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2018年1月13日 (土)

田中達浩氏(富士通システム統合研究所 安全保障研究所 主任研究員 元通信学校長兼久里浜駐屯地司令、元陸将補)に「サイバー抑止について」と題する講演内容

昨年十月十三日に開催された笹川平和財団主催『第二回サイバーセキュリティ月例セミナー』における田中達浩氏(富士通システム統合研究所 安全保障研究所 主任研究員 元通信学校長兼久里浜駐屯地司令、元陸将補)に「サイバー抑止について」と題する講演内容は次の通り。

 

「サイバー攻撃は圧倒的に有利。抑止は不可能と言われている。証拠は残らない。金もかからない。オバマは二〇一六年五月に広島で『科学の革命には倫理的革命も必要』と言った。サイバーセキュリティは悪意ある攻撃を排除するだけでなく、国家安全保障の観点から抑止しなければならない。サイバー兵器は核兵器のようにはカウントできない。物理的にシステムそのものを攻撃してくる。心理的インパクトも狙ってくる。重要インフラの破壊は心理的にも物理的にも一番インパクトが強い。国防省のシステム妨害もインパクトが強い。大規模金融のシステム妨害もある。攻撃者が圧倒的に有利なので抑止効果が低い。報復抑止=攻撃者に攻撃の成果に見合わないコストを負わせる。心理的インパクトと物理的インパクトの相乗効果。報復する能力、意志、世論の支援、同盟国友好国の支援、この四つの要素を使って相手に不安を与え、攻撃を躊躇もしくは停止させる。

 

ハイブリット戰爭は、国際法事態なのか国内法事態なのかあいまい。全てをインターネット、サイバー空間に依存している。情報戦、心理戦、サイバー戦、EW戦(電子戦)がわが国周辺でも行われている。国際法で自衛権を行使するのか、国内法で取り締まるのか判断できない。中国ロシアのような総合力を持っている國が攻撃して来る場合、通常兵器では勝てない。非国家主体のテロリストは同時多発テロの指令にサイバー空間を使う。資金調達にサイバー空間を使う。

 

『国連憲章』二条四項で武力による威嚇・武力行使は禁止されている。『国連憲章』五十一条によってサイバー攻撃は自衛権行使としてあり得る。『重大被害を及ぼすサイバー攻撃を受けた場合物理的報復をする』とアメリカは宣言した。原発の破壊、大規模ダムの破壊、航空機へのサイバー攻撃に対して物理的報復をすると宣言。

 

サイバー攻撃のグレーゾーン。国家がやっているサイバー攻撃なのだが、武力攻撃相当と認定できない場合はどうするか。国際法で対処するのか、国内法で対処するのか。拒否力型抑止と報復型抑止とがある。反撃能力を確実に作る。サイバー攻撃発信点をエネルギー兵器による攻撃。通信衛星システムへの攻撃。情勢緊迫の過程で直接武力衝突をさせないためのサイバーの示威行動が必要になってくる。サイバー軍を軍の中に定義として確認する。

 

ロシアは色々な所を攻撃しているのに国家がやっていることではないと強弁。レリジエント(注・回復力のある)国家全体としてサイバーフィジカル(注・物理的)システムの安全確保。グレーゾーンにおける対抗措置の準備と合法化。自衛権の行使にどんな手段を使うのか。国内法による司法行政の対応。情報力の強化。予知・予見能力の強化。

 

小さな情報を集めてまとめてみると大きな目的が見える。日本はソフトな国際的枠組みは得意。国家の総合力で抑止する総合安全保障戦略の主たる部分を占めて良い。日本の原発は基本的には安全だが、その安全性を脅かすことを考えている人がいる。アナログからデジタルへの変換の時に何かをやられると問題。規制しすぎるとインターネットの利便性が失われる。その逆もまた真なり。日本は、技術力は高いが攻撃力は弱い。基本的にやらねばならないことをきっちりやるべし。セキュリティの強度を標準化する。人権と安全性の強制力の問題。基本的なことをしっかり決めて行く」。

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