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2015年5月23日 (土)

『日本の心を学ぶ会』における瀬戸弘幸氏の講演内容

二月二十二日に行われた『日本の心を学ぶ会』における瀬戸弘幸氏の講演内容は次の通り。

 

「以前、松本健一氏の『北一輝論』を鈴木邦男氏からいただいた。北一輝を論じた人で松本健一氏以上の人はいない。北一輝は『二二六事件』の首謀者の一人として逮捕された。しかし北一輝が青年将校を指導した形跡は全く無い。北一輝は蹶起を知らされていなかった。それには理由があった。北一輝は堕落していると思われていた。北一輝は三井から資金を得ていた。純粋な面もあったが、そうではない面もあった。事件前に北に通報したらばれると思われた。

 

明治の軍は天皇陛下の軍即ち皇軍であった。そういう軍が結果的に天皇に牙をむいた形になった。そこで『青年将校は悪者によってそそのかされた』ということにした。その悪者が北一輝ということになったのかなあと思う。何故北一輝は悪者にされたのか。明治三十九年に『國體論及び純正社會主義』を刊行したが、発禁処分になった。北の本が不敬だと騒いだのはマスコミ。政府も放置できなくなり発禁になった。この本は北一輝が二十三歳の時に書いた。五百部の自費出版。秘密裏にこの本は広まっていく。『日本改造法案大綱』とこの本を青年将校が讀んでいた。蹶起した時、北一輝は青年将校に電話した。それが『指令』とされた。誰かを悪者にしなければならなかった。北一輝はそのことを自覚していた。指示もしていないのに、『私の責任です』と言って責任を背負って死んでいった。処刑の時『天皇陛下万歳』とは言わないと言ったとされているが、看守が聞いたといって表に出ただけ。本当にそういう会話が交わされたかははっきりしない。北一輝は中国革命を助けるために中国に行った。

 

日本は明治以後近代化し資本主義国家になった。資本家が労働者を搾取し、社会状況は殺伐としていた。右翼も反資本主義。しかしマルクス主義者とは違う。純正社会主義とは、『分配を平等にすべきことを主張せず、上層階級を下層に引き下げるものにあらず、下層階級が上層に進化するものなり』という主張。これは天才的主張。『日露戦争は戦うべきか、戦わざるべきか』が右翼と左翼の分岐点。幸徳秋水・堺利彦は日露戦争に反対した。奈良時代平安時代は、土地は全て天皇のものであった。北一輝の主張は、マルクス社会主義とは違った意味での土地国有化・生産手段公有化論。基幹産業の国有化という北の主張は当然だった。『國體論及び純正社會主義』には個人の独立と自由を尊ぶ言葉が連ねられている。言葉尻をとらえて『不敬』と言われた。学歴のない者がこういう画期的なものを書いたことへのジェラシーがあったのではないか。『天皇機関説』を肯定。これは当時では不敬になった。

 

右翼とは反近代・反西欧。農本主義・反資本主義。資本主義は労働者を確保しなければならない。農村・農業から工場労働者を吸い上げたので農村は疲弊した。農村を犠牲にして日本近代の資本主義は伸びた。そこから農本主義が生まれた。国土と国民があって国家がある。土地を大事にする。『土とまごころ』という本があった。阿部勉さんが出していた。日本天皇は稲作文化と一体。農本主義の中心が天皇。国家社会主義は理解されないが、農本主義は受け入れられる。農本主義は右翼思想の柱の一つ。日清戦争は日本が徴兵制だったから勝った。清は雇用された兵隊だった」。

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