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2019年1月18日 (金)

渡辺剛杏林大学教授による「中国のシャープパワーに揺れる台湾民意」と題する講演内容

昨年七月七日に開催された『アジア問題懇話会』における渡辺剛杏林大学教授による「中国のシャープパワーに揺れる台湾民意」と題する講演内容は次の通り。

 

「私は台北市生まれ。母方の祖父が台湾人。祖父は戦前地主。戦後没落。国民党に恨みを持つ。私は、外事捜査官の教育もした。警察学校国際捜査官養成コース教官を経て杏林大学教授。

 

シャープパワーとは軍事力、経済力、権威主義。国家による影響力行使。中国の工作の対象は先進国全般。アフリカへの浸食は激しい。ハードパワーとは経済・軍事での実力。ソフトパワーは文化イメージ。理念も重要。アメリカはハードパワーだけでなくソフトパワーも強い。シャープパワーは内部から蝕んでいく。シャープパワーの対象は財界。

 

企業は金さえ儲かれば國さえ売りかねない。政治家・官僚にも飼い犬になる奴がいる。オーストラリアの政官界で『中国の資金を受け取ってはならぬ』という立法が行われた。文化、学界、有識者、大学、シンクタンクを工作の対象にしている。工作の内容は、虚偽情報流布、人的経済的浸透工作。

 

投資を人質にとって『中国を裏切ったらどうなるか分かっているだろ』ということになる。弱みを握られる。親中派と保守派の間にくさびを打ち込む。レーニンの手法。レーニンは『弱い所を狙え』と言った。開かれた自由民主国家はこれを防ぎきれない。

 

マスコミに外資が入るのを断固として防ぐ必要あり。国民としてのアイデンティティが弱いと付け込まれる。自由民主主義が定着しないとそれに付け込んでくる。アフリカへの中国の食い込みは激しい。インフラ・社会システムに中国資本が入り、やり方も中国式になっている。経済基盤が作られる。

 

カンボジアは中国に乗っ取られた。政治根経済も中国化している。ケニアのインフラは中国式になっている。ケニアは顔認識ができる。危機感が薄い。中国問題の専門家が少ない。こういう国を狙って中国は入って来る。中国に逆らっても無駄だと思い込ませる。中国は「途上国の味方だ」と強調する。香港はかなりひどく食い荒らされている。しかし香港資本反中国に傾いている。オーストラリアも遅まきながら気付いた。先進国は中共のネガティブイメージが強い。後進国はそうではない。

 

中台関係はかなり悪い。蔡英文は就任演説で台湾という言葉を使わなかった。陳水扁は使ったが…。蔡英文はその後かなり中国を刺激するようなことをしている。中国の『文攻武嚇』が強まっている。呼称問題で、航空会社・ホテルへの圧力を強めている。断交国も増えている。企業も名所変更を余儀なくされている。台湾が国交を持つ国は貧しい國が多い、そこに中共が食い込む。

 

台湾人意識はじりじり下がっている。心情的反中も下がっている。『戦争になるのは嫌だから現状維持が良い』と言う人が増えている。しかし自分のことを中国人と言い切る人はほぼいない。『中国が大きくなるのだったら呑みこまれるのはやむなし』という人が増加。多数派は台湾人意識だがそうではない人も増え始めている。台湾人アイデンティティが薄くなっている背景にあるのは、経済優先、実利志向、名より実の傾向が強いこと。対中警戒感は多数派を占めているが、比率が下がってきている。台湾の貿易相手は四割が中国。

 

ドイツ、オーストリア、スイスはドイツ民族だが、国家は異なる。アングロサクソンも、英米加豪ニュージーランド。国家は別。国ごとにアイデンティティを持っている。台湾は国民アイデンティティが未成熟。蔡英文は、『台湾は多元的移民社会』という考え。教育の場で、中国史を外国史に入れた。地理も同じことが行われようとしている。与野党対立はひどい。国民党統治の全否定。

 

日本もトランプ政権並みに台湾支持を鮮明にすべし。『在台北米代表処の防衛のために海兵隊を派遣する』とうのがインパクトを与えている。軍は国民党。将官は外省人。下士官に台湾人が多い。世代交代で将校は本省人。将校には素朴に台湾を守りたいという人が多い」。

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