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2016年6月29日 (水)

川村純彦氏(川村純彦研究所代表・元海将補)による『どう阻止するか―中国の南シナ海覇権の野望―』と題する講演内容

三月五日に開催された『アジア問題懇話会』における川村純彦氏(川村純彦研究所代表・元海将補)による『どう阻止するか―中国の南シナ海覇権の野望―』と題する講演内容は次の通り。

 

「昭和三十五年に防衛大学を卒業し、対潜哨戒機に乗っていた。ソ連の原子力潜水艦を追いかけて過ごした。ソ連の潜水艦は核ミサイルでアメリカ本土を狙っていた。一九七九年頃、ソ連は北方領土の兵力を増強した。陸上兵力、ミサイル、潜水艦、空母を持ってきた。ロシアは今も最新のミサイル潜水艦をオホーツク海に入れてある。対アメリカ、対中国防衛のためである。ロシアがこの戦略を捨てない限り北方領土返還はない。

 

そのロシアと同じことをやっているのが中国。中國は力の空白を衝いて南シナ海全域に進出。海南島に大きな海軍基地がある。南シナ海を中國のミサイル潜水艦の聖域にしようとしている。二〇一六年二月、西沙諸島に長距離地対空ミサイル及び戦闘機を配備。南沙諸島の四カ所にレーダー施設を建設し地対空ミサイルを配備。他国の軍事力が入って来ないようにしている。アメリカと核抑止力で同等の力を持たねばならないというのが中国の最大の目的。

 

一九九六年、李登輝氏が総統に昇格した。その時、中国は大変な圧力をかけた。台湾の近くにミサイルを撃ち込んだ。選挙妨害が目的。アメリカが空母二隻を出した。中國は信頼できる核抑止力はなかった。中國は何とかして核抑止力を持たねばならないと考えた。中国の国家目標は、超大国としての国際的地位獲得のための確実な核抑止力の獲得、外洋展開のためのアクセス確保、台湾武力統一の際の外国の干渉排除。

 

海南島基地に近い南シナ海に空母を持ってきた。能力的にすぐ叩き潰される空母。日本の職人技術は凄い。空母に使われるエンジン用の物を作る。中國では作れない。船も然り。

 

劉華清(注・中国共産党中央軍事委員会副主席、国家中央軍事委員会副主席などを歴任。上将)は第一防衛線の防衛を言った。九州・沖縄・台湾の内側で敵に自由に行動させない線。伊豆・小笠原・グアム・パラオの線が第二列島線。ここに敵を近づかせないようにする。劉華清『インド洋・太平洋でアメリカに対峙できる海軍力を作る』と言った。第一列島線の内側では自由な行動を拒否する。第二列島線は近づくのを拒否する。空母を近づかせてはならないことを学んだ。そして空母を作ろうとしている。

 

第二列島線から近づいてくるアメリカに対抗するために弾道ミサイルを持っている。頭の先にレーダーを持っていなければならない。そういう技術を中國が持っているのか、私は疑問に思っている。アメリカ海軍はこれで近づけない。アメリカは危険にところに虎の子の空母は出せない。第二列島線の外に待っているという考え方に代って来ている。頼りにしていたアメリカの空母が頼りにならないことに愕然とした。

 

中國では兵隊さんが漁業をやっている。漁船の乗員は海上民兵。民兵は二千万人いる。海軍は二百万人いる。定期訓練を受けている。小笠原にサンゴを獲りに来たのは普通の漁民ではない。訓練を受けた組織。小笠原に来たのは第二列島線の日本による警備の状況を見に来た。日本の海上保安庁は大人しいし優しい。中國は強力な放水能力を持っている。機関砲も持っている。体当たり専門。体当たりは武力行使にならない。

 

習近平は二〇一三年に『海洋強国の建設』を主張し、海軍+海警+商船+漁船群(海上民兵)を増強。現状変革のために一つ一つの小さな行為をある戦略目的のために遂行し、その積み重ねにより結果的に地域に大きな変化をもたらす戦術をとっている。

 

一番怖いのはミサイル。日本に届くミサイルは数百発。これに対する防衛が日本はまだできていない。

 

南西諸島の守りは日本が行う。南シナ海は尖閣につながっている。中國への対策は、いざとなれば中国資産の凍結も出来る。TPPも大事。台湾との関係拡大・強化、緊密化。日本と台湾の合同訓練を行う。

 

中国海軍に日本自衛隊が圧倒されることはない。中國の将官は『十五年経ったら追いつく』と言った。日米同盟は潜水艦の能力及び対潜戦能力において圧倒的な対中優位を保持。アメリカがあてにならなくなれば、日本は核武装を考えるべし。潜水艦を潜らせておけば十分な抑止力なる。アジアの平和・安定の鍵は日米同盟。これを分裂させようとしているが中国。

 

ミサイル攻撃にどう対応するのか。イージス艦を八隻にする。パトリオットミサイルは三十六基ある。十八カ所しか守れない。十倍百倍にしなければならない。レーザー光線は安い。ABFという兵器をジャンボ機に乗せて叩き落とす。原価百円しない発電機を回せばいい。日本の技術はアメリカよりも優れている。中國の防衛予算は日本の三倍の十五兆円。日本はGDPの一%にいっていない。上位二十か国の国防費は二・三%。新しい脅威が出て来て防衛予算は倍増しても足らない。中國に対しては力のない交渉はまったく効果なし」。

 

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