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2018年7月 9日 (月)

この頃詠みし歌

厳かに運ばれ来たりしおろし蕎麦美味くなければ悲しみ深し

 

貧しくとも家狭くとも多くの子を育てし昔の親たちを思ふ

 

思ひ出す言葉は一つ「貧乏人の子沢山」二階俊博氏の正論を聞き

秋月正夫がステッキを持ち元気さうに楽屋より出で来しを見たる思ひ出

 

歌ひ終へし田谷力三がびっしょりと汗かきてゐるを楽屋にて見し

 

銀座の街で島田正吾と握手して芝居の台詞を言ひし思ひ出

 

変り行く街の姿を眺めつつ変はらざるものを尊ぶ心

 

頑張れよビルの狭間の一軒家 ベランダには白き衣類乾されて

 

 

遠き日に仮名遣ひの事で言ひ争ひし武川忠一氏も今は亡き人

 

炎天下床屋に行きて髪の毛を短く刈れば涼しかりけり

 

一切の苦厄を度すといふみ佛に祈り捧げて眠りにつかん

 

金平糖を食べて潤ふわが心糖分摂取は疲れを癒す

 

煙草のむな煙草のむなのご意見なれど我は一日五本のむなり

 

恐ろしき事件続けるこの頃は一人の部屋に落ち着かずゐる

 

力強き命と思ふこぼたれし家の跡に草萌え出でぬ

 

ひたすらにわが道を行く何事もありても我はわが道を行く

 

厳かに坐りゐるなる占ひ師明日の運命(さだめ)を誰か知るらん

 

大音声発する人の隣にて我は静かに相槌を打つ

 

老いと死のあまりに切なき現実を父母に見しこの十年に

 

父と母は戦中戦後を生き抜きて我と妹を育てたまへり

 

九十幾年生きたまひたる父母の遺影を拝む朝に夕べに

 

包み隠さず心のままを表白すること難きかもわがやまと歌

 

二人の友わが発言にあきれたのか寡黙となりぬ今日の会合

 

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