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2016年10月25日 (火)

『現行占領憲法』の「天皇条項」について

『現行占領憲法』第一条には「天皇は、日本國の象徴であり日本國民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本國民の総意に基く」と書かれてゐる。

 

「日本國及び日本國民統合の象徴」といふ規定の意味はきはめて限定的である。「象徴」といふ言葉は、天皇の空間的統一性・統合性をある程度表現してはゐるが、天皇の歴史的傳統性・時間的連続性は全く表現されてゐない。言ひ換へると、「象徴」といふ表現は、日本天皇は何ゆゑ國家國民を統合される御存在であるのかといふ意義が示されてゐない。

 

天皇は、日本國及び日本國民の歴史と傳統、そして日本國民の過去・現在・将来にわたる傳統的な普遍意思を体現される存在である。天皇が日本國の統治者・君主として仰がれてきたといふ事實と、天皇が日本國の歴史と傳統そして國民の普遍意志の体現者である事實とは、不可分の関係にある。

 

『現行憲法』の「天皇は象徴である」といふ規定は、この不可分の関係を無視し、あはせて日本傳統信仰の最高祭祀主としての天皇の地位と権能を否定してゐる。「天皇の御地位」は果たして何を根拠としてゐるのかが全く示されてゐない。

 

つまり、「日本國及び日本國民統合の象徴」といふ言葉には、『萬葉集』柿本人麻呂の長歌の「やすみしし わが大君」(四方八方をたいらけくやすらけく統治される)といふことはある程度表現されてゐるが、「高照らす 日の皇子(みこ)」(天照大神の生みの御子)といふことは表現されてゐないのである。

 

『現行占領憲法』は経過的暫定の制度として、いはゆる「天皇制」を承認し、やがてはこれが廃止をせんとした戦勝國の意図を反映したものだから、かかる規定になったのでらう。

 

三島由紀夫氏は、天皇のご本質について「天皇は、われわれの歴史的連続性、文化的統一性、民族的同一性の、他にかけがえのない唯一の象徴」(『反革命宣言』)「われわれの考える天皇とは、いかなる政治権力の象徴でもなく、それは一つの鏡のように、日本の文化の全体性と、連続性を映し出すもの」(『反革命宣言補註』)「國と民族の非分離の象徴であり、その時間的連続性と空間的連続性の座標軸であるところの天皇」(『文化防衛論』)と論じてゐる。

 

天皇が、日本國及び日本國民を統合される御存在であるのは、天皇が歴史的傳統性・時間的連続性を継承され体現される御存在であるからである。『現行占領憲法』第一条の規定は、天皇の歴史的連続性・傳統性を否定し、天皇の尊厳性を隠蔽してゐる。「日本國の象徴」「日本國民統合の象徴」といふ規定は、天皇のご本質の半面しか表現してゐないのである。

 

『現行占領憲法』は最も大切な大日本帝國憲法の第一条から第三条までの成文化された國體法を抹消した。『占領憲法』は、『大日本帝國憲法』には無かった「國民主権」を明示した上「天皇の神聖性」の規定を削除した。

 

そして、日本の國體に全く合致しない「國民主権論」といふ西洋の悪しき普遍主義に毒されてゐる。西洋成文憲法というのは、専制支配者であったイギリスのジョン國王とそれに対立する貴族との間で結ばれた契約である『マグナカルタ』が起源である。そして「國民主権論」は、専制國王ブルボン王朝を打倒したフランス革命から発した思想である。

 

日本國においては神と國と民とがその根源において一体なのである。そして神と國と民とを精神的に統合し一体化する御存在が天照大神の生みの御子であり、君主であり、祭り主であらせられる日本天皇なのである。

 

ところがキリスト教の神話においては神が最初に創造したものが人間であるとされてゐる。「創造する」といふことは創造者と被創造者との間は絶対的に隔絶しているといふことである。しかも神によって創造された人間は原罪を背負ふ。神と隔絶し原罪を背負った罪人である人間同士が契約を結び、かつその罪人である人間の中で武力・権力が優越してゐる者が君主となって國を治めるといふのである。

 

故に、國家は人工的な存在であり本来罪を背負ってゐる。また本来罪人である國民同士の信頼関係は希薄である。君主も國民を力で強制することによって國家を治めるのである。このキリスト教の國家観・人間観が西洋國家法思想・法思想の根幹となってゐる。

 

だから国家と国民、君主と国民は契約を結ばねばならない。その契約書、言ひ換へると「権力の制限規範」が「憲法」といふことになるのである。『現行占領憲法』かかる思想が基盤になってゐるのである。

 

日本天皇の御本質そして日本國の本質とは全く異なる西洋から発した思想を基本原理としてゐるのが『現行憲法』なのである。國民主権・主権在民論は、祭祀主日本天皇を君主と仰ぐ君民一体のわが國體を隠蔽する規定である。一日も早く『現行占領憲法』の無効を確認し、日本國體に則った正しき憲法を回復すべきである。

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