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2017年7月 4日 (火)

ブレット・スティーブンス氏(ウォール・ストリート・ジャーナル 論説室副委員長)による講演内容

三月二十三日に開催された「笹川平和財団 日米交流事業主催 講演会『アメリカ第一主義』とリベラルな国際秩序の将来」におけるブレット・スティーブンス氏(ウォール・ストリート・ジャーナル 論説室副委員長)による講演内容は次の通り。

 

「ウッドロウ・ウィルソンは一九一七年四月、第一次世界大戦にアメリカを導入。しかし勝利は無駄なものになった。空疎な国際連盟が生まれた。アメリカは世界から遊離してはいけない。平和のためにはたまには力を用いなければならない。より高い次元を目指すものでなければならない。広い心を持って事に臨むのは犠牲ではなく投資。保護主義に戻ることはできない。

 

アメリカは世界の国々を守るために何十万の軍を各地に置いた。アメリカの力は敵を抑止し友好國を安心させた。集団安全保障をロシア・中国が拒否権を持つ国連に任せたら空疎なものになる。我々の利益を見出すのは深いところで価値観に基づく。アメリカの政治的理想が望むべきものと思われる世界を作ろうとした。

 

トランプにイデオロギーはあるのか。トランプの登場はどのような意味があるのか。私は彼が大統領選に出ると言った時から嫌いだった。彼はまぐれの産物。選挙制度というまぐれによって勝ったのだ。大統領として長続きしないと言われる。しかしトランプの抬頭は運命づけられていた。トランプはグローバリズムに反対する新しい形。トランプはムッソリーニのような人物。しかし、アメリカがファシズムになると言っているのではない。アメリカには三権分立・メディア・裁判の独立がある。しかし一九三〇年代の政治に似ていることを否定してはいない。

 

大衆の力によって大統領になったとトランプは言いたいのだ。敵を作ることによって権力の強化を正当化する。エリート・ブルジョアにショックを与える。大衆迎合政治。トランプは愚かではない。目的があり一貫性がある。知性と知性偏重を混同してはならない。リベラルな国際的秩序を下支えしてきた根拠が弱くなっている事をトランプは知っている。アメリカ第一主義を蘇生させたい。移民を貴重な人材資源とは見ず、テロの温床だという近視眼的見方をしている。

 

トランプがNATO支持と言っているのは安心材料。メルケルとはうまくいかない。アメリカの安保に依存してきた国々は他の方法を考えてもらわねばならない。

 

アメリカの変化は迅速。グローバリズムは大きく後退してきている。経済が失望した世代のニーズにこたえていない。インチキなポピュリズムのホラに共感している。

 

北京・ピョンヤンの独裁者はますます厚かましくなっている。無秩序な世紀に現在我々は生きている。今までのリベラル体制がいかに人を傷つけて来たかを知るべし。絶望した人々がヨーロッパに押し寄せてきている。過剰なリベラルな政策を考え直さねばならない。リベラルな国際秩序が何故それぞれの国に繁栄をもたらすのかの答えを出さねばならない。

 

アメリカが自由な世界の安全を保つことに努力してきたことで何故アメリカが繁栄して来たかを考えるべし。振り子は最終的にリベラリズムに戻って来る。自由の砦・平和の可能性を信じる必要あり、希望は残っている。リベラリズムをどうやってトランプ支援者に受け入れてもらうかが問題。

 

ニクソンドクトリン、レーガンドクトリンはあったが、トランプ主義はない。彼は思想家ではない。オバマ政権とトランプ政権とは共通性がある。北朝鮮はアメリカ大統領にとって遠い問題。トランプが介入主義をとると思うのは間違え。

 

日本にとって大事なのは強力なリッチな国であること。民主的国家の中で長きにわたって尊敬されている。日本は抑制することはない。韓国とどのようなことが協力できるかを考えるべし。中国からの侵略に対する砦・壁になるべし。

 

パレスチナの問題はシリアの問題に比べて小さくなっている。クルド人・タミール人・チベット人は国家を作りたいと思っている。グローバルの中でどう重要なのか。エルサレムに大使館を移動させる問題はローカルなストーリーになっている。

 

トランプ政権は個人崇拝に陥っている。カリスマ的リーダーの登場は感情的つながり。合理的意義を乗り越えてしまう。トランプの演説を聞いて感動する人はたくさんいる。トランプは相手の欠点をよく知っている。個人のレベルではない。ヒラリー攻撃、制度機構、メディアに対しても蹴っ飛ばすほど良いと思った。メディア攻撃は効果的であった。真実は政治的権力者が作る。それが全体主義への道」。

 

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