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2016年8月 8日 (月)

明治天皇御製とやまと歌の道統

明治天皇は、

 

「世の中のことあるときはみな人もまことの歌をよみいでにけり」

「まごころをうたひあげたる言の葉はひとたびきけばわすれざりけり」

「天地をうごかすばかり言の葉のまことの道をきはめてしがな」

「ことのはのまことのみちを月花のもてあそびとはおもはざらなむ」

 

と詠ませられてゐる。

 

わが國は元寇・明治維新・大東亜戦争など國家的危機の時に尊皇愛國の精神が燃え上がった。そして「やまと歌」が勃興した。それが『萬葉集』であり、幕末維新の志士の歌であり、大東亜戦争で散華した英靈たちの歌である。

 わが國の文學史とりわけ和歌の歴史に於いて、最も偉大なる時代は、國家の変革期である。変革期においてこそ偉大なる和歌がが生まれる。日本最高最大の歌集『萬葉集』は大化改新・壬申の乱・奈良遷都という大変革を背景として生まれた。

 

 在原業平に象徴される平安朝の和歌は、藤原氏の専横への抵抗から生まれて来たと言える。後鳥羽院の覇者・北條氏の武家政治に対する戦いの時代には『新古今和歌集』が生まれた。

 

 幕末維新の時代には、尊皇攘夷を目指した志士たちの詩歌は永遠不滅の光彩を放っている。さらに東洋の解放を目指した大いなる戦いであった大東亜戦争に殉じた将兵たちの辞世の歌は、万人をして慟哭せしめる不滅の価値を持つ。このように國家変革即ち維新と和歌は不可分である。

 

和歌は決して遊びごとでもないし単なる美辞麗句を連ねたものでもない。まさに「まごころをうたひあげたる言の葉」なのであり、「世の中のことあるときによみいでる」ものなのであり、「天地をうごかす」力を持つものである。神代に発生し日本の道統を継承する最高の文藝が和歌である。

 

わが国最大最古の歌集である『萬葉集』は太平無事な時代に遊びごと・綺語として歌はれた歌が収められてゐるのではない。大化改新・壬申の乱・白村江(はくすきのえ)の戦ひ(唐新羅連合軍と日本百済連合軍の戦ひ)の敗北といふ國家変革・激動・外患の危機の時期の歌集である。また天皇中心の國家体制が法律的・制度的に確立した時期である。また、わが國が異質の文化(特に仏教・儒教という精神文化と唐の政治法律制度の受容)に遭遇した激動の時期であった。かうした時代状況にあって、わが國傳統的精神文化が興起した結晶が『萬葉集』である。

 

当時の日本人が國難の時期に如何に日本國體精神を讚仰し道統を継承し、それを元基として國難を乗り越えたかが、『萬葉集』の歌を読むとひしひしと傳はってくる。大陸からの文物輸入時代であり内憂外患交々来たるといった時期に國體精神を謳歌し天皇國日本の永遠を祝福する歌集が編纂されたことに重大な意義がある。

 

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