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2018年11月 3日 (土)

明治天皇の御聖徳を仰ぎ奉る

私は、山中峯太郎氏著『愛の国父 明治天皇』(昭和三十二年五月第五版発行)といふ本を持ってゐる。昭和三十二年、私が小学校二年生の時に購入した本である。日清・日露の戦いを中心にして、明治天皇の御事績が書かれた本であり、当時私はこの本を読んで非常に感激した。

山中氏は次のやうに書いてゐる。「日本は明治時代に、支那の戰爭し、ロシヤと戰爭し、大正時代にドイツと戰爭し、昭和時代にアメリカとイギリスそのほかと戰爭した。しかし、アメリカが勝手にきめた『侵略戰爭』をしたのではない。日本が戰ったのば、外國の勢力に迫られて、日本をまもるための戰爭であったのを、正しい歴史が証明する」「ある日、天皇は宮内大臣の田中光顯に言われた『おまえたちは、ぐあいかわるいことがあると、辞職という方法がある。しかし、わたしには、そのような方法はない。そうではないか』『はい……』気の強い田中光顯も、恐れ入って何とも言えなかった」と書かれてゐる。

この本を私が讀んだ同じ年の昭和三十二年に、『明治天皇と日露大戦争』(渡辺邦男監督、新東宝製作)が公開された。父が連れて行ってくれたのだが、嵐寛寿郎演じるところの映画の中の明治天皇も「天皇には辞職はない」といふ言葉を語ってゐた。また映画のところどころに、明治天皇御製が朗誦された。まことに素晴らしい映画であった。

私が愛国心に目覚め、やまと歌に関心を持ったのは、この本を読みこの映画を見てからかも知れない。この映画と本が私の愛国心の目覚めに大きな影響を与へたことは確かである。映画を見に連れて行ってくれた父に感謝してゐる。

また、私がまだ幼少の頃、外から帰って来ると、母が新聞を讀みながら涙をぽろぽろ流しながら泣いてゐた。気丈な母が泣いてゐるのを見たことが無かった私は驚いた。母は、貞明皇后崩御の報道記事を見て泣いてゐたのだった。貞明皇后が崩御されたのは、昭和二十六年五月十七日であるから、私がまだ四歳の時であった。

私は、自然に尊皇愛国の心を父母の教育によって身につけることができたのである。父母に心より感謝してゐる。

 

明治天皇は、『明治維新の御宸翰』(明治元年三月十四日)において、

「…今般、朝政一身の時に膺(あた)り、天下億兆一人も其處を得ざる時は、皆朕が罪なれば、朕身骨を勞し、心志を苦め艱難の先に立、古列祖の盡させ給ひし蹤(あと)を履み治蹟を勤めてこそ始て天職を奉じて憶兆の君たる所に背かざるべし。」「朕こゝに…親ら四方を経營し、汝億兆を安撫し、遂には萬里の波濤を拓開し、國威を四方に宣布し、天下を富岳の安きに置んことを欲す。」

と示されてゐる。

公議輿論を重んずる明治維新の政治理想を闡明(道理や意義を明らかにすること)し新国家建設の基本指針となった歴史的な詔である。

三月十四日、明治天皇は諸臣を率いて宮中の正殿である紫宸殿にお出ましになり、天地の神々をお祭りになり、御誓文を奉られた。そして、諸臣に対して御宸翰を下された。

わが國の祭政一致の伝統が見事に復活した。しかも「天職を奉じて」と仰せられ、かつ、神々に誓はれたといふ事は、天皇が「朕は国家なり」といふやうな絶対専制君主ではなく、あくまでも神々の御命令・御委任によって国家を統治され日本に国に君臨あそばされることを示されたのである。

かつ「天下億兆一人も其處を得ざる時は、皆朕が罪なれば」の大御心は、明治天皇御製と伝へられる

「罪あらば 吾をとがめよ 天つ神 民はわが身の 生みし子なれば」

の御精神の通じる。

 具体的は、大政奉還・廃藩置県・四民(士農工商)平等・大日本帝国憲法発布・国会開設・皇軍建設(徴兵令発布)などが実行された。徴兵令発布は、国民皆兵ということであり、特権階級としての武士の存在を根本的に改革するものである。ただし武士道精神は残った。といふよりも、国民全体に武士道精神が浸透した。

科学技術文明によってわが國を威嚇する西洋の圧迫に対峙して國家民族の生存と独立を維持するために、わが國は武力・経済力そして科学技術の面で西洋と対等の力を持つことが急務であった。そして、日本の伝統に回帰してわが國の独立を守るといふ「尊皇攘夷の精神」と、法律制度や政治制度そして科学技術などの西洋の文化・文明を受容して近代國家体制を整えるといふ「開國主義・文明開化の精神」とが昇華統合された。

しかし、近代日本において、天皇中心の信仰共同体が、西洋的な利益社会・権力國家体制によって隠蔽され、近代日本が、現実への対処のためとはいへ、「覇道精神・強いもの勝ちの精神」の浸潤を許したこともまた事実である。

しかし、天皇中心の信仰共同体の精神・日本國體が破壊されたわけではなかった。日本国民の天皇尊崇の精神・國體精神が、わが國が覇道精神・強いもの勝ちの世の中になりきるのを抑制し、國家のエゴ・侵略性・収奪性を和らげるものとなった。

國難に際會してゐる今日の日本は、明治天皇の御聖徳・大御心を仰ぎ奉ることが大切である。

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