2020年8月31日 (月)

この頃詠みし歌

我はただ日々を原稿を書きて過ごすその心意気はなほ盛んなり

生老病死の四苦は誰にも免れず宰相も日々を戦ひてゐる

宰相はついにその職を辞するといふ病に冒されしはあはれなるかな

他人ごとにあらずわれも心不全の病を抱え日々過ごしゐる

半月の浮かべるを見て眼を転ずればスカイツリーが眩く立てり

人口の美と自然の美とが相並ぶ夜空を仰ぐことのよろしさ

母と共に上野寛永寺境内を歩みたること昨日の如く思ひ出す

共に行きたる上野松坂屋化粧品売り場で元気に店員に声をかけし母よ

未だ元気に母がおはせし日々の事を今日もありありと思ひ出しをり

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2020年8月22日 (土)

この頃詠みし歌


飛行雲夏の大空を真っ直ぐに

人を裁くな裁かれざらんためなりといふ言葉この頃重く出で来ぬ

パソコンを開きて己が主張をば叩き出すことの嬉しさ

生きて行くことを苦とは思はずに今日も明日も己が道行く

若き友が京都御所拝観のことを語るを聞きつつ旅を思ひ出す

残生などといふ言葉を拒絶してなほ四十年は生きゆかんとす

消息の少なくなりし友の事思ひつつをれば空にまどかなる月

やまと歌は日の本の民の心より生まれ出できし言霊とぞ思ふ

和歌文学こそがわが国文化の中核と深く思ひて歌詠みてをり

「天皇制の否定が近代短歌の出発」などといふ妄論が未だ罷り通る現代歌壇

生老病死の四苦は誰にも免れず宰相も日々を戦ひてゐる

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2020年8月 4日 (火)

この頃詠みし歌

 

 

我もまた憎しみ持てば十倍返しとかいふテレビの台詞親しも

 

駒込神明宮といふ地名の場所は山奥の景色なりけり「鬼平犯科帳」

 

七十三年生きて来たれる街こそがわが故郷と思ひ喜ぶ

 

人類の進歩と調和といふ言葉何か空しく蘇えり来る

 

朝の空久方ぶりに太陽が照りつけるベランダで深呼吸する

 

嫌な奴の怒声が電話より聞こえ来るわが声も相手が聴けば同じ怒声なるらん

 

若き店員がきびきびと働く肉屋さんで少し高めの肉を買ひたり

 

一日に二本の原稿を書き終へて一人静かに夜を過ごせり

 

梅雨が明けし夜空に浮かぶ満月が煌々として冴えかえるなり

 

満月は昔のままの光放ちつつコロナウイルス猖獗の都の空に浮かべり

 

きらびやかに光を放つスカイツリーの真横に昔ながらの満月浮かぶ

 

朱色なる満月がスカイツリーのすぐ横にどっしりと浮かぶ梅雨明けの夜

 

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2020年7月30日 (木)

この頃詠みし歌


旅行きし福井のことなど思ひ出し一人過ごせる雷の鳴る夜

雷鳴を好みし友は今宵また健やかにしも過ごしゐるらん

長州のアームストロング砲が東叡山を破壊しつくしていくさ終りたり

彦根藩と尾張藩が先駆けとなりて攻め来し上野戦争

美人女将の隣にご主人がゐますとも何か楽しき街の居酒屋

皇室を否定してやまと歌は無けれども皇室を否定してやまと歌詠む人多し

神代より皇室と共にやまと歌がありしを知らぬわけでもなからうに

我が二十歳代の恩師の殆どはすでのこれの世を去りたまひたり

萩谷朴関良一窪田章一郎の各先生の面影浮かび来るなり

青木生子先生に我が発表の司会をしていただきしははるかなる昔

参道の上の青空を仰ぎなば太陽は神の光の如く眩し(明治神宮)

日本人の心が強く燃えさかりし明治の御代への憧れ強し(同)

若き日に同じ歌会で共に学びたる人は九十歳にて身罷りたまふ(橋本喜典先生)

テレビ画面に映りゐる女性知事この人を嫌ふ人多きを驚く

若き友がわが前に座して語りゐる命のさきはへ我に与へよ

あと三十年は若返りたしといふ愚かなる願ひを言ひて友と酒酌む

八路軍と抗日パルチザン今もなほわが國に牙を向けてゐるなり

海越えて攻め来る敵を撃破してアジアと日本を守りぬくべし

日本は揺れ動くアジアで今何処に立つか明確に自覚すべし

雨に光る宮居の森を人影少なき夕暮時に歩むすがしさ(根津神社)

大きな樹木見上げて立てばわが命もどっしりと宮居の庭に立つなり(同)

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2020年7月 7日 (火)

この頃詠みし歌

中村メイコ黒柳徹子は何時までも生きてゆくらしと思ふ時あり

よくしゃべる女性は長生きするらしも寡黙ならざる我どうなる

髭の似合ふ人と今日は語らへり爽やかな日本人元一等陸佐

横山大観小堀鞆音が住みてゐし谷中の街を今日も散歩す

堂々男児は死んでもよいと歌ひたる人達を思ふ夕暮の谷中

学生時代の友の消息を知りたしと古き年賀状をめくりゐるなり

如意輪観世音おはす御堂の前に立ち祈りを込めて経誦しまつる

父と母が護りたまへる観音堂われも日日(にちにち)参るかしこさ

父母(ふぼ)の墓所に祈り捧げる孫の顔 菩薩の如く見えにけるかも

墓石の上を飛び歩く猫一匹わが菩提寺は平和なりけり

千駄木の町をへ巡り過ぎし世を 偲べば新緑が眩かりけり

走り回る幼子たちを避けにつつ夕暮時の公園を歩く

中条百合子の屋敷のありし跡所(あとどころ)当時の門柱が残りゐるのみ

財閥とプロレタリア作家と大彫刻家の住みゐし建物が並びゐし所(安田楠夫・中条百合子・高村光雲光太郎父子)

宮本顕治百合子夫妻の住みてゐし屋敷の前に内務警保局官舎ありたり

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2020年6月29日 (月)

この頃詠みし歌

飲食店に客は戻らずさみしげな顔をして主(あるじ)は厨房に立つ

朝倉文夫記念館の書棚には野依秀市氏の著書並びをり(朝倉文夫・野依秀市両氏は大分出身也)

すでにして店は閉じられ食すこと不可能となりし長崎ちゃんぽん

自衛隊の制服を着て帰宅せし父と遭遇せし押し売りは脱兎の如く逃げ行きにけり

駄菓子屋は消えてなくなりスーパーのお菓子売り場で幼児が泣く

真夜中の地震は恐し本棚より崩れ落ち来る書籍を如何にとやせん

六月の緑の木々は太陽に照らされにつつ光放てり

大観の住まひゐし屋敷は高きビルに挟まれりけり令和の御代に

溜息が出るやうなつまらなき歌並びゐる『角川短歌』

何時よりかすずらん通りといふ名がつきぬ昔は小便横丁と呼ばれゐし路地

わがことを施設の玄関で車椅子に座して待ちゐし母を偲ぶも

これの世を去りし父母(ふぼ)を幾年経ちても思ひ出すなり深き嘆きに

父もゐまさぬ母もゐまさぬこれの世に我はまだまだ生きゆかんとす

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2020年6月17日 (水)

この頃詠みし歌

空家の前を今日も通り過ぎ住みてゐし老婦人の姿を思ひ出しをり

お茶の出ない初夏の会合何となく苛立ちて来るを許させたまへ

久しぶりに乗りたる地下鉄乗客少なく空気もきれいで清々しきかな

街は清く静かなりけれど経済の疲弊のことを嘆かざるべからず

何時死んでもかまふものかと思ひをれど次第に命が惜しくなりたり

爆破せよ何もかも爆破せよ自分の祖父と父の像も爆破せよ

三十二年間も元大統領の娘をば監獄に入れんとする今の大統領は地獄へと歩む

北も南も異常なる人間が国政を牛耳りをれば友好などあり得ざるなり

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2020年6月13日 (土)

この頃詠みし歌

世の更けの廊下に足音響きゐる薄気味悪きマンション生活

我は我他人は他人己が意志を曲げることなく生きゆかんとす

安倍晋三も小池百合子もそんなに悪人と思へねど嫌悪の情を持つ人多し

靄の中にそっと浮かべる朧月 昨日も今日も都を照らす

うっすらと見ゆる月影を仰ぎても地上の騒乱鎮まることなし

雷鳴が響き雨が降り出せば良きシャワーなりと喜びてをり

警察官が膝つきて民衆を弾圧せぬ姿勢を示すアメリカは良き國

明日もまた生きゆかんとす明後日もまた生きゆかんとすそれが人生

鎮守の森も社(やしろ)もなべて美しけれど神に仕へる人々は如何に

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2020年6月 3日 (水)

この頃詠みし歌

酔ひし友より電話かかり来ぬ静かなる夜に霹靂の如く

 

あと三十年は生きねばならぬと思ひつつひと日ひと日を大切にする

 

父母(ちちはは)は一体何処(いづこ)におはします逢ひたけれども逢へぬ悲しさ

 

父にも母にも会ひ得ざる悲しみは深くわが心に刻まれてゆく

 

味の素を使ふ人はほとんどいなくなり化学調味料といふ言葉もなし

 

吉井勇の祇園を歌ひし歌読みて過ぎにし旅を思ひ出しをり

 

今日よりは平常営業と居酒屋の主人は嬉しげに言ふ初夏の夕暮れ

 

容保公の悲劇の生涯を偲びつつ會津中将といふ酒を酌む

 

朝敵と断じられたる悔しさを万斛の思ひと言ふべかりけり

 

孝明帝の下したまへる感状を抱きつつ生涯を終へし松平容保

 

生涯に一度はあるべしあの世への道歩み行く旅に立つこと

 

我はまだ若き命をみなぎらせ今日のひと日を健やかに生きん

 

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2020年5月25日 (月)

この頃詠みし歌


真夜中の如くに暗き街となるわが千駄木の午後八時過ぎ

食べ物を詠む歌多き我をしも食ひしん坊なるかなと恥ずかしく思ふ

美しき女(ひと)の面影懐かしく今日も浮かびて我を励ます

美しきものは永遠の喜びなりとの言葉くりかへし人を偲びぬ

今度会ふ時までは元気に生きようと友と自らに言ひ聞かせゐる

久しぶりに来たりし酒場で昔からの知り人と密な接触しつつ酒酌む

お馴染みさんといふ言の葉のピッタリな人々がカウンターに並び酒呑む

隣席に座りゐる青年は楽しげにチューハイを何杯も呑む

元大統領を三十六年も監獄にぶちまんとする文在寅次は汝の番と覚悟せよ

バスは走りタクシーは走り人は歩き日常の生活戻りつつあり

次第次第に人も自動車も多くなるを喜ぶべきか不安な心

ホテルと旅館閉館のニュース聞くごとにわが旅心萎へてゆくなり

十二億の民を支配するに強権と武力に以外に術なき如し

吉井勇の歌を讀みなばわが心癒されてゆく京を思ひ出し

近江路に雪は降りつつ湖に船浮かびゐて静かなりけり

古代よりの歴史を刻む近江の海に訪れし日に雪降りしきる

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