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2016年12月 1日 (木)

『速水御舟の全貌―日本画の破壊と創造』展参観記

本日参観した『速水御舟の全貌―日本画の破壊と創造』展は、「このたびの展覧会では、開館50周年を記念し、当館の『顔』ともいえる御舟コレクションに、他所蔵の各時期の代表作品も加え、初期から晩年にいたる御舟の作品約80点でその画業の全貌をふり返ります。『梯子の頂上に登る勇気は貴い、更にそこから降りて来て、再び登り返す勇気を持つ者は更に貴い』と語り、新しい日本画を目指して努力と挑戦を続けた御舟は、40年という短い人生の中で、一つのところにとどまらず、生涯を通して新たな表現に挑み続けた画家でした。本展では、研鑽を積んだ修業時代や画塾の兄弟子・今村紫紅の感化を受けた時代から始まり、洋画家・岸田劉生や西洋画、宋代院体花鳥画などへの意識から生まれた写実への追求、代表作《炎舞》以後の新たな日本画への挑戦、さらに渡欧後に取り組んだ人体表現や晩年の水墨による花鳥画に至るまで、御舟の各時期の代表作品を集めて展示いたします。当館の御舟コレクションと他所蔵の御舟の名品が一堂に会する23年ぶりの大回顧展です」(案内文)との趣旨で開催された。

 

《炎舞》《名樹散椿》《洛北修学院村》《京の舞妓》《菊花図》《鍋島の皿に柘榴》《鍋島の皿に柘榴》《翠苔緑芝》《名樹散椿》《円かなる月(絶筆)》《花ノ傍》《昆虫二題》《紙すき場》などを参観。

 

どの作品も写実が見事であった。特に昆虫類や果物や草花の写実は、ただ写実しただけでなく対象の生命と言うか魂と言うべきものを写しとっているという感じである。徹底した写実にして写実にあらず、「命」を活写している。生命の讃歌になっていると思った。絶筆の《円かなる月》は、皇居前の松と月が描かれていた。松の緑と銀色の月の色彩が美しく幽遠な作品となっている。《名樹散椿》《翠苔緑芝》は、琳派の伝統を受け継いだ絢爛たる色彩で描かれた屏風絵であった。

 

代表作の《炎舞》(重要文化財)は燃え上がる赤い炎とそこに乱舞する蛾が描かれている。これも写実と言うよりも幻想美の世界になっている。速水御舟は近代日本の画家の中でも、一種独特の世界を創造していると思う。四十歳で亡くなったのが惜しまれる。

 

《埃及土人之灌漑》という作品があった。昭和五年に渡欧した時、御舟はイタリア、ギリシャ、フランスなどの他、ナイル河氾濫期のエジプトにも訪れた。その時の作品である。働いているエジプト人が描かれている。最近、「土人」という言葉が差別語であるなどという議論があったが、御舟は差別意識があってこういう画題にしたのではないのは当然である。

 

私は毎年十一月には、必ず山種美術館を参観する。展覧会を見るのも楽しみであるが、この美術館で制作しているカレンダーを購入するのも目的である。カレンダーを書斎に掛けてその絵画を見て心を癒すのである。

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