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2015年10月31日 (土)

『第九五回東京財団フォーラム歴史和解は可能かー日中・日韓路日米の視座から』における登壇者の発言

〇七月六日に行われた『第九五回東京財団フォーラム歴史和解は可能かー日中・日韓路日米の視座から』における登壇者の発言は次の通り。

 

川島真東京大学大学院総合文化研究科教授「日本の殆どの歴史研究者は、歴史の認識には関わらない。日中間の歴史認識は、政府レベル、メディアレベル、社会レベルでは違う。そこで歴史学者は何ができるのか。『和解とは相手を許すが忘れない』というレベルに到達していない。『許さない。忘れない』というレベル。昨日は、台湾で軍事パレードが行われた。それをめぐって台湾で大きな議論が巻き起こっている。台湾でも引き裂かれている。日中でも、『村山談話』『小泉談話』を温家宝は高く評価した。日中間の和解は一定の水準に達した。日清戦争までは日中は対等。その後不平等の関係になる。一九二〇年にGDPでも日中は逆転。中国は日本から近代を学んだ。満州事変の後は、日中の歴史観は大きくずれる。中国は『戦争で日本に大勝利した』と言う。日本はアメリカに負けたと思っている。日中では国連への見方が違う。『国連は戦勝国の組織だから日本が常任理事国に入るのはおかしい』というのが中国の認識。戦後は、北京と台北が対峙した。台北は日本の承認が欲しかった。蒋介石は軍民二元論。『軍国主義に罪があり、国民に罪はない』という立場をとった。蒋介石は賠償を放棄した。日本に『蒋介石恩義論』が出て来た。それが一定の機能を果たしてきた。中共も日本が台北と結びつくことを嫌い『日本人民に罪はない』というロジックを用いた。しかし、中国国内、台湾国内では相当強い反日教育を行った。台湾と中国の教科書の戦争・歴史問題に関する記述・内容はそんなに違っていない。一九五二年の『日華条約』、一九七二年の『日中条約』の時、相手は民主化していない。相手の政府とは条約は結べても、相手の国民は入っていない。これが日本の直面する問題。一九八〇年、鄧小平は『日本は経済の師であるが歴史を忘れるな』と言った。南京記念館は鄧小平が作った。日本の経済力が弱くなると、ODAが縮小。そして日中関係は歴史問題が全てになってしまう。世論調査では八割が中国に親しみを感じない。沖縄でも然り。中国側も同じ。二〇〇九年から中国の対日外交は敏感になった」。

 

西野純也慶応義塾大学法学部准教授「第二次大戦で日韓は交戦国ではない。韓国の観点では植民地支配を受けたということ。一九一〇年から四五年までをどう評価するのかということが日韓における歴史和解のポイント。日韓国交正常化の時、植民地支配に玉虫色の決着をつけた。『条約に基づいて植民地統治をした』というのが日本側の見解。一九九八年の『日韓共同声明』で形式的には日韓の歴史的和解が成しとげられた。金大中大統領(当時)は、戦後日本の平和外交を高く評価した。『何回謝れば良いのか』というのが日本国内の雰囲気。韓国には戦争に参加できなかった残念さがある。『一九一九年にできた大韓民国臨時政府が参戦を準備していたが、参戦する前に日本は降伏した。参戦していたら別の歴史があった』という考え方が韓国にはある。しかし、『臨時政府は亡命政権とは言えない』という位置づけが国際的にはある。一九六五年の条約では玉虫色の決着。二〇〇〇年代に入ってから一九六五年の条約は正しくなかったと言われるようになった。『朴正煕政権は権威主義であり、戒厳令をしいて反対運動を押さえつけた。日本からの援助も少なかった』という認識が強い。完全な歴史和解は難しい。朝鮮が統一すると韓国のナショナズムのあり方は変わってくる。この時、日本はどう対処するかを考えるべし。日本は統一朝鮮とどういう関係を作るべきかをしっかりと考えるべし。冷戦時代、韓国では、経済の論理、安保の論理が優先され、歴史問題は後回しにされた。日韓の利害一致のもとに日韓国交正常化した。二〇〇〇年代、歴史問題がクローズアップした。小泉氏の靖国神社参拝によって一九九八年の精神は傷ついた。菅直人の『総理談話』は日本国内では評価されていないが、重要な取り組みであった。『菅談話』をどう評価するかが問題。日本の対韓認識が悪くなっている。六三%以上が韓国に親近感を感じていない。韓国も同じ。二〇一二年の李明博大統領の竹島上陸、天皇陛下に関する発言によって、日韓関係は益々難しくなった。民主党政権は、日本での評価は失敗だったが、韓国デは鳩山政権への評価が高い。民間レベルでお互いにレッテル貼りをしないことが必要。『韓国は反日国家』『日本は右傾化している』というのはどちらもレッテル貼り。認識の一致は無理。朴韓国大統領が国際社会で日韓関係悪化を訴えるのはやめてもらいたい。朴大統領が行く先々で日本批判をするのはやめてもらいたい」。

 

渡部恒雄東京財団上席研究員「欧米のリベラル系のメディアから、『安倍は歴史修正主義』という批判がある。日本は周辺諸国の脅威になるような軍事拡大をしているわけがない。日本を批判している中国が軍事拡大をしている。現状の秩序の維持しているのはアメリカであることを忘れてはいけない。歴史認識にはよほど気を付けなければいけない。ドイツの対処の仕方に学ぶべし。日中・日韓と比べると日米は複雑ではない。日本は戦争に負けたのだから仕方がないという考えがある。原爆・大空襲は国際法違反という問題はどう考えるべきか。日本の『右』は、日米同盟は支持しているが反米の部分がある。安保法制反対は、アメリカにどこまでついて行くのかという反米ナショナリズムがある。この左右の反米ナショナリズムをどう整理するか。日米で歴史総括をするとパンドラの箱を開けることになる。アメリカも日本も民主主義国家。自由にものが言える伝統がある。民間では議論できる場がある。ここが日中・日韓と日米の違うところ。アメリカはイラク戦争で重荷を背負った。国内の左右の対立が固定化。しかし、アメリカは復元力があり、混乱はどこかで収まる。歴史問題で、日本とアメリカが自己正当化を進めれば、日本とアメリカはぶつかる。それを喜ぶ勢力がある」。

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