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2016年10月12日 (水)

この頃詠みし歌

夜が更けて静かなりけるわが部屋に響くは筆の音のみにして

 

むきだしの情念を歌に詠むことを許させたまえ和歌の神様

 

思ひ出の山も川もなけれども千駄木の町はわれの故郷

 

道灌山も藍染川もありにけり都の眞中のわが故郷は

 

良き書物を熱心に讀むひと時はわが魂の充実の時(坪内隆彦氏著『GHQか恐れた崎門学』を讀みつつ)

 

貯金箱の五百円硬貨が多くなれば何かお金持ちになりたる心地す

 

好かぬ人と思へば相手も我のことを好かぬ奴ぞと思ひゐるらむ

 

末法末世世紀末などと言はれ来し地球も日本も未だ滅びず

 

母の手を握りて固き絆をば今日も確かめ別れ来にけり

 

母上と一緒に歌ふ懐メロは小唄勝太郎の「明日はお立ちか」

 

何時も会ひし老婦人はこの家を去りしといふ閉ざされしままの窓の悲しも

 

やうやくに雨止みし夜の雲の間()の片割月に心和めり

 

テロに斃れし人々の墓が並びゐる青山霊園を友と歩めり

 

大久保利通の巨大なる墓の傍らに斎藤茂吉のつつましき墓

 

遠き昔の伴天連の如き黒衣着てゆったりと話す老いし牧師は

 

老牧師と語らひし言葉「アブラハムの生まれ出でる先より我はあるなり」

可愛い乙女に誘はれて我も通ひたる西片町教会は今も健在

 

喫茶店で友人を待つ人の前に座しわれは一人で本を読みゐる

 

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