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2016年9月 1日 (木)

維新変革と伝統精神の復興

 

 何処の國の革命も変革も、洋の東西・時の今昔を問はず、外國との関連・外國からの圧力によって為し遂げられた。古代日本の大変革たる大化改新も支那・朝鮮からの侵攻の危機下に行はれた。アメリカ建国革命もイギリスとの戦いであった。ロシア革命も日露戦争・第一次世界大戦の影響下に行はれた。

明治維新もしかりである。アメリカなどの西欧列強は「征夷」の意志と力を喪失し弱体化した徳川幕府に付け入って武力による威圧で屈辱的な開港を日本に迫った。徳川幕府は、外圧を恐れかつ自らの権力を維持せんとしてそれを甘受しやうとした。

かうした状況下にあって、國家の独立と安定と統一を保持するために、日本の傳統と自主性を體現する最高の御存在たる天皇を中心とした國家に回帰した。欧米列強の侵略から祖國日本を守るための國家體制は、神話時代からの傳統的君主である天皇を中心とする國家に回帰しなければならないといふことが全國民的に自覚された。

戦國時代の覇者たる徳川氏は國家の「擬似的中心者」たるの資格を喪失した。天照大神そしてその地上的御顕現たる日本天皇の御稜威によってこそ日本は護られ独立を維持することができたであり、東照大権現=徳川家康以来の将軍家の権威では國難を打開できなかった。

吉田松陰は、安政六年四月七日付の北山安世宛書状で、「独立不羈(ふき・束縛されないこと)三千年来の大日本、一朝人の覇縛(きばく・つなぎしばること)を受くること、血性ある者視るに忍ぶべけんや。……今の幕府も諸侯ももはや酔人なれば扶持(ふじ・そばにゐていたすけささへること)の術なし。草莽崛起の人を望む外頼なし。……草莽崛起の力を以て近くは本藩を維持し、遠くは天朝の中興を輔佐し奉れば、……神州に大功ある人と云ふべし」と書いた。

質の高い統合を実現してゐる國家に強大な外敵が出現した場合、民族的一體感・ナショナリズムが沸き起こるのは当然である。

ともかく、天皇中心の國體を明らかにして強力な統一國家を建設し外圧を撥ね除けようとしたのが明治維新である。安政五年(一八五八)アメリカとの通商条約締結の問題によって、倒幕論が澎湃として起こった。

石田圭介氏は「日本には、他のアジアの諸民族と違って、身分・階級、地域・種族間の対立をこえて、民族を一つの國民としてまとめられる歴史的存在があった。皇室である。そして皇室を民族の中心として敬愛し仰ぐ尊皇という意識があった。これが種々の対立障壁をこえて民族の意識を統合し、國家として独立することができたのである。もしこの傳統的な精神文明がなかったなら、日本の國も他のアジア諸國と同様の運命をたどったであろう」(『近代日本政治思想小史』)と論じてゐる。

 わが國が、西欧列強の侵略・植民地支配を受けることなく近代化を遂げ発展し得たのは、「尊皇攘夷」を基本思想とした明治維新といふまさに「有史以来未曾有の大変革」を行ったからである。

今日わが國は、政治の混乱・経済の停滞・道義の低下・外圧の危機が顕著になってゐる。そのうえ、未曽有の自然災害、原発事故災害も起こった。それは明治維新前夜よりも深刻な状況である。そして人々の心の中に恐怖と不安と空虚感が広まっている。これを克服するためには、日本民族としての主體性・帰属意識そして自信を回復する以外に無い。今こそ傳統的ナショナリズムが勃興すべき時である。

明治維新の基本精神が神武建國への回帰であったやうに、インドの反英独立運動=ナショナリズムの思想的基盤が古代精神への回帰であったやうに、ナショナリズムの基礎にはその國の古代からの傳統精神への回帰があった。これを復古即革新と言ふ。

わが國の歴史を回顧すると、國家的危機の時こそ、尊皇精神・愛國心が勃興し、その危機を乗り切ってきた。白村江の戦ひに敗れ、唐新羅連合軍のわが國への侵攻の危機に見舞はれた時には、大化改新を断行し、天皇中心の國家體制を明徴化した。壬申の乱の後には、皇室祭祀および伊勢の神宮祭祀の制度が確立し『記紀』『萬葉集』が編纂され天皇中心の國家思想が正しく確立された。元寇の時には、それこそ全國民的に神國思想が勃興し國難を乗り切った。幕末の外患の危機に際しては、尊皇攘夷をスローガンとする明治維新が断行され、日本の独立を維持し近代國家として出発した。

今日の日本の危機的状況も、ナショナリズムの興起・日本傳統精神の復興により必ず打開し乗り切ることができると確信する。

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