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2017年7月16日 (日)

『水墨の風 ―長谷川等伯と雪舟』展参観記

本日参観した『水墨の風 ―長谷川等伯と雪舟』展は、「水墨画の魅力を、『風』をキーワードに迫ってゆきます。『風』は、『かぜ』と読めるのと同時に、『画風』『遺風』といった言葉からもわかるとおり、『流儀』や『様式』といった意味も含んでいます。日本における水墨の『風』を考える上で欠くことのできないのが、雪舟と長谷川等伯というふたりの画家です。雪舟は、当時の日本で重んじられた画法を学びながらもそれに飽き足らず、中国に渡って日本とは全く異なる本場の絵画動向に触れ、強い表現性を持つ水墨画を生み出すに至りました。そして等伯は、雪舟以後に大きな飛躍をとげた水墨画をさらに変革し、日本人の心性にかなった、情緒あふれる絵画表現にまで高めたのです。…伝統を基盤としながらも新たなる風を興したふたりの創作意欲の源に迫りつつ、さらに日本における水墨画がいかなる遺風にならい、いかなる新風を興したのかを、深く読み解いてゆきます」(案内書)との趣旨で開催された。

 

破墨山水図 画・雪舟 賛・景徐周麟 室町時代

松に鴉・柳に白鷺図屏風 長谷川等伯 桃山時代

四季花鳥図屏風(右隻)  能阿弥 応仁3年(1469

酔舞・猿曳図屏風 (左隻) 狩野尚信 江戸時代

四季柳図屏風 長谷川等伯 桃山時代

雪峯欲晴図 浦上玉堂 江戸時代 

平沙落雁図 牧谿 南宋時代

 

などを参観。

 

水墨画というのは、「墨」一色で表現される絵画である。筆の動きによる墨線・墨の濃淡で美しさを表現するというのだから大変難しいと思う。雪舟の「破墨山水図」は極めて筆の動きが極めて早く躍動感が感じられた。水墨画の特質を十分に表現した作品であった。

長谷川等伯の作品では水墨画ではないが、「四季柳図屏風」が良かった。金色の背景にそよ風に吹かれる緑の柳が描かれている。美しい作品であった。 

 

「雪峯欲晴図」などの浦上玉堂の作品も良かった。大きな作品ではないが、自然に対する慈しみの心が良く表現されていると思う。心洗われる絵画である。

 

水墨画というのは支那から禅と共に伝わったというから、水墨画を見ることは一種の宗教的に安穏の境地に導かれるということなのであろう。

 

全体的には花鳥風月、山水の景色を描いた作品がほとんどであった。ワンパターンの作品がやや多かったように思える。

 

近世以前は、電気の照明というものが無かったのだから、昼間は外光がさして来ることもあっただろうが、夜は蝋燭などの灯りなどで絵画など鑑賞したのであろう。現代の展覧会の照明とは全く違う雰囲気であったと思う。

 

山水画は、自然の美しさを実感し、心が洗われるような気分になれれば、良いのであう。私などは、描かれる絵画の世界に入って行きたくなる気分を起こさせる絵が良い作品だと思う。近代絵画では川合玉堂の絵がそうだと思う。起用参観した水墨画も玉堂の絵も、景色と共に人物が描かれているところが良い。自然の中に住む人間の幸福を思わせる。

また、そこで描かれている世界は写実ではない。言い換えると現実ではない。むしろ非現実の世界、理想の世界と言っていいだろう。だから鑑賞する者の心をする者の心を安穏たらしめるのである。

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