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2018年12月 9日 (日)

宮中祭祀・皇室祭祀・天皇の祭祀と憲法

宮中祭祀・皇室祭祀・天皇の祭祀が、『現行占領憲法』第八十九条「公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない」に言う「宗教上の組織もしくは団体」の宗教活動ではない。況や特定の宗教を圧迫したり助成するものでもあり得ない。天皇の皇位継承に伴う公的儀式であると位置付けるのが当然である。

 

大原康男氏著『現代日本の国家と宗教-戦後政教問題資料集成』に収録された議事録によると、平成二年四月十七日衆議院内閣委員会における山口那津夫氏に対する答弁で、工藤敦夫内閣法制局長官(当時)は「まず第一に大嘗祭は皇室の行事として行われるもので、国の機関の行為ではないということでございます。その挙行のために必要な費用というものは、大嘗祭が皇位の世襲制と結びついて、一世に一度の儀式として古来から皇位の継承があったときは必ず挙行される、こういうことで行われてまいりました極めて重要な儀式である、そういう面に着目して支出をいたしましても、その支出の目的がその宗教的意義に着目して支するものではないということが一つでございます。そういう意味では、目的・効果論のうちのまず目的の大部分でございます。それから効果としましても、これが特定の宗教への助長、介入という津地鎮祭判決で述べておりますようなそういう効果を有することになるとは到底言えないであろう、かように考えているわけでございます。」

 

さらに平成二年五月二十四日衆議院大蔵委員会における上田卓三氏に対する答弁で河部正之宮内庁長官官房審議官(当時)は「皇室の行事につきましては、明文の根拠を必要とするものではございませんので、法令に違反しない限りにおきまして、皇室の伝統を尊重してこれを行うことができる、こういうふうに考えておるものでございます。大嘗祭は、皇位の継承があったときは常例として必ず挙行すべきもの、こうなっておりまして、一世の一たびの儀式として古来行われてきて極めて重要な儀式でございます。皇位の世襲制に結びついた即位に伴う儀式の一環をなすものとして皇室に伝承されてきたものでございますので、今日ともなお伝統に従ってこれを挙行すべきもの、このように考えております」。

 

さらに、平成二年四月十七日衆議院内閣委員会に置ける光武顕議員に対する答弁で宮尾盤宮内庁次長(当時)は「大嘗祭の費用を宮廷費から支出する理由でございますが、大嘗祭は…皇室の行事として行われることにいたしておりますが、それは皇位が世襲であることに伴います一世に一度の極めて重要な伝統的儀式としての性格があるということでありまして、そういう意味からこの費用は宮廷費から支出することが相当であるというふうに考えておるわけでございます」。(大原康男編著『詳録・皇室を巡る国会論議』)と述べた。

 

平成二年十二月二十一日に「『即位の礼』の挙行について」と題する「政府見解」で「大嘗祭」の意義について「稲作農業を中心とした我が国の社会に古くから伝承されてきた収穫儀礼に根ざしたもの」であり、、「天皇が即位の後、初めて、大嘗宮において、新穀を皇祖及び天神地祇にお供えになって、みずからお召し上がりになり、皇祖及び天神地祇に対し、安寧と五穀豊穣などを感謝されるとともに、国家・国民のために安寧と五穀豊穣を祈念される」ことを内容とする「皇室の長い伝統を受け継いだ、皇位継承に伴う一世に一度の重要な儀式である」と説明している。そして、「皇位の世襲制をとるわが國の憲法の下においては、その儀式について国としても深い関心を持ち、その挙行を可能にする手立てを講ずることは当然と考えられる」「大嘗祭は、公的性格があり、大嘗祭の費用を宮廷費から支出することが相当である」と結論している。

 

今上陛下の御成婚の時、「賢所大前の儀」は『現行占領憲法』にある「国事行為」として執行されたのであるから、この度の御譲位、御即位における「大嘗祭」も國の公的行事として執り行われるべきである。

 

「大嘗祭」は日本伝統信仰の祭祀であり、そうした意味においては純然たる伝統的宗教行事である。そして、「大嘗祭」は、天皇陛下が行わせられる最も大切な公的行事である。故に、政府が、翼賛し奉り国費が使われても、特定の宗教教団を援助し助長したり、特定の宗教教団を圧迫するものではない。このようなことは、これまでのわが国の長い歴史事実が証明している。

 

「大嘗祭」を皇室の公的行事とし、国費を以て賄うことは『現行占領憲法』の「政教分離の原則」なるものに反するなどと批判することは歴史的事実を無視した杞憂である

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