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2020年6月29日 (月)

この頃詠みし歌

飲食店に客は戻らずさみしげな顔をして主(あるじ)は厨房に立つ

朝倉文夫記念館の書棚には野依秀市氏の著書並びをり(朝倉文夫・野依秀市両氏は大分出身也)

すでにして店は閉じられ食すこと不可能となりし長崎ちゃんぽん

自衛隊の制服を着て帰宅せし父と遭遇せし押し売りは脱兎の如く逃げ行きにけり

駄菓子屋は消えてなくなりスーパーのお菓子売り場で幼児が泣く

真夜中の地震は恐し本棚より崩れ落ち来る書籍を如何にとやせん

六月の緑の木々は太陽に照らされにつつ光放てり

大観の住まひゐし屋敷は高きビルに挟まれりけり令和の御代に

溜息が出るやうなつまらなき歌並びゐる『角川短歌』

何時よりかすずらん通りといふ名がつきぬ昔は小便横丁と呼ばれゐし路地

わがことを施設の玄関で車椅子に座して待ちゐし母を偲ぶも

これの世を去りし父母(ふぼ)を幾年経ちても思ひ出すなり深き嘆きに

父もゐまさぬ母もゐまさぬこれの世に我はまだまだ生きゆかんとす

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