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2016年11月17日 (木)

現御神信仰について

天孫降臨は、日神であり祖母神であらせられ穀靈であらせられる天照大御神の御神靈を體された邇邇藝命が、「生みの御子」として豊葦原瑞穂國の稲穂の稔りを體現される御存在として地上に降られたのである。即位の大禮及び大嘗祭・新嘗祭は天孫降臨の繰り返しの意義がある。

 

原武史氏(明治學院大學教授)は次のやうに論じてゐる。

(今日の宮中祭祀には・註)女性には出席できない大祭がある。11月23日の新嘗祭がそうである。…村上重良は、『穀靈は、一般に生産する力、生殖する力をそなえた女性の靈格とされるから、新嘗祭の祭祀をつとめることをもってもっとも重要な宗教的権能とする天皇は、終始、男帝を原則とし、女帝は例外的な存在にとどまったのであろう。』(『天皇の祭祀』)と論じている。このほかにも、女性は生理中には宮中三殿に上がることができないという問題がある。…つまり、いまの宮中祭祀を前提とするかぎり、女性が天皇になれば、新嘗祭という最も重要な祭祀を天皇が行なえなくなるばかりか、他の祭祀にも影響が出ることが予想されるのである。…最後の女帝である後桜町天皇が、1764年(明和元)に大嘗祭を行ったという歴史的事實は、いまの祭祀を唯一の傳統と見なす考え方に対する有力な反証となろう。新嘗祭や大嘗祭以外の宮中祭祀は、ほとんどが明治になって『発明』されたことを考え合わせるならば、新しい祭祀を作りだすのは必ずしも不可能とはいえない」(『女帝議論のために・宮中祭祀はどうするか』朝日新聞平成十七年二月七日号)

 

  

極めて重大な指摘である。践祚大嘗祭を最初に執行された天皇は、女帝であらせられる持統天皇である。『日本書紀』持統天皇五年十一月戊辰日に、「大嘗す」と記されてゐる。現在行はれてゐる皇室祭祀は明治四十一年に公布された『皇室祭祀禮』によるといふが、明治以後の皇室祭祀の中には、古代からの傳統を改変したものがあるやうである。

第百十七代・後桜町天皇は次の御製をのこされてゐる。

 

神祇(明和五年―一七六八―御年二十九歳)

 

まもれなほ 伊勢の内外(うちと)の 宮ばしら 天つ日つぎの 末ながき世を

 

平野孝國氏は、「天武天皇以降、大嘗は特別の意味を加えて即位に引き続き、今上の御代まで施行されてきた。…持統天皇は、この新思想を忠實に繼承され、更に制度化するのに、与って大きな貢献をされた」(『大嘗祭の構造』)と論じてをられる。

 

女帝は祭祀とりわけ新嘗祭を行ひ得ないし行ってはならないなどといふのは、わが國の傳統とは相容れない思想であるし、第一事實に反する。これは、仏教思想や儒教道徳の影響と考へられる。

 

女帝は大嘗祭・新嘗祭をはじめとする祭祀を司られることはできないなどといふことは絶対にあり得ない。女性神であらせられる天照大御神は祭祀主として高天原において新嘗祭を執行された。天皇は皇祖神たる天照大御神を祭られるが、皇祖神たる天照大御神もなほ神を祭られたのである。穀靈が女性の靈格だから女帝には新嘗祭・大嘗祭は行ひ得ないといふことはない。

 

『日本書紀』皇極天皇元年十一月の条には、「丁卯(十六日)に、天皇新嘗御(にひなへきこしめ)す。是の日に、皇子・大臣、各自(おのおのみづか)ら新嘗(にひなへ)す」と記されてゐる。皇極天皇は女帝であらせられる。

 

歴代の天皇は、祭祀を行はれることによって、天孫降臨の時に天照大神が下された「吾が高天原に所御(きこしめ)す斎庭(ゆには)の穂(いなほ)を以ちて、亦吾が児(みこ)に御(まか)せまつるべし」と仰せられた「神勅」に身をもって応へられてゐるのである

 

現御神信仰は古代以来今日至るまで正しく繼承されてきた。天皇は、天照大御神より「斎庭の穂」を賜って、これを嘗めされることにより、天照大御神と御一體となられ、大御神の靈統を繼承され神格を體されるのである。天皇はまさに、「伊勢の大神の入れ替らせ給へるお方」である。天皇は地上において天照大神の御代理としての御資格を有されるのである。

 

 

第百十六代・桃園天皇は、宝暦七年(一七五七)、御年十七歳の砌、『神祇』と題されて、

 

もろおみの 朕(われ)をあふぐも 天てらす 皇御神(すめらみかみ)の 光とぞおもふ

 

と詠ませられてゐる。

 

わが國悠久の國體は、現御神としての御自覚で君臨あそばされた大君と、天皇を現御神として仰いだ國民とが継承してきたのである。

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