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2018年2月 6日 (火)

この頃詠みし歌

 

 

移り行く季節と共に生きる我 肉体も心も恙なくあれ

 

會者定離人生別離足るといふ言葉この頃頻りにわが胸に浮かぶ

 

杖つきて散歩してゐし老人の姿に会はぬこの頃さみし

 

お互ひに自らの意志を示さざる二人の会話を酒が取り持つ

 

進駐軍磨きといふは見事なりわが履く靴はピカピカとなる

 

無くなりし三信ビルの思ひ出を靴磨き屋さんと語らひてゐる

 

入水してこの世を去りし人のこと偲びつつ人麿のことを思へり(西部邁氏逝去)

 

意志強き人なりしかな多摩川に身を投じたる西部邁氏()

 

雪降りて静かなる街となりにけり人も車も音立てず行く

 

雪止みて朝日照れれば家々の屋根はきらきらと白く輝く

 

肉体と精神を強くあらしめて生きてゆくよりすべなかるべし

 

蝋燭に火をつけ仏壇を拝むこと 今日のひと日のけじめなりけり

 

(もだ)しつつ酒酌みてゐし青年が突如饒舌となりて驚く

 

消え残る雪を避けつつ道歩む滑らぬやうに転ばぬやうに

 

汪兆銘陳公博を忘れるなかれとしきりに思ふ今宵なりけり

 

なべての人の心慰むる如くにも満月は中天に煌々と照る

 

博物館の展示物とは思はずに仁和寺の御仏を拝がみまつる(『特別展 仁和寺と御室派のみほとけ ― 天平と真言密教の名宝 ―』参観)

 

御仏のあまた並べる博物館今此処このまま極楽浄土か()

 

昨日の夜は月食なりしと聞きし時見ざりしことを悲しみにけり

 

空を仰ぎ欠けてゐなければ今日は中止かと家に籠りしことの口惜しさ

 

父母(ちちはは)の眠るみ墓辺を覆ひたる雪を除きぬうかららと共に

 

父母の眠れる墓所に子も孫も曾孫も来たりて拝ろがみにけり

 

わが父とわが母が眠る墓所(はかどころ)拝みてやすらふわが心かな

 

雪を踏み先祖の眠る墓に向かふ節分の日のやすらけき心

 

己が主張譲らざりければなほさらに喉(のみど)渇きてコーヒーを啜る

 

朝夕に手を合はせ祈ることをしもやすらぎとして日々を過ごせる

 

雲の合間に見え隠れする月影を仰ぎて今日も家路を急ぐ

 

雲間より月影現はれ街を照らすことのよろしも混濁の夜に

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