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2016年4月23日 (土)

久保田信之氏の「憲法『国民の権利及び義務』に関する疑念』と題する講演内容

一月三十日に開催された『憲法懇話会』における久保田信之氏の「憲法『国民の権利及び義務』に関する疑念』と題する講演内容は次の通り。

 

「『個人』は哲学では異常な概念。憲法の条文はともかく、現実社会と対比して考えて行かないと話は進まない。哲学はそれだけだと観念論になる。『教育は哲学の実験室』という言葉がある。問題は現実。日本を安全に維持させるためにあんな憲法で良いのだろうかという事を検討してもらいたい。憲法学者は現実を見ていない。

 

理想の人間像を作ってそこに持って行ったら良いという教育論は古典的発想。この子をどうしたら良いという将来像ばかりを考えて焦りが出て来る。有名校に入ることが目的。

 

『現行憲法』第十三条には『すべて国民は、個人として尊重される』とあり『国民』ではない。異様な思想である。『基本的人権』という言葉を持ってくると現実が混乱する。『国』をどう考えるのか。『公共の福祉』は空虚な概念。

 

『生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする』とある。『個人』とは何なのか。裁判所で宣誓する時、何に対して誓うのか。『良心に基づいて真実を語る』と言うが自分が自分に誓うことになる。

 

第二十条には『信教の自由は、何人に対してもこれを保障する』とある。宗教は日本においては習慣・慣習であったりする。

 

第二十一条には『集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する』とある。児童ポルノを禁止できない。日本社会の秩序が乱れる。反社会的活動の結社に対しても及び腰。現実を混乱させる。『現行憲法』は矛盾だらけ。『現行憲法』が如何に現実から乖離しているかを洗ってみる必要がある。『現行憲法』は日本国の憲法ではなくGHQ憲法。全ての根幹・大本に『個』を置いている。

 

『現行憲法』十三条の異様な思想の発想の原点はデカルトの著作『方法序説』。デカルトは全てを疑って疑い得ないものが『私自身』の存在とし、最も確実なものは『私自身』とする。かくして『我思う、ゆえに我あり』(ラテン語Cogito ergo sum)という命題にたどり着く。ここで言う『Cogito(コギト)』こそまさしく『individual』である。それを『個人』と訳した。

 

全てを外して否定しても否定し得ない最後に残るもっとも基本的なものは何か。『確実な認識の出発点』として『意識する我(Cogito)の存在にたどり着いた。全てを外すとヒト科の動物になる。各人が自らの生命を維持するために何をしても良いというのが『自然権』。そして『万人は万人に対して狼になる』危険がある。それを防ぐために自由の制限、契約国家論のようなものを打ち出したのがトマス・ホッブス。

 

ホッブスは神無き世界における『個人』の『自然権』が恐ろしい凶器になってしまうと説いたのだが、ジョン・ロックは『神が自然を与えた』『神によって平和に共存できる』『神によって各人は自由かつ平等な存在だ』とした。コロラドの太平現は見渡す限り何もない。そこにいる個人は神に結び付かないと不安でしょうがない。ロックの思想を受け入れたのがアメリカであり、そのアメリカによって与えられたのが『日本国憲法』である。

 

『第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする』と規定して、『国や組織』よりも『個人の権利』を優先させてしまった。それ故『万人により万人の闘争』が起きても不思議ではない。

 

国の民である限り、そして『人・間』である限り、『個人』を超えた國の民として組織の一員としての『制約・ルール』の下に生存せねばならない。しかし『国民』を『個人』に解体する憲法により、国民は『神の如き無制約に自立する存在』になってしまった。

 

明治時代に個人について悩んだのは夏目漱石。イギリスから帰国して『私の個人主義』という講演を行った。自由・平等・博愛という矛盾するもののバランスをいかにして保つかが問題。『個人』をどう考えるのか。国家を対立概念としてとらえなければならないのか。法律が対象にしている国家とはステイト国家。憲法は万能ではない。憲法が全てを解決することはない」。

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