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2017年2月 9日 (木)

皇室の重大事が権力機構である衆参両院で決められるのは傳統破壊・國體隠蔽である

 

「祭祀國家日本の祭祀主・天皇」に関する神聖なる事柄、即ち「皇位継承」「御譲位」などは、世俗の法律問題・政治問題ではない。「現行占領憲法」が規定する「政治権力作用としての國政」ではない。故に、政治権力や成文法によって、規制し拘束し奉るようなことがあってはならない。天皇陛下の御心によって全てが定められるべきである。

 

『皇室典範改正』『天皇御譲位』は、天皇國日本といふかけがへのない信仰共同體・祭祀國家の根幹に関はる重大問題である。皇位繼承とは、神代以来の道統を繼承する天皇の御位に関することである。他國の王位繼承・元首の選び方・権力者交代システムとは全くその本質を異にする。

 

皇位繼承・天皇御譲位・皇室典範改正など皇室に関はる重大事は、神代以来のわが國の傳統を遵守しなければならない。而して天皇は、神代以来の傳統の繼承者・體現者であらせられる。故に天皇の御心を第一にすべきである。

 

『大日本帝國憲法』第七四条には、「皇室典範ノ改正ハ帝國議會ノ議ヲ経ルヲ要セス」(皇室典範の改正は、帝國議會の議を経る必要はない)と書かれてゐる。また明治天皇が明治二十二年二月十一日に勅定された『皇室典範』六十二条には、「将来此ノ典範ノ条項ヲ改正シ又ハ増補スヘキノ必要アルニ当テハ皇族會議及枢密顧問ニ諮詢シテ勅定スヘシ」と書かれてゐる。

 

伊藤博文著の『皇室典範』の逐条解説書『皇室典範義解』(明治二十二年六月一日公刊)の「前文」には、「皇室典範は皇室自ら其の家法を条定する者なり。故に公式に依り之を臣民に公布する者に非ず。而して将来已むを得ざるの必要に由り其の条章を更定することあるも、また帝國議會の協賛を経るを要せざるなり。蓋し皇室の家法は祖宗に承け子孫に傳ふ。既に君主の任意に制作する所に非ず。また臣民の敢て干渉する所に非らざるなり。」と書かれてゐる。

 

さらに、『皇室典範義解』の第六二條の「註」において「皇室の事は皇室自ら之を決定すべくして之を臣民の公議に付すべきに非ざればなり」と書かれてゐる。

 

伊藤博文はその著『大日本帝國憲法義解』の「憲法第七四條」の「註」で、「皇室典範は皇室自ら皇室の事を制定す。而して君民相關かるの権義に非ざればなり」と論じてゐる。

 

また、明治二十一年五月二十五日から六月十五日にかけて、枢密院で『皇室典範』について審議が行はれ、出席者から次のやうな発言があった。

 

井上毅(法制局長官・枢密院書記官長)「皇室典範を以て國會の議に附するときは、人民相集まりて、皇室の家格を妄議し、却て皇室の尊厳を冒瀆するに至る虞あり」。

 

山田顕義(司法卿)「皇室典範は特別重大の法典にして尋常の法律命令と混同すべきに非ず。故に別段の勅令を以て之を発布し、普く人民をして之を恪遵(注・忠實に守る意)せしめざるべからず」。

 

河野敏鎌(枢密顧問官)(注・『皇室典範』を)公布するとも、別に議院の干渉を容るゝの虞毫厘もあることなし。如何となれば、向来皇室典範を改更することあるも、皇族幷(ならび)に枢密院に諮詢する等の明条(注・『皇室典範』第六二条)あるを以て、更に議院の容喙を許さゞればなり」。 

 

以上のごとく、『皇室典範』は本来「勅定」であり、國民やその代表者とされる議會などが干渉することはあってはならない。今日の状況はまさに井上毅の言った通り「人民相集まりて、皇室の家格を妄議し、却て皇室の尊厳を冒瀆するに至る虞あり」ではないだらうか。

 

戦後、『皇室典範』が『憲法』の下位法になり、皇室典範改正・皇位繼承・天皇陛下の御譲位といふ皇室の重大事が権力機構である衆参両院で多数決によって決められてしまふようになったのは、重大なる傳統破壊・國體隠蔽であり、厳密・厳格に言へば「國體破壊」への道を切り開くものである。

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