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2015年10月10日 (土)

この頃詠みし歌

七十年前の焼土も今日(こんにち)は高層ビルの林立する町

 

何時かまた焼土となるもはかりがたく永久の平和を祈りまつれり

 

朝風呂に身を清めつつ友どちと語らひをれば心和むも

 

マイク持ち得意の歌を歌ひたり「俵星玄蕃」「大利根無常」

 

スカイツリーの真上の空に仲秋の名月煌々と照る

 

流れゆく雲の上にぞ強き光放ちて照れるまんまるの月

 

朝毎に部屋の掃除をすることがこれ以上太らせぬ手立ての一つ

 

久しぶりに来たりし街の古書店に入りて見上げる書棚懐かし

 

わが母が守り来たりし観音堂 日毎に参り母を祈れり

 

澄み切りし青き空をば母上と眺めて過ごす丘の上の施設

 

母上は青き空眺めきれいだねとつぶやきたまふ秋の日の午後

 

もう少しゐてと言ふ母の言葉 聞きて切なき夕暮の施設

 

日々(にちにち)を健やかに過ごすわが母は今日も大声で歌うたひゐる

 

乃木大将祀れる宮に人ら集ひ大久保利通のことを学べり(中央乃木會講演會)

 

静かなる秋の日の午後 乃木神社の社頭さやかに秋風ぞ吹く

 

銀座の街歩み行きなば外つ国人が大き声出し群なして歩く

 

中河与一の『萬葉の精神』を讀みてより萬葉の世界を戀ほしみて来し

 

遠き日に論争せし人は老いてなほやまと歌をば論じゐるなり

 

我もまた若き日よりの情熱を絶やさず歌を読み続けをり

 

根津東映といふ映画館のありしところ未だ駐車場のままの空間

 

しもた屋といふ言葉も死語となるか マンションがどんどん立ち続く街

 

いただきし松茸を焼きて食すれば日本人と生まれし幸を思へり

 

戦国の覇者も近代の成功者も茶道具集めて喜びにけり

 

好かぬ人が目の前に坐る会合は早く退散するがよろしき

 

何時も通る道で会ふ人は何時もの人 交はす挨拶も何時もの言葉

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