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2020年7月15日 (水)

共産主義国家の歴史は、悲惨と混乱と自由圧殺、そして権力抗争と殺戮の歴史しかなかった。この歴史を否定することはできない。

昭和二十三年御徒町生まれの写真家杉本博司氏が、「日本経済新聞」令和二年七月九日号に「私の履歴書」を執筆し、次のように書いている。

「私は(一九七十年頃アメリカから・注)一度日本に戻り横浜から船で津軽海峡を横切り、ウラジオストクに着いた。そこからシベリア鉄道でモスクワへと向かったのだが、二日目に機関車が故障、立ち往生した揚げ句軍用機に乗せられた。暖房はなく、プロペラエンジンから暖気を取る太いチューブが通路に引きずり出され、乗客はそのチューブに張り付いて凍えないようにした。ほうほうの体でたどり着いたモスクワは暗かった。郊外の安ホテルで目を覚ますと人々が長蛇の列を成している。よく見るとリンゴを買うための列だ。私が一瞬夢みた共産主義の理想は全く機能していなかった。モスクワからチェコスロバキアと暗い旅は続いた。横浜を出て二か月ほど経っただろうか、ようやく西側のウイーンに着いた。その晩私は天井桟敷でモーツァルトのオペラ、ジョン・ドバンニを見た。そして自由と文明に触れる喜びを心から味わったのだ。コーヒーにケーキ、涙が出るほど美味しかった」と書いていた。

杉本博司氏は、共産主義に憧れを持ち、学生時代には、新左翼の学生運動に挺身したのだが、ロシアと東ヨーロッパへの旅で共産主義の実態を見て、学生時代に持っていた共産主義への憧れは、雲散霧消した。

理論理屈がいかに詳細を極め、説得力のありそうなことを書いていても、現実の共産主義国家の歴史は、悲惨と混乱と自由圧殺、そして権力抗争と殺戮の歴史しかなかった。この歴史を否定することはできない。

しかるにわが国には、未だに共産主義を否定できず、日本共産党などという政党を支持して麗しい國體・自由と繁栄を破壊せんとする愚かなる人々が残存している。

事実ほど強いものはない。このことをそういう人々は正しく認識してもらいたい。

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