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2017年11月10日 (金)

『東京藝術大学創立130周年記念特別展 皇室の彩(いろどり) 百年前の文化プロジェクト』を参観して

本日参観した『東京藝術大学創立130周年記念特別展 皇室の彩(いろどり) 百年前の文化プロジェクト』は、「およそ 100 年前。大正から昭和最初期の頃に、皇室の方々の御成婚や御即位などの御祝いのために、当代選りすぐりの美術工芸家たちが技術の粋を尽くして献上品を制作しました。中には、大勢の作家たちが関わった国家規模の文化プロジェクトがありましたが、今日ではそれを知る者がほとんどいなくなっています。いったん献上されたそれら美術工芸品は、宮殿などに飾り置かれていたために、一般の人々の目に触れる機会が極めて限られてきたからです。

 古くから皇室は、日本の文化を育み、伝えてきましたが、近代になってからは、さまざまな展覧会への行幸啓や作品の御買上げ、宮殿の室内装飾作品の依頼などによって文化振興に寄与してきました。皇室の御慶事に際しての献上品の制作は、制作者にとって最高の栄誉となり、伝統技術の継承と発展につながる文化政策の一面を担っていました。大正期には、東京美術学校(現、東京藝術大学。以下美術学校)5代校長・正木直彦(1862 1940)の指揮下で全国の各分野を代表する作家も含めて展開された作品がこの時代の美の最高峰として制作されました。本展では、宮内庁に現存する作品とともに、その制作にまつわる作品や資料を紹介いたします。

また本展は、東京美術学校を継承する東京藝術大学の創立130周年を記念して、東京美術学校にゆかりある皇室に関わる名作の数々も合わせて展示いたします。皇室献上後、皇居外で初めて公開される作品を中心に、100年前の皇室が支えた文化プロジェクトの精華をお楽しみください」との趣旨で開催された。(案内書)

 

「軍鶏置物」石川光明 「萬歳樂置物」「木彫置物養蚕天女」高村光雲/山崎朝雲 「久米舞」竹内久一 「鹿置物」高村光雲 「丹鳳朝陽図花瓶」海野勝珉 「東京名勝図・萬歳樂図衝立」島田佳矣 「鱚」前田青邨 「秩父霊峰春暁」「日出処日本」横山大観 「住吉詣」松岡映丘 「御飾棚 鳳凰菊文様蒔絵」島田佳矣 「彫金洋式文房具」千頭庸哉 「玳瑁装身具鴛鴦菊文様」森田佳鳳 「牙彫置物唐子遊」和田光石などを参観。

 

大正天皇御即位、皇太子殿下(昭和天皇)御成婚、昭和天皇御即位という大正・昭和の御代に皇室の御慶事に献上された美術品、明治宮殿に置かれた美術品が多く展示されていた。日本の近代美術は、皇室を中心に継承され高められていったこと、日本美術発展の基礎は皇室にあったことを実感した。展示され作品は、正しくは御物と申し上げると思うが、豪華絢爛と言うよりも、美しさ清らかさ気品の高さを極めた作品であった。太田彩氏(宮内庁三の丸尚蔵館学芸室主任研究官)は、本展覧会の図録解説で「明治宮殿は近代における正倉院宝庫のような存在で、その内部を装飾する品々は宝物的な存在であるという見方ができる。…明治宮殿という近代日本美術のひとつの牙城的存在は、天皇という崇高な存在とともに、日本美の象徴的存在であったとも言えよ」と述べているが、全くその通りである。

 

私が最も感動した作品は、横山大観の「日出処日本」であった。昭和十五年大観自ら、昭和天皇に検証した作品で、霊峰富士と旭日のみが描かれている。解説には「七十歳を過ぎた大観が勤皇の画家として生きた己の人生の集大成として、尊崇の念のすべてを具現化しようとしたかのような気迫が感じられる」と書かれてあった。まことに以て見事な絵であった。この作品を見つめていると、自然に涙がこぼれてきた。

 

彫刻では、高村光雲の作品に感動した。仏師として修業し、実物写生を基とした高い藝術性のある彫刻を数多く制作した。光雲の作品を見ていると今にも動き出しそうな感じがする。高村光雲の子息は、詩人にして彫刻家の高村光太郎、彫金家の高村豊周である。お二方とも、小生の家の近くの駒込林町に住んでいた。豊周氏は何回かお見かけしたことがある。高村邸の隣が宮本百合子・顕治夫妻の家であり。すぐ近くが安田財閥の一族の人の家であった。小生の家は林町の屋敷町から大給坂という坂を下った駒込坂下町という庶民の町であった。わが家は煙草屋を営んでいたので、宮本百合子が煙草を買いに来たと母は話していたのを思い出す。

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