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2015年9月25日 (金)

吉野文雄拓殖大学国際学部教授による「A.S.E.A.N.共同体・理念と現実」と題する講演内容

六月六日に開催された『アジア問題懇話会』における吉野文雄拓殖大学国際学部教授による「A.S.E.A.N.共同体・理念と現実」と題する講演内容は次の通り。

「日本ではアセアンは過大評価されている。二〇一二年の中国の反日デモ・暴動・打ちこわしがあって、日本企業が中国から引き揚げたほうがいいいう判断をすることとなり、消去法で出て来たのが南アジア・アセアン。

アセアン諸国も次第に力がついて来た。一九六七年に、バンコックでアセアンの地域協力機構が出来た。しかし、協定や条約は結ばれていない。アセアン諸国はお互いに縛られるのが嫌というのが大前提。『何かやります』と言うが『何かをやりました』という事はなかった。アセアンその繰り返し。毎年のように計画をぶち上げるが結果は出ない。 アジア通貨危機でアセアンは目覚めた。二〇〇三年前後から『統合』という言葉を使うようになった。『統合』という言葉を使えば盛り上がったように見える。今のところは『災害救助統合』という言葉を使っている。

『デモクラシーという言葉を使ってはいけなかったが、二〇〇〇年代に入って使われるようになった。『人権』という言葉も使われるようになった。『二〇三〇年を目指してアセアン共同体が出来る』と政治家は言っている。アセアンの将来を見て議論する人は、期待価で話している。

二〇〇八年に、『アセアン憲章』をEUの真似をして作った。この『憲章』の注目点は内政不干渉原則。『アセアン賢人会議』は内政不干渉原則を撤廃すべしと主張したが、首脳会議で認められなかった。二〇一四年のタイのクーデターによって成立した陸軍総司令官のプラユット・チャンオチャ政権を対しても内政不干渉原則で批判しない。地域外からも干渉させない。

中国に対してはアセアンはまとまって対抗しして行こうということに表向きにはなった。二〇〇〇年あたりから中国との貿易が拡大。中国との貿易自由化の影響は大きかった。 インドネシアは領海侵犯されている。南シナ海では色々な国の船が出ている。内陸国のモンゴル・ミャンマーの船まである。これはインドネシアにとって外交上のストレス。他の国がインドネシアに対し『東南アジア最大の国、アセアンの盟主』として敬意をはらわないのはどういうわけかという思いが、インドネシアにはある。これは中国と似ている。『インドネシアの資源を盗む外国船は沈める』とインドネシアは言い出した。

ジャカルタは漁港。日本のODAでつくった。その漁港の一部が中國船に占拠された。中国は罰金や係留料を取られるのが嫌で船を取りに来なかった。 アメリカはタイのクーデター政権を嫌っているので、タイは中国に接近している。東中アジアは、デモクラシーは似合わない。強権政治が似合っている。

中国は南シナ海での行動規範を作成しないといけない。アメリカ軍はフィリッピンに戻って来たが、アメリカは東南アジアでは経済的には大きく後退した。 安倍首相昨年二月、ミャンマーを訪問。五千億円の負債を帳消しにした。国民一人当たり四千円。日本国民は文句を言わなかった。

十年前のスマトラ大地震の時、中国は現地にいる同胞を救いに来たという名目で軍艦を派遣した。そのあたりから雲行きが変わった。中国は華人・華僑を資産と思うようになった。しかし華人・華僑は必ずしもそうではない。無用な団結はしない。東南アジアには三千万人の華人がいる。昆明に東南アジア向け放送局があったが、改革開放で止めた。

華人・華僑には反日がいる。マニラの中国人墓地には『抗日烈士』の碑がある。『抗日記念館』もある。看板の字は銭其琛が書いた。日本はぼんやりしていると危ない。『抗日烈士の碑』はアジア各地にある。 タイでは華人以外は中国が嫌い。ベトナムは完全に支那嫌い。『中国はベトナムに攻めて来た。中国は男が余っている。嫁さん不足。ベトナム女性は美人だからそれを狙ってまた攻めて来るかもしれない』、と、ベトナムではまともな人がまともなところでそんなことを言う。

東南アジアの人たちの意識改革は難しい。マレイシアに行った日本の猛烈社員が『一生懸命働けば老後のんびりできる』と言ったら、『働かなくてもすでにのんびりしているから働かなくして良い』と言われた。衣食住が働かなくても手に入る。日本・中國・韓国・台湾人とは意識が違う。独裁者は首都に国産車が走っているのが夢。マレイシアは国産車を作った。三菱のミラージュの焼き直し」。

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