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2018年7月20日 (金)

馬田啓一杏林大学名誉教授による「揺らぐアジア太平洋の経済統合の行方と日本の対応」と題する講演の内容

三月十日に開催された「アジア問題懇話会」における馬田啓一杏林大学名誉教授による「揺らぐアジア太平洋の経済統合の行方と日本の対応」と題する講演の内容は次の通り。

「これからアジア太平洋は経済秩序の大きな節目を迎える。『アメリカ第一』を掲げ、エゴ剥き出しのアメリカの保護主義的な通商政策が、各国の大きな不安と警戒を生む。トランプ政権は『力づくの通商政策』を進めるつもりだ。相手の弱みに付け込み、何でも取引材料にして、強引にアメリカの言いなりにさせる手荒な交渉術を取ろうとしている。その背景には、『アメリカの生産と雇用を守るため二國間の貿易赤字削減が必要だ』とするトランプ政権の誤った認識がある。

トランプは予想できない所がある。流れに任せていいのか。日本が先頭に立って、トランプ政権の暴走を抑えるのか。その延長線上に、対中国戦略がある。中国はアメリカに代って新しい覇権を得ようとしている。その中国に好きなようにさせていいのか。中国の動きにどうやって歯止めをかけるのか。

 

インドを上手にまき込んで『一帯一路』を牽制する動きがある。TPPに中国が入る時に中国を変わらせる。普通の資本主義国にする。今の中国は国家資本主義。中国の周辺国が全てTPPに入ると、中国にとって脅威。日本は中国を変らせるためにこうした状況を作らねばならない。TPPを墓場に埋めるわけにいかない。

 

アメリカの力づくの経済政策の対象は、日本、中国、メキシコ。トランプ政権はアメリカの孤立など平チャラ。日本がどうやってうまくアメリカを相手に言を進めて行くのかが問題。中国を変える長期戦が始まっている。

TPPはアジア太平洋におけるアメリカの影響力を強めるもっとも重要な手段の一つであるはずだ。中国がアジア太平洋の覇権を狙い、アメリカに取って代わろうと動いている時、アメリカのTPP離脱は中国の思う壷。トランプは、いまアジア太平洋で起きているアメリカにとって『不都合な現実』を直視すべきだ。

トランプ旋風は、TPPやNAFTAを悪者にして、グローバル化と自由貿易に懐疑的なプアホワイト(アメリカ南部の貧しい白人をさした言葉)の支持を集めた。アメリカの孤立を厭わず。目先の経済的利益と雇用を優先し、支持者にアピールするトランプ政権の内向き姿勢は、米議会の中間選挙を控え強まりそうだ。

トランプ政権は、TPPの代わりに、アメリカをハブ(中心)とする二国間FTA網の構築を目指す。だがそれはメガFTA時代の潮流に逆行、周回遅れの発想。アジア太平洋における目がFTAの実現を目指す日本にとっては、アメリカの二国間主義、日米FTAは有難迷惑。

アメリカのTPP復帰に向けて、裏ワザと言える妙案を打ち出せるかが成否のカギ。衣替えと厚化粧(整形手術は回避)をした新装TPPの成立に期待。アメリカと日本が喧嘩をしても、中国が喜ぶだけ。アメリカに『TPPに戻っておいでよ』と言うべし」。

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