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2018年7月 7日 (土)

「神への回帰」「自然への畏敬」という精神性を重視した世界観・文明観を確立することが大切である

オウム真理教の元代表松本智津夫死刑囚らの死が執行された。宗教とは人々に安心立命・真の幸福とやすらぎを与えるものであるはずなのだが、宗教の歴史は逆に人類に不幸と殺戮を与えている側面がある。宗教とか宗教家というものは、世の中を平和にし、人々に安心立命を与える存在であるはずである。ところが宗教や宗教家が、世の中に争い事を撒き散らし、人々を不安や不幸に陥れる例が多いようです。松本のように信者に大量殺戮を命ずる宗教家もいる。

 

世界各地で起こっているテロや戦争や暴動の多くは宗教がその原因となっています。宗教同士の対立と抗争がどれだけ多くの人々を殺し、人類を苦しみに落とし込んだか。

 

宗教には、正しい宗教と邪宗教があると言われる。しかし、この宗教は絶対に正しく、この宗教は絶対に邪教だというよりも、宗教全般に良い面と危険な面・天使的側面と悪魔的側面とがある。言い換えると、宗教は人々に平安を与えてきたと共に、争乱を巻き起こしてきたのである。自分たちの宗教が絶対的な正しいと主張する宗教ほど、他人を傷つけ殺してきた。

 

キリスト教が愛を説き、世界文化・文明の発展と人々の平和に貢献したことは間違ひない。しかし、キリスト教が正しいことしかしなかったというとそれは大きな間違いである。十字軍の遠征という侵略戦争をローマ法王の命令で行ったし、西欧列強による世界侵略の尖兵の役割を果たした。

 

慈悲を説き非暴力とされる佛教も、比叡山などの僧兵が戦闘を行ったし、一向一揆もあった。オウム真理教も仏教的色彩が強い宗教であった。

 

宗教は愛や慈悲を説くと共に、罰や祟りも説く。そして呪詛することもある。ここが宗教の怖いところである。これまでの人類が行った宗教戦争・宗教対立でどのくらいの人が命を失ったことであろうか。 

 

今日の人類の危機を打開するためには、科学技術・物質文明に偏した考え方を改めて、人間の精神性の復活・内面から発する情念の正しき統御が大事なのである。ある一人の人の説く教義で全ての世界が説明できるという傲慢な考えを捨てて、壮大なる宇宙の神秘=無限の可能性は、人間の理性や知能によって全てが説明できるものではないという謙虚な姿勢を持つべきである。

 

先進諸国の<近代合理主義>を根底に置いた物質文明及び経済至上主義の行きづまりによる今日の混迷を打開するためには、正しき「宗教精神」への回帰が大切である。しかし、「宗教精神」への回帰とは、安易にしていかがわしい神秘主義や狂信的な教団宗教へのよりかかりであってはならない。むしろそうしたものを厳しく否定しなければならない。

 

教団宗教は、往々にして排他独善の姿勢に陥りやすい。世界の宗教史は宗教戦争の歴史といっても過言ではない原因はここにある。そして今日それが日本国内においても世界においてもますます激化してきている。創価学会池田教による日蓮正宗宗門に対する攻撃もその典型である。 

 

日本の古代から継承されてきた「道」即ち日本の伝統的信仰精神はある特定の人物によって説かれた「法」でもなければ「教義」でもない。日本伝統信仰すなわち神道には教祖がいない。教典もない。ただ「神への祭り」を行い、「神の道」に随順して生きる事を大切にしている。これが、わが国の伝統的な信仰精神の基本である。つまり日本神道の本質は、特定の人物によって書かれた教条・教義の中には無いのである。文字通り「神」及び「道」のそのものの中にあるのである。

 

日本人は古来、鎮守の神を敬い、亡くなった祖先の御靈を崇め、その御加護を祈ってきた。これが我々日本民族の生活の土台であった。我々日本人は、その「神」を祭り「神の道」を現実に生きることによって宗教的安穏を得るのである。これは日本民族の傳統信仰の基本であり、道義心・倫理觀の根幹である。

 

今日の日本人には、西洋精神の影響を受けて自然への畏敬の念を失ってしまった人が多いが、古来、日本人は自然を神として拝み尊んでいた。これは一種の神秘思想と言っていい。そうした日本民族が継承してきた伝統的な正しき信仰精神を正しく継承し現代において生かす事が必要なのである。

 

日本の伝統信仰は自然神秘思想であることは間違いないが、全てを神や仏という絶対者の支配に任せ、科学的思考・合理的思考を拒絶するという考え方ではない。ただ人間の作り出した科学技術や人間が発見した<合理的法則>というものが全てを解決するという傲慢な考え方を否定するのである。

 

「神への回帰」「自然への畏敬」という精神性を重視した世界観・文明観を確立することが、これからの人類の生存のために不可欠である。であるがゆえに、神道(神ながらの道)という精神伝統を保持する日本が、新しい文明を切り開いていく可能性が非常に高いのである。

 

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