« 日本の伝統信仰と宗教的寛容性 | トップページ | 千駄木庵日乗九月一日 »

2015年9月 1日 (火)

深谷隆司氏の正論を紹介します。

 深谷隆司の言いたい放題第626

 

 「国連は無力、無責任」

 

 国連の事務総長が中国で行われる抗日戦争勝利記念の式典に出席し、なんと軍事パレードにも参加するという。 

  国連は常に中立性を維持しければならないことは言うまでもないし、平和構築の責任を果たすべき役割を持っている。事務総長のとろうとしている行為は、まさに自らその責任を放棄することで、断じて許されるものではない。

 

 中国は今、国内経済の混乱から世界的株価の暴落を招くなど、経済的大混乱を世界に与えている。のみならず南シナ海の岩礁を埋め立て、軍事拠点化を進めたり、日本の領土である尖閣諸島に頻繁に領海侵犯を繰り返し、東シナ海でのガス田開発など、明らかな海洋覇権拡大を続け、地域諸国の平和と安全の大きな脅威となっている。

 中国は、驚くほどの軍拡を進めており、今回の軍事パレードは、まさにその勢力を世界に誇示する舞台にほかならない。

 

 当然、日米欧は軒並み出席を見合わせたが、本来足並みをそろえるべき韓国は多くの慎重論を押し切って、朴大統領本人が出席するという。潘基文事務総長は韓国出身者、いわば韓国大統領と行動を共にするわけだ。

 

日本政府は勿論、数カ国が懸念の声を上げたが、「中立は侵さぬ」と公然と嘯いている。昨年も、欧米諸国がロシアの人権状況などを問題視し不参加を決めたソチ五輪の開会式に出席し、人権問題について明確なメッセージを出さなかった。これでは国連の事務総長たる資格は全くないと言わざるをえない。

 

私はかねてから、国連は期待にこたえられるほどの存在ではないと言い続けてきた。国連はそもそも主権国家の集まりである。いずれの国も自国の権益をどう守るかと常に考え、自国の権益を損ねるものには絶対に妥協しない。

 

しかも問題は、米、英、仏、露、中の五カ国からなる常任理事国の存在だ。いずれも第二次大戦の戦勝国代表で、拒否権まで与えて戦勝国の特権になっている。一国でも拒否権を行使したら何事も全く決まらないのだ。

 

発足から時を経ずして東西冷戦の時代が始まり、やがて米ソ代理戦争といわれる朝鮮戦争、ベトナム戦争などが続き、以来戦火の絶えたときはなかった。それらの解決について国連はほとんど無能であった。

 

戦後70年経っても戦勝国が特権を持ち続けているが、その五カ国はかつての国ではなくなっている。ソ連は崩壊してロシアとなり、中国も新しい国になった(中華民国が1971年中華人民共和国に)

 

国連分担金は過去4年間の国民総生産の平均値を基準にしているから、日本の負担はアメリカに次いで莫大なものであった。戦後、世界に貢献し続けて来た日本だから、当然、常任理事国に入るべきだが、その可能性はない。

 

国連は1945年誕生した。世界大戦で疲弊し、厭戦気分が高まり、平和志向によってつくられた。いまや設立当時の4倍の国が参加し、宗教の相違、人口や貧富の極端な差などがあって、その上の拒否権だから、一つの方向性を打ち出すことは難しいのだ。

 

日本では、国民もマスコミも過度に国連に期待するが、今回の例でもわかる通り、そんなに頼れるものではない。

 

結局のところ、平和と安全のためには自国の安全保障体制を確立させることと、アメリカなど友好国との協力関係を如何に構築するかにかかっている。

 

潘事務総長の軍事パレード参加は、現在国会で審議中の安保関連法案の是非についての判断材料の一つとなるのではないか。

|

« 日本の伝統信仰と宗教的寛容性 | トップページ | 千駄木庵日乗九月一日 »

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/121949/62196060

この記事へのトラックバック一覧です: 深谷隆司氏の正論を紹介します。:

« 日本の伝統信仰と宗教的寛容性 | トップページ | 千駄木庵日乗九月一日 »