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2018年1月22日 (月)

西部邁氏のご冥福を衷心よりお祈りさせていただきます

西部邁氏が亡くなられました。西部邁氏と初めてお会ひしたのは、平成二年二月二十三日に放送された『激論!日本の右翼と言論の自由と暴力』でご一緒した時です。もう二十八年前のことです。まさに光陰矢のごとしです。西部氏は、東京大学教授の職を投げ捨て、言論人として学者として在野にあって活躍して来られました。国会議員にならうなどといふ気もさらさらなかったに違ひありません。さういふ西部氏の姿勢に敬意を抱いてきました。

 

社会科学の専門用語が多く登場する西部氏の著書は私のやうに国文科出身の者にはなかなか難解です。しかし、一生懸命読むと、共感するところが多かったのです。

 

『伝統と革新』誌でインタビューさせていただいた時、「アメリカにも頼らない、中国にも擦り寄らないという人間たちだけが、天皇を語るに値する」「アメリカとソ連は『歴史を無視して社会を合理的に編成できると考えた』いわゆる『近代合理主義』を信奉するという意味で『似た者』同士であり、米ソの対立は実は『内ゲバ』であった」「おかしな憲法だと思ったなら無視すればいい」と論じてをられました。正論と思ひます。制定過程のみならずその理念内容も全く戦勝国の押しつけである「現行憲法」を無視することが自主性の回復であると思ひます。

 

西部氏は私より八歳年長ですから、一世代上といふ事になります。私には西部氏のやうな終戦体験が無いからか、西部氏ほど反米意識は強くはありません。しかし私は、自分が親米であるとは絶対思ってゐません。今日唯今の時点では、日米同盟は大事だと思ってゐます。西部邁氏が「アメリカにも頼らない、中国にも擦り寄らないという人間たちだけが、天皇を語るに値する」と言はれた通り、「対米自立」にしろ、「反中国」にしろ、日本の拠って立つ基盤の中核には、天皇・皇室の御存在があると考へます。

 

報道によると西部氏は、「結論から言うと、病院死を選びたくないと強く感じかつ考えている」と語ってをられたとのことです。私もこの十数年間、父母の介護、入院、そして逝去を経験し、長期にわたる入院、介護施設における生活そして病院死がいかに本人にとってつらいものであるかを実感しました。「延命とは延苦である」と医者から言われたこともあります。

 

西部邁氏のご冥福を衷心よりお祈りさせていただきます。

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