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2018年10月 2日 (火)

この頃詠みし歌

 

 

与へられしわれの命を大切に生きて行かなんこれからの日々

 

病み上がりといふ言の葉そのままに部屋を歩けばふらふらとする

 

少しくらいは良いではないかと口つけし酒は以前ほど美味くは非ず

 

酔ひも早く美味くもなければ早く早く家に帰りて横たはりたし

 

灯点せばゴキブリ一匹動きをり殺生の罪を犯せと如く

 

身は揺らぐ心はあせる病み上がりの我は日々(にちにち)を強く生きなむ

 

生命は強く生き生きと輝きてわが心臓を蘇へらせたまへ

 

今日もまた一日の仕事を為し終へぬ身体健全除災招福

 

いたつきの癒ゆるを信じ今日もまた神に佛に祈りこめたり

 

雨の降る街歩み行きわが命の力甦れと祈りたるかな

 

醤油と塩を控へて食せと言はれたり味気なき食べ物を食せといふ事

 

満月がすっきり浮かぶ秋の夜

 

美しや満月は今煌々と光煌めく都の上に照る

 

満月が昇り来るなる姿をば今宵はじめて見ては喜ぶ

 

雲の中より満月が今昇り来て不可思議なる光りを放ちゐるなり

 

愛想良き郵便局員と真向ひて入院保険の話などする

 

満月の光明るき秋の夜を一人過ごせば静かなる心

 

一歩一歩静かに街を歩み行く心の臓をば大切にしつつ

 

未練がましい心なりとは知りながらなほもこの世に生きたしと思ふ

 

凄惨なる戦争画の前に立ちつくし斃れし人の命を思ふ(没後五十年藤田嗣治展)

 

マリア様に礼拝をする嗣治の顔何となく滑稽に見えにけるかも()

 

日本を愛し日本を恋せし老画家はフランスの地に眠りゐるなり()

 

台風が来るといふのにわが講義聞かんと集まりし人有難し

 

雨風がわがマンションにあたる音聞こゆる真夜中に一人もの書く

 

三十年住み続けたるマンションは強き風雨に少し揺れたり

 

朝毎に八種類の薬をば飲まねばならぬわが身なりけり

 

嵐去りて青空白雲仰ぎ見るすがしき朝をベランダに立つ

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