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2015年9月 5日 (土)

笹川平和財団・笹川日中友好基金主催講演会「中国の現状と課題」』における登壇者の発言

五月二十九日に開催された笹川平和財団・笹川日中友好基金主催講演会「中国の現状と課題」』における登壇者の発言は次の通り。

施 展氏(北京外交学院世界政治研究センター主任)「世界の秩序の中で、米中日はどのように交流して行くのか。冷戦後、世界の秩序はアメリカが主導しているが、世界はアメリカのものではない。軍事も金融も全ての国が秩序を構築している。秩序はアメリカを超え、アメリカの上にある。アメリカは海洋国家ではない。全ての富は貿易から得ている。民族主義の価値観が、世界普遍的な公共財を提供するのか。一帯一路(注・201411月に中国で開催されたアジア太平洋経済協力首脳会議で、習近平中国国家主席が提唱した経済圏構想)。中国はこの地域にインフラを提供する。中国は民族主義か普遍主義かは、中国人の我々もはっきりと分からない。中国はアメリカに対抗すると思われている。改革開放後中国はアメリカの秩序に入った。世界秩序の中で中国は活動している。一つの国が実行機関を独占すると公共性がなくなる。これは世界に対してマイナス。全ての国を超える普遍的秩序をつくる執行機関を作るべし。普遍的価値を認めて、そのベースの下で利益を売る。お互いの駆け引きの中で新たなバランスオブパワーが出来上がってくる。短いスパンで見ると、日中は友好的ではない。長い目で見れば、バランスオブパワーが出来る過程で起きている問題。アメリカは形式的正義を主張しながら、実質的正義ではなくなっている。中国は国際公共財を提供する前提として民族主義を超える国際主義がなればならない。中国には百年間苛められてきたという被害意識がある。それが今後の中日関係にマイナスになっている。これをなくさないと中国は国際社会から尊敬されない」。

 

周 濂氏(中国人民大学哲学院副教授)「陳独秀が『新青年』という雑誌を創刊して今年で百年。『民主主義』『科学主義』を標榜した。しかし中国人が最も望んだのは平等な価値観。国内での平等を求めた。平等主義と自由主義の二つの価値観で、平等主義が自由主義を圧倒した。社会主義中国は平等を実現していなかった。紅五類・黒五類という差別があった。平等を実現しなかった。全人口の一〇%の人々が三〇年前より生活は良くなったが、格差の縮小ではない。だから奪われたという意識が広がる。貧富の差が広がり、若者は希望を持てない。未来がない。農村地方の戸籍であるだけで既に負けている。金持ちを憎んでいる。ソ連は平等を求めて失敗。平等主義は平均主義ではない。人は目的であり、手段ではない。全ての公民に対して同一の尊重を求めるべし。中国はハード面では先進国になった。ソフト面ではそうではない。村山富市元首相が引退後何の特権もない生活をしているのに驚いた。不平等は内部の分裂をもたらす。日本は元首相も停年になればただの人。中国は不平等が深刻。怨恨・怨み・妬みが蔓延している。社会的公正・正義は重要。怨恨・嫉妬を、正義を求めるエネルギーにすべし。『党は法より上か、法より下かと』という議論が中国にはある。日本は天皇も法に従う」。

輝華氏 (中国人民大学経済学院教授、中国人民大学国家発展及戦略研究院研究員)「今後の中国経済は予測困難。各省の活動報告のGDP成長率は水増しが出ている。どうして成長率が下がったのか。その理由の一つは反腐敗キャンペーン。逮捕される人が多ければ多いほど経済成長率が下がっている。これは相関関係。最低給与が高ければ経済成長率は低い。省エネが続くとGDP成長率も低くなる。一酸化炭素が減るとGDPにマイナス影響して成長率が低くなる。反腐敗キャンベーンは長期的に見れば経済に好影響。しかし腐敗がないと役人は仕事へのやる気がなくなる。非効率的規制で経済は停滞。東アジアの多くの国々では反腐敗と成長の間に良いバランスを見つけないといけない。反腐敗と共に制度の規制改革をしないと経済はおかしくなる。反腐敗は短期的には成長の足を引っ張っている。経済関係の法律をシンプルにしていくべし。官僚の裁量権が大きすぎる」。

この後、質疑応答が行われたが、中国人留学生から「日本より中国の方が軍国主義。日本より中国の方が格差社会」との意見が出された。

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