« 千駄木庵日乗二月二十六日 | トップページ | 千駄木庵日乗二月二十七日 »

2018年2月27日 (火)

宮中祭祀について

祭祀は、原初・始原への回帰であり、天地宇宙開闢への回帰である。それがそのまま新生となり革新となる。決定的な危機に際して、「原初の神話」を繰り返すことによってこれを打開する。宮中祭祀は、現代に生きる神話である。

ミルチャ・エリアーデは「神話とされるものは、〝かのはじめの時〟に起こったある出来事や、その時に生きていた人物について語られただけではなく、原初の出来事、原初の人物と直接、間接に関係を持つすべてもまた神話なのである。…神話はその性格の如何にかかわらず人間の行動に対してだけでなく、人間自身の条件に対しても常に、先例であり、範例である。」(『聖なる時間・空間』)と論じでゐる。

 

個人の生存も共同体の存立も「肇(はじめ)の時」「始原の時間」への回帰が大切である。個人も共同体も年の初めに新たなる希望と決意を燃やす。祭祀とはその「肇の時」「原初への回帰」の行事である。

 

日本の神話は、天皇の祭祀によって生きた現實として太古より今日まで継承されてきてゐる。世界に國家多しといへども、建國以来、國家元首が祭祀を行ひ続けてゐる國は日本のみである。

 

宮中祭祀は、文化・文藝・政治・経済・宗教など人間のあらゆる「いとなみ」を聖化し「いとなみ」の模範となる行事である。

 

新嘗祭をはじめとした宮中祭祀には、日本民族の傳統的世界観・國家観・人間観・神観が示されてをり、日本文化の中核である。宮中祭祀を中核とする日本の祭祀は、自然神と祖靈を祀る行事である。今日、公害・自然破壊・核兵器など物質文明・近代科學技術文明が生んだ様々な「悪」によって人類全体が大きな危機に瀕してゐる。科學技術文明が徹底的に生態系を破壊せんとしてゐる。文明の進歩によってかへって人間の生命が蝕まれ精神が荒廃してゐる。かかる状況を打開するためには、イデオロギーや特定の教義によるのではなく、自然と共に生きるといふ日本傳統信仰を回復し、自然と人間に宿る生命を護る態度を養ふことが大切である。宮中祭祀を中核とする日本傳統信仰の祭祀こそ、その原基となるのである。

|

« 千駄木庵日乗二月二十六日 | トップページ | 千駄木庵日乗二月二十七日 »

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/121949/66438940

この記事へのトラックバック一覧です: 宮中祭祀について:

« 千駄木庵日乗二月二十六日 | トップページ | 千駄木庵日乗二月二十七日 »