2017年8月10日 (木)

この頃詠みし歌

肉体の衰へ知らず生きて行け生きて行けとぞ自()に言ひ聞かす

 

再びは逢ひ得ぬ友の多ければ人との縁(えにし)のはかなさを思ふ

 

エレベーターで何時も会ひたる老婦人 施設に移りしと聞くはさみしき

 

今日もまた参り来たりし観音堂 鬱蒼として夏の葉繁る

 

父母を思ひ出しつつ参拝す 父母が守り来し小さき御堂を

 

赤き薔薇萎れて醜くなりにけり買ひ求めしより三日目にして

 

道に逢ふ笑顔の幼子これからの生き行く道の幸を祈れり

 

おいしい物を贈りくれたる友の顔 菩薩の如く浮かび来るかも

 

久しぶりに電話にて聞く友の声 明るく弾むその声ぞ良し

 

夏の日の夕暮れ時を歩み行く何時もと同じ街眺めつつ

 

挨拶を交はす人も今日は無く夕暮時の街を歩めり

 

とてもとても和歌とはいへぬしろものを讀むに堪へがたき『角川短歌』

 

一日の務めはたして夜の更けに机に向かひ日記つけゐる

 

今日もまた恙なく過ごせば父母(ちちはは)の遺影に向かひ手を合はせたり

 

われをしも護りたまへる父母(ちちはは)の御霊に向かひ経誦するかも

 

大いなる神の御手に護られて日日(にちにち)過ごす有難さかな

 

明日もまた酷暑の中で仕事して佳き一日を過ごさんと思ふ

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2017年8月 1日 (火)

この頃詠みし歌

 

朝の光身に浴びにつつベランダで窓拭きをれば心清々し

 

迎へ火を焚きゐる夫婦の姿眺め谷中寺町の夕暮れを行く

 

汗拭ひ部屋の掃除をする時は自づからにわが身も清まる思ひ

 

何時も来る美術館より見ゆるなる桜田門の歴史を偲ぶ(桜田門外の変)

 

討ち取られし直弼の首 日本の維新変革の始まりの時()

 

水戸藩士宗家の大番頭討ち取りて尊皇の大義貫きにけり()

 

灯台の下の岸壁に腰下ろし海眺めつつお握りを食す(足摺岬)

 

生命の力は強し夏草は烈日の下に伸びてゆくなり

 

(こぼ)たれし家の跡には夏草が茫々(ばうばう)と生へて命を誇る

 

アメリカ人の父子が楽しげに酒酌みて語らひてをり根津の酒場で

 

ベランダに転がりし雹を頬張ればかき氷の如き味がするなり

 

ベランダに叩きつけられし雹を拾ひ口に入れたり幼子の如く

 

母と二人で相撲中継を見てゐたる思ひ出悲し去年の今頃 (大相撲夏場所)

 

相撲を見ることもなくなりし夕つ方一人煙草を燻らしてゐる

 

ニコライの鐘の音聞きつつ信号を待つ時の間の心地良さかな

 

祈り終へ眠りにつかんとする時の静けさの中に我はゐるなり

 

七十年生き来てなほも生きんとす力強くも生きんとするなり

 

夏の夜空飛行機の灯りが進みをり人々を乗せて何処に行くか

 

美辞麗句連ねられゐる憲法の前文を讀むことの空しさ

 

敗戦国の自虐的歴史観と「平和主義」にしがみつく人の多きを嘆く

 

まやかしの「平和主義」にしがみつく輩は侵略国の手先とぞ知れ

 

安全と生存すらも外国にゆだねる國が何処にぞある

 

片山哲が住みゐし家の跡所(あとどころ)ルノアールといふ茶房となりぬ

 

学生時代にボーイをしたる茶房にて今日は静かに書を讀みてゐる

 

はるばると訪ね行きたる町にして道に迷へる子羊われは

 

何時見ても心やすらぐその姿 悲母観音像を今日も仰げり(東京藝大美術館にて)

 

若き夫婦が営む店で焼き鳥を食しつつ呑むチューハイ美味し

 

朧月を見上げてをれば後ろより隣人夫妻が声かけてくる

 

宮柊二氏の歌集を讀みつつ大陸に戦ひし父のことを偲べり

 

自衛隊の制服を着て午前五時に家を出る父を見送りし日々

 

時は経てど母を思ふ心は絶えるなし懐かしきかもその面影は

 

母上の終(つひ)の声を聞き得ずに永久の別れとなりしさみしさ

 

百歳までは生きたまふなりと信じゐし母を思へば胸迫りくる

 

父母(ちちはは)の位牌を清め安置せる日曜の朝の静かなる心

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2017年7月26日 (水)

昨日と今日詠みし歌

この頃詠みし歌

 

出て行けと怒鳴り声あげるバカ議員 お前こそ国会から出て行くが良し

 

醜き顔さらして大声をはりあげる議員の姿見るに堪え難し

 

アメリカよりお押しつけられし『平和憲法』反米主義者が擁護を叫ぶ

 

侵略国家の手先となりてまやかしの『平和憲法』にしがみつく輩

 

声高に『平和』を叫ぶ共産党 支那と北鮮の手先なりけり

 

すぐ隣の暴虐国家に公正と信義があると誰が思ふや

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2017年7月13日 (木)

この頃詠みし歌

忙しなく日々を過ごせど日に二回神仏の前に座するかしこさ

 

鬱蒼と茂れる樹木の中に立つ御堂にゐます尊き御仏

 

今日もまた靖國神社に多くの人が参り来れり梅雨空の下

 

書を讀みつつ夜を過ごせば入り来し虫が頭にとまりゐるなり

 

わが母校の体育館で投票を終へて眺める校歌の掲示

 

久しぶりに来たりし母校で口ずさむ校歌の歌詞の懐かしきかな

 

幼き日に覚えし校歌 七十歳となりても忘れずに口ずさみゐる

 

投票日の夜空の半月 朧なるその姿にぞ心休まる

 

都にぞ住みゐる我はこの何年蛙の声を聞きしことなし

 

部屋の中を飛び回りゐし虫一匹 朝が来たればむくろとなりぬ

 

ただただに一人の世界にひたるべし人多く乗りし地下鉄車内

 

眼つむりて静かなる心にならんとす地下走り行く電車の中で

 

神々しき光放ちて冴えかえるまんまる月を仰ぎ見るかな

 

憂きことを忘れんとして仰ぎ見るまんまる月はさやかなりけり

 

炎天の昼間は過ぎて夜の空に冴えかえるなるまんまるの月

 

朱色なる光りを放つ満月はスカイツリーの横にくっきりと浮かぶ

 

シャワー浴び身を清めたる後にして神棚拝ろがむ時清々し

 

母子二人われを見送る夕つ方 とこしなへに幸多かれと祈る

 

為すべき事為し終へし後のくつろぎに一本の煙草吸ひにけるかも

 

今日もまた為すべき事を為し終へて眠らんとすることの嬉しさ

 

常にして我を守らす神仏に手を合はせたり就寝の前

 

もののふの道を論ずる時あれど剣太刀をば振りしことなし

 

わが父より与へられたる木刀は昭和一新刀と名付けられをり  

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2017年6月30日 (金)

この頃詠みし歌

 

 

あれほどに明るく健やかなりし母 誤嚥が死をば招きし悔しさ

 

もっともっと多くのことを語らひて父母と過ごせば良かりしものを

 

父母の写真仰ぎ見て今日の生活が終らんとする静かなる時

 

父母(ちちはは)はわが誦する般若心経 心安らかに聴きてをはすか

 

長き日々ベッドに横たはりゐし父母(ちちはは)を思へば悲しみ甦り来る

 

            〇

 

机の中の要らない物を捨てにつつ過ぎ去りし日々を思ひ出しをり

 

昨日も今日もうまき牛肉食しつつ ダイエットといふ言葉かみしめる

 

醜き顔のをみながが怒鳴り声あげる国会審議見るにうとまし

 

みっともない顔をさらすなとがなり立てる女性議員を見つつ思へり

 

子を持たぬ我故なほに街で会ふ幼児(をさなご)たちをいとしと思ふ

 

シュプレヒコールがなり立てゐる人々を避けて歩めり議員会館前

 

路地を歩みあじさいの花に出逢ひたり今日のひと日の喜びとして

 

激しき言葉発する時はわが口より火焔吹き出でるごとくに思ふ

 

原稿を書き終へしばしくつろげる夜は静かに更けてゆくなり

 

下駄履きて街を歩けば身は軽く心も軽く思ほゆるかな

 

ものを書くといふ言葉は使ひ得ず ただ一日をキー叩きゐる

 

頭上より雀の鳴き声聞こえ来て命あるものの尊さを知る

 

金色の大日如来と白色の観音像の並び立つ仏壇の前に幸を祈れり

 

吸殻のたまりたる灰皿を見つめつつ今日のひと日を顧みるなり

 

本に挟まれし写し絵を見て遠き日に元気でゐたる友を偲べり

 

日々(にちにち)の暮らしに悔いが多ければ昇り来る太陽に身をさらすなり

 

佳き友に囲まれて語るこの夕べ梅雨の日ながらさやかなるかな

 

三十一文字(みそひともじ)に我の心を訴へて止まぬ日日(にちにち)力新たなり

 

逢ひ得ざりし人の短歌を讀みにつつ遥か吉野の山河を思ふ

 

朝刊がポストに入れられる音を聞き今日の仕事は終はらむとする

 

時を惜しみ仕事してをればあせるなともう一人の自分が言ひ聞かせゐる

 

あまりにも激しき感情を持つ時は詠まんとすれど歌にはならず

 

迷ひ迷ひてたどり着きたる店に入り冷たきビールを呑み干しにけリ

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2017年6月12日 (月)

この頃詠みし歌

 

旅はやはり一人が良いと思ひつつツアー旅行の案内書を見る

 

 

 

足腰も丈夫で口も手も良く働けば嬉しかりけり

 

 

 

毎朝毎晩鏡に向かひて諾ひぬ我はまだまだ老いてはをらず

 

 

 

張り出せる枇杷の木の新しき緑の葉命の力の強きを誇示す

 

 

 

原稿を書き終えし時に口に入れしチョコレートにわが力甦り来る

 

 

 

明るき声の天気予報を聞きにつつ「ノー天気」といふ言葉思ひ出す

 

 

 

千駄木庵主人と名乗りて四十年蕎麦屋と間違へられしことあり

 

 

 

千駄木庵日乗と名付けしわが日記 出家したのかと問はれしことあり

 

 

 

土佐の海の真青く広き美しさ 眼(まなこ)閉ずればまた浮かび来る

 

 

 

冷たくなりし母の亡骸に手を触れて悲しみの心どっと吹き出る 

 

 

 

安置されし母の亡骸に心経を誦して安らかな眠り祈れり

 

 

 

菩薩立像の白きみ姿仰ぎ見て我の心は清まるらんか

 

 

 

荒川の見ゆる施設の小部屋にて母と語らひし日々思ひ出す

 

 

 

水害が来たれば母か危ふしと思ひゐし日々も過ぎ去りにけり

 

 

 

健やかなりし母と共に歩きたる上野山の道をわれ一人行く

 

 

 

幼き日より母をいとしみて来しわれとしみじみと思ふ母逝きし後

 

 

 

夏風邪をひきし我の咳の音 蒸し暑き夜の部屋に響けり

 

 

 

さ夜中にひとりもの書く部屋内に夏風邪の咳響きけるかも

 

 

 

浮かび来て微笑む人の面影を恋ほしみにつつ一人煙草燻らす

 

 

 

まずきコーヒー飲みつつまずきケーキ食す排気ガス入り来る茶房の窓辺。

 

 

 

煙草の煙が部屋の中に漂ふを眺めることも罪悪となるか

 

 

 

母の使ひし下着が施設より届けられ捨て難くして悲しみ新た

 

 

 

わが父も母もこの世を去り行けるさみしさに耐えて今日も生き行く

 

 

 

癌を病む友どちの声が受話器より聞こえ来る時のやるせなさかな

 

 

 

何時もと変はらぬ声聞こえ来て安堵せり癌を病みたる友からの電話

 

 

 

さやかなる初夏の光に照らされて鎌倉の山の緑美し

 

 

 

今は亡き人と共に今は亡き人を訪ねし思ひ出はるか(葦津珍彦先生を野村秋介氏と共に訪ねし思ひ出)

 

 

 

國思ふ人の語らひを傍らで聞きゐし思ひ出の懐かしきかな()

 

 

 

山の麓の墓所に来たりて教へを受けし人の御霊を拝ろがみにけり(葦津珍彦先生墓所拝礼)

 

 

 

初夏の日の鎌倉の町は賑はひて多くの人らが列なして行く

 

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2017年5月27日 (土)

この頃詠みし歌

やさしかりにし母を思へば悲しみはいよいよ深しもう逢へぬゆゑ

 

土佐の国で買ひたる干物をかじりつつ空腹を癒す昼下がりかな

 

英霊を祭れる宮の桜の木 新しき緑は輝かにして

 

多くの人が参り来たれる靖國の宮の庭辺の初夏の明るさ

新緑が初夏の光に照らされて清く耀(かがよ)ふ靖國の宮

 

若き夫婦が楽しげに働く酒房にて酒酌む時の我も楽しき

 

何回も繰り返し讀みても理解出来ぬカントといふ人の難しき文

 

乙女二人美味さうに天ぷらを食しをり 我は一人で酒酌みてをり

 

天ぷらを食して嬉しきこの夕べ若き板前の手際良さかな

 

時計台の鐘鳴り出づる夕つ方 銀座四丁目で信号を待つ

 

銀座線の狭き車内に揺られつつ痴漢に間違はれることを恐れる

 

激しくも燃えさかるもの我にあれば古稀を過ぎても生きゆかんかな

 

そのかみの青年同志は老いにけり白髪となりて孫の話しす

 

ビル解体の凄まじき音が聞こえ来る真昼間の部屋に苛立つ心

 

土佐の國を経巡りにつつ貫之の日記学びし昔を偲ぶ

 

帰らざる父母(ちちはは)との日々なつかしみ写し絵を見る一人居の部屋

 

この日頃わが手痛めりパソコンに文字打ちつけて過ごし来たれば

 

真輝く森の新緑遠望するわれの命もさきはへにけり

 

力強く歩み行くべし初夏の日に照らされ耀(かが)よふ新緑の如く

 

入院を拒否せし病院 救急車で運びて行けば許可する矛盾

 

金にならぬ患者は入院すべからずと病院の玄関に告知するべし

 

人の命を尊ぶ心さらに無き医師と看護師を許さうべしや

 

病院の都合で母の死の時刻が決まりたることの何と悔しき

 

友が来て花供へたまふ有難さ母の遺影も笑みて喜ぶ

 

九十六年生きたまひたるわが母の命尊しと拝ろがみまつる

 

楠公祭「老いたる母の待ちまさん」その歌詞歌ひて涙こぼるる

 

暫くは逢ふことかなはぬ友のこと思ひて今日もメールを送る

 

病ひ重しと聞きて驚くこの夕べ友へのメールも返り言なし

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2017年5月10日 (水)

この頃詠みし歌

 

あかねさす昼の光を身に浴びて街を歩けば歌声の出づ

 

光満つる街に出で来て今日もまた明るき一日(ひとひ)を過ごし行くべし

 

メールしても返事が来ないさみしさに夜は更けゆきて静かなりけり

 

メールといふ便利なものを駆使しては友との絆確かめてをり

 

たいらけき日々を祈りて仰ぐ時 大空は青く澄みて美し

 

 

土佐への旅

 

父の故郷阿波の國を通り行きわが乗る列車は土佐へと急ぐ

 

四国三郎を渡り行きつつ逝きし父のことを偲べる初夏の旅かな

 

阿波池田駅前に日章旗ひるがへる 姿清(すが)しき初夏の旅かな

 

晴れわたる青空の下 早乙女が田植する姿をめずらしみ見る

 

空は晴れ水は清らかに流れ行き五月の風に吹かれゐる幸

 

四万十川清き流れに浮かぶ舟われらを乗せてすいすいと行く

 

土佐の國晴れわたりたる空の下四万十川は静かなりけり

 

白く激しき波打ちつける岸壁に立ちて眺むる大海の原

 

黒潮が打ちつける岬の上に立ち広らなる海を見はるかしをり

 

大海原を越えて外つ國へ雄飛せしジョン万次郎の像を仰げり

 

水平線を見はるかし立ち 外つ國に雄飛せし人々のこと思ひをり

 

日本人の進取の気性黒潮の如くに滔々と世界に広がる

 

足摺岬の白き燈台を打ち仰ぎ海外雄飛の先人を偲ぶ

 

土佐の国の海の幸をば食しつつ日本人と生まれし幸を思へり

 

喜びの心を持ちて参り来し千手観世音の慈悲の尊顔(四国第三十八番札所金剛福寺)

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2017年4月30日 (日)

この頃詠みし歌

散る桜風に舞ひ来る道歩み 逝きにし母の面影浮かぶ

 

やさしかりにし母の面影目に浮かぶ桜の花の華やぎの中

 

母上の永久の安らぎを祈りたり 納骨をせし御墓辺の前

 

うから集ひ母の御霊を拝ろがみぬ春の風吹く丘の上の寺

 

わが手をば握りて離さぬわが母の手のぬくもり今に忘れず

 

幾度も動画を見ては偲びゐるわが母上の健やかな頃

 

           〇

 

水の神祀れる小さき祠ありわが日の本は水清き國(江戸川公園)

 

そのかみの都電の終点江戸川橋桜並木の華やかにして()

 

ゆったりと流れゆくなる神田川 桜の花びらもゆったりと行く()

 

雀たちが都塵の中に群れ為して生きる姿の頼もしさかな

 

北も南も暴虐と混乱が続きゐてあまりにも惨き近隣国家

 

道に残る桜の花びら愛(いと)ほしみ歩み行くなる谷中霊園

 

道路にてチャンバラ遊びや羽根つきをしたる思ひ出も幻となる

 

細き道にバイクや自動車入り来て幼な子たちの遊ぶ場所なし

 

芽吹き初めし銀杏の若葉眺めつつわが足取りも軽くなりたり

 

小銭入れに十円玉は多くしてはち切れんばかり あな面白し

 

財布には一万円札少なくて 心細くもあなあはれなり

 

生ビール飲み干しにつつ懐かしき昔を偲ぶ神田神保町

 

無くなりし神田日活の跡所何処なりやと見回してをり

 

仕事して夜は更けにけりさらさらとペンの音のみ響くわが部屋

 

熊野川清き流れに沿いて行きしバスの旅をば思ひ出しをり

 

旅行きし熊野の天地の清らかさ思ひ出しつつ今宵過ごすも

 

白髪となりにし友と酒酌みて長き縁(えにし)を思ふひと時

 

パソコンの動画にて見る歌手たちのほとんどはこの世を去り行きにけり

 

懐かしき歌声を聴くことぞ良し蘇州夜曲とマロニエの木陰

 

青空と新しき緑と日章旗 南洲像とともにさやけし(西郷南洲像清洗式)

 

凛々しくも立ちてゐませる南洲像 青空の下に仰ぎまつれり()

 

新緑のかがよふ丘を眺めつつ春の朝(あした)に窓拭きてをり

 

今日のひと日原稿を書き過ごしたる我の心は満ち足りにけり

 

思ひがけなき人の情けの身に沁みて手合はすなる春の夜かな

 

わが命燃え立たしめてこれの世を生き行くことの有難さかな

 

見慣れたる古きマンション解体の時は来にけりさみしかりけり

 

バスが行き交ふここは千駄木三丁目七十年間住み慣れし街

 

幼馴染みが作りし厚揚げ買ひにけり 明日の朝(あした)に食さんがため

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2017年4月11日 (火)

この頃詠みし歌

若かりし母と共にぞ神保町の古書店街を歩みし思ひ出

 

百歳までは生きたまふと信じゐし母がこの世を去りし悲しさ

 

日本の激動の歴史と共に生きしわが父母を偲びまつれり

 

わが父の征きませし大陸での戦ひを偲びつつ讀む宮柊二氏の歌

 

生死かけし戦ひに征きしわが父を偲ぶ心に写し絵を仰ぐ

 

夜となれば父母の位牌の前に座し經を誦しゐる静かなる時

 

父母と共に暮らせし日々のこと思ひ出しつつ涙さしぐむ

 

母を送りさみしき日々の続きゐる我に眩しき満開の桜

 

新しき仏壇を安置し父母よ安らかに眠りませと祈り捧げる

 

わが父とわが母の遺影に手を合はせ今日のひと日を終はらむとする

 

般若心経誦しまつりつつわが家の先祖の御霊に祈り捧げる

 

 

             〇

 

 

強く強く生きゆくべしと自らに言ひ聞かせをり神に祈りつつ

 

命の炎燃え立たしめて日々(にちにち)を生きてゆくべし神に祈りつつ

 

大いなる歌を讀みつつわが魂(たま)は力強くぞなりてうれしき(斎藤茂吉歌集)

 

つまらなき歌並びゐる短歌雑誌放り出した後に歌を詠むなり

 

プーチンだかウラジミールだか知らないがわが国の領土を早く返せよ

 

諏訪台の桜咲きたり窓辺より眺むれば心浮き立ちにけり

 

春四月花が開けば参り来る谷中天王寺の釈迦牟尼仏像

 

墓の上に桜咲き満つわが此の土安穏なりとの経文の如く(谷中霊園)

 

大き声で鳴くカラス頭上に飛びをれば何故鳴くのかと問ひかけにけり()

 

誰も参りに来し様子無き大き墓 古びてをればなほあはれなり()

 

鳥が鳴く東(あづま)の国の霊園の木々に止れる鳥が鳴きをり()

 

墓石を渡り走れる猫たちは霊園を棲家に生きてゐるなり()

 

櫻花満開の下で子供らが嬉々として遊ぶ春の夕暮(たぬき山公園)

 

流れゆく川面に桜の花びらが浮きて流るる帯の如くに(江戸川公園)

 

新しく建て替へられし家多く見知らぬ街に来たりし如し

 

客を置きて外に出て行き帰らざる老いし主(あるじ)を待ちつつ酒呑む

 

老いし主の焼きし焼き鳥焦げつきてをれども美味し老練の味

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