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2017年5月16日 (火)

『憲法懇話会』における高乗正臣・慶野義雄両氏の報告

二月四日に開催された『憲法懇話会』における報告は次の通り。

高乗正臣平成国際大学名誉教授が「今上天皇の攘夷問題と天皇の在り方の本質」と題して報告し、「生前譲位の問題は、陛下は随分前からあたためておられたと承る。一代限りの特例法は避けるべきだと思った。その場しのぎで法律を変えるとなると、皇位が不安定になる可能性がある。明確な基準と手続を確立すべし。本来私は譲位には否定的。五百歩譲っても『皇室典範』改正が必要。摂政の要件を広げて、摂政制度を活用すべし。『国事行為の臨時代行に関する法律』に「高齢」を加えればいい。有識者会議のスタンスと私は異なる。天皇の本来のあり方と本質とは何かを国民も政治家もしっかり議論していかないといけない。トランプ現象でアメリカは完全に分断されたと思う。大統領制は脆弱で不安定な政治制度であることが明らかになった。韓国大統領の不祥事を見てもそう思う。自然に生成してきたわが國體・天皇のあり方がいかに政治の安定、国家の統一に資するものであるかが分かる。巧まざる統合を達成する。このような天皇のあり方を、政治的に利用したり変形してはならない。明治元年(一八六八)年に新政府が発表した『政体書』(注・政治組織ならびに綱領を沙汰攻め太政官布告記)に『天下の権力、総てこれを太政官に帰す、則政令二途出るの患無らしむ。太政官の権力を分つて立法、行法、司法の三権とす、則偏重の患無らしむるなり』と書かれている。『天下の権力は天皇に帰する』とは書かれていない。鎌倉時代以降、政治権力は幕府が担ってきた。幕府レベルのものは太政官が引き継げばいいということか。本来、政治権力は、この『政体書』に書かれていることが日本の伝統ではなかったか。近代立憲国家ではどうしても『元首』になる。西洋の君主にはどう考えても日本天皇の在り方に近いものは無い。ローマ、ドイツ、イギリスの君主に、天皇に近いものは無い。他国の君主と比べようのない日本独自の天皇の在り様があるのだから、西洋流に変形し、政治的作為的にいじることに慎重であるべし。陛下の御地位をめぐって、侃侃諤諤の議論が行われるのは如何なものか。天皇の本来の在り方を変えるのではないかと危惧する」と語った。

 

慶野義雄平成国際大学教授が、『憲法改正と美意識』と題して報告し、「明治維新で確立した原則を崩しかねない事態になってきた。『大日本帝国憲法』と『皇室典範』はお互いに干渉せずが、日本の近代法の大原則。宮中・府中の別が大事。祭政分立を絶対に忘れてはいけない。国民主権だからと言って、国会で侃侃諤諤の論議をしていいのか。『憲法第九条』は昭和天皇の発案だと言う人がいる。天皇陛下の御心を勝手に忖度している人がいる。皇后陛下は深い國體へのご理解があられるのではないか。皇后陛下は『生前退位という言葉を聞いて大変ショックを受けました』と言われている。最大限のマスコミ批判。『深い悲しみを覚えました』と仰せになっている。一般国民が論議すべきではない。露骨な政治の話になってしまった。憲法の第一条に『天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く』とあり、第四条に『天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない』とあるのは大矛盾。政治的機能には尊厳的機能と政治的機能がある。天皇は高度な政治的機能・尊厳的機能を有する。第一章と第四章は大矛盾。天皇は、ステイト・国務に関しては憲法に書いてあることのみを行う。『大日本帝国憲法』第四条『天皇ハ国ノ元首ニシテ統治権ヲ総攬シ此ノ憲法ノ条規ニ依リ之ヲ行フ』と同じ。『現行憲法』の英文の原文には、『ガハメントに関する力を持たない』と書かれている。『統治』には二つの意味がある。シラシメスとウシハクの二つである。ウシハクがガバメント。政府あるいは行政に関する権力については、『憲法』に書いてあること以外はやってはいけないと書いてある。不親政の伝統が生まれた。シロシメス行為が憲法の第一条に書かれている」と語った。 

この記録は小生のメモによるもので不完全です。文責は小生にあります。

 

千駄木庵主人曰く。憲法は、「権力の制限規範」であると言う。であるならば、権力者ではあらせられない天皇は、「権力の制限規範」たる憲法を超越した御存在であり、憲法が天皇を制約することがあってはならない。『現行憲法』には、天皇は「国政に関する権能を有しない」と書かれている。であるならば、三権の一つであり立法機関である国会が権力者であらせられない天皇の御位即ち「皇位」について議論し決定することはできない。国権の最高機関たる国会が、権力者ではあらせられない天皇の「御地位」について干渉したり何事かを決めることはあってはならない。

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