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2018年4月23日 (月)

福島香織氏(元産経新聞中国総局特派員)による「二〇一八年、中台関係はどうなる」と題する講演の内容

一月二十日に開催された『アジア問題懇話会』におけるフリージャーナリストの福島香織氏(元産経新聞中国総局特派員)による「二〇一八年、中台関係はどうなる」と題する講演の内容は次の通り。

 

「習近平は微笑外交に転じたのではないかという期待があった。ところが年明け早々中国の台湾圧迫が強まっている。尖閣に対しても圧力が強まっている。軍船が入った。攻撃型潜水艦が尖閣海域に近づいたのは前代未聞。東シナ海が緊張。習近平は、軍の指揮系統の一元化し、共産党の軍である、軍は党の指導に従うことを確認。

 

中華民族の偉大なる復興は清の乾隆帝の時代をイメージしている。乾隆帝の時代は版図が一番広い時代。眠れる龍の時代。中華民族の偉大なる復興の中心は軍の強化。今世紀半ばまでに世界一流の軍の建設。アメリカに対抗できる軍を作る。

 

『中国近未来の六つの戦争』という写真が中国で流されている。それには『台湾統一(二〇二〇―二五)、南シナ海奪還(二〇二五―三〇)、インド国境奪還(二〇三五―四〇)、釣魚東・琉球奪還(二〇四〇―四五)、外モンゴル(二〇四五―五〇)、ロシア国境奪還(二〇五五―六〇)』と書かれている。これが本当かどうかは別。中国は『琉球は冊封体制に入っていたので沖縄はオレのもの』と主張。

 

五大戦区はそれぞれ戦略目標を持っている。アメリカのシンクタンク(共和党系)は二〇二〇年までに台湾に侵攻するとしている。『サウスチャイナモーニングポスト』にもその説が載った。中国が二〇二〇年に設定する理由は、台湾独立パワーの高まり、国民党政権が返り咲いても『中台統一』への指導力はないなど。武力統一論を去年暮から出すようになった。

 

解放軍内部がざわついている。今年も四回退役軍人のデモがあった。習近平が妥協してデモに妥協したのは初めて。軍の掌握が上手くいっていない。これを是正するために外部の敵対勢力と戦って国内を統一する。台湾を取りもどすと習近平の歴史的偉業になる。台湾・日本との緊張が丁度いい。

 

台湾の情勢は二〇一四年以降劇的に変わった。台湾人の中国人アイデンティティは非常に低下している。九割は台湾人と思っている。アメリカは台湾を全面的に庇護する姿勢を強める。台湾のNGO職員が政府転覆罪で逮捕され、懲役五年の判決。外国のNGOも中共の管理下に置かれる。

 

中国には一億人以上のカソリック教徒がいる。この人たちを見捨てるわけにいかない。ローマ法王は中国を訪問したいという意識がある。中国はカリブ海周辺の台湾と国交のある国に影響力を強めている。パナマの次にドミニカに接触してインフラ支援をしている。外資企業への踏み獲を行っている。台湾を國扱いする企業は中国で商売できない。

 

中国は、北朝鮮問題に国際社会の視線を集中させつつ台湾併合へと動いている。二〇一八年は日本にとっても危機的な年になる可能性あり。中国の太平洋進出の野望を阻み、東シナ海を守るためには台湾は大事。台湾問題は日本の安全にかかわる。

 

尖閣海域に中国の原潜がうっかり入ったなどということはあり得ない。刺激の度合いを強めて来ている。日本のメディアはあまり報道しない。二〇二二年は沖縄施政権回復後半世紀。中国は節目を大事にする。五十年経つと日本のものになる。だから尖閣は係争地であると国際社会に認めさせるために緊張を高める。

 

領土は力づくで奪うというのが国際社会のルール。アメリカが安保条約第五条を発動する保証はない。係争地帯だからお互いで解決してくれということになる。二〇二二年は半世紀の節目。習近平政権にとって尖閣奪取、台湾奪取が選択肢。それが出来るかどうか。可能性はある。成功するかどうかも分からない。むしろこれをきっかけとして習近平共産党政権が揺らぐかもしれない。

 

世界が真空状態になりつつある。その真空を狙って中国は色々なことをする。それが国際社会にとってリスク。台湾・北朝鮮・尖閣がきっかけとなって国際社会が劇的に変わる可能性あり。中国の原潜が尖閣海域に入ったのは重大事件。日本は対中脅威感が一番強い。もう少し劇的対立が鮮明にならないと決定的米中対立にならない」。

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