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2016年8月29日 (月)

『笹川平和財団・笹川日中友好基金主催講演会 「中国の現状と課題」』における登壇者の発言

五月十二日に開催された『笹川平和財団・笹川日中友好基金主催講演会 「中国の現状と課題」』における登壇者の発言は次の通り。

 

李 枏氏(中国社会科学院米国研究所副研究員)「中朝関係は伝統的友好関係と考えている。北朝鮮は中国にとって戦略的緩衝地帯。経済関係は中國が黒字。オバマは中国・ロシアの北朝鮮への圧力を期待している。しかし北は中國・ロシアの言うことを聞かない。ロシアは北朝鮮が好きではない。切り札とし使っている。北は労働力をロシアに輸出。ロシアは極東における影響力を行使したい。北東アジアは潜在的緊張状態にある。感情的側面が影響するのは良くない。イデオロギーと結びつくと効果的政策が出来なくなる。新たな冷戦を防ぐべし。朝鮮半島の核問題は多国間問題。効果的解決は六者会談の再開。サードミサイルは中国の安全に深刻に影響する。六者会談よりサードミサイルの方が重要。中国は北朝鮮が崩壊してほしいと思っていない。北朝鮮は核を保持しない安定であって欲しい。北朝鮮は制裁を受けるべし。しかし北は慣れっこになっている。制裁は効果があるのか。日米中はもっと意思疎通すべし。どんな国も安全保障が重要。サードミサイルが韓国に導入されれば中露は協力。金正恩の健康状態に懸念あり」。

 

倉田秀也氏(防衛大学校教授)「金正恩の大会報告は退屈だった。これまでの延長線上で外交が展開される。米中は北朝鮮問題で協調関係であり続けてきた。北朝鮮は自分の問題で米中が協調するのを一番嫌がっている。米中協調を防ぐには武力行使。朝鮮半島に米中対立が持ち込まれる。サードミサイルの持ち込みが朝鮮半島における米中対立のもとになる。北朝鮮は核を持ったまま崩壊。不安定化する方向に向かっている」。

 

廉 思氏(対外経済貿易大学青年発展研究センター主任、公共管理学院教授)「蟻族(注・中国の都市部に生活する安定的な職を得られない大卒者集団)は中国の若者の新たなトレンド。高学歴ワーキングプア(注・貧困線以下で労働する人々)集団=蟻族。都市に執着し疲弊する若者。日本でも高学歴低所得の若者は多い。高齢化も似ている。中國の高齢者は日本を超える。多くの国で同時並行的に起っている。二〇〇三年の高等教育の量的拡大の後の第一回卒業生の七百万人が蟻族になった。大学教育は本来エリート育成のツール。しかし頑張れば出世できるかもしれないという役目を果たしていない。ツールではなくなった。社会の格差に拍車をかけるようになって、勝者は何時でも勝者。社会の階層化が出来てしまった。如何なる社会も成功者は少数。若者の権利意識の表現を当局が規制。経済・政治・文化の順で権利が芽生える。法律の枠組みの中で、若者は人民代表に立候補して自分の要求を実現しようとしている。改革には既得権益関係者から妨害がある」。

 

吉田桂子氏(朝日新聞編集委員)「蟻族という言葉は中国で定着。一九九九年にすでに中国では大学生はエリートではないと思われていた。天安門事件の時の三倍の学生数。経済規模は六倍~七倍に膨らんだ。経済発展と比較して知的な仕事が増えていないことが蟻族が増えた原因。絶対的貧困ではなくなったからこそ平等ではないことに不満を持つようになった。習近平政権は不満表現のツールを抑圧している。弁護士・NGOへの締め付けも強めている。階層の固定化による将来の社会不安がある。共産党幹部でお金持ちは階層は固定化を望んでいるのではないか。民間活力と、国有企業の高速鉄道・原発・金融などのマクロ経済との脇息が合わない。中国経済は崩壊するとも言われる。成長率が下がっている。一方、阿里巴巴集団は発展。中國の生活に根付き活力がある。中國は国家資本主義。老いも若きもどうやって金を稼ぐかに知恵を絞っている。地方政府のせめぎあいが経済成長を高めた」。

 

章 奇氏(復旦大学経済学院中国市場経済研究センター准教)「一九七八年から経済拡大。今は民営経済・個人経営・私営企業が主体になりつつある。国全体の企業の八五%を私企業が占める。資本金は五〇%を占める。就業者数も五〇%を占める。私営企業の財務状況は国営企業よりも良くなっている。国有企業の経営者は党が決める。政治が決めるのであって市場が決めるのではない。民営企業の経営者は市場が決める。私企業経営者の第一世代は農村出身。教育レベルは低い。市場の中で鍛えた。第二世代は拠点が都市。教育レベルは高い。第三世代はグーグル、ハイテク、ITに集中。社会的影響力も高い。トップダウンの政策の変化。経済自由化が進んだ。法律・政策が緩和し、私営企業の合法的地位が確立。民営企業は地域差がある。地方政治が民営企業に近いほど発展する。地方の政治環境の変化=分権化は私営経済にとって良い。技術が発展し資源が集中する。不良債権率が高い。ゾンビ企業の問題がある。地域差がある。経済指標だけで中国経済を見てはいけない。地方政府には強いところと弱いところがある。強い地方政府であればあるほど経済発展できるかに直面している」。

 

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