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2015年6月27日 (土)

この頃詠みし歌

わが顔を美形なりと言ひし人ありて 家に帰りて鏡見つめる

 

イケメンとスリムといふ言葉には縁なき衆生の我にしあるか

 

秀吉の黄金の茶室が目の前にあれど栄華は夢のまた夢(熱海救世美術館)

 

先代の林家三平が大声で「よし子さん」と叫びし寄席の懐かし

 

寝不足の顔して千代田線に乗りて来し立川談志師の懐かしきかな

 

青山の霊園の緑さはやけく日に照らされて目にしみるなり

 

大き墓が並ぶ霊園 この国の近代を築きし人眠りゐる

 

女の人ばかりの店にパスタ食す 真向ひに立つは男の主(あるじ)

 

大声で話す女性の顔が見えずどんな美人かと気になる隣席

 

よく話す人の隣で黙々と焼き鳥食し時を過ごしぬ

 

我もまた酔ひが回ればよくしゃべる男となりてカウンターに坐す

 

壊されし家の跡には夏草がぼうぼうと生えて命漲る

 

夏草が取り払はれていよいよに轟音立てて機械が動く

 

新しきマンションが建ちあな悲し ベランダよりの眺めまた狭くなる

 

富士見坂より富士か見えなくなりにけり次から次へとマンションが建ち

 

吉井勇の歌は悲しき歌多く讀むに耐へ難く歌集閉じたり

 

懐かしき師の歌を讀み胸迫る逝きませしより幾歳経ても

 

夫を支へ子らを育てて歌を詠み力強く生きし中河幹子師

 

二日ぶりに会ひたる母は喜びに満ちた顔して明るく語る

 

湯島なる古き酒房の主殿(あるじどの)と語らひにつつ酌む酒うまし

 

鮎の塩焼き食しつつ酌む酒うまし湯島天神下の古き酒房で

 

安物の傘を持つべし必ずや何処かに置き忘れるが習ひなりせば

 

母と会ひ別れ来にける夕暮の空に三日月ほのぼのと浮かぶ

 

夏至の日の夕べほのかに浮かびゐる三日月仰ぐ心地良さかな

 

樹木少なき街歩み施設に入り行けば大きな造花が飾られてをり

 

谷中寺町 露に濡れつつ歩み行けば 幼馴染みが手を振りてをり

 

数寄屋橋の交差点を渡りつつ この地で獅子吼せし人をし偲ぶ

 

晴れし朝に洗濯物を干してをり 清められたきは衣服のみならず

 

激しくも我の怒りは燃えたぎる護憲叫びて敵利する輩に

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