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2016年3月 8日 (火)

「國體政治研究会 第六十九回例会」における田尾憲男氏(皇學館大學特別招聘教授・神道政治連盟主席政策委員)の講演内容

昨年十月二十七日に開催された「國體政治研究会 第六十九回例会」における田尾憲男氏(皇學館大學特別招聘教授・神道政治連盟主席政策委員)の「國體から見た大御心と臣民の道」と題する講演内容は次の通り。

 

「独立回復の時点で改正すべきであった。『現行憲法』が体中のまわってしまった。なかなか改正は困難な状況。改正は國體防衛の戦い。改正を止めたら日本はアメリカの第五十一番目の州になってしまう。

 

國體は英語でコンスティチューションという。構成・組織・性質・体質を意味する。憲法は國體を一番大事なものとして定めた法だから『國體法』と言うのが正しい。それぞれの国にそれぞれの國體がある。建国の精神に基づいた國體がある。中國は革命の繰り返しの国。日本には英国・米国・ロシア・中国とは全く違った長い歴史伝統に基づく誇るべき國體がある。

 

國體は色々な方面から見るのが大事。三つの側面から見るべし。精神的文化的國體、地理的自然的國體、第一に政治的法的國體がある。政治的・法的に見た國體は、建国以来、萬世一系の天皇による統治が行われてきたこと。これが一番大事。統治者は統治権の総攬者。

 

第二は精神的文化的國體。天皇は神道の最高の祭祀主であられること。全国の神社に祭祀をすることを命じられる。皇室の祭祀と一体となって神社の祭祀が行われる。また、天皇は和歌の道の主宰者であられた。『萬葉集』二十巻に、天皇の御製、貴族の歌、庶民の歌が収められている。それが古典として残っている。和歌の前の平等。御歌所は宮中の役所。『新古今和歌集』の『仮名序』に『歴代の帝(みかど)が和歌を以て世を治め、民の心を和らぐる道とせり』と書かれている。天皇の御意志は御製を通じて国民に示される。

 

第三の地理的自然的國體は、日本は大陸から離れた島国なので侵略されることは稀であった。文化も破壊されることなく今日まで来ている。正倉院の御物にそれは象徴される。大陸国家ならとっくに盗まれている。日本は天災の国、自然災害が多い国。大津波・地震・洪水が次から次に起こった。しかしその都度、天皇は民の被災は自らの不徳の致す所、朕の罪なり、という御自覚のもとに被災者救済の強い御意志を示され、全国の神社に祭祀と救済の祷りを高めるように勅を発して来られた。

 

こういう國體が敗戦後に変革され、天皇が政治的権能を喪失し、國體条件が崩れてしまった。第一は、『大日本帝国憲法』に規定された『元首』の地位を失い、『象徴』という地位に変更された。第二に、『皇室典範』が憲法の下位法に変更された。『現行憲法』の『政教分離規定』を受けて祭祀条項が消えてしまった。第三に、憲法上、天皇が単なる『象徴』とされたことにより、天皇の果たす機能と役割が形式的・儀礼的な『国事行為』のみに限定された。

 

しかし幸いにも、昭和天皇、今上天皇の懸命なお働きによって、『現憲法』の下でも、天皇の精神的権威は保たれてきている。しかし次の世代、次の次の世代で果たしてどうなるか甚だ憂慮される。その意味でも、憲法上、天皇の『日本国の元首』の地位恢復の憲法改正が大事である。

 

私は、天皇の『大御心』と『御心』を使い分けて考えるのが良いと思っている。大御心とは神武天皇以来、歴代天皇に一貫して継承されてきた高貴な天皇精神である。御心とは、ある一代の天皇の精神であって、歴代の天皇にとってはこの大御心と一体になる御精進が大事なのである。その一体化が最初に霊的に行われるのが大嘗祭に他ならない。

 

天皇の御心が時に大御心と違う場合がある。その場合には、時によっては、側近の者や国民の側からの諫言もあり得る。一方、日本天皇にはその道を誤らないために常に国民の声をお求めになるという伝統がある。昭和天皇は『日日のこのわがゆく道を正さむとかくれたる人の声をもとむる』との御製を詠まれた。孝徳天皇は『諫諍を求むる詔』を、元正天皇は『直言を求むる詔』を下されている。民の意思を大事にして君民一致による君民共治の治政を目指す高貴な精神が國體の中に流れている。これは民主制と君主制の双方を満足させ、双方の欠点を補い合う最善の政治形態として誇っていい。万世一系の皇室が百二十五代にわたって続いてきた所以もここにある。

 

『教育勅語』に見る『道』こそが、日本国民の道であり、国民道徳の基本にして、教育の淵源であると思う。『帝国憲法』を支えるバックボーンとして『教育勅語』が、明治天皇により発布された。『教育勅語』に『斯ノ道ハ實ニ我カ皇祖皇宗ノ遺訓ニシテ子孫臣民ノ倶ニ遵守スヘキ所』とある通り、天皇にとっての道は皇祖皇宗の遺訓を守ることである。国民にとっての道は忠孝の道を実践し、勅語にある十二の徳目に努めることである。天皇と国民か『其德ヲ一ニセン』と願うもこれこそ君民一致の日本国の最高の美徳であり、強みだと言える。

 

憲法改正に向けて国民のとるべき道は、明治の先人が諸外国の憲法を参考にしながら君民一致で作り上げた帝国憲法とその立憲精神を憲法改正の最も大切に指針とすべきである。GHQが帝国憲法を変革して新規に付け加えたわが國體にふさわしくない条文や文言を削除して書き直し、既に定着した良いものは残し、新たに必要とする事項についてはさらに追加も考えていくべきである。

 

これからの改憲は帝国憲法の再改正に外にならない。敗戦占領下の混乱時に米黒人によって一週間余で作成された現憲法を改正の出発点にしてしまっては日本の國體を顕現することは到底できない。そのこと保よくよく認識すべきである」。

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