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2019年11月 6日 (水)

現代に生きる人々は、自然の中に生きたもう神々、そして祖霊への感謝と畏敬の念を回復すべきである。

今年は本当に自然災害が多かった。特に千葉県であれほどの災害が起こったのは、私の記憶では初めての事である。

阪神淡路大震災、サリン事件をはじめとして三十年くらい前から、異常な事故、事件、災害が起こり今日に至っている。

幸いにと言っては不謹慎の批判を免れないが、日本国民の倫理道徳観念の高さ、精神的強靭性、技術力的能力の優秀さの故と思うが、国全体が破滅的混乱状況とならなかった。これは有難いことである。

今後の自然災害などが襲いかかってくる可能性は高いと思われる。これは日本のみならず世界的現象であろうか。いたずらに不安を煽るべきではないが、そういう可能性は高い。

地球温暖化による旱魃、環境破壊、そして水や資源の争奪戦と言った紛争・闘争・テロが活発化すると言う人もいる。

日本における台風や世界各地におけるハリケーン、サイクロン、集中豪雨による災害はこれまでと違って大規模になってゐる。

豪雨被害の続発する日本では旱魃と言っても実感は湧かないが、近年の雨の降り方は異常である。

さらに、エネルギー問題である。化石燃料からの脱却、核廃棄物の処理に英知を集めるべきと言われている。最近の日本や世界各地における自然災害は、人間生活が如何に脆く破壊されるか、人間の力が如何に弱いかを実感させた。電気が二、三日止まると人間の生活は全く機能しなくなる。

人間はこれまで、自分たちの快適な生活を維持し発展させるために自然を破壊し続けてきた。今日、人間は自然から復讐されているのではないか。自然界を支配し作り変えることができるという人間の傲慢さを反省しなければならない。

『日本書紀』に、天武天皇・持統天皇の御代に、非常に多く地震が発生したことが記されている。また、頻繁に『廣瀬・龍田の神を祭る』という記事が書かれている。水と風の神であるとのことであるが、五穀の豊穣と風水害を無きことを祈ったと記されている。

奈良新聞取締役の武智功氏の著書『記紀に見る日本の神々と祭祀の心』(奈良新聞社刊)に、武智氏は、「はじめに」は、「混迷の時代には原点に帰れと言われている。今こそ私たちは『記』『紀』の神話や、その息吹が今も息づく各地の祭りなどに、日本の原点を学ばなければならない」と主張され、「むすび」において「万物に神が宿るという思いは、一神教に見られる人間が自然を支配するという考えとは異なり、地球環境問題を考える上で大切な思いである。自然を神と置き換えれば、現代人はまさに神をも恐れぬ存在になっている」と説いておられる。

全く同感である。まさに現代に生きる人々は、自然の中に生きたもう神々、そして祖霊への感謝と畏敬の念を回復すべきだと思う。日本人は、このことに目覚めなければならないと思う。

今日の日本人は、古代日本の「まつりの心」を回復しなければならない。武智氏の著書の書名である「日本の神々と祭祀の心」に回帰することが現代の日本を救う方途である。

日本の自然の神々は、今はやりの言葉で言へば、想定の範囲以上の激しい力を発揮する畏怖すべき生命であり靈である。無限の可能性を持つと言い換えてもいい。その無限の可能性は、人間に恩恵をもたらすばかりではなく、時に災いを齎すと古代日本人は信じた。

無暗矢鱈に自然に恐怖心を抱いたり、亡くなった人の祟りを恐れたりするべきではないが、自然と祖霊に対する畏敬の念を持つことは大切である。つまり、今こそ、日本国民斉しく自然と祖霊への祭祀の心を回復すべきなのである。

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