« 千駄木庵日乗四月二十八日 | トップページ | 「日本の心を学ぶ會」のお知らせ »

2017年4月29日 (土)

『大アジア主義』について

大アジア主義とは、「白色人種のアジア侵略植民地支配にアジアが一つになって対抗する」精神と行動であると考へる。この「大アジア主義」を端的に表現した文章は、(『大西郷遺訓』に示された西郷隆盛の次の言葉であらう。

 

「文明とは、道の普く行はるゝを言へるものにして、宮室の荘厳、衣服の美麗、外觀の浮華を言ふに非ず。世人の西洋を評する所を聞くに、何をか文明と云ひ、何をか野蠻と云ふや。少しも了解するを得ず。眞に文明ならば、未開の國に對しては、慈愛を本とし、懇々説諭して開明に導くべきに、然らずして殘忍酷薄を事とし、己を利するは野蠻なりと云ふべし」。

 

大アジア主義の原点は、「南洲精神」である。科学技術文明が発達した西洋列強は、その力によって、アジア・アフリカを侵略支配し、圧政と搾取を行った。これはまさに文明にあらずして「殘忍酷薄を事とする」行為であり、「己を利する」政策であったと言へる。

 

イギリスは、数世紀にわたって侵略と征服とによって全世界に広大なる領土を獲得し支配し搾取してきた。アメリカは、米西戦争(べいせいせんそう)を契機として太平洋及びアジアに侵略の牙を向けるようになった。米英の世界制覇の野望は、人類の災厄、世界の禍根であった。

 

かうした西欧列強の非文明的所業を破砕し、アジアを王部列強による植民地支配の桎梏下から解放しようといふ思想が「大アジア主義」である。

 

「尊皇攘夷」の旗印で戦はれ、断交された明治維新は我が国をして西欧列強による侵略・支配下に置かれることを防ぐ大いなる戦ひであった。そしてそれは成功した。

 

明治維新の原動力は、支那に対する英国侵略を見た当時の日本の青年たちの驚き即ち「明日はわが身である」といふ認識があったと思ふ。アジア侵略植民地化に対抗して祖国を守ろうとする危機意識が明治維新の原動力の一つであった。「尊皇攘夷」の精神は、天皇を君主と仰ぐ國體を明らかにして外敵を打破するといふ思想である。

 

葦津珍彦氏は、「明治維新を推進した攘夷の精神といっても、その根底の意味は、アジアに進出してきた欧米の非道残忍な、侵略の圧力に対抗して、祖国の独立を守り、アジアを防衛しようという精神である。近ごろの人には、日本の攘夷思想を、未開野蛮な頑迷なものだったように思って軽蔑する人が多いが、それは誤っている。…白人の科学と技術とは、東洋人を征服し、東洋を掠奪するために使用されたのである。十九世紀の列強の白人たちの行為は、戦慄すべきものであった」(『大アジア主義と頭山満』)と論じてゐる。

 

明治維新の精神には、西欧列強の侵略を撥ね退ける姿勢の根本に「尊皇思想」があった。わが國肇国以来の國體精神を変革の原理とした。支那は、皇帝によって変革が否定されたが、わが国は天皇が変革の中核となった。ここに、日本と支那との大きな違ひがあった。

 

明治維新後の近代化は、多くの矛盾や失敗があった。しかし、西欧列強の支配下に入ることなく、自主の國としての近代国家を形成した。それは、わが國の自主性を保ちつつ、欧米文化を取り入れ、近代化を為し遂げることができた事による。

 

西郷隆盛はさらに、「廣く各國の制度を採り、開明に進まんと欲せば、先づ我國の本體を立て、風教を張り、而して後、徐(しづ)かに彼の長所を斟酌すべし、然らずして猥りに彼に倣はゞ、國體は衰頽し、風教は萎靡して、匡救すべからざるに至るべし」(『大西郷遺訓』) と論じてゐる。

 

この西郷隆盛の思想は、今日問題となってゐるグローバリズムとナショナリズムの対立を止揚する重要な考へ方である。まづ以て、日本の伝統的な國體精神を強固に確立し開顕した上で近代化を達成すべしといふ思想である。

 

『大西郷の精神』とは、国家の自主独立の精神であり、皇室を敬い国民に真の平安をもたらす政治の実現である。西洋列強の侵略から祖国を守り四民平等の国を建設するための大変革であった明治維新を戦い、さらに維新後にあってもなお、東洋の平和と理想の道義国家建設のために戦った「大西郷の精神」こそ、今の日本にもっとも必要なものである。何故なら今の日本は、幕末及び明治初期の我國以上に、外国から侮りを受け、政治は乱れに乱れているからである。

|

« 千駄木庵日乗四月二十八日 | トップページ | 「日本の心を学ぶ會」のお知らせ »

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/121949/65210116

この記事へのトラックバック一覧です: 『大アジア主義』について:

« 千駄木庵日乗四月二十八日 | トップページ | 「日本の心を学ぶ會」のお知らせ »