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2018年10月29日 (月)

日本國體精神と危機打開

 

わが国の歴史は、外圧と対峙し、それを克服し、国家民族の独立と栄光を維持し発展させてきた歴史である。

 

その最大の要因は、天皇・皇室を祭祀主と仰いで國の統一と安定を確保するといふ強靭なる日本國體精神である。日本民族が外圧を除去し、外来文化・文明を自由に柔軟に受け容れ、自己のものとしさらに発展させた基盤の中核は、天皇・皇室のご存在である。

 

ナショナリズムとは、外國からの圧力・干渉を排して國家の独立を維持する思想および運動と定義される。運命共同體意識と言ひ換へても良いと思ふ。これは、國家民族の危機の時に澎湃として沸き起こってくるものであり、ごく自然な感情である。危険視したり不潔であるとすることはできない。わが國の歴史を回顧すれば明らかなことであるが、國民の強烈なナショナリズムの沸騰が、民族の独立を守り國家の存立を維持した。

 

言ふまでもないが、ナショナリズムは日本にだけ存在するものではない。世界各國に共通して勃興し存在する。その國・民族・共同體が危機に瀕した時に興起する國家防衛・独立確保の主張と行動である。

 

ナショナリズムは、歴史意識・傳統信仰と深く結びついてゐる。といふよりも不離一體である。自己の意識の中に民族の歴史を蘇らせることによって、ナショナリズムが形成される。國家的危機に際會した時、それを撥ね退けんとしてその國民がその國の歴史意識・傳統精神を根底に置いて運命共同體意識を結集し、勃興する精神と行動がナショナリズムである。民族の歴史を國民一人一人の精神の中で甦らせ、自己の倫理観・道義観の基本に置くことによって民族の主體性が形成される。

 

わが國が、西欧列強の侵略・植民地支配を受けることなく独立国家として近代化を遂げ発展し得たのは、「尊皇攘夷」を基本思想とした明治維新といふまさに「有史以来未曾有の大変革」を行ったからである。そしてそれが成功した根本的原因は、わが國は肇國以来、天皇を神聖君主と仰ぐ國體観・國家観が確立されていたからである。

 

今日わが國は外圧の危機が顕著になってゐる。これを克服するためには、日本民族としての主體性・帰属意識を回復する以外に無い。今こそ、日本民族の國體精神・歴史意識・傳統精神を我々一人一人の精神の中で甦らせ、國民一人一人の倫理観・道義感の基本に置き、日本民族精神・日本的ナショナリズムが勃興すべき時である。

 

『大西郷遺訓』に次のやうな言葉がある。

 

「正道を踏み國を以て斃(たお)るるの精神無くば、外國交際は全かる可からず。彼の強大に畏縮(いしゅく)し、圓滑(えんかつ)を主として、曲げて彼の意に順從する時は、輕侮(けいぶ)を招き、好親却て破れ、終に彼の制を受るに至らん」。

 

「國の陵辱(りょうじょく)せらるるに當(あた)りては、縱令國を以て斃るる共、正道を踐(ふ)み、義を盡すは政府の本務也。然るに平日金穀理財の事を議するを聞けば、如何なる英雄豪傑かと見ゆれ共、血の出る事に臨めば、頭を一處に集め、唯目前の苟安(こうあん)を謀るのみ、戰(いくさ)の一字を恐れ、政府の本務を墜(おと)しなば、商法支配所と申すものにて更に政府には非ざる也」。

 

「大西郷の精神」とは、国家の自主独立の精神であり、皇室を敬い国民に真の平安をもたらす政治の実現です。西洋列強の侵略から祖国を守り天皇中心・四民平等の国を建設するための大変革であった明治維新を戦い、さらに維新後にあってもなお、東洋の平和と理想の道義国家建設のために戦った大西郷の精神こそ、今の日本にもっとも必要なものである。何故なら今の日本は、幕末及び明治初期の我國以上に、外国から侮りを受け、政治は乱れに乱れているからである。

 

さらに『大西郷遺訓』には次のやうな言葉がある。

 

「王を尊び民を憐れむは学問の本旨なり」「萬民の上に位する者、己を慎み、品行を正しくし、驕奢を戒め、節儉を行ひ、職務に精勵して、人民の標準となり、下民をしてその勤労を感謝せしむるに至らざれば、政令は行はれ難し」

 

「萬民の上に位する者」即ち政治権力者は「王(天皇陛下)を尊び民を憐れむ心」を正しく確立しなければならない。今日及び将来の日本においても、祭祀主たる日本天皇の精神的権威が、政治権力を浄化し、権力者にかしこみの心を持たさしめ、国家・国民の幸福をはかることが出来る。これが、わが国建国以来の「祭政一致」の理想であり、万邦無比の日本國體の素晴らしさである。

 

尊皇精神こそが、日本国安泰の基礎である。天皇を君主と仰ぐ日本國體の護持とその理想実現こそが、日本国永遠の隆昌の基礎である。従って、尊皇精神希薄な権力者は断じてこれを排除しなければならない。また、皇室を貶める学者文化人評論家も厳しく糾弾しなければならない。国家革新や維新などを主張しても、尊皇精神がなければ、日本国を正しい姿を回復することは出来ない。

 

現代日本は、國民の皇室尊崇の念が薄れつつあり、伝統信仰が顧みられなくなりつつある。これが今日の國家の弱体化の原因であり、このままでは國家崩壊につながる。今日においては、民族の正氣・日本の心を回復せしめなければ日本は危うい。

 

外患に当って、「神祭・神事」が盛んになるのは、わが國の伝統である。現代においてこそ、祭祀主日本天皇の真姿が開顕されるべきである。今こそ天皇を中心とした國家の回復を目指す皇道大維新運動を繰り広げねばならない。

 

今日の日本も内憂外患を除去するために、明治維新の精神に回帰し、明治維新と同じように、日本的変革の原理たる「天皇中心の國體の明徴化」の理念を基本とした大変革を断行しなければならないと信ずる。

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