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2016年1月21日 (木)

この頃詠みし歌

 

老老介護と自らを嘆く老婦人 その母上は九十八歳

 

くっきりとスカイツリーが見えてをり不忍池の彼方の空に

 

夕つ方に参り来たれる根津神社 光りに浮かぶ朱色のみあらか(お札納め)

 

あまたの人参り来たれる根津権現 朱色の社殿が朝日に映える(初詣)

 

この年の幸を祈り奉る根津のみやしろに鎮まる神に

 

乗り換へのエレベーターに昇り来し知り人は顔をそむけて行きぬ

 

一月になりても散り果てぬ銀杏の木を仰ぎてゐたり暖冬の朝

 

墓を売る旗並び立つ寺町の夕暮を行く生きてゐる我

 

ツアー旅行を三度(みたび)せし後思ほへらく旅は一人でするがよろしき

 

旗に続き 時間を決められ 行列して 歩くを旅なりとは とても思へず

 

 

何時も頼む定食を食し何時も会ふ人と挨拶を交はす食堂

 

過ぎてゆく時間と競争のわが生活(たづき)忙しなけれど魂(たま)躍動す

 

我を追ひ越しエレベーターに乗りゆきし図々しき女と笑みを交はせり

 

幾年を経ても忘れること難き思ひ出は自らを裁くが如く

 

友と二人酒酌み交はし語らへる冬の夜ならぬる燗が良し

 

新しき花が届けられ仏壇に供へまつれば心すがしき

 

くれなゐの花を玄関に飾りたり一人居の部屋に華やぎあれと

 

安倍さんの暴走で戦争になりますと共産党支持の老女は真顔でのたまふ

 

夜の部屋でもの書きをれば腹が鳴る 明日の朝まではものは食はぬぞ

 

バリにも行けぬ バス旅行も危険なこの頃は 家で過ごすが一番よろしき

 

コーヒーをそそぎたるカップを手に取りて静かなる夜を過ごしゐるかな

 

静かにも寒の雨降る夜の更けに窓の雫を見つつ立ちをり

 

日々(にちにち)を父の遺影に向かひ坐し安らかにゐませとただに祈れり

 

笑顔なる父の遺影に真向ひて南無遍照金剛と唱へまつれり

 

消え残る雪を踏みしめ歩みたり冬といふ季節をかみしめる如く

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