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2016年2月25日 (木)

『笹川平和財団 笹川日中友好基金主催 講演会―中国の現状と課題』における登壇者の発言

昨年十月二十日に開催された『笹川平和財団 笹川日中友好基金主催 講演会―中国の現状と課題』における登壇者の発言は次の通り。

雷頤氏(中国社会科学院近代史研究所研究員)「一九四九年に中華人民共和国成立。一九四八年末、中共が全国的に勝利。中共第七回党大会で青写真を作った。農村から都市を包囲。都市は劉少奇の担当。新民主主義理論を構築。民間企業を発展させるという青写真。農民に土地を分ける。一九五三年に闘争があった。政治局会議で、毛沢東の方針で社会主義改造をすると決定。計画経済になった。農民は自分で収穫物を売ることが出来なくなった。国が買い付けた。農村と都市が固定化される。市民社会が無い状態になる。自由選択の余地なし。工業は発展したがアンバランス。毛沢東の死後、改革開放が行われることになった。中国の経済はとても大きな力を得た。日本への観光客が年間五百万人。外交は直接交流ではなくソフトパワーが大事と思い、孔子学院を作ったが、成功していない。中國の実力は高まっていない。全ての人々に受け入れられていない。愛国主義教材が増えた。若い人々にある程度浸透している」。

劉澎氏(北京普世社会科学研究所所長)「中国には多数の宗教があり発展している。仏教、道教の内部混乱が深刻。宗教管理がうまく行っていない。法整備は大きな成果を上げたが、宗教は駄目。宗教法を作る必要あり。二十年間研究している。儒教文化は中国の伝統。我々か何者であるかを尋ねると、儒教にたどり着く。『講師は御子っており、孟子は焦っている』という言葉がある。」。

簫功秦氏(上海師範大学人文学院教授)「日本は軍国主義なんてあり得ない。中国其れを知るべし。日本は多元的社会。中日両国の交流が必要。日本の一部の右翼がバタフライ効果を発揮し中国人を不安にする。中国のナショナリズムにも穏健なものがある。ネットで七五%が私に対して『売国奴』と書き込んだ。私を支持した人は日本に行ったことがある人。大量の中国人が日本に来るのは良い事。お互いに交流することが大事。日本に来ると日本を理解する。中国は日本から学ぶことが多い。民族の団結の始源を自分の文化に求める。儒教にそれを求める。中國には五十六の民族がある。漢民族以外には儒教は限界がある。政府の中にも反儒教の人がいる。中國の現在の状況は緊張している。日本に対する長期にわたる不信がある。中産階級が増えて、大量の人が日本に観光に来ている。お互いの交流実績で誤解は解ける。七、八年で二〇〇八年の日中関係に戻る」。

 

任剣涛氏(中国人民大学政治学部教授)「東アジアに新しい国際秩序が出来た。新しい国際秩序で両国にとって利益になるメカニズムを見つけなくてはならない。日本は早く近代化し自分を見失った。そして悲劇が起こった。中國には国家観はあったが、世界観が無かった。プライドは高い。自分を中心ととらえた。国際情勢への認識はなかった。うぬぼれが厄介。他の民族に対する朝貢体系があった。中国の天下という大系。自分たちが優れているので周囲が朝貢するのは当然と思っていた。朝鮮は朝貢していた。日本は一度も朝貢していない。中国は近代の世界観が理解できなかった。中国の天下の大系が近代に接触して悲劇が生まれた。皇帝に跪くことが強制された。平等な立場で交易することがない。この清朝の態度が悲劇を生んだ。阿片常習者が出た。不平等の解決は戦争である。阿片戦争に敗れた。中国は儒教を守ろうとした。東洋も西洋も契約中心の関係になった。契約というのは中国の知らない事だった。中國は契約を中心とした世界を受け入れざるを得なかった。国際社会で契約の感覚を学習し身に付けねばならない」。

 

周為民氏(中国共産党中央党学校マルクス理論教育研究部主任)「中国の改革開放はまだ道半ば。十数億の中国人の貧困と立ち向かう事業。その根本的任務は多くの人々が自ら富を造り出し配分する体制を作ること。特色ある中国の社会主義を歩むという鄧小平氏の意見は革命的意義を持つ。素晴らしい条件を作り出す。富を作り出すシステムを作り出す。計画経済から市場経済への転換は歴史的大変化。改革開放・市場化が進むにつれて民間企業が発展。その故に中国経済は今までにない発展をしてきた。しかしまだ完成途上にある。資本・労働力・土地・資源市場では市場メカニズムを発揮できていない。行政によって経済統制が行われている。中國の色々な問題の根本はここにある。過剰な生産をやっている。大量の資源が間違った配分になっている。腐敗汚職がある。市場が配分すべきなのに、権力を持つ人が配分するから汚職が起こる。様々な矛盾が出ている。これでは経済を持ちこたえることが出来ない。改革は人々に富をもたらすことが第一の目的。市場の論理を堅持する。市場の原理に基づくべし。法治の精神を堅持しなければならない。経済体制の改革、市場体制の改革、政治社会体制の改革が進むと、中國の改革開放は近代化の道を切り開く。中國は近代化の道を日本によって二回止められた。しかし今日の近代化は日本からかなり協力してもらった。二度の長期借款は重要な役目を果たした。大量のインフラ整備で、日本の技術支援、経営支援、管理面の支援があった。中國は日本の経験から真摯に学んだ。改革開放を進めていくには、日中の良好な関係が必要。イデオロギーの主体は、中国的特色を持つ社会主義。これは鄧小平の言葉。ソ連方式からの脱却。抽象的文脈からイデオロギーを議論しても仕方がない。概念の争いを超えなければならない。三中全会で中国の今後が決定された」。

 

華生氏(東南大学経済管理学院名誉院長)「三十年の最大の変化は経済から来ている。三十年前は発展途上国。今日は世界第二の経済大国。今後の中国の行方も経済次第。強い権力は何をしてもいい。唯一出来ないことは経済。毛沢東は殆どやりたい放題だった。しかし、経済は失敗。改革の成果は人間に対する全方位の制限を打破した。農民を解き放った。労働力の開放。都会に出稼ぎに行き、収入を得る。農村の土地の所有制度の改革も必要。中國には数千年来、平均主義の土壌がある。中國は近代化しなければならない。そのために農村を都市化しなければならない。革命的政治から自律的政治へ移行できるかという問題。中國と日本は違う発展段階にある。中國は一人あたりの所得も低い。都市化は進んでいない。一九九〇年代の日本より相当低い。発展途上国。挑戦に直面している。各方面に矛盾がある。これを克服しなければ経済は停滞する」。

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