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2017年11月30日 (木)

この頃詠みし歌

 

佳き人に早く逢ひたいと思ひつつ恋歌を讀む我にしありけり

 

一つの仕事なし終ヘし後のくつろぎにチョコレートを一つ口に入れたり

 

父と母の遺影拝みて床に入るが日々の習ひとなりにけるかも

 

年賀状の整理をしつつこの一年逢へざりし友のことを思へり

 

維新以来百五十年の講演を聞きてをり彦根藩邸の跡所にて(憲政記念館『呉竹会』講演会)

 

万延元年江戸幕府崩壊の序章なり大老井伊は桜田門外に斃る

 

議事堂の前を歩めば警官がいぶかしげに我を見つめゐるなり

 

国会正門前に立ちゐる警官が我に今晩はと声かけにけり

 

大いなる人が描きし大いなる霊峰富士の絵を眺めゐる(横山大観画『日出処日本』)

 

二人の友と鍋つつきつつ語らへる晩秋の夜の楽しくもあるか

 

鍋奉行の指示に従ひ食しつつ語らひてをり晩秋の一夜

 

笑顔にて我に真向ふをみなごを人妻ゆゑに我戀ひめやも

 

焦土と化せし七十二年前を思ひつつ今この国の平和を祈る

 

幼児が列なし登校する姿見つつ祈れりこの国の平和

 

今日初めて電車の中で若者に席を譲られ苦笑ひせり

 

有難うとお礼を言へば若者は爽やかな笑みを我に向けたり

 

人と自然への慈しみの心に満ち溢れし玉堂の絵は見事なるかな(『没後六十年記念 川合玉堂ー四季・人々・自然』展)

 

大き自然の景色の中に描かれし人の姿のいとほしきかな()

 

日の本の国の榮を祈りたり新嘗を祝ふみまつりの庭(『新嘗を祝ふ会』)

 

大祓の詞を友らと唱へつつわが日の本の榮を祈る()

 

國汚す者共なべて祓ひ清め大日の本を蘇へらせたまへ()

 

静かなる初冬の午後に枯れ落ち葉踏みつつ歩み御佛を拝がむ

 

父母が護り来たりし観音堂われも日日参り来るなり

 

諏訪の神祀れる宮に七五三の幼児の姿愛らしきかな(日暮里諏方神社)

 

道灌殿の物見の丘に今日立ちて林立するビルを眺めゐるかな

 

仰ぎ見る巨木に命漲りて冬空の下に雄々しくぞ立つ

 

ニャオニャオと鳴き声立ててついて来る猫のいとしも下町の路地

 

人懐こい猫多くゐるを喜びつつ今日も歩めり千駄木谷中

 

大陸に戦ひ戦後を生き抜きて我を育てし父を偲ぶも

 

父母の恩といふ言の葉が幾度もよみがへり来て今日もよみがへりる

 

最早逢ふこと叶はざる人が多くなることのさみしさをかみしめてをり

 

若き友と語らふ夕べ我もまだ老いずに生きんと秘かに思ふ

 

それぞれの表情を持つ人々とすれ違ひつつ街歩み行く

 

当たり前のことを歌に詠むこともわが魂のなぐさめとする

 

亡き父ともっと語らひてゐれば良かりしと今さら悔いても詮方もなし

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