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2018年8月29日 (水)

萬世一系にして神聖なる天皇の国家統治―神話時代からの伝統

萬世一系にして神聖なる天皇の国家統治―神話時代からの伝統

 

 天皇はどういう御存在であるか、天皇が日本國を統治するということはどういうことであるのか。日本國統治の大権は建國以来、天皇にあるわけですが、天皇統治とは、権力、武力によるものではないと思います。統治とは神聖なる信仰的権威によって國民を統合し、統一することが天皇の統治であると私は思うわけです。

 

 元々、西洋成文憲法というものは、マグナカルタというイギリスの國王と貴族の契約から発祥したものです。君主と貴族の時代から経て、君民の対立の時代になってから、その対立関係をうまく調停させて契約を交わしたのが近代成文憲法の起源であり歴史です。欧米諸國はみな成文法を持つようになり、日本でも、近代化をする過程で成文法を持つ必要が生まれた。それで制定されたのが「大日本帝國憲法」です。

 

 日本という國は三千年の歴史があり、太古、神代の時代からある國の國柄というものを、西洋起源の成文法で規定してしまうこと自体無理がある。ところが明治の先人という方々は大変立派で、伊藤博文、井上毅という方たちが叡智を絞って作り上げた。西欧の法律と日本の伝統というものを良く咀嚼して、それを統合したのが「大日本帝國憲法」でした。「帝國憲法」は完璧とは言えないかもしれないけど、和魂洋才の立派な憲法だと思います。

 

 ですが、成文法で日本の天皇様の国家統治の御事を明記したということでは、「日本書紀」における天照大神が邇邇藝命に下された御神勅というものがあります。

 

 「豊葦原の千五百秋(ちいほあき)の瑞穂の國は、吾が子孫(うみのこ)の王(きみ)たるべき地(くに)なり。宜爾(よろしくいまし)皇孫(すめみま)、就きて知らせ。さきくませ。寳祚(あまつひつぎ)のさかえまさむこと、天壌(あめつち)と窮まりなけむ」

 

 これが日本の成文憲法の起源と言えるでしょう。即ち、「豊葦原の、豊かに草木実る、米実る瑞穂の國は、吾が子孫、即ち天照大神様が御生みになった子孫、邇邇藝命が君主であるべき國である。さあ、汝皇孫よ、日本國に行って統治しなさい、皆を幸福にしなさい、天皇の位が栄えるのは天地と共に永遠であろう」と命じられたわけです。

 

「就きて知らせ」とありますが、大和言葉では他に「しろしめす」、「しらす」、「きこしめす」とも言う。統治する、の意味ですが、元は「知る」という言葉の尊敬語でもある。お知りになるということは、即ち日本の國土、國民、全てのことをお知りになるのが、天皇陛下の御役目であります。

 

知る、というのは単に知識として知るわけではなくて、全てを把握する、意識するという意味で使われる。日常生活でも、「わたしはそんなこと全然知らない」と言うのは、「自分はそういうことには一切関係ない」という意味になりますように、知る、ということには天下一切のことを認識し把握するという非常に深い意味があるわけです。全てをお知りになり、國民をあるべきところにあらしめるのが、天皇統治の本質であるわけです。

 

さらに日本の國の天皇は、自分の力で國民を統治されるのではない。天皇はあくまでも、天の神の御委任によって、地上における神の代理人として天職を奉じる、國家も國民も、神様からの御預かりものであるという大御心によって統治されるわけです。だから、ブルボン王朝やロマノフ王朝のように、人民を征服し、武力と権力でこれを支配し服従せしめるような存在では決してないのです。

 

 もう一つ「きこしめす」には、お聞きになるという意味がある。天照大神は御孫様の邇邇藝命様に天降りを命じられたわけですが、この邇邇藝命の親神、即ち天照大神の御子神は、「天忍穂耳の尊(あめのおしほみみ)」です。「耳の尊」です。また神武天皇の皇子で、第二代綏靖天皇の大和言葉での御名が、神渟名川耳(かむぬながわみみ)の尊、と言われます。このように、日本の國の天皇様は「耳」を非常に大切にされたわけです。國民がどういうことを考えているか、耳を傾けてお聞きになるということを大事にされた。

 

また天皇を「聖(ひじり)の君」とも言いますが、聖(ヒジリ)というのは、日を知る、つまり天体の動きを把握するということです。日本は農耕社会でございますから、時候の推移、季節の移り変わりというものを考察して、農業の指導に当たった。天候を知る、つまり神様の声を聞くことができるのが君主の役目だということです。國民の声、神様の声を知ることを統治の基本にする、これが「しろしめす」「みみのみこと」の意義であると思います。

 

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