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2017年12月19日 (火)

山本秀也氏(フジサンケイビジネスアイ編集長兼産経新聞論説委員)による「頼行政院長の誕生と日中台関係」と題する講演内容

十月七日に開催された『アジア問題懇話会』における山本秀也氏(フジサンケイビジネスアイ編集長兼産経新聞論説委員)による「頼行政院長の誕生と日中台関係」と題する講演内容は次の通り。

 

「『産経』は毎年双十節特集を行う。この特集をしていると、台湾はどのような台湾像を発信したいかが分かる。戒厳令解除前は、『中華民国』という名稱と『青天白日旗』を入れてくれと言って来たが、今は台湾の現状を伝える紙面になっている。

 

蔡英文総統は聡明で頭が良い。政治の二つの柱は台湾ナショナリズムの追求とリベラル政治。日米重視。両岸関係の現状維持。反原発・社会福祉重視・同性婚の法制化推進。ベクトル(注・方向性、矛先)は二つある。国内的には脱国民党の推進。二・ニ八事件の責任追及。中正記念堂の運営の見直し・中立化。対外的には新南向政策。貿易投資の相手先を中国から東南アジアに振り向ける。台湾自立の経済基盤を作る。対日政策の重視。儒教社会では同棲婚はタブー視されているがそこから脱却したい。

 

中国発の外交が露骨。国際機関からの台湾締め出しを露骨にやっている。中国は度量が狭くなっている。軍事圧力も露骨になっている。

 

八月の大規模停電で台湾の全世帯の約半数にあたる七百万戸近くに影響が出た。冷房が使えなくなった。原発政策が悪いと財界が批判。支持率に影響が出た。支持率は大体右肩下がり。停電の後、三割を切った。

 

内閣をチェンジし効果があった。民進党のホープ・頼清徳氏を行政院長に起用。支持率がV字回復。頼清徳氏は情熱的政治家。リハビリの専門医。ハーバード大学留学。台南市長。天狗熱で手腕を発揮。台湾独立をハッキリ言う人。『親中愛台』を言う。バランス感覚がある。台湾は主権国家であり両岸は相互隷属関係せずと言う。

 

習近平は二〇一二年に総書記に就任以来、『中国の夢』という言葉をよく使う。『中華民族の偉大な復興』を強調。すでに主権下にある地域では統制を強化。香港では二〇一四年『雨傘運動』が起り若年層の中央離れが鮮明化。二〇一七年、行政長官選挙で普通選挙導入見送り。銅鑼湾書店関係者五人を本土に拉致。『一国二制度』の形骸化。内地の法律をいきなり香港に適用。特務政治。若い人ほど中国から離れようとしている。

 

台湾にも強圧姿勢で臨む。対話の停止。訪台観光客の規制。外交圧迫・軍事武力威嚇。

 

習近平は鄧小平のやってきたことを度外視。習近平の理想としているのは鄧小平にあらず毛沢東。『大一統』とは、紀元前に成立した儒教の経典『春秋公羊伝』の言葉であり『一統を大(たっと)ぶあるいは大にす』という意味。天子を頂点とする儒教ヒエラルキー(注・階層制や階級制)社会の構築、周囲の辺疆への支配。近隣国との朝貢関係の構築、現代における華夷秩序の構築が行われるのではないかと危惧する。自己中心的な天下觀が『法の支配』『普遍的価値』と矛盾する危険あり。南シナ海への支配拡大と国際法との摩擦。強権政策の実現。国際秩序への挑戦。アセアンは中国に文句を言えなくなっている。東南アジア諸国に『中国に文句を言ってくれ』と要求するのは無理。

 

二〇二一年の中共結党百年の動向に注意すべし。中国は今やアメリカを怖れていない。空軍・海軍が台湾に上陸することは可能。米軍の動きを止める能力もある。台湾ナショナリズムがもっと出て来るのではないか。台湾内部で脱中国化が加速する。他方で中国指導部の認識が硬直化。

 

日本と台湾の合同軍事演習ができない。先島諸島防衛を固めるのが第一歩。日台間の紛争を防ぐという名目で日本の海上保安庁と台湾の海上警察の協力ができないか。日本の海上保安庁はベトナム・フィリッピンと協力している。

 

中国は西太平洋においてアメリカが身動きできないようにしている。中国の戦力強化は物凄い。台湾単独では守れない。近隣諸国が知恵を絞る必要あり。経済と安保の重要性。台湾経済の中国依存度をどう引き下げるか。総合的安保政策。日本は台湾の経済政策を後押しすべし。また台湾の国際社会での孤立回避に協力すべし。日本は中国に対して台湾海峡の緊張回避を求め『法の支配』に逆行する覇権追求は高い代償を払わねばならないと主張すべし」。

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