南シナ海で責任を持つ。南シナ海が一番重要。技術開発・訓練の協力が大切。潜水艦の需要が高まっている。インド太平洋にてお互いに関係を深めるべし。台湾は重要なのに議論にならない。米海軍大学も台湾とフィリッピンが重要であるとして研究されている」。

 

ビジェイ・サクージャ氏(グジャラート国立法科大学・南洋理工大学)「非伝統的脅威は沿岸で発生する。非国家主体がやりたいことをやる。民主主義を信じる国々が手を携えて対中包囲網を作り、中国を説得すべし」。

 

ローリー・メドカルフ氏(オーストラリア国立大学教授)「アジア太平洋とインド洋は、安保面でも経済面でも切り離すことはできない。中国の影響には多極的・戦略的に対処すべし。日米豪印の安保対話が大切。自由で開かれたインド太平洋にすべし。中國排除ではないが、インド洋における中国の力が他国に損害を与えないことが重要。トランプ政権の方向性が重要」。

 

デニス・ブレア氏(元米海軍大将 笹川平和財団米国(SPF-USA)会長)「中国は全体主義。野心がある。日米印豪四国は民主的で公平なルールに基づいた活動を行う。アジア全域でルールに基づいた秩序を守る。小さな国を支えることが必要。防衛協力で中国の威迫に対処すべし」。

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2018年5月29日 (火)

矢坂明夫産経新聞外信部次長による「中国習近平『皇帝』の野望にどう対応するか―台湾問題を含めて」と題する講演内容

二月十日に開催された『アジア問題懇話会』における矢坂明夫産経新聞外信部次長による「中国習近平『皇帝』の野望にどう対応するか台湾問題を含めて」と題する講演内容は次の通り。

 

「私は一九七二年天津生まれの残留孤児二世。父は昭和二十年に二歳であった。私が生まれる一週間前に田中訪中。日中関係正常化。文革の真っ最中に父は日本のスパイとされ強制労働。銭湯で垢すりを担当。収入は三分の一になった。父親は日中国交正常化で『日本の友人』ということになり名誉回復。家では田中角栄の悪口を言えない雰囲気があった。十五歳で帰国するまで共産党教育を受けた。

 

政治家が評価されている国家が安定している。日本の政治家は一流。私は一九九七年に慶応大学卒業。松下政経塾で学んだ。選挙の手伝いをした。しかし政治家になろうという人が勉強していない。街頭演説で新聞の見出しを読みあげる。支離滅裂。こんな人が政治家になって良いのかと思った。国会での質問も新聞を見てやっている。世の中を変えるのは新聞記者だと思った。中国社会科学院に留学。2002年産経新聞入社、2007年から十年間中国総局(北京)特派員。

 

中国メディアのニュースは政治家のため指導者のためにある。習近平が大きく見えるように写真を撮る。メディアは権力闘争に絡めて操作される。

 

二〇〇八年に胡錦濤が訪日した時同行した。唐招提寺に行った。その二日後に四川大地震が起きた。被災地に行った。十一万人が亡くなった。

 

当面一番大事な問題は、李克強と習近平の確執。習近平は共産党権力に集中させたい。李克強は規制を緩和させ内需を拡大して民間の力を活用したい。習近平にはコンプレックスがある。李克強は経済担当。経済事情が分かっている。習近平は自分の任期中に経済的にアメリカを超えたい。そのためには成長率が八%以下では駄目。

 

二十五人の政治局会議で大事なことを決める。常務委員は七人。バラバラ。何も決められない。政治局二十五人プラス長老が決める。今年の党大会の前に激しい権力闘争があった。孫政才が失脚するとは誰も思っていなかった。孫政才は無派閥だった。軍内の胡錦濤は粛清され四人失脚。

 

台湾を国際組織から排除することを画策。台湾と国交関係のある国を奪う。メディアと孔子学院を利用して宣伝戦をしている。北朝鮮と中国は核問題でそれほど対立していない。中国と北朝鮮はヤクザ的親子関係。中国が北を攻めることはない。

 

習近平がこの五年間にやったことは粛清と反日。尖閣に海上民兵が上陸するか否か。人権の尊重・民主主義の価値観を発信すべし。李克強訪日前に拘束されてゐる八人の日本人の無事帰国を最優先課題にすべし。

 

習近平はこの五年間権力固めしかしていない。しかも権力が固められない。李克強も失脚させられない。個人崇拝をやらせるのも自信の無さの表れ。今度の大会で後継者を作らなかった。安定した後継者がいることによって國が安定し経済発展がある。これから激しい権力闘争がある。粛清すればするほど敵が増える。肉親しか信じられない。王岐山は何もなければ三月に国家副主席になる。党の役職がなくとも政府に役職につける。習近平のそうなりたい。党の会議に参加できない人が国家権力を握ると一党独裁にならない。

 

朝鮮戦争で中国の『台湾解放』は出来なくなった。今の台湾の政治家が朝鮮情勢に興味がないのは残念。日本の保守派は他力本願で、アメリカが北朝鮮に武力行使をしてくれると思っているがそれはない。

 

中国の台湾への武力行使が失敗すると共産党政権が駄目になる。台湾の中の親中派に内乱を起させ、中共軍を派遣して占領する。『中華民族の復興』とは漢の武帝、清の康熙帝の時代に戻すこと。朝貢体系を作った時代の秩序に戻すことが理想。中共は沖縄独立をかなり本気で支援していた。沖縄を独立させて衛星国にしたい。沖縄の人は独立を主張しても本気ではない。

 

中国で日本人がスパイとして逮捕されても国会も政府も野党も取り上げない。産経だけが取り上げる。八人のうちの二人は李克強来日の時に釈放するという噂あり。カナダ人やアメリカ人も拘束されている。拘束された人にNGO関係者が多い。日本叩きの延長」。

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2018年5月19日 (土)

伊吹文明第七十四代衆議院議長による講演内容

二月七日に開催された『躍進日本!春風の会』における伊吹文明第七十四代衆議院議長による講演内容は次の通り。

「今年は明治維新百五十年。アジアの多くの国が植民地になる中で、日本は植民地になるのを免れた。それには我々の先輩方の苦労があった。富国強兵を國の目標とした。日露戦争に勝ち、第一次大戦で漁夫の利を得た。列強の仲間入りをした。当時の若者は司馬遼太郎の言った『坂の上の雲』を夢見て頑張った。その後、日本は欧米列強の真似をし過ぎた。欧米と衝突して大東亜戦争に敗れた。そこが一区切り。我々の祖父祖母の世代はアメリカに追いつき追い越せと一生懸命生きてきた。

 

京都は爆撃の被害を受けなかった。しかし日本の全てが破壊された。戦後は、高度成長のプロセスを手に入れた。今の中国とよく似た状況。インフラが殆ど無い状況から立ち上がり、どんどんお金が入って来た。そのお金を使って作ったのが高速道路・新幹線・社会保障。

 

昭和の御代が終わり平成に入って高度成長のマイナス面が蔓延。平均寿命が九十歳近くになった。親爺の年金をあてにしてフリーターをしていけば生きていける。長生きすればお金がかかる。財政は当然赤字になる。賃金が高くなる。これだけ行き届いた國はそれだけ経費がかかる。日本は労働生産性が非常低い。全体として底上げは出来たが、恩恵を受ける人の格差が出来た。

 

賃金の安いところに工場を持って行くことが出来る企業はどんどん海外に出て行っている。大企業は儲かるから日経平均は上がる。資材は海外で調達。農業や地方の伝統産業は大変。

 

日本は少し曲がり角に来ている。明治維新から七十年と敗戦から七十年で行き詰って来た。この次の七十年は何を『坂の上の雲』として生きて行くべきかを政治家は考えねばならない。日本本来のものを取りもどさねばならない。人間的なものを取りもどさないと次の七十年はうまくいかないのではないか。

 

いわゆる先進国家は自由民主体制で動いている。民主生徒は国民一人一人が物事を決める権利を持っている。主権者が真剣でないと民主制はポヒュリズム・衆愚政治になる。民主制度をどう動かせばいいかが問題。自由とは何をしてもいいというわけではない。池田潔氏は『自由と規律』という本を書き、『規律が無ければ自由はない』と言った。日本人は矜持を確立せねばならない」。

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2018年4月23日 (月)

福島香織氏(元産経新聞中国総局特派員)による「二〇一八年、中台関係はどうなる」と題する講演の内容

一月二十日に開催された『アジア問題懇話会』におけるフリージャーナリストの福島香織氏(元産経新聞中国総局特派員)による「二〇一八年、中台関係はどうなる」と題する講演の内容は次の通り。

 

「習近平は微笑外交に転じたのではないかという期待があった。ところが年明け早々中国の台湾圧迫が強まっている。尖閣に対しても圧力が強まっている。軍船が入った。攻撃型潜水艦が尖閣海域に近づいたのは前代未聞。東シナ海が緊張。習近平は、軍の指揮系統の一元化し、共産党の軍である、軍は党の指導に従うことを確認。

 

中華民族の偉大なる復興は清の乾隆帝の時代をイメージしている。乾隆帝の時代は版図が一番広い時代。眠れる龍の時代。中華民族の偉大なる復興の中心は軍の強化。今世紀半ばまでに世界一流の軍の建設。アメリカに対抗できる軍を作る。

 

『中国近未来の六つの戦争』という写真が中国で流されている。それには『台湾統一(二〇二〇―二五)、南シナ海奪還(二〇二五―三〇)、インド国境奪還(二〇三五―四〇)、釣魚東・琉球奪還(二〇四〇―四五)、外モンゴル(二〇四五―五〇)、ロシア国境奪還(二〇五五―六〇)』と書かれている。これが本当かどうかは別。中国は『琉球は冊封体制に入っていたので沖縄はオレのもの』と主張。

 

五大戦区はそれぞれ戦略目標を持っている。アメリカのシンクタンク(共和党系)は二〇二〇年までに台湾に侵攻するとしている。『サウスチャイナモーニングポスト』にもその説が載った。中国が二〇二〇年に設定する理由は、台湾独立パワーの高まり、国民党政権が返り咲いても『中台統一』への指導力はないなど。武力統一論を去年暮から出すようになった。

 

解放軍内部がざわついている。今年も四回退役軍人のデモがあった。習近平が妥協してデモに妥協したのは初めて。軍の掌握が上手くいっていない。これを是正するために外部の敵対勢力と戦って国内を統一する。台湾を取りもどすと習近平の歴史的偉業になる。台湾・日本との緊張が丁度いい。

 

台湾の情勢は二〇一四年以降劇的に変わった。台湾人の中国人アイデンティティは非常に低下している。九割は台湾人と思っている。アメリカは台湾を全面的に庇護する姿勢を強める。台湾のNGO職員が政府転覆罪で逮捕され、懲役五年の判決。外国のNGOも中共の管理下に置かれる。

 

中国には一億人以上のカソリック教徒がいる。この人たちを見捨てるわけにいかない。ローマ法王は中国を訪問したいという意識がある。中国はカリブ海周辺の台湾と国交のある国に影響力を強めている。パナマの次にドミニカに接触してインフラ支援をしている。外資企業への踏み獲を行っている。台湾を國扱いする企業は中国で商売できない。

 

中国は、北朝鮮問題に国際社会の視線を集中させつつ台湾併合へと動いている。二〇一八年は日本にとっても危機的な年になる可能性あり。中国の太平洋進出の野望を阻み、東シナ海を守るためには台湾は大事。台湾問題は日本の安全にかかわる。

 

尖閣海域に中国の原潜がうっかり入ったなどということはあり得ない。刺激の度合いを強めて来ている。日本のメディアはあまり報道しない。二〇二二年は沖縄施政権回復後半世紀。中国は節目を大事にする。五十年経つと日本のものになる。だから尖閣は係争地であると国際社会に認めさせるために緊張を高める。

 

領土は力づくで奪うというのが国際社会のルール。アメリカが安保条約第五条を発動する保証はない。係争地帯だからお互いで解決してくれということになる。二〇二二年は半世紀の節目。習近平政権にとって尖閣奪取、台湾奪取が選択肢。それが出来るかどうか。可能性はある。成功するかどうかも分からない。むしろこれをきっかけとして習近平共産党政権が揺らぐかもしれない。

 

世界が真空状態になりつつある。その真空を狙って中国は色々なことをする。それが国際社会にとってリスク。台湾・北朝鮮・尖閣がきっかけとなって国際社会が劇的に変わる可能性あり。中国の原潜が尖閣海域に入ったのは重大事件。日本は対中脅威感が一番強い。もう少し劇的対立が鮮明にならないと決定的米中対立にならない」。

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2018年4月20日 (金)

笹川平和財団主催「1/16 知的対話:日印パートナーシップの深化が生み出す可能性と役割」における登壇者の発言

一月十六日に開催された笹川平和財団主催「1/16 知的対話:日印パートナーシップの深化が生み出す可能性と役割」における登壇者の発言は次の通り。

 

ハリンダ―・コーリー氏(センテニアルグループインターナショナル会長)「全ての地域で高齢化社会を迎える。日本だけでなく中国も高齢化社會を迎える。世界の労働人口はピークを迎えている。都市化が進む。最も都市化している地域が北アフリカ。金融市場のグローバル化はリスクを伴う。中間層の台頭は大きなトレンドとなる。インドは大きな中間層を抱えることになる。天然資源に関する競争が激化する。気候変動は加速する。幸いなことに技術革新が進んでいる。非国家主体の暴力が高まっている。IМFの報告によると世界の成長の六五%はアジア。中國・日本・インドが世界の成長の五〇%を押さえている。二〇五〇年にはGDPの五六%はアジアが占める。世界の中心はアジアに戻る。インドは世界七番目の経済大国。インドはフランス・イギリスを追い越すであろう。五番目になる。ドイツをしのいで四番目になる。米中日印になる。二〇五〇年にはインドは二番目の経済大国になる。日本は豊かな国であり続ける。しかし日本は、人口は少なくなる。日本とインドは同じ価値観でお互いの礎になり得る。アメリカは不確実性の中で今の大統領は任期満了まで行かないかもしれない」。

 

モンテック・アフルワリア氏(元インド中央計画委員会の副委員長)「日本は前もって計画をする國。長い先を見据えたうえで日印は協力せねばならない。経済発展と地政学的発展の二つがある。インドと日本は歴史的な紛争がない。共通するところが多い。歴史的に二つの國は紛争の重荷は無い。日印はこれまで数年間『特別な戦略的パートナーシップ』という言葉がよく言われている。しかし経済では協力関係は低いレベルにとどまっている。日本は強くインドを支援して下さった。有難い支援を長年いただいている。インドの経済は閉鎖されていた。一九九一年からインドでは経済変革を行った。民主的インドという状況の中で経済変革が行われた。IМFの予測では中国は成長が鈍化する。インドは伸びる。インドの成長が早まっている。インドは外貨準備高が早まっている。インドの輸出は少ない。インドはアジアとの統合は低い。インドと日本は交流すべし。投資をすべし。ソ連崩壊以前は二極化された世界だった。ソ連崩壊後は単極化した。フランシス・フクヤマは『歴史の終焉』と言ったが、それは現実にならなかった。小規模紛争が増えた。一九九〇年代初めから自由主義的秩序が世界に広がると言われたが圧力がかかった。リベラルな秩序が繁栄の基盤になるはずだったがうまくいかなかった。EU統合によってヨーロッパが極になると言われていたが全く実現しなかった。EUの統合は損なわれた。中国の成功は良いこと。しかしその結果バランスが維持されなくなった。中国という一つの力が台頭するとアメリカの支配力が後退する。台頭する国が秩序を維持してくれなければならない。その意味でインドと日本が協力する。日印は共有する所が沢山ある。航行の自由、安全保障の面での協力が増えている。アジア・アフリカコリドールを具体化すべし。経済地政学では日印は協力しなければならない。WTO(注・ガットの多角的交渉として1994年に終結したウルグアイ・ラウンドで合意され、各国の批准を経て951月に発足した、貿易に関する国際機関)を日印で活性化させるべし。アメリカがアジアから引き下がるのはアメリカのためにも良くない。一帯一路はパキスタン・カシミールを通る回路があるからインド政府は反対。インフラを作ってくれるのは有難い。しかしは債務を押し付けてはならない」。

 

ラジャット・ナグ氏(元アジア開発銀行事務総局長)「ポジティブは構造的要素があるので日印は協力せねばならない。自由民主主義と不可分の法の支配を共有している。歴史的負担・マイナスの重荷が無い。インドはあらゆる面で投資が必要。日本は技術がある。資本が余っている。しかし人口は減っている。故に日印は協力しなければならない。日印は、戦争中は仲良かった。戦後は、インドはソ連寄り。日本はアメリカ寄りだった。今は、印日はパートナーにならねばならない。中国の台頭により多極化世界になった。オープンな地域主義は必要。安全保障は貿易を守るために必要。日米印豪のパートナーシップを目指す。アジアには世界の三分の二の貧困層がいる。格差が拡大している。アジアを要塞化してはいけない。対抗ではなく貿易路を担保するために経済だけでなく安保面でも協力すべし。アメリカはアジアにいることが自国の利益になる」。

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2018年4月18日 (水)

『憲法懇話会』における慶野義雄平成国際大学名誉教授による「帝国憲法軍事安全保障関係条項」と題する報告内容

昨年十二月十六日に開催された『憲法懇話会』における慶野義雄平成国際大学名誉教授による「帝国憲法軍事安全保障関係条項」と題する報告内容は次の通り。

「憲法に軍を保有すると書くなら良いが、一項・二項を残して自衛隊保有を書くのはおかしい。『帝国憲法』は軍の保有は当然のこととして構成されている。

 

『帝国憲法』には、『第10条天皇ハ行政各部ノ官制及文武官ノ俸給ヲ定メ及文武官ヲ任免ス但シ此ノ憲法又ハ他ノ法律ニ特例ヲ掲ケタルモノハ各々其ノ条項ニ依ル。第11条天皇ハ陸海軍ヲ統帥ス。第12条天皇ハ陸海軍ノ編制及常備兵額ヲ定ム。第13条天皇ハ戦ヲ宣シ和ヲ講シ及諸般ノ条約ヲ締結ス。第14条天皇ハ戒厳ヲ宣告ス。第19条日本臣民ハ法律命令ノ定ムル所ノ資格ニ応シ均ク文武官ニ任セラレ及其ノ他ノ公務ニ就クコトヲ得。第20条日本臣民ハ法律ノ定ムル所ニ従ヒ兵役ノ義務ヲ有ス』と書かれている。

 

『帝国憲法』には何故『軍を保有する』と書いていないのか。『帝国憲法』制定時には、軍はすでにあったから敢て憲法に書く必要はなかった。国家があって憲法が作られるのであり憲法が先にあって国家が作られたことは歴史上一度もない。自衛隊を憲法に規定すると、自衛隊を軍に改組するときは再度憲法改正の手続きをしなければならない。再改正は現実的には不可能に近い。一項、二項削除なら法律制定のみで軍に転換できる。自衛隊を明記するなら自衛隊が戦力であり、交戦権を持つことを明示しなければならない。

 

対外的には自衛隊は軍であり戦力。国内的には實力。これはダブルスタンダード。戦後日本は国家の存在の有を否定した奇妙な日国家団体・アナーキズム社会であった。政府・軍の行動を制約することを第一義とするなら非武装・軍を持たなければ良いだけ。軍を持つ以上、少ない軍事費でいかに最大限の国防効果をあげるかが最重要。

 

国防軍ではなく自衛隊を書き加えるのは、今の自衛隊を固定化することになる。現状追認になる。今と変わらないのなら殊更自衛隊を憲法に書く必要なし。戦力とは軍。自衛隊は軍としなければならない。しかし第二項を残すと軍にはならない。一項・二項に違反するという状況が続く。一項・二項単純削除なら軍が再建される。文民統制は必要。軍の保有は、憲法の条文ではなく国家の存在理由に由来する。軍を憲法で規定するから合法合憲というのではなく、主権国家があるからそこに軍があるという発想に転換すべし」。

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2018年4月 6日 (金)

奥山真司国際地政学研究所上級研究員による「地政学から見た海洋安全保障―北朝鮮問題を事例として」と題する講演内容

昨年十二月十二日に開催された笹川平和財団海洋政策研究所主催『第一四七回海洋フォーラム』における奥山真司国際地政学研究所上級研究員による「地政学から見た海洋安全保障北朝鮮問題を事例として」と題する講演内容は次の通り。

「日本ではじめて地政学を扱ったのは倉前盛通氏。『悪の論理』は十万部売れた。エキセントリックな陰謀論。その後、冷戦が終わり、地政学という言葉は使われなくなる。二〇〇二年に、第13代連邦準備制度理事会(FRB)議長アラン・グリーンスパンが『地政学リスク』という言葉を多用するようになった。現在は、金融系の言葉として出てきている。地理+政治学=地政学。GeographyとはGeographyで、『地球を描く』ということ。誰が地球を描くのか。地図はロンドン中心。彼らの世界がこの地図に表れている。そして戦略が描かれている。隣国は潜在的に敵。その向うの國は、敵の敵は味方。人類はコミュニティを持った瞬間から地政学的思想を持たねばならない。

一八七一年までドイツという国はなかった。ドイツ民族はヨーロッパに散らばっていた。アメリカの西方拡大は『明白な天命』として西方に物凄く拡大し、ヨーロッパ以上の領土を獲得して世界第二位の大帝国が出現。大陸横断鉄道を作った。トランプ自身のルーツがドイツ。フリードリッヒ・リスト(注・19世紀のドイツ人経済学者)がアメリカの発展を見て驚いた。『俺たちも東に向かってアメリカと同じことが出来る』と考えた。一八七一年にドイツ帝国誕生。『蛮人であるドイツ人がヴェルサイユ宮殿で勝手に「皇帝」を名乗った』とフランスが怒り、普仏戦争が起こって、ドイツが勝った。ドイツは地理学・交通学がしっかりしていた。ヒトラーの東方拡大は、アメリカの影響。地政学がそのもととなった。

 

国際システムの中心は海上交通に依存している。富を動かしているのは海洋。北極海が軍事的に重要になって来る。日本としてはユーラシア大陸にそれほど関与せずにやって行くのが理想。十九世紀のイギリスが手本。日本としては余剰の兵力を対中国に充てる。人類の歴史は海と陸との戦いの歴史。シーパワーが優位。外交が軍事に勝る。トランプ政権は不安定。何をするか分からない。アメリカの生存が脅かされる時に軍事介入する。『偉大なアメリカ』を実現するために軍事介入する。アメリカの生存に関係ないと介入しない」。

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2018年3月20日 (火)

日本学協会主催『第七回日本学講座』における明治神宮武道場至誠館館長・荒谷卓氏による「生成思想と武士道-世界を創造する精神文化―」と題する講演内容

昨年十二月九日に開催された日本学協会主催『第七回日本学講座』における明治神宮武道場至誠館館長・荒谷卓氏による「生成思想と武士道-世界を創造する精神文化」と題する講演内容は次の通り。

 

「自衛隊に三十年近くいた。ブッシュ大統領が九・一一に際してテロとの戦いを宣言。アメリカの軍事に対する考え方が根本的に変わった。軍事に関する教科書が書きなおされた。富の不平等な配分、特に物を持つ者と持たない者との格差を生じる。グローバル化に取り残される国家が生まれる。国家が主役ではなく、法人企業と個人が主体。今は中間層がいない。富める者と貧しい者しかいない。

 

軍事作戦は、攻撃と防御の戦略的概念が根本。今は安定化作戦。同じ力ではなく圧倒的な力の差によって社会秩序の安定化する。ペリーが来日する時の『航海日誌』に『日本が価値のある産物を有しながら鎖国する権利はない。日本が譲歩しないなら武力によって開放すべきだ』と書いた。日本文化の価値觀はそういうところにはない。このような目的と価値観で軍事作戦に参加するのはノー。私の価値観と異なる。新自由主義の資本主義は、非合理的ろ情緒的生活の全てを解体する。経済外的規範から成る共同体の慣習は資本主義の規律とは相反する。私は経済成長=幸福とは考えていない。

 

個人の権利の法的規定は家族の中で政争が始まる。個人の権利の主張から万民の幸福は出て来ない。正しい文化伝統の価値観を守っていきたい。

 

戦争は極めて合理的考え方から成り立つ。合理性で武器の進歩がある。武道は世界的普遍性がある。神道の祭祀では籬(ひもろぎ)を立てる。常緑樹はその土地の神をお呼びする。ロシアで行われたセミナーの祭典の時、神職が『かけまくも畏きキリストの大神』という祝詞を相乗した。参加者は感動した。

それぞれの参加者の信仰の取り持ちをするのが神道。自分自身を構築するのが武士道。フランスの柔道人は日本より多い。日本人に感謝の心を持っている。明治神宮の参拝者の半分は外国人。日本の神はきこしめす神、みそなわす神、見てくれる・知ってくれる神。日本の神は受容の神

マーシャルアーツ(注・martial arts。日本語の『武芸』を英訳した言葉。文字通り、『武の』【martial】『芸』【arts】のことを指す。これが転じて、レスリング、ボクシングといった西洋文化に根を持つ術技体系以外の拳法、格闘技全般を指す言葉として用いられる)は相手を殺す、傷つけることが目的。日本の武士道はそうではない。活人剣。合気道然り。全体として生命体意識に目覚める。他者に対する自己犠牲を日本武人は体現している。日本武道は従属ではなく主体性。殺傷ではなく創造。結果よりプロセス。戦い方自体に文化がある。道義があるから戦う。結果は問わない。道義を体現して戦う。

武道は型・形態から入る。型の継承と維持は大変大事。古いものを継承すると新しいものが創造されていく。伊勢の神宮の式年遷宮、皇位継承と同じ。われわれは宇宙の一部、自然の一部。自分の中を探求すると宇宙と共通するものがある。自分の中に宇宙の原理が働いている。包容同化して、勝った者が負けたものをお祭りする。お互いの尊厳を認める。平らけく和するのが平和。お社に集まるから社会と言う。共同体の原理」。

 

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2018年3月19日 (月)

『深見東州・バースデー書画展開幕式』における登壇者の祝辞

『第十八回 深見東州・バースデー書画展開幕式』における登壇者の祝辞は次の通り。

 

亀井静香氏「深見東州氏は神か人か分からない人。現代のレオナルド・ダ・ヴンチ。歌はうまいとは思わないが、プラシド・ドミンゴと一緒に歌った心臓は大したもの」。

 

小沢一郎氏「深見氏には私の仲間が本当にお世話になっている。今の政治はあまりにもひどい状況。このままでは日本の将来はどうなるのか。嘆いてばかりはいられない。『お前たちは何やってんだ』ということになる。来年の深見氏の誕生日にはきちっとしたことを報告したい。大同団結して夏の参院選で過半数、次の総選挙で政権を取りたい」。

 

原口一博氏「私が難病をしていた時、深見先生は光であった。天から才能の神が降りて来るとおっしゃった。深見先生の光を多くの人に伝えるのが私の使命」。

 

松木けんこう氏「野党がしっかりしないと駄目。国民第一の政治であって欲しい。深見先生には我々の仲間がお世話になっている」。

 

深見東州氏「私は与野党を超越して政治家を応援している。五回以上当選する人。揺るぎない基盤を持っている人。官僚を使うのが上手い人。のるかそるかの時に運がある人。ロシア・北朝鮮・中国と較べると日本には自由がある。私は、年齢と共に生きてゆく。物事を始めたらケツを割らない。継続は力。前人未到のことにチャレンジしていく。継続しつつ新しいものを生み出していく。七十歳になってから第三番目の博士論文を書きたい。知力は冴えている。七十歳から本格的な活動をしていく。まごころを持って至誠一貫で生きていると神様が来て下さる。神の御心にかなえば運が巡って来る。財務官僚・国税庁はずっと前から書類の改竄をやっている。一切不正をしないことが税務署に勝つ道。村木厚子さんのことを見ても分かる通り、検察はどれだけ改竄・虚偽・でっち上げをやっているか。屈辱を受けた時、どう生きて行くかが人間を決める。志を持ち、天地正大の気を受けて乗り越えて行く」。

 

(この記録は小生のメモと記憶によるものです。文責は小生にあります)

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2018年3月17日 (土)

昨年十一月二十三日に開催された『第三十四回新嘗を祝ふ集ひ』における稲貴夫氏(元神社本庁総合研究部長)による「御代替はり大嘗祭」と題する講演内容

昨年十一月二十三日に開催された『第三十四回新嘗を祝ふ集ひ』における稲貴夫氏(元神社本庁総合研究部長)による「御代替はり大嘗祭」と題する講演内容は次の通り。

 

「この度の御代替わりは、昨年(平成二十八年)八月八日の『象徴としてのお務めについての天皇陛下のお言葉』が出発点になっている。本年(平成二十九年)六月九日、『天皇の退位などに関する皇室典範特例法』成立。ご退位が、皇室会議で正式に決まる。今上陛下には長く御在位いただきたいという願いがあったが、想定外の事態となった。今上陛下は象徴としてのおつとめに全身全霊を込めて来られた。

 

戦後の皇室制度は、未整備のまま今日まで続いてしまった。ご譲位を是とするか否かは議論がある。近代以前を含めて考えるかどうかで結論も変る。天皇のご存在は憲法以前のもの。憲法を超越するご存在である。こういう観点から考えるべし。御代替わりには、即位礼、大嘗祭という国家と皇室の重儀が行われる。

 

現行皇室法には重大なる欠陥がある。皇位継承に不可分の『神器』『大嘗祭』が欠落している。葦津珍彦先生を中心とした皇室法研究会の『現行皇室法の批判的研究』(昭和六十二年十二月刊行)によって、政府関係者に皇統継承のあり方について理解が深まった。戦前は『登極令』があったが廃止された。戦前は、皇室財産である御料林は帝室林野局が管理した。国の財政とは独立していた。昭和三十五年に『伊勢の神宮の御鏡に関する質問に対する政府答弁書』で御鏡は皇位継承と不可分との答弁があった。根本的な法的整備が難しいが、一歩でも二歩でも正しいあり方に近づけたいという先人の努力。

 

大嘗祭の位置づけについて当時論争があった。國の行事とすることによって世俗・政治・政界の横槍が入らないように努力。大嘗祭に関する論争がある。『邇邇藝命が真床追衾にくるまって降臨する。大嘗祭には寝座にやすまれることによって天皇靈を身に付ける』という論があったが、多くの学者によって否定された。秘儀はない。天皇靈が身に付くことはないということになった。しかし、大嘗祭の信仰的・精神的意義を深く考えるべし。新穀をいただくことによって霊が蘇える。

 

平成の御代替わりでは日本の國柄を確認する行事が行われた。しかし極左のテロがあった。三十社の神社に時限発火装置が仕掛けられた。しかし、当時の神社関係者はテロに屈しないと決意した。平成の御代替わりと同様、今度も皇室と国民との強いつながりを確認し、盛り上げていくことが必要。

 

式年遷宮が国民の奉賛があったと同様、大嘗祭も国民全体が奉賛させていただく。日本文化の根底には稲作がある。人間の命の根源である食べ物の有難さを思う。皇位継承と密接に結びついている。稲を中心とする日本文化を考えるべし。

 

アジア島南部にはじまり、生産性が高く連作もできる水田稲作は、その栽培に適したモンスーン地帯へ広がって行ったと考えられる。その時代や経由地については諸説あるが、日本人が稲とその栽培技術を国家形成の基盤と捉えてきたことは間違いない。そのことは、私たちの祖先が辿って来た歴史にも、そして神話の中に記されたコメの起源神話などにも明らか。そして今日のいたるまで品種や栽培技術の改良が続けられてきた。

 

 

 

かつては三食お米を食べることが日本人の夢であり、先人たちはその実現を追い求めてきた。その営みは戦後まで続き、コメの完全自給を達成したのは昭和四十二年のこと。その頃、コメの生産量は過去最高の千四百万トン超を記録したが、以降は逆に余剰が問題となり、生産調整が進められた。現在の生産量は最盛期の半分程度であり、広大な耕作放棄地が生まれている。

 

 

 

同時にその間、食の多様化や経済のグローバル化の渦中に晒され、米離れは今日の過疎問題の原因ともなっている。現実と理想の狭間でコメ離れが進んでいく中、私たちの将来に関わるこの大きな課題を、国民全体が真剣に考える時を迎えている。

 

昭和三十四年生まれの私は、臨海学校に米を持参した。『斎庭稲穂の神勅(ゆにはいなほのしんちよく)』を継承し、御代替わりの際に深く考えることが大事」。

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