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2016年11月14日 (月)

『円山応挙―「写生」を超えてー』展参観記

昨日参観した根津美術館にて開催中の『円山応挙―「写生」を超えてー』展は、「円山応挙(173395)は、『写生』にもとづく新しい画風によって、日本の絵画史に革命を起こした画家です。そんな応挙の『写生画』は、超絶的かつ多彩なテクニックによって支えられています。しかし近年、写生ないし写生画という言葉だけではとらえきれない応挙の多面性、作品世界のバックグラウンドが指摘されることも多くなっています。本展は、応挙の生涯を代表する作品の数々を、根津美術館の展示空間の中であらためて見つめ直そうとするものです。あわせて、さまざまな可能性を秘めた若き日の作品、絵画学習の痕跡を濃厚にとどめた作品、そして鑑賞性にも優れた写生図をご覧いただきます。『写生』を大切にしながらも、それを超えて応挙が目指したものは何だったのかを探ります」との趣旨で開催された。(案内書)

 

「山水図」「龍門図」「筍図」「藤花図屏風」「雪松図屏風」「七難七福図巻」「写生図巻」などを参観。

 

確かに写生の技術は素晴らしい。「写生図巻」に描かれている植物、動物の絵は精密に写生されている。大変な技術力と根気とそして才能がなければこのような作品を作ることはできない。風景画なども実に美しく描かれている。また若き日の作品という「龍門図」の鯉の滝登りの絵は美く神秘的な感じがした。しかった。ただ、美しくはあるが感動を与えると言うか鑑賞者の迫って来る力はあまり感じられなかった。小生の感性が鈍いのだろうか。私には先日参観した仙厓の作品の方が面白かった。

 

しかし「七難七福図巻」(重文)は迫力があった。「七難七福」とは、仏教の経文にある「七難即滅 七福即生」のことで、多くの災難は仏に帰依することにより多くの福徳に転ずるという転禍為福の考えを絵画化した作品である。天災と人災、福寿の三巻で構成され、火事や地震そして強盗集団に襲われている人々の状況がまさにリアルにむごたらしく描かれている。ただ「福寿」が描かれている巻は、高級貴族の屋敷内のきらびやかな有り様が描かれているだけで少し物足りなかった。この絵は応挙の最高作品と言われる。

 

私宅近くにある全生庵に所蔵している三遊亭円朝遺愛の幽霊画コレクションのなかに「伝円山応挙」という幽霊画がある。応挙は花鳥風月を描いた絵よりもこうした「七難七福図巻」や「幽霊画」の方が優れていると私は思うが偏見であろうか。

 

根津美術館に来る楽しみは、仏像や支那古代青銅器そして庭園を見ることである。根津美術館は、東武鉄道創業者でる初代根津嘉一郎氏の私邸跡である。千七百平方メートルを超える日本庭園は森の中に山あり谷あり池ありで、まことに素晴らしい。暫く石の腰掛に坐っていると、鳥の鳴き声が聞こえてくる。紅葉が始まっていた。

 

 

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