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2016年9月17日 (土)

『アジア問題懇話会』における池田維霞山会理事長・元交流協会台北事務所長による講演内容

六月十八日に行われた『アジア問題懇話会』における池田維霞山会理事長・元交流協会台北事務所長による「台湾・蔡英文政権の目指すもの」と題する講演内容は次の通り。

 

「蔡英文総統の就任式に行ってきました。台湾の立ち位置が明確に変化した。地殻変動的変化が起った。民進党が大差で国民党に勝った。立法院選でも民進党が過半数を占めた。私が交流協会代表として台湾にいた時は陳水扁政権。国会は国民党が多数。ねじれ現象があり、総統がやりたいことは国会で無視された。台湾では三度目の政権交代。台湾の民主主義は定着。ハーバード大学の教授・ハンチントンは『世界中の百以上の國を調べた結果、二回の政権交代があれば、その國の民衆は成熟したと』言っている。

 

国民党政権では中国への接近政策がとられた。両岸経済枠組協定(ECFA)など経済的に非常に中国に接近。この状況が続くと熟柿が落ちるように台湾は中国に呑みこまれてしまうのではないかという感じが出てきた。中國からのプレッシャーの下で台湾はやって来た。

 

二年前の『ひまわり運動』が分岐点になった。議会の一角を二十四日間占拠した。国民党に馬英九と王金平の対立があった。デモに対して特段強い法的措置を取らなかった。四十万から五十万の市民が街に出て若者の動きを支持した。地方統一選挙でも民進党が躍進した。

 

二〇一五年の台湾の経済成長率は一・五%。失業率四・五%。大学卒の若年層の失業率一二~一三%。国民所得二万二千ドル。台湾の経済状況が良くない。中國からの航空便増発で、中国から大挙して観光客が来るようになった。台湾の対中輸出が低下傾向にある。こうしたことが民進党勝利の理由ではないか。二〇一二年以降、中国の経済減速に従い、台湾の対中輸出、対中輸入ともに全体として低下傾向。

 

蔡英文新総統は、就任演説で『台湾独立』に言及せず。同時に『一つの中国の原則』(九二年コンセンサス)を受け入れず。『九二年コンセンサス』は同床異夢の概念。中台間の対話と意思疎通のため既存のメカニズムの維持。米、日、EUとの連携強化。ASEAN諸国・インドとの関係強化。

 

『ひまわり運動』に示されたように『台湾人意識』は着実に増大。台湾人と中国人との交流が増えれば増えるほど両者の違いが意識されるようになっている。ビジネスの相手として以外、今日の中国の体制に魅力を感じない。三十八年間の戒厳令の経験もある。

 

過去の事を自由に議論できるようになると日本統治時代に対する評価が高くなった。日本統治時代に、インフラ整備、治安の安定、衛生向上、教育の普及が行われた。清朝時代には小学校は一つも無かった。

 

蔡英文政権のは日本重視の姿勢。沖ノ鳥島問題の処理方針の転換。駐日代表に謝長廷が就任した。彼は総統選で馬英九と戦った重鎮。中國と如何なる距離をどの程度置くかが問題。冷たい平和が続くかもしれない。日本はTPP、FTAへの台湾の参加を歓迎すべし。台湾の中国への経済依存が小さいものになるよう日本は協力すべし。

 

中国国民党はまとまりが悪い。新主席の女性は党全体をまとめていない。この女性は統一論者。民進党は国民党と比べると求心力あり。謝長廷駐日代表と邱義仁亜東関係協会会長は民進党結成の時のリーダー。『一つの山の二匹の虎』と台湾のマスコミは言っている。国民党は今のままで求心力を持ち得ないのではないか。国民党を引き付ける核心的力が小さくなってきている。分裂してもおかしくない。

 

総統の職を辞めると起訴されたりする。馬英九も追及すべしと動きがある。台湾総統は辞めたら力が無くなる。馬英九が香港に行くのを新政府がとめた。講演のために行くようだった。現役を退いた総統が機密を漏らしたりできないようにした。香港の場合は複雑な所だからなおさら」。

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