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2017年7月 6日 (木)

『フランス絵画の宝庫 ランス美術館展』を参観して

六月二十三日に参観した西新宿の損保ジャパン日本興亜美術館にて開催された『フランス絵画の宝庫 ランス美術館展』は、フランス北東部シャンパーニュ地方にある、ランス美術館のコレクションをご紹介する展覧会です。ランス美術館は、歴代のフランス国王が戴冠式を行った大聖堂で知られる古都ランス市に位置し、初期ルネサンスから現代まで、幅広いコレクションを有しています。本展覧会はランス美術館の所蔵作品から、17世紀から20世紀まで、選び抜かれた作品約70点を展示、華麗なるフランス絵画の歴史をたどります。また、ランス市に縁の深い日本出身の画家レオナール・フジタ(藤田嗣治)の作品群も併せて展示します」との趣旨(案内書)で開催された。

レオナール・フジタ《聖母マリア》《『平和の聖母礼拝堂』フレスコ画のための素描》 

作者不明(フランス)《ルイ15世の娘、アデライード夫人の肖像(と思われる)》

ジャック=ルイ・ダヴィッド《マラーの死》

ウジェーヌ・ドラクロア《ボロニウスの亡骸を前にするハムレット》

ポール・ゴーギャン《バラと彫像》《アリスカンの並木道》

カミ―ユ・ピサロ《オペラ座通り、テアトル・フランセ広場》

フィンセント・ウィレム・ファン・ゴッホ《ひまわり》

 

などを参観。レオナール・フジタ(藤田嗣治)が好きなので見に行ったのだが、他の作品も見ごたえがあった。美しい絵画の典型である。

レオナール・フジタは晩年ランスにノートルダム・ド・ラ・ペ礼拝堂を建立して内壁を飾り、死後この礼拝堂に夫人とともに埋葬されている。そして、フジタの旧蔵作品や資料など2千点余りがランス美術館に寄贈された。1920-30年代の作品もあるが、大半は戦後、それも最晩年の礼拝堂を飾る壁画のための素描や習作である。展示されている作品には宗教的崇高さはあまり感じられなかったが、迫力のある作品であった。黒人の聖母マリア像というは大変に珍しかった。マリアの周りに子供達が描かれているのだが、誰一人笑顔を見せていない。フジタは晩年子供を描いた作品が多いが、笑っている子供はいない。不思議なことである。フジタの孤独感の表れであろうか。

フジタは、1955年にフランス国籍を取得、1957年フランス政府からはレジオン・ドヌール勲章シュバリエ章を贈られ、1959年にはカトリックの洗礼を受けて藤田嗣治からレオナール・フジタとなった。没後、わが國政府からも勲一等瑞宝章を追贈された。

何故、フランスに帰化し、カソリック教徒になったのか。戦時中戦争画を数多く描いたことから、非難がフジタに集中したことが原因かと言われている。藤田嗣治は、私が御指導を受けた作家の中河与一氏とは、深い交流があり、藤田がフランスに行った後も続いた。中河氏も、戦時中戦争に協力したということで文壇から事実上追放された。藤田・中河両氏とも戦後、画壇・文壇に巣食っていた左翼勢力の生贄になったと言える。しかし二人の芸術家・作家としての業績は不滅である。

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